精神科薬物療法認定薬剤師
精神科薬物療法認定薬剤師とは
精神科薬物療法認定薬剤師は、一般社団法人日本病院薬剤師会によって認定された資格です。精神疾患の治療における薬物療法に関して、より高度な知識や技術を身につけ、精神疾患に対する薬物療法を有効かつ安全に行うことのできる認定資格として、活躍の場が広がっています。 年々増え続けている精神疾患患者数と向精神薬の適正使用が重要視されるなかで、今後さらにニーズが高まることが予測されます。平成20年4月1日より施行されて以来、認定者数は188名(令和3年10月1日現在)となっています。
目次
精神科薬物療法認定薬剤師
精神科薬物療法認定薬剤師の仕事内容
精神疾患の薬物治療は効果や副作用、アドヒアランスなどの面において非常に個人差が大きく、患者さんの生活環境などによっても影響を受けやすいことから、薬剤の選択や量の調節が細かく必要になる場合が多く見られます。このような状況に対応し、精神疾患の薬物療法のプロフェッショナルとして、個々の患者さんに合わせた最適な薬剤の提案や副作用の管理などが主な業務です。
精神科薬物療法認定薬剤師の資格を取得するには?
精神科薬物療法認定薬剤師の資格申請要件や資格取得までの流れ、費用などについて説明します。
資格の申請要件
精神科薬物療法認定薬剤師になるためには、以下の要件を満たす必要があります。
要件1 | 日本の薬剤師免許を有し、薬剤師として優れた見識を備えていること。 |
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要件2 | 薬剤師としての実務経験を3年以上有し、日本病院薬剤師会、日本薬剤師会、日本女性薬剤師会、日本保険薬局協会の会員であること。 ただし、日本保険薬局協会は会員である保険薬局に勤務する薬剤師であればこれを満たす。 |
要件3 | 下記いずれかの会員であること。
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要件4 | 日病薬病院薬学認定薬剤師であること。 ただし、日本医療薬学会の専門薬剤師制度により認定された専門薬剤師であればこれを満たす。 |
要件5 | 申請時において、精神科を標榜する病院、または診療所、もしくは精神科の処方せんを応需している保険薬局に勤務し、精神科薬物療法に3年以上、かつ申請時に引き続いて1年以上直接従事していること(所属長の証明が必要)。 |
要件6 | 日本病院薬剤師会が認定する精神科領域の講習会、及び以下に定める学会及び団体が主催する精神科領域の講習会などを所定の単位(40時間、20単位)以上履修していること。
※日本病院薬剤師会、日本病院薬剤師会が実施する eラーニング、各都道府県病院薬剤師会(ブロック開催も含む)が実施する講習会 |
要件7 | 精神疾患患者に対する指導実績が30症例以上(複数の精神疾患)を満たしていること。 |
要件8 | 病院長あるいは施設長等の推薦があること。 |
要件9 | 日本病院薬剤師会が行う精神科薬物療法認定薬剤師認定試験に合格していること。 |
資格の取得方法
上記の申請要件を満たしたうえで、日本病院薬剤師会に申請します。
認定期間 | 講習会受講料(1日) |
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5年 | 会員:8,000円(税別) 非会員:15,000(税別) |
認定試験受験料 | 認定審査料 |
会員:10,000円(税別) 非会員:15,000円(税別) |
会員:10,000円(税別) 非会員:15,000円(税別) |
認定料 | 更新審査料 |
20,000円(税別) | 会員:10,000円(税別) 非会員:15,000円(税別) |
更新料 | |
20,000円(税別) |
資格の更新について
精神科薬物療法認定薬剤師の認定期間は5年間です。精神科薬物療法認定薬剤師の資質を向上させるため、この資格は認定の更新が必要です。満期の約1年前に、認定更新のお知らせが届くため、以下の更新要件にあてはまるよう講習などを受け、必要な費用を指定の期間内に納めるようにしましょう。
要件1 |
薬剤師としての実務経験を3年以上有し、認定期間中継続して日本病院薬剤師会の会員であること。 ただし、日本病院薬剤師会、日本薬剤師会、日本女性薬剤師会、日本保険薬局協会(※)の会員であること。 ※日本保険薬局協会は会員である保険薬局に勤務する薬剤師であればこれを満たす。 |
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要件2 |
更新申請時に日病薬病院薬学認定薬剤師であること。 ただし、日本医療薬学会の専門薬剤師制度により認定された専門薬剤師であればこれを満たす。 |
要件3 | 更新申請時において、日本薬学会、日本医療薬学、日本臨床薬理学会のいずれかの会員であり、かつ日本精神神経学会、日本神経精神薬理学会、日本臨床精神神経薬理学会、日本生物学的精神医学会、日本病院・地域精神医学会、日本社会精神医学会、日本老年精神医学会、日本精神科救急学会、日本認知症学会、日本精神薬学会のいずれかの会員であること。 |
要件4 | 認定期間中、施設内において、精神科に関する専門的業務に従事していたことを証明できること。 |
要件5 |
更新申請までの5年間に、定められた精神科に関する講習単位50単位以上(特段の理由がある場合を除き毎年最低3単位以上)を取得すること。 ただし、50単位のうち日本病院薬剤師会の精神科に関する講習会で12単位以上を取得すること。 |
要件6 | 更新申請までの5年間に、精神疾患患者に対する指導実績が15症例以上を満たしていること。 |
要件7 | 更新申請までの5年間に、関連する国際学会、全国レベルの学会あるいは日本病院薬剤師会ブロック学術大会において、精神科に関する学会発表が1回以上(共同発表者でも可)、または複数査読制のある国際的あるいは全国的な学会誌・学術雑誌に精神科に関する学術論文が1編以上(共同著者でも可)あること。 |
精神科薬物療法認定薬剤師を取得するメリット
精神科薬物療法認定薬剤師は、精神科薬物療法の専門家です。近年、薬剤師にはより高い専門性が求められています。精神科薬物療法認定薬剤師を取得する大きなメリットは、精神科薬物療法における高度な知識と技術を有していることを証明できることです。自分の専門性を資格として見える化を図ることで、確実なキャリアアップにつながります。また、精神科薬物療法認定薬剤師資格を取得することで、より専門性の高い精神科専門薬剤師への認定が申請できるなど更なるステップアップにつなげられることも魅力です。
転職やキャリアアップを目指している方には、精神科に特化している薬剤師であることをアピールできる効果的な認定資格です。精神疾患のある患者さんは、年々増加しているため、精神科に限らず、すべての領域で精神科薬物療法認定薬剤師の資格は重宝されるといえます。
精神科薬物療法認定薬剤師のやりがい
精神科薬物療法認定薬剤師はやりがいにあふれた資格です。具体的に、以下の3つのような活躍が期待できます。
さまざまな情報から仮説を立てて推測していく
精神科薬物療法認定薬剤師を取得することにより、さまざまな情報から仮説を立てて推測することができるようになります。精神科の治療は、カウンセリングと薬物療法に重きが置かれているため、精神科領域における薬物療法のスペシャリストとして、より多角的に患者さんの状態を捉え、仮説を立てていくことができます。
とくに精神科領域の薬物は、長期使用になることが多く、副作用などに悩みをもつ患者さんも多くいます。高度な知識を有することで、さまざまな可能性を考えてアセスメントすることは、患者さんのより良い治療にもつながります。
処方変更以外の解決策を提案することもある
精神科薬物療法認定薬剤師を取得することにより、処方変更以外の解決策を提案できる場合もあります。精神疾患のある患者さんは、その多くが地域の中で生活をしながら、治療を続けています。患者さんの生活や想いに寄り添えるコミュニケーションができることも、精神科薬物療法認定薬剤師の専門性です。薬局などの窓口業務の中で、相談を受けることもあります。処方の内容だけでなく、1日の過ごし方や頓服薬などを飲むタイミング、副作用や治療を続ける上での心持ちなど、さまざまな場面での具体的な解決策を提案することができるようになります。
患者さんの問題点に気づきやすくなる
精神科薬物療法認定薬剤師を取得することにより、患者さんの問題点に気づきやすくなります。高い専門性があることで、薬効と副作用のバランスや生活への影響など、それぞれの患者さんに合わせたアプローチが可能です。また、精神を安定させる薬物は、心療内科や精神科のみならず、多くの診療科で使用されています。精神科を受診していなくても抗不安薬などを使用していることもあるため、幅広い領域で、素早く患者さんの問題点をキャッチできるようになります。さまざまな診療科を扱う薬局であっても、その専門性が活躍する場面は多いといえます。
精神科薬物療法認定薬剤師を仕事で活かす
精神疾患における薬物治療の専門家である精神科薬物療法認定薬剤師は、主に精神科のある病院において活躍が期待できる資格です。心療内科を含むクリニック近隣の調剤薬局においても、信頼できる薬剤師として採用されるケースもあるでしょう。地域密着型の調剤薬局では、精神疾患の患者さんにとってもより安心して相談できる存在として、専門性の高い薬剤師としての活躍も期待されます。
精神科薬物療法認定薬剤師が活躍できる職場は?
精神科薬物療法認定薬剤師が活躍できる職場は、精神疾患を対象とする病院やクリニックなどの医療機関が主になります。また、精神科を診療科にもつ医療機関に隣接する薬局でも、精神疾患のある患者さんが来局するため、活躍の場が広がります。成人の精神科だけでなく、子どもを対象とする児童精神科など、精神科薬物療法を必要とする年齢は、子どもから高齢者まで多岐に渡っています。今後も幅広い領域で求められていく資格といえるでしょう。
- 認定薬剤師
- 専門薬剤師
- その他の資格
- 医薬情報担当者(MR)
- 医療情報技師
- NR・サプリメントアドバイザー
- 漢方アドバイザー
- ケアマネジャー(介護支援専門員)
- 公害防止管理者
- 抗酸菌症エキスパート
- 骨粗鬆症マネージャー
- 産業カウンセラー
- 治験コーディネーター(CRC)
- 上級医療情報技師
- 食品衛生監視員
- 食品衛生管理者
- 日本禁煙学会認定専門指導者
- 日本糖尿病療養指導士(CDEJ)
- 日本褥瘡学会在宅褥瘡予防・管理師
- 日本褥瘡学会認定師
- 認定クリニカル・トキシコロジスト
- ビューティケアアドバイザー
- ヘルスケアアドバイザー
- 麻薬取締官
- メディカルアロマセラピスト
- 薬物療法指導薬剤師
- リウマチ財団登録薬剤師
- 臨床心理士
- 労働衛生コンサルタント
- 医薬品製造管理者・医薬部外品等責任技術者
- 環境衛生指導員
- インフェクションコントロールドクター(ICD)
- 毒物劇物取扱責任者
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