認知症研修認定薬剤師
認知症研修認定薬剤師とは
認知症研修認定薬剤師は、一般社団法人日本薬局学会によって認定される資格です。
認知症領域の薬物療法の専門的立場から、認知症の患者を支える医療・介護・福祉チームの一員として、認知症の患者とその家族に対して薬学的視点をふまえた適切な助言や対応ができる薬剤師として認定されます。
日本は超高齢化社会を迎え、2025年には65歳以上の高齢者のうち、5人に1人が認知症になることが見込まれており、認知症の患者が住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けるための環境づくりが求められています。
2015年には「認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~」(新オレンジプラン)が厚生労働省によって策定されました。その中で、薬局・薬剤師も認知症の早期発見における役割が期待されることが明記されています。
現在、195名の認知症研修認定薬剤師(2021年11月11日時点)が活躍しています。
目次
認知症研修認定薬剤師
認知症研修認定薬剤師の仕事内容
認知症研修認定薬剤師は、認定に必要な研修で、認知症の薬の専門的知識だけでなく、認知症に関する診断、治療、予防、保険、コミュニケーションや患者への対応など、認知症に関するあらゆる事柄について学びます。
認知症研修認定薬剤師の仕事は、薬剤師の職能に加え、研修で習得した知識と情報、技術を活かすことが求められています。
例えば、厚生労働省が「認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現」を目的とし策定した"新オレンジプラン(認知症施策推進総合戦略)"の中で、薬局・薬剤師が期待されている役割の一つに、認知症の早期発見・早期対応があります。
地域のかかりつけ薬局において、薬剤師が服薬指導の際に得た残薬の増加やアドヒアランス悪化の情報、いつもと違う会話での違和感などから、患者の認知症の発症を早い段階で発見し、早期診断、早期治療につなげる重要な役割を担います。
また、認知症は一般的な病気であり、患者とその家族を支えるために、認知症専門医や専門病院だけでなく、精神科医やかかりつけ医、リハビリに対応する病院、介護支援サービスなど、複数の診療科や施設が関わっているため、情報共有が重要です。
薬剤師も医師や看護師、ケアマネージャーなど地域包括ケアシステムの多職種のスタッフ間との連携が重要な仕事の一つとなります。
認知症研修認定薬剤師の仕事は、認知症の患者と家族を取り巻くあらゆる場面において、認知症に関する専門的な知識を生かし、適切な対応や服薬指導を行うことです。
さらに、投薬を受ける高齢者のいる施設や住宅の環境を整えたり、患者を取り巻く"医療・介護・福祉"の他職種連携の中で、チームの一員としてさまざまな提案や調整したりすることも大切な業務です。
複数の医療機関を受診し多剤併用、いわゆる「ポリファーマシー」の問題を抱えているケースに対しては、ポリファーマシーによる事故や有害事象を防ぐために、各処方医に対して処方の見直しを提言します。
その他、高齢者に関する最新の研究について情報収集し、エビデンスに基づいた薬物療法を提供することも求められます。
研修認定薬剤師との違い
研修認定薬剤師は、公益財団法人日本薬剤師研修センターが認定する認定制度です。全職域の薬剤師が、薬剤師としての資質を向上させるために、研修会に参加したり通信講座で学習したりするなど、自己研鑽した成果を単位として取得し認定されます。
研修認定薬剤師の場合、認定の対象となる研修は多岐にわたり、日本薬剤師研修センターや日本薬剤師会、日本病院薬剤師会などが実施している研修会への参加、大学などの実施する通信講座の受講、学会への参加などで単位を取得します。
また自分で学習した自己研鑽も報告し単位として認められる場合があります。
一方、認知症研修認定薬剤師の認定制度の研修は、日本薬局学会が定めたメディカルナレッジの「認知症研修認定薬剤師制度指定e-ラーニング講座」の受講に限られています。その他、日本薬局学会開催のワークショップ参加、症例報告などが必要であり、認知症に特化した認定制度といえます。
認知症研修認定薬剤師の資格を取得するには?
資格の取得要件
認知症研修認定薬剤師になるためには、下記の要件をすべて満たす必要があります。
要件1 | 日本国の薬剤師免許を有し、薬剤師として優れた人格と見識を備えていること。 |
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要件2 | 日本薬局学会の正会員であること。 |
要件3 | 薬剤師としての実務の経験を 3 年以上有すること。 |
要件4 | 日本薬局学会が指定する認知症領域の e-ラーニングを 20 単位以上有していること。 |
要件5 | 日本薬局学会が認定するワークショップで 6 単位有していること。 |
要件6 | 認知症サポーターを取得していること。 |
要件7 | 認知症の人への介入事例を3例以上提出すること。 |
要件8 | 認定試験に合格していること。(合格認定証を添える) |
要件9 | 薬剤師認定制度認証機構などで認められた研修認定薬剤師を取得していること。(※) |
要件10 | 職場長(薬剤部科長あるいは薬局長など)の同意があること。 |
要件11 | 上記の認知症領域のe-ラーニング、ワークショップで単位の取得を開始した後、4年以内に申請すること。 |
※詳しくは公益社団法人薬剤師認定制度認証機構(CPC)でご確認ください
資格の取得方法
上記の申請要件を満たしたうえで、日本薬局学会に申請します。
認定期間 | 認定試験受験料 |
---|---|
3年 | 10000円(税別) |
認定申請料 | 認定更新料 |
10000円(税別) | 10000円(税別) |
認定申請期間 | 認定更新要件 |
認知症研修認定薬剤師制度試験合格認定証の有効期限内 | 3年の間に、更新プログラムで10単位以上取得すること。ただし、年1単位以上取得すること。 |
また、認定申請時の必要資料は下記になります。
- 認定申請書
- 日本薬局学会正会員会員証
- 薬剤師免許証の写し
- 薬剤師認定制度認証機構等が認めた研修認定薬剤師証明証の写し
- 認知症研修認定薬剤師試験合格認定証の写し
- 認定申請料振込明細の写し
更新プログラム例も記載いたしますので、ご参考ください。
- 症例報告:1単位/3年間
- 「認知症対応力向上研修」伝達講習会参加:1単位/3年間
- 認知症内容の学会発表:2単位/3年間
- 認知症関連の研修会参加等:6単位/3年間
認知症研修認定薬剤師を仕事で活かす
認知症研修認定薬剤師を最も活かせる場所として、地域の薬局があります。
かかりつけ薬剤師や在宅訪問の薬剤師として、認知症の患者とその家族に接する機会が多いため、服薬指導などに活かすことができます。
また、地域包括ケアシステムの一員としても、多職種のスタッフが認知症の患者に対して適切な対応をするための助言などに役立つことがあります。
超高齢化社会は加速の一途であり、認知症の患者とその予備軍もますます増えるでしょう。
認知症研修認定薬剤師は、こうした患者や家族と関わるすべての場所において、認知症の専門家としての知識と技術を活かすことができます。
- 認定薬剤師
- 専門薬剤師
- その他の資格
- 医薬情報担当者(MR)
- 医療情報技師
- NR・サプリメントアドバイザー
- 漢方アドバイザー
- ケアマネジャー(介護支援専門員)
- 公害防止管理者
- 抗酸菌症エキスパート
- 骨粗鬆症マネージャー
- 産業カウンセラー
- 治験コーディネーター(CRC)
- 上級医療情報技師
- 食品衛生監視員
- 食品衛生管理者
- 日本禁煙学会認定専門指導者
- 日本糖尿病療養指導士(CDEJ)
- 日本褥瘡学会在宅褥瘡予防・管理師
- 日本褥瘡学会認定師
- 認定クリニカル・トキシコロジスト
- ビューティケアアドバイザー
- ヘルスケアアドバイザー
- 麻薬取締官
- メディカルアロマセラピスト
- 薬物療法指導薬剤師
- リウマチ財団登録薬剤師
- 臨床心理士
- 労働衛生コンサルタント
- 医薬品製造管理者・医薬部外品等責任技術者
- 環境衛生指導員
- インフェクションコントロールドクター(ICD)
- 毒物劇物取扱責任者
- 薬事監視員
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