抗菌化学療法認定薬剤師

認定団体:公益社団法人 日本化学療法学会
抗菌化学療法認定薬剤師

抗菌化学療法認定薬剤師とは

抗菌化学療法認定薬剤師は、公益社団法人日本化学療法学会によって認定される薬剤師資格です。抗菌化学療法において、より深い知識をもち、感染症の種類や患者の体質・病態に合わせた薬学的管理を有効かつ安全に行うことのできる薬剤師として認められます。

薬物血中濃度モニタリング(TDM)のデータによる医師の抗菌薬投与設計への助言のみにとどまらず、専門家としての提案・実施をおこなうためのスキルが求められます。また、医療現場における感染制御チーム(ICT)のなかでも活躍が期待されるでしょう。

2008年に開始され、認定者は1,551人(2022年3月1日現在)となっています。2017年以降は毎年100名以上が資格認定を受けており、抗菌化学療法における薬剤師の必要性がうかがえます。

抗菌化学療法認定薬剤師の仕事内容

抗菌化学療法認定薬剤師の仕事は薬物療法でのサポートに限定されるものではありません。

ICTの一員となれば、薬物や微生物、病原菌などに対する専門知識を活かして、院内感染予防、職員教育、職員健康管理、感染症コンサルテーション、抗菌薬適正使用の指導など多岐にわたります。また、多剤耐性菌による院内のアウトブレイクへの対応や、インフルエンザなど伝染性感染症のパンデミック時など、緊急時の対応も求められる仕事のひとつといえます。

抗菌化学療法認定薬剤師の資格を取得するには?

資格の取得要件

抗菌化学療法認定薬剤師の資格を取得するためには、下記の要件をすべて満たす必要があります。

要件1 日本国内における薬剤師免許を有し、薬剤師として優れた人格及び抗菌化学療法の見識を備えていること。
要件2 申請時に、薬剤師として抗菌化学療法に5年以上かかわっていることを示す所属する施設長又は感染対策委員長の証明が得られること。
要件3 申請時において、公益社団法人日本化学療法学会の正会員であること。
要件4 医療機関において、薬剤管理指導・TDM(治療薬物モニタリング)・DI(医薬品情報)などの業務を通じて感染症患者の治療(処方設計支援を含む)に自ら参加した15例以上の症例を報告できること。
要件5 公益社団法人日本化学療法学会の抗菌薬適正使用生涯教育セミナー・認定委員会の指定する研修プログラムなどにおいて、規定の単位数を取得していること。

資格の取得方法

上記の申請要件を満たしたうえで、公益社団法人日本化学療法学会に申請します。

認定期間 申請料
5年 10,000円(税別)
更新申請料
10,000円(税別)

資格の更新について

抗菌化学療法認定薬剤師の認定期間は5年間で、更新するためには以下の要件をすべて満たしている必要があります。

要件1 認定された後も引き続き本学会の正会員であること。
要件2 認定を受けてから5年間、感染症患者の抗菌化学療法に貢献し、認定委員会が指定した60単位を取得すること。

ただし、認定期間中に、留学等の理由で長期海外に在住した場合は、その期間相当分の認定期間を最長5年まで延長することができる。

抗菌化学療法認定薬剤師を仕事で活かす

2017年には厚生労働省より「抗微生物薬適正使用の手引き(第一版)」が発行され、抗微生物薬の使用が見直されはじめています。

そうしたなか、抗菌化学療法認定薬剤師の資格は、病院勤務はもちろん、研究職や在宅医療においても多くの活躍の場が広がることでしょう。

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