外来がん治療専門薬剤師

認定団体:一般社団法人 日本臨床腫瘍薬学会
外来がん治療専門薬剤師

外来がん治療専門薬剤師とは

外来がん治療専門薬剤師(BPACC)とは、主に外来や在宅でがん治療を受ける患者や家族に対し、ほかの医療機関との連携をとりながら専門的なカウンセリングや指導を行うことができる専門薬剤師資格です。

2021年8月に施行された「専門医療機関連携薬局」の制度に対応できる専門性の高い薬剤師を育成するため、2021年4月に日本臨床腫瘍薬学会(JASPO)によって新設されました。

今回は、外来がん治療専門薬剤師(BPACC)の仕事内容や認定要件、手続きなどについて解説します。また、従来からある外来がん治療認定薬剤師(APACC)との違いも比較しながら解説します。

外来がん治療専門薬剤師(BPACC)の仕事内容

外来がん治療専門薬剤師(BPACC)の仕事内容は、外来や自宅でがん治療を受ける患者やその家族のために、ほかの医療機関と情報共有・連携しながら、治療に関する指導やカウンセリングを提供することです。がん治療によく使用される薬剤や、新薬に関する高度な知識を有するだけでなく、専門医療機関連携薬局の薬剤師として、ほかの医療機関と連携し、高度な薬学管理を提供することが求められます。

がん治療といえば、入院・手術を伴うものを想像しがちですが、さまざまな新薬が登場し、薬物治療が高度化・多様化した現在、外来でがん治療を受ける患者が増えており、がん治療を受ける患者と提供者である医療機関との橋渡しをおこなう役割が期待されています。

がん治療において特殊な調剤に対応するとともに、専門薬剤師として患者に寄り添い、副作用やコンプライアンスに関する問題点、今後の治療方針などについての情報共有をリードしていくのです。

外来がん治療認定薬剤師(APACC)との違い

外来がん治療専門薬剤師(BPACC)は、日本臨床腫瘍薬学会が2013年に創設した外来がん治療認定薬剤師(APACC)上位資格であり、より高い専門性を要求されます。

外来がん治療認定薬剤師(APACC)は、「①外来がん治療を安全に実施するための知識・技能を習得した薬剤師」であり、「②地域のがん医療において、患者とその家族をトータルサポートできる薬剤師」として認められるものです。

外来がん治療専門薬剤師(BPACC)には、上記の①と②に加えて、「③薬局が病院と連携するために必要な実地の業務に関する一定水準以上の知識・経験」が求められます。

外来がん治療専門薬剤師(BPACC)は、専門医療機関連携薬局(専門的な薬学管理を要する患者に対し、ほかの医療提供施設と密に連携をとりつつ、より高度な薬学管理や、高い専門性が求められる特殊な調剤に対応できる薬局)の制度に対応するためのスペシャリストなのです。

全国の薬剤師がおよそ32万人(厚生労働省調査 2020年現在)いるなかで、外来がん治療認定薬剤師(APACC)は987名(2022年5月現在)ですが、外来がん治療専門薬剤師(BPACC)となると、わずか58名(2022年5月現在)にとどまり、貴重な存在といえます。

外来がん治療認定薬剤師(APACC)について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

外来がん治療専門薬剤師(BPACC)の資格を取得するには?

「外来がん治療専門薬剤師(BPACC)になるためには、外来がん治療認定薬剤師(APACC)の認定要件に加え、5年以上の実務経験と、「日本臨床腫瘍薬学会がん診療病院連携研修」を修了する必要があり、認定のハードルが高くなっています。

外来がん治療専門薬剤師(BPACC)の認定要件をチェックしていきましょう。

資格の取得条件

外来がん治療専門薬剤師(BPACC)は、外来がん治療認定薬剤師(APACC)を基礎として、さらに専門性を高めた資格です。

申請資格については、次の各条件をすべて満たさなくてはなりません。

条件1 外来がん治療認定薬剤師(APACC)であるか、APACC認定試験に合格したこと。
(APACCの認定条件)
・薬剤師認定制度認証機構により認証された、生涯研修認定制度による認定薬剤師、または日本医療薬学会の専門薬剤師制度により認定された専門薬剤師であること。
・日本臨床腫瘍薬学会が認定するがん領域の講習、または研修を60単位以上履修していること。
・外来のがん患者のサポート経験の事例を10例提出すること。
・日本臨床腫瘍薬学会が実施する外来がん治療認定薬剤師認定試験に合格すること。
・所属施設長の同意があること。
条件2 病院、診療所または薬局における薬剤師としての実務の経験を5年以上有すること。
条件3 がん診療病院連携研修を修了しているか、修了とみなす認証を受けていること。
条件4 申請の時点で会費が未納でないこと。

ただし、この制度は導入されたばかりのため、その過渡的措置として、2021年4月時点で実務経験が5年以上あるAPACC認定者に関しては、申請をすれば、「外来がん治療専門薬剤師(BPACC)」として暫定認定されます。

この暫定認定の期間は2024年3月までに限られていますが、暫定認定者はその間にがん診療病院連携研修を修了し、申請すれば正規の資格として認定されます。

認定までの流れと申請方法

外来がん治療専門薬剤師の認定を申請する場合は、日本臨床腫瘍薬学会(JASPO)のウェブサイト内申請フォームからのエントリーと、郵送による手続きの両方が必要になります。申請から認定証交付までの大まかな流れをみてみましょう。

申請期間の確認

まず、日本臨床腫瘍薬学会(JASPO)のウェブサイトで、外来がん治療専門薬剤師の申申請期間を確認します。

フォームからの手続き

日本臨床腫瘍薬学会(JASPO)のウェブサイト内のフォームから必要事項を入力し送信します。このフォームでは、申請者名、会員番号、住所等の基本情報や、APACC認定番号、APACC認定開始日、勤務先情報などを入力します。

必要書類を郵送

必要書類を学会事務局へ郵送します。必要書類は、学会が定める署名・押印書類一式と、APACC認定証の写し(A4版)、がん診療病院連携研修の修了証の写し(または、がん診療病院連携研修を修了したとみなす認証の写し)の3つです。

審査・登録料の振り込み

審査・登録料(税込11,000円)を、学会指定の口座に振り込みます。その後、審査へと進み、認定証が交付されます(審査には1~2週間程度かかります)。

資格の更新について

外来がん治療専門薬剤師は、APACCと同様に、原則として3年毎に更新する必要があります。更新試験はAPACCと共通で、IBT試験(インターネットでの試験)で行われます。

また、更新にあたっては以下の要件を満たしている必要があります。

要件1 認定期間中継続して日本臨床腫瘍薬学会の正会員であること。
要件2 認定期間内に、外来がん治療専門薬剤師の更新要件を満たす講習会の単位を60単位以上取得すること。
要件3 認定期間内に、日本臨床腫瘍薬学会学術大会に1回以上参加していること。
要件4 認定期間内に、日本臨床腫瘍薬学会が主催する次の講習会のいずれかに1回以上参加していること。
● Essential Seminar
●薬学介入と事例報告のためのWEB研修会
● 症例報告のためのワークショップ
● Essential Seminar Neo※
※Essential Seminar Neoについては、各セミナーにおいて、それぞれの全講座を受講すること。

がんの治療法や治療薬は日々進歩しているため、外来がん治療専門薬剤師は日々の研鑽を重ね、更新審査によって最新の知識をアップデートすることが求められるのです。

外来がん治療専門薬剤師を仕事で活かす

「外来がん治療専門薬剤師」は、2021年に新設されたばかりの専門資格です。認定を受けるためには、高い専門知識に加え、薬剤師としての実務経験、そしてがん診療病院での実地研修の経験が求められるため、まだまだ認定者は少なく、非常に貴重な存在です。

今後は、がん治療を受ける患者や家族に寄り添い、医療機関と連携しつつ、専門性の高いアドバイスや指導を提供できる専門薬剤師のニーズはますます高まりそうです。外来がん治療専門薬剤師(BPACC)を取得すれば、薬剤師としての大きなキャリアアップが実現できるだけでなく、専門医療機関連携薬局をまとめて牽引するリーダーとして、または外来がん治療認定薬剤師(APACC)を目指す若手薬剤師の教育の担い手としても活躍の場が一気に広がるでしょう。専門資格を活かして、自分らしい働き方を見つけましょう。

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