災害医療認定薬剤師

認定団体:一般社団法人 日本災害医学会
災害医療認定薬剤師

災害医療認定薬剤師とは

災害医療認定薬剤師は、一般社団法人日本災害医学会によって認定される資格です。

災害医療に関する専門的な知識及び技能を有する薬剤師であるとともに、災害医療の進歩、発展に努めることを目的に設立されました。

災害時における医薬品供給や管理、薬剤師派遣は災害医療の成功を左右するともいわれ、薬剤師の存在が重要視されるようになっています。

そうした状況下で創設された災害医療認定薬剤師は、災害発生時に、医師・看護師など多職種の医療チームの一員として、薬物療法の専門的な知識と技能に加え、災害医療に関するスペシャリストとして貢献することが期待されています。

災害医療認定薬剤師制度は2016年から実施され、認定者数は、75人(2022年4月1日現在)となっています。

災害医療認定薬剤師の仕事内容

災害医療認定薬剤師は、災害医療に関する基本的な知識や技能、被災地で限られた医療資源を効率的に活用するための原則、限られた医薬品を使用する優先順位の決め方や実践、医療救護所での情報収集や実践、多職種との連携などについて、研修を受けます。

被災地では、その災害医療や災害薬事のノウハウを生かしながら、薬物療法や調剤・服薬指導など薬剤師としての職能を発揮するのが、災害医療認定薬剤師の仕事です。

災害が起こると、全国各地から医療従事者が派遣され、被災地ではじめて顔を合わせてチームで医療活動を行います。

薬剤師は日本薬剤師会や県の薬剤師会を通して、医療チームの一員やボランティアとして被災地に出向くことになります。

被災地では医療チームの指揮に従いますが、災害医療についての教育を受けていない薬剤師も多く、災害医療認定薬剤師は薬剤師が必要とされている場所で、職能を効率的に発揮できるよう、薬剤師のリーダーとして先頭に立つ役割もあります。

災害医療認定薬剤師は現場での活躍が期待される

災害時に薬剤師が求められる場所は多くあります。災害発生直後の医療救護所、被災地の病院内、避難所、医薬品の集積所などです。

医療救護所や被災地の病院では、薬が必要な患者の優先順位や、必要な医薬品・医療資材を決める仕事は薬事トリアージと言い、限られた医薬品を有効に活用するために非常に重要な仕事です。薬事トリアージの研修と実技を受けている災害医療認定薬剤師はスキルを発揮できる場となります。

支援物資の集積所において、全国からの支援医薬品の仕分けや管理などは、薬効分類や保管方法などの知識がなければできない薬剤師ならではの仕事です。

また、避難所や医療救護所などでは、通常処方箋が必要な調剤も、災害時には医師に確認を取ったり、患者から話を伺ったりして調剤可能となることもあります。

災害医療の研修を受けた災害医療認定薬剤師は、被災地という特殊な場所で、災害医療と薬のスペシャリストとして活躍が期待されます。

災害医療認定薬剤師の資格を取得するには?

資格の取得要件

災害医療認定薬剤師になるためには、申請時に下記の要件をすべて満たす必要があります。

要件1 薬剤師免許を有し、薬剤師として優れた人材及び災害医療に関する見識を備えていること。
要件2 薬剤師として実務経験を有し、かつ災害医療に関する研修を受けているまたは実災害(認定薬剤師制度委員会が認めるもの)対応経験を有すること。
要件3 申請時において、日本災害医学会の正会員であり会費2年分を完納していること。
要件4 申請時において、日本病院薬剤師会生涯研修履修認定薬剤師、日本医療薬学会認定薬剤師、日本薬剤師会生涯学習支援システム(JPALS)レベル5以上、薬剤師認定制度認証機構により認証された認定薬剤師、または認定薬剤師制度委員会の認める実務経験を持つ薬剤師であること。
要件5 申請時において、災害薬事研修(PhDLS)世話人であること。
またはPhDLSインストラクターかつ実災害対応経験(認定薬剤師制度委員会が認めるもの)を有すること。

■世話人の要件
①一般社団法人日本災害医学会の会員であること。
②インストラクターであること、職種は問わない。
③プロバイダーコースにおいて、コース運営担当者 (CC)、またはコース担当責任者(CD)としてコースの運営実績があること。
④標準プログラムの講義を担当すること及び実習の各班における担当責任者として問題なく指導できること。
⑤PhDLSの目的に賛同し、事業推進に熱意を持っていること。
⑥災害薬事研修委員会において承認。

■PhDLSインストラクターの要件
①プロバイダーコース・インストラクターコースを終了。
②プロバイダーコースに2回以上モニタータスク参加。
③プロバイダーコースにモニター評価参加で世話人の評価。
④世話人からインストラクターとして推薦。
⑤災害薬事研修委員会において承認。

資格の取得方法

上記の申請要件を満たしたうえで、日本災害医学会に申請します。

認定期間 申請手数料
5年 5,000円
認定手数料 更新申請手数料
10,000円 5,000円
※別途 認定手数料5,000円

資格の更新について

災害医療認定薬剤師の認定期間は5年間で、更新するためには以下の要件を満たしている必要があります。

要件1 認定を受けてから更新までの間に、認定薬剤師制度委員会が指定する学術集会・研修会への参加、研究発表などにより、定められた所定の単位(ポイント)を取得すること。

災害医療認定薬剤師として活躍するには

災害医療認定薬剤師は、災害医療や災害薬事に関する研修を受けており、知識と技能を身に付けているため、活躍の場が広がります。

災害薬事コーディネーターになる

各都道府県には、災害時に被災地に必要な医療を適切かつスムーズに行えるように、医療ニーズの把握をしたり、医療チームの派遣を調整したりするなど、都道府県や保健所を総合的に支援する「災害医療コーディネーター」がいます。

それに合わせて、災害時に必要な医薬品や医療材料などの確保・供給、被災地の対応職員への医薬品に関する助言、県薬剤師会や日本薬剤師会と連携して薬剤師の確保や派遣の調整などの支援を行う「災害薬事コーディネーター制度」を取り入れる都道府県も出てきています。

災害時を中心に災害医療コーディネーターと災害薬事コーディネーターは連携をとりながら万一の時に備える必要があります。災害医療のスペシャリストである災害医療認定薬剤師にとって活躍の場として期待できます。

災害拠点病院に勤務する

厚生労働省では、災害発生時に被災地内の傷病者等の受入れや搬出の体制が取れる病院を「災害拠点病院」として指定しており、災害派遣医療チーム(DMAT)を受け入れ、派遣できる病院でもあります。

災害拠点病院の薬剤部では、災害備蓄倉庫における災害時に必要な医薬品の保管と管理などを行います。

また災害拠点病院では救急医療を提供できることが要件になっており、平常時から薬剤師も救急医療に介入し、災害医療に役立っているのです。

災害医療認定薬剤師は、災害拠点病院の薬剤部で働くことで、災害時には災害医療のスペシャリストとして、多職種の医療スタッフとともに活躍することが期待できます。

DMAT隊員の資格を取得する

DMATとは、災害や大事故などの時に、被災地に迅速に駆けつけて救急治療を行うための専門的な研修と訓練を受けた災害派遣医療チームのことです。

DMATは災害発生後約48時間までの超急性期に救命医療を提供できる医師1名、看護師2名、業務調整員1名の、計4名で1隊が構成されています。

薬剤師は業務調整員として登録され、災害発生時にはチームの一人として働くことになります。

DMAT隊員になるためには、DMAT指定医療機関で所属していることが必要で、国立病院機構災害医療センターと兵庫県災害医療センターの2カ所で行われる4日間の養成研修を受けます。消防との連携実働訓練、自衛隊との実機を用いた広域医療搬送の訓練もあります。

DMAT隊員の資格を取得し、災害発生直後の超急性期に出動する場合、災害医療認定薬剤師として研修や実技訓練を受けていることで、DMATチームの中で期待されている役割を果たすことができます。

今ならご登録うれしい特典!今ならご登録うれしい特典!

※在庫状況により、キャンペーンは予告なく変更・終了する場合がございます。ご了承ください。
※本ウェブサイトからご登録いただき、ご来社またはお電話にてキャリアアドバイザーと面談をさせていただいた方に限ります。

「マイナビ薬剤師」は厚生労働大臣認可の転職支援サービス。完全無料にてご利用いただけます。
厚生労働大臣許可番号 紹介13 - ユ - 080554