研修認定薬剤師

認定団体:公益社団法人 日本薬剤師研修センター
研修認定薬剤師

研修認定薬剤師とは

研修認定薬剤師は、定められた研修による自己研さんにより「薬剤師にふさわしい資質を維持している」と、公益財団法人日本薬剤師研修センターが認定する資格です。

あらゆる職歴の薬剤師が、倫理、基礎薬学、医療薬学、衛生薬学および薬事関連法規・制度など、幅広い分野において薬剤師としての資質を高め維持できるように、生涯研修を支援し、その成果を客観的に認定する目的で研修認定薬剤師制度が設けられています。

学会の会員でなくても取得できることから、幅広い職域の薬剤師が資格取得を目指せるため、認定者の多い資格です。1994年に開始され、認定者数は110,985 名(2023年7月末現在)となっています。

参照元:公益財団 日本薬剤師研修センター/Outline of JPEC要覧

研修認定薬剤師の仕事内容

常日頃から薬剤師としての継続的なスキルの向上に努め、最新の医療を患者さんに提供できる、能力のある薬剤師が求められています。
それぞれの職域に応じた業務を遂行できることが、認定者ならではの仕事内容といえるでしょう。研修によって各方面で活躍する薬剤師一人ひとりが資質の維持・向上を図り、活躍し続けることが期待されます。

研修認定薬剤師のやりがい

研修認定薬剤師の資格は、より専門性の高い知識やスキルを持っていることの証明となります。他の薬剤師との差別化につながり、患者さんだけでなく、看護師などの他の医療スタッフからも信頼を得ることで、より責任のある仕事に就ける可能性が高まります。

また、日常業務で専門的な知識を生かして患者さんの小さな違和感に気づき、医師と連携しながら医薬品リスクを軽減できたり、患者さんから感謝の言葉をもらったりしたときには、大きなやりがいを感じるでしょう。

かかりつけ薬剤師の認定要件の一つ

研修認定薬剤師は、かかりつけ薬剤師の認定要件の一つです。
かかりつけ薬剤師とは、患者さんの服薬状況を一元的、継続的に把握して、指導などを行う薬剤師のことで、認定要件の一つに、「薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度などの研修認定を取得していること」があります。

研修認定薬剤師を取得し、かかりつけ薬剤師になれば、患者さんをより深く知り、個々に寄り添った最適なサポートができるようになるため、職場でも重宝されるでしょう。高齢化社会のこの時代に求められる資格として、今後も継続的に取得者の増加が予想されます。

詳細は以下のページをご覧ください。

関連記事:かかりつけ薬剤師・薬局とは?算定要件・条件や業務内容について解説

研修認定薬剤師の資格を取得するには?

認定の対象となる研修を実施している研修機関は複数あり、認定される条件が研修によってそれぞれ異なります。各研修機関のホームページで確認してから研修を受けるとよいでしょう。

研修認定薬剤師の資格はどのように取得するのか、ポイントを絞って紹介します。

資格の取得要件

研修認定薬剤師の認定を受けるためには、対象となる研修などを受講し、単位を取得しなければなりません。初めて認定の申請をする場合、薬剤師名簿登録年月日以降に取得した単位で、認定申請日(PECSで認定申請を行う日)からさかのぼって4年以内に40単位以上を取得することが必要です。

単位として認められるのは、公益財団法人日本薬剤師研修センターが認定する以下の研修です。

  定義 単位
集合研修 集合して会場で行うもの。
講師がおり、座学か実習のいずれかに該当すること
講義90分につき1単位。
1日4単位まで
学術集会 学術的な主題を掲げ、専門家による講演や研究成果の発表、主題に関わる項目の討論などから構成されること 1日最大4単位、午前の場合2単位まで、午後の場合2単位まで。1学術集会につき9単位までとする
e-ラーニング研修 いったん録画した画像および音声をインターネットにより伝送したもの 1講座1単位。1日最大4単位まで。1講義は講義とテストの組み合わせで合計90分。90分未満の場合は組み合わせを認める。年間の単位数制限なし
ウェブ利用研修
(集合研修即時配信)
定められた配信場所から、講師による講義形式や実技指導を、画像および音声でインターネットにより伝送されたもの 講義90分につき1単位。1日4単位まで。年間の単位数制限なし
ウェブ利用研修
(学術集会)
決まった配信場所から学術集会に該当する研修の画像および音声をインターネットで伝送するもの 1日最大4単位、午前の場合2単位まで、午後の場合2単位まで。1学術集会につき9単位までとする
自己研修 教材を利用した学習をして、結果を自己研修等報告書として提出するもの 報告書で自己研修等審査の結果、合格とされた場合、1報告書につき1単位、年間5単位まで。申請日付で付与
学術集会等発表 学術集会の発表者または集合研修の講師であって、その証明書類を添付して自己研修等報告書を提出するもの 報告書で自己研修等審査の結果、合格とされた場合、1報告書につき1単位、年間3単位まで。申請日付で付与
学術雑誌論文掲載 学会誌に筆頭執筆者として掲載され、その証明書類を添付して自己研修等報告書を提出するもの 報告書で自己研修等審査の結果、合格とされた場合、1報告書につき1単位、年間3単位まで。申請日付で付与

参照元:公益財団 日本薬剤師研修センター/研修認定薬剤師制度実施要領

資格の取得方法

2022年3月31日までは、薬剤師研修手帳に受講単位シールを貼付することで、認定に必要な単位を申請する方法がとられていました。しかし、2022年4月から、申請手続きがPECS(薬剤師研修・認定電子システム)に完全移行しています。

それに伴い、研修に参加する際には、事前にPECSに個人情報登録を完了しておく必要があること、また申請手続きを行う際には、申請する単位がすべてPECS上に反映されてから手続きを行うことが必要です。

※2022年3月31日までの単位については、薬剤師研修手帳に貼付した研修受講シールによって認定申請が可能です。

PECSを初めて利用する(個人情報をこれから登録する)場合は、日本薬剤師研修センターのホームページで、注意点や手順をよく確認の上、登録してください。

参照元:公益財団法人 日本薬剤師研修センター/PECS(薬剤師研修・認定電子システム)

PECSから新規認定申請を行った後、1週間以内に必要書類を公益財団法人日本薬剤師研修センターに送付します。その後、2.5カ月程度で審査結果メールが届き、認定されると1カ月後に認定証が送付されます。

認定期間 審査料
3年 11,000円(税込)
IDカード発行申請料 更新審査料
2,750円(税込) 11,000円(税込)

薬剤師認定制度認証機構の認証を受けている他の薬剤師認定制度運営機関の発行する研修受講シールは、日本薬剤師研修センターの研修受講シールと互換性があり、定められた単位数の上限まで算入できます。ただし同等性を確保するため、日本薬剤師研修センターは必要事項が記載された文書の発行を要請しており、この証明文書の添付がない場合は研修単位として認められません。証明文書の配付については、それぞれの薬剤師認定制度運営機関へ確認してください。

資格の更新について

研修認定薬剤師の資格は3年に一度更新する必要があります。更新要件は3年の認定期間に30単位以上かつ各年5単位以上取得することです。

更新申請の受付期間

更新の受付期間は、認定期限の2カ月前から3カ月後までです。認定期間(3年間)が切れる約2カ月前に登録しているメールアドレス宛てに通知が届くため、PECSから更新申請を行います。

研修認定薬剤師を仕事で生かす

薬剤師資格は、一度取得すれば、基本的に無期限で認められるものです。しかし、近年の医療の進歩や高齢化社会に伴う社会的要請に素早く対応するためにも、生涯にわたって研修などによる自己研さんが必要です。

公益財団法人日本薬剤師研修センターでは、この研修認定薬剤師制度における認定を、薬剤師免許の更新と同じ効果を期待するものとしています。

どんな職域であっても、より質の高い専門的なスキルを持つ認定者は、信頼される薬剤師として、患者さんだけでなく医療従事者にあらゆる場面で認められることになるでしょう。

研修認定薬剤師が役立つ職場や業界は?

研修認定薬剤師の資格は、保険薬局で最大限に発揮できます。なぜなら、保険薬局において研修認定薬剤師は「かかりつけ薬剤師」になれる条件の一つであり、加算の算定が可能になることから、経営者サイドからの需要は高いといえます。

加算算定は保険薬局でしか認められていませんが、他の施設で働く薬剤師にとっても資格取得は無駄ではありません。研修に励み、知識をアップデートしていくことは、薬剤師としての務めを全うするために必要なことでしょう。

研修認定薬剤師を取得するメリット

研修認定薬剤師の資格を取得するメリットは主に次の6つです。

かかりつけ薬剤師になれる 前述のとおり、研修認定薬剤師はかかりつけ薬剤師の要件の一つです。研修認定薬剤師を取得してかかりつけ薬剤師になれば、患者さんをより深く知ることができ、継続して服薬指導ができます。患者さんから頼りにされ、やりがいを感じることができるでしょう。
知識の幅が広がる・知識やスキルを有する証明になる 資格があることで、ある一定のレベルの専門知識やスキルを持つ薬剤師である証明になります。日々医療は進歩しており、新薬も開発されています。患者さんのためにも薬剤師として新しい知識を更新していくことは必須といえるでしょう。
患者さんや医師・看護師などからの信頼が厚くなる 研修認定薬剤師の資格を持っていると、患者さんばかりでなく、医師・看護師など、他の医療スタッフからの信頼も厚くなるでしょう。医療従事者がそれぞれの専門性を生かして患者さんの手厚いサポートができるのは、とても重要なことです。
最新の薬学や医療を学ぶことができる 研修認定薬剤師の資格取得と更新を継続していると、プログラムに沿って学習ができるため、効率よく、最新の薬学や医療を学べます。
仕事のモチベーションアップにつながる 研修認定薬剤師の資格を取得するまでに、専門知識を学び続け、スキルを身に付けられるため、業務にもいっそう熱心に取り組むことができます。得た知識が役に立ち、患者さんやスタッフから感謝されるようなことも多くなると、モチベーションも自然とアップするでしょう。
年収アップの可能性がある 通常の業務に加えて患者さんの病歴、併用薬、副作用歴や残薬などの状況を継続的に把握し指導することで算定可能な「かかりつけ薬剤師指導料」。この点数は通常の「服薬管理指導料」と比べて高く、かかりつけ薬剤師がたくさん指導するほど薬局の収入は増えます。

かかりつけ薬剤師は患者さんからの信頼も厚いため、担当する人数が多いと薬局からの評価にもつながり、資格手当もしくは昇給に反映されることもあるでしょう。転職時には有利な資格の一つになり得ます。

研修認定薬剤師の転職事情

研修認定薬剤師の資格を生かせる職場で働きたい、また資格取得のサポートをしてくれる職場を探しているという方には、転職支援サービスの利用をおすすめします。企業や医療機関などの情報を細部まで知り尽くした担当者が、あなたの希望をヒアリングした上で、条件に合った職場を提案してくれるでしょう。

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