公認スポーツファーマシスト
公認スポーツファーマシストとは
公認スポーツファーマシストとは、認定薬剤師の一つで、ドーピング防止などの専門知識を持つ薬剤師です。
近年、スポーツで有利になるために禁止薬物を使用する「ドーピング」が問題になっており、世界的にもドーピングに反対し、スポーツの価値を守るための「アンチ・ドーピング」の機運が高まっています。そこで、国内でも2009年に公認スポーツファーマシストの認定制度が始まりました。
公認スポーツファーマシストになるには、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)の定めたカリキュラムを修了し、試験に合格する必要があります。JADAはアンチ・ドーピング活動を通じて公正なスポーツ環境をつくることを目的とした公益財団法人で、日本薬剤師会の協力のもと、本資格の認定活動を行っています。
近年、国際的なスポーツ大会が増えていることや、スポーツ選手のドーピング事例が報告されていることを背景に、公認スポーツファーマシストの取得者は急増しています。資格制度の開始直後(2010年)の認定者数は796名でしたが、2022年4月現在は12,345名が認定を受けており、薬剤師約32万人のうち、およそ4%がこの資格を取得していることが分かります。
目次
公認スポーツファーマシスト
公認スポーツファーマシストの仕事内容
公認スポーツファーマシストは最新のアンチ・ドーピングの基礎知識を有しており、スポーツの競技者や指導者に薬の使い方をアドバイスしたり、学校などでアンチ・ドーピングの啓発活動をしたりと多方面で活躍することができます。
ドーピングは、禁止薬物を意図的に使用することだけではありません。風邪薬などの一般的な処方薬や、薬局やドラッグストアで購入できるOTC医薬品、栄養剤などの中にも、ドーピングの規制対象となる成分が含まれている場合があります。スポーツの競技に参加する人が、こうした薬剤を知らずに使用してしまう「うっかりドーピング」は国際的にも問題となっています。
医薬品の適正使用とアンチ・ドーピングに関する情報提供を行うことで、ドーピングを未然に防ぐことが、公認スポーツファーマシストの主な仕事内容です。
公認スポーツファーマシストのやりがい
私たちがスポーツに打ち込んだり、家族や友人の競技を応援したり、プロスポーツを観戦したりと、スポーツを心から楽しむことができるのは、スポーツが「フェア」だからです。ドーピングが蔓延し、競技の相手が不正をしているかもしれない環境では、スポーツの面白さは損なわれてしまうでしょう。
公認スポーツファーマシストは、通常の薬剤師業務に加えてスポーツ競技者や指導者とかかわりを持つことで、スポーツの価値を守るために活躍することができます。
また、スポーツを通じた青少年への健康教育も重要な使命です。特に、意図的に禁止薬物を使うようなドーピングは健康被害を引き起こすリスクもあります。「大会で優勝したい」「筋肉質な体つきになりたい」という理由で体に負担のかかる筋肉増強剤を利用しようとする人もいます。公認スポーツファーマシストは、医薬品の適正使用を伝えるだけでなく、社会全体にアンチ・ドーピングの啓発活動をしていくことも重要な役割です。
公認スポーツファーマシストの資格を取得するには?
公認スポーツファーマシストになるためには、日本アンチ・ドーピング機構のカリキュラムを修了し、知識到達度確認試験に合格する必要があります。
ここでは資格取得の要件や、費用についてご紹介します。
資格の取得要件
下記の要件をすべて満たしている必要があります。
要件1 | 薬剤師の資格を有すること。 |
---|---|
要件2 | 基礎講習会と実務講習を受講すること。 |
要件3 | 知識到達度確認試験に合格すること。 |
資格の取得方法
認定要件をすべて満たしたうえで期日までに申請を行います。
認定期間 | |
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4年 | |
受講料 | 認定料 |
7,600円 | 21,000円 |
資格取得の流れ
薬剤師が公認スポーツファーマシストの資格を取得するまでのスケジュールは下記の通りです。
例年4~5月頃 | 受講の申し込み 受講料7,600円 |
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例年6~7月頃 | 基礎講習会の受講 |
例年11~12月頃 | 実務講習の申込み |
例年12~翌1月頃 | e-ラーニングにて実務講習 知識到達度確認試験 認定申請 認定料21,000円 |
例年4月1日 | 認定 |
資格の更新について
スポーツファーマシストの認定証の有効期限は4年間です。ただし、資格維持のためには毎年、e-ラーニングで実務講習を受ける必要があります。4年目にあたる年にe-ラーニングで基礎講習と実務講習を受け、もう一度、知識到達度確認試験を受ける必要があります。
このとき、初回認定時と同額の受講料(7,600円)、認定料(21,000円)がかかります。
公認スポーツファーマシストを仕事で活かす
公認スポーツファーマシストが役立つ職場や業界は?
公認スポーツファーマシストは、スポーツチーム(競技団体)やスポーツドクターと連携する薬局など、関連医療機関を中心に需要がある資格です。
スポーツで活躍している人が基礎疾患などで薬物治療を受けるときや、急な体調不良で医薬品を使用しなくてはならなくなったとき、公認スポーツファーマシストに相談することができれば安心です。
使う薬剤の種類や量、投与方法、その人の競技種目などから、ドーピングの規則違反になるのかを確認し、もし該当する場合は対応方法を相談することもできます。こうした相談を受ける専門家として、競技団体に専属で所属する公認スポーツファーマシストも誕生しはじめていますし、スポーツドクターのいる整形外科の処方箋を多く受ける薬局で働く公認スポーツファーマシストもいます。
また、アンチ・ドーピングへの世間の意識の高まりを受けて、一般の薬局やドラッグストアでも、スポーツに打ち込む患者からの相談のニーズは少なくありません。さらに、スポーツと薬の関係に詳しくなることで、さまざまな薬を飲んでいる中高年の患者に対して運動面で適切なアドバイスをできるようになることも期待されています。
地域の学校教育においても、公認スポーツファーマシストには医薬品の適正使用を啓発する講師としての活躍が期待されています。例えば学校薬剤師として、ドーピング防止の授業などを依頼される場合もあります。
公認スポーツファーマシストを取得するメリット
公認スポーツファーマシストの資格を取得すれば、スポーツをしている患者などから相談を受けたときに自信をもって業務に当たることができます。
また、薬局にとっても、公認スポーツファーマシストに認定された薬剤師が在籍していることはアピールポイントの一つとなります。
例えば看板などを掲載して患者に宣伝することができ、さらにはドーピングへの不安がある人は、日本アンチ・ドーピング機構のウェブサイトからスポーツファーマシストの在籍する薬局を検索することができます。こうした点から、新しい患者を得るきっかけになるかもしれません。
公認スポーツファーマシストの資格を持っていれば、地域の講演などを依頼される可能性もあり、講師として貴重な経験を積むことができるケースもあります。
公認スポーツファーマシストの転職事情
公認スポーツファーマシストは、他の認定薬剤師などの資格と比べると比較的簡単に取得できる資格です。競技団体の専属薬剤師や、スポーツドクターと連携する薬局薬剤師といった仕事は、割合としては決して多くないものの、「スポーツが好きで、いずれ薬剤師としてスポーツにかかわる仕事にも携わりたい」と志している方は、ぜひ取得しておくべき資格といえるでしょう。
ただし、そうした特定の求人以外では、公認スポーツファーマシストを取得したからといって転職で有利になるケースはあまり多くないようです。
しかし、転職活動で「自己研鑽を続けている」ことを客観的に伝える材料になります。さらに資格習得をきっかけにドーピングに関する相談を積極的に受けたり、講演をしたりといった実績を積んでいけば、さらにアピールポイントを増やすことができるでしょう。
- 認定薬剤師
- 専門薬剤師
- その他の資格
- 医薬情報担当者(MR)
- 医療情報技師
- NR・サプリメントアドバイザー
- 漢方アドバイザー
- ケアマネジャー(介護支援専門員)
- 公害防止管理者
- 抗酸菌症エキスパート
- 骨粗鬆症マネージャー
- 産業カウンセラー
- 治験コーディネーター(CRC)
- 上級医療情報技師
- 食品衛生監視員
- 食品衛生管理者
- 日本禁煙学会認定専門指導者
- 日本糖尿病療養指導士(CDEJ)
- 日本褥瘡学会在宅褥瘡予防・管理師
- 日本褥瘡学会認定師
- 認定クリニカル・トキシコロジスト
- ビューティケアアドバイザー
- ヘルスケアアドバイザー
- 麻薬取締官
- メディカルアロマセラピスト
- 薬物療法指導薬剤師
- リウマチ財団登録薬剤師
- 臨床心理士
- 労働衛生コンサルタント
- 医薬品製造管理者・医薬部外品等責任技術者
- 環境衛生指導員
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- 毒物劇物取扱責任者
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