地域薬学ケア専門薬剤師

認定団体:一般社団法人 日本医療薬学会
地域薬学ケア専門薬剤師

地域薬学ケア専門薬剤師とは

地域薬学ケア専門薬剤師とは、「地域医療に必要となる広範な薬物療法に一定水準以上の実力を有し、現に地域医療・介護等の現場において活躍している薬局薬剤師」とされています。

2015年厚労省の打ち出した薬局ビジョンによる薬局のあり方の変化や、地域包括ケアシステムにおける薬薬連携を見据えて、いままでのように病院向けの薬剤師だけでなく、薬局薬剤師にも高い専門性が求められるようになっています。日本医療薬学会では、専門薬剤師制度の見直しにあたり、はじめて薬局薬剤師を対象にした「地域薬学ケア専門薬剤師」を新設し、2021年4月より運用を始めています。今回は、その「地域薬学ケア専門薬剤師」について解説します。

制度新設の目的

地域包括ケアシステムにおける薬局薬剤師の業務は、薬剤に向き合うだけでなく、患者さまの服用前から服用後まで薬物治療のすべてをフォローすることへと移り変わってきています。それに対応するには、あらゆる薬物治療の専門的な知識と技能、臨床での対応能力などの高い水準の実力が要求されます。さらに、地域における医療チームでは、薬物治療のスペシャリストとして、他職種とのコミュニケーション能力や指導力も必要となります。

こうした、地域医療の臨床で専門的な知識を生かし、医療チームの現場で活躍できる薬剤師を育成する目的で、「地域薬学ケア専門薬剤師」の制度が新設されました。

求められる役割

日本医療学会では、地域薬学ケア専門薬剤師に求められる役割を、「薬剤師の薬学的専門性を地域で発揮すること」としています。

たとえば、患者さまが遠方の大学病院などの専門性の高い診療科に受診している場合、次回受診日までの間に発症した副作用などの症状や体調の変化に対する対応や指導を、患者さまの薬物療法を鑑みて行うことは役割の一つです。

また、がん専門病院と連携した専門医療機関連携薬局では、副領域のがんを専門とした地域薬学ケア専門薬剤師が、患者さまの経口抗がん剤のフォローを行うことなども、地域薬学ケア専門薬剤師に求められる役割です。

地域薬学ケア専門薬剤師の仕事

ド将来的に、地域薬学ケア専門薬剤師には、どのような仕事が考えられるでしょうか。地域薬学ケア専門薬剤師養成研修コアカリキュラムを見ると、その到達目標から想定される仕事が見えてきます。

  • 地域包括システムにおいて他職種と連携を図るための医療チームに参画する。
  • 処方監査と調剤を正確かつ安全に行うための技術と知識を習得して薬物療法の安全確保の方法を考え、医療従事者への指導や周知を行う。
  • 検査値やお薬手帳、服薬指導などの場面で得られた患者さまの情報を医療チーム に還元し、さらに投与量の調整や投与方法の変更、新しい薬物療法の提案をす る。
  • 患者さまはもちろん、地域包括ケアに関わる他職種からの薬物療法に関する相談に対応する。
  • 最新の医薬品情報や臨床情報、ガイドライン等を国内外のデータベースから収集・評価し、適切に提供する。
  • 最新の知識と技術を学び、薬物療法の向上に努力する。

こうした仕事に加え、地域の薬剤師に対してリーダー的な立場で指導することも地域薬学ケア専門薬剤師の仕事として期待されています。

地域薬学ケア専門薬剤師になるには

地域薬学ケア専門薬剤師になる方法について説明します。

規定された11の要件を満たすこと

日本医療薬学会では、地域薬学ケア専門薬剤師の認定を申請するには、以下の11の要件を満たすことが定められています。

要件1 日本国の薬剤師免許を有し、薬剤師として優れた人格と見識を備えていること。
要件2 薬剤師としての実務経験を5年以上有すること。
要件3 申請時において、引き続き5年以上継続して日本医療薬学会会員であること。
要件4 「日本薬剤師研修センター研修認定薬剤師」、「日本病院薬剤師会日病薬病院薬学認定薬剤師」、「日本薬剤師会・生涯学習支援システム(JPALS)クリニカルラダー5以上」、その他日本医療薬学会が認めた認定制度による認定薬剤師のいずれかの認定を受けていること。
要件5 日本医療薬学会が認定する「地域薬学ケア専門薬剤師研修施設」において、日本医療薬学会の定めた研修ガイドライン(カンファレンスへの参加を含む)にしたがって、地域薬学ケアに関する5年以上の研修歴を有すること。
要件6 別に定めるクレジット(単位)*を5年で50単位以上取得していること。
要件7 専門薬剤師認定取得のための薬物療法集中講義に1回以上参加したこと。
要件8 日本医療薬学会の年会に1回以上参加したこと。
要件9 自ら実施した5年の薬学的管理を行った症例報告50症例(4領域以上の疾患)を提出すること。
要件10 以下の研究活動のうち、発表あるいは論文の条件のどちらか一方を満たすこと。

●学会発表(2回以上)
医療薬学に関する全国学会あるいは国際学会での発表が2回以上(日本医療薬学会が主催する年会において本人が筆頭発表者となった発表を含む)

●論文発表(1報以上)
本人が筆頭著者である医療薬学に関する学術論文を1報以上有すること。学術論文は、国際的あるいは全国的学会誌・学術雑誌に複数査読制による審査を経て掲載された医療薬学に関する学術論文あるいは症例報告であること(編集委員以外の複数の専門家による査読を経ていない論文は、本条の対象外)。
要件11 日本医療薬学会が実施する専門薬剤師認定試験に合格すること。

*日本医療薬学会の年会参加、集中講義、日本医療薬学会主菜のシンポジウム・セミナー等への参加などで取得できる単位

申請要件を満たすための研修

前述のとおり、認定要件を取得するためには、5年間の研修を受け 症例報告や学会発表をすることが必須です。研修は連携施設と基幹施設が連携して実施し、薬局薬剤師が地域薬学ケア専門薬剤師の認定を受けるために考えられたシステムです。

連携施設での研修 連携施設とは、自分が勤務する薬局のことです。自局で患者さまへの日常的な薬物療法の指導や、地域包括における地域薬学ケアに関する経験が研修となります。そこで関わった4領域以上の疾患に関する症例50件を申請時に提出します。
基幹施設での研修 基幹施設とは、日本医療薬学会が認定する指導薬剤師が常駐する病院です。薬局薬剤師が1ヵ月に3~4回基幹病院に出向いて、カンファレンス等に出席し、研修および研究発表に関する指導も含め、指導薬剤師から指導を受けることが研修になります。

認定試験について

申請要件をすべて満たし、認定申請書と認定申請資格証明書を提出して審査を受け、受験資格を得て認定試験を受験します。

地域薬学ケア専門薬剤師の認定試験は、日本薬学会、日本薬剤師会、日本病院薬剤師会、日本医療薬学会、日本薬剤師研修センターが共同で実施している「生涯学習達成度確認試験」(運営事務局:公益財団法人 日本薬剤師研修センター)と共通です。医療薬学専門薬剤師、地域薬物療法専門薬剤師の認定試験と同じ内容、同じ合格基準が設定されています。そのため、既に「生涯学習達成度確認試験」に合格している方は、改めて専門薬剤師認定試験を受験する必要はなく、合格証書のコピーの提出をもって免除されます。
また、新規認定者は初回認定申請までに、暫定認定者は、1回目の更新認定申請時(5年後)までに、同試験に合格しておくことが必要 です。

出題範囲は、医療や生命倫理、疾病と病態、薬物療法、調剤と医薬品の管理、医薬品情報、患者さまへの服薬指導、製剤、創薬と育薬、薬学と社会、医療安全等々、多岐にわたります。

申請方法

通常は、研修施設において5年間の研修後に認定申請を行いますが、最初の専門薬剤師が誕生するのが2026年になるため、一定の条件を満たした研修希望者は「暫定認定」とする過渡的措置を設けました。2021年1月に誕生した「地域薬学ケア専門薬剤師」は、4月から5年間の研修を進めています。暫定認定の申請方法を説明します。

暫定認定申請期間

2020年〜2024年が暫定認定の申請期間です。暫定認定を受けて研修後、 1回目の更新までに、「地域薬学ケア専門薬剤師」の申請に必要な認定要件を満たせば更新が可能ですが、満たせなければ、暫定の認定資格は消失します。

暫定認定の申請に必要な条件

2020年〜2024年が暫定認定の申請期間です。暫定認定を受けて研修後、 1回目の更新までに、「地域薬学ケア専門薬剤師」の申請に必要な認定要件を満たせば更新が可能ですが、満たせなければ、暫定の認定資格は消失します。

条件1 日本医療薬学会の会員である
条件2 日本薬剤師研修センター「研修認定薬剤師」、日本病院薬剤師会「日病薬病院薬学認定薬剤師」、「日病薬生涯研修履修認定薬剤師」、日本薬剤師会・生涯学習支援システム【JPALS】クリニカルラダーレベル5以上(JPALS認定薬剤師)、日本医療薬学会「医療薬学専門薬剤師」、その他本学会が認めた認定制度(神奈川県薬剤師会生涯学習認定制度、石川県薬剤師会生涯学習認定制度)による認定薬剤師のいずれかを有している。
条件3 薬剤師としての実務経験が5年以上、うち薬局での実務経験が1年以上あり、現在薬局に勤務している。
条件4 学会発表(筆頭)が1回以上、もしくは論文(筆頭)が1報以上ある。
条件5 クレジット*を5年以内に20単位取得している。
条件6 日本医療薬学会の年会に1回以上参加している。
条件7 薬物療法集中講義に1回以上参加している。
条件8 がんの副領域 の場合:がん専門薬剤師集中講座を受講している。
条件9 がんの副領域 の場合:学会発表または論文は、がん領域のものであること。

以上の申請要件に加え、研修を希望する基幹病院の選定や勤務している薬局が連携施設の要件を満たしているかの確認が必要です。
*2.1.「規定された11の要件を満たすこと」をご参照ください。

手数料

申請にあたっては、日本医療薬学会認定委員会に必要な各種手数料(税込)を振り込みます。金額は、以下のとおりです。

認定審査料 暫定認定が認められた場合の認定料
11,000円 22,000円
研修申込料 2科目以上 連携研修料 1科目
3,300円 79,200円/年

振込後の手数料は、申請の取り下げや不認定の場合でも返納されません。

揃えたデータをオンラインで提出

暫定認定の申請は、以下の書類を申込期限内に書面ではなくデータでオンラインによる提出を行います。

  • 地域薬学ケア専門薬剤師暫定認定申請書
  • 薬剤師免許証のコピー
  • 認定資格を証明する認定証のコピー
  • 基幹施設調整結果連絡票
  • クレジット(単位)の認定に係る参加証や要旨集該当ページ等のコピー
  • 学会発表または論文の審査に係る書類

まとめ

地域包括システムの構築が進められる中、患者さまのニーズに対応できる薬局が求められるようになりました。薬局薬剤師にも、地域医療に必要な幅広い薬物療法に対する一定以上の実力が求められています。

これまで、日本医療薬学会では各専門薬剤師制度を運用し質の高い薬剤師を輩出してきましたが、薬局薬剤師においても高い専門性を有し、地域医療・介護現場で活躍できる人材を育成する目的で「地域薬学ケア専門薬剤師」を新設しました。2024年までは過渡的措置として、一定の条件を満たす場合、暫定認定後に5年間の研修を受けることができます。将来の薬局薬剤師のあり方を見据えた地域薬学ケア専門薬剤師へのスキルアップに一歩踏み出すことが大切です。

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