かかりつけ薬剤師・薬局とは?なるための要件や2026年度調剤報酬改定での変更点を紹介

2026年度の調剤報酬改定では、かかりつけ薬剤師に関する評価が見直されました。指導料の統合や加算の新設など、かかりつけ薬剤師の活動の幅が広がる内容となっています。患者一人一人に継続的に寄り添う姿勢が、これまで以上に評価される改定と言えるでしょう。
本記事では、かかりつけ薬剤師・薬局の基本的な役割や2026年度改定での主な変更点、仕事内容、なるための要件、メリットについて解説します。
目次
1. かかりつけ薬剤師・薬局とは?
かかりつけ薬剤師・薬局とは、患者が服用している薬剤を一元的かつ継続的に把握し、服薬指導や健康相談に対応する薬剤師や薬局のことを指します。
制度の背景には1974年から推進されてきた医薬分業が進んだことにあります。医薬分業により処方箋の多くが薬局で調剤されるようになった一方で、服薬情報の一元化が不十分な状態になっている等、患者本位の医薬分業になっていないといった課題が発生していました。厚生労働省はこの解決に向けて、2015年に「患者のための薬局ビジョン」を公表し、「立地から機能へ」「対物業務から対人業務へ」「バラバラから一つへ」の三つの方針を打ち出しました。
そして、その一環として、2016年度の調剤報酬改定で「かかりつけ薬剤師指導料」が新設されました。担当薬剤師を定めることにより、患者が服用する全ての薬剤を把握し、必要に応じて医師へ減薬や処方変更を提案できる体制を整え、薬剤の適正使用を支える狙いがあります。加えて、かかりつけ薬剤師・薬局は24時間の電話相談対応や在宅訪問も担います。
地域包括ケアシステムの中で、薬局が健康維持・増進の拠点としての役割を果たす上での基盤となる制度と言えるでしょう。
参考:患者のための薬局ビジョン ~「門前」から「かかりつけ」、そして「地域」へ~|厚生労働省
参考:患者のための薬局ビジョン 概 要|厚生労働省
2. 2026年度調剤報酬改定における変更点
2026年度の調剤報酬改定では、かかりつけ薬剤師に関する評価体系が再編されています。指導料の統合や加算の新設を通じて、継続的な薬学的管理や在宅対応が評価される仕組みとなりました。
2026年度調剤報酬改定におけるかかりつけ薬剤師の主な変更点を、以下の表にまとめます。
| 項目 | 改定前 | 改定後 |
|---|---|---|
| 指導料・管理料 | かかりつけ薬剤師指導料:76点 かかりつけ薬剤師包括管理料:291点 |
服薬管理指導料1のイ:45点 服薬管理指導料2のイ:59点 |
| かかりつけ薬剤師フォローアップ加算 | (新設) | 50点(3カ月に1回) |
| かかりつけ薬剤師訪問加算 | (新設) | 230点(6カ月に1回) |
| 服用薬剤調整支援料2 | 薬剤師による減薬提案で算定(イ:110点/ロ:90点) | 1,000点(1区分に整理)。かかりつけ薬剤師のみ算定が可能に。所定の研修の受講が必須(2027年6月1日から適用)。 |
| 薬剤師の勤務時間 | 週32時間以上 | 週31時間以上 |
| 薬剤師の在籍期間 | 継続して1年以上在籍 | 継続して6カ月以上在籍 |
| 薬局の施設基準 | (追加) | 次のいずれかを満たすこと。 ●常勤薬剤師の平均在籍期間が1年以上 ●管理薬剤師が3年以上継続して在籍 |
| 同意取得時の対応 | (追加) | お薬手帳の薬剤師氏名の近くに「かかりつけ」と記入+該当ページのコピーを保管 |
それぞれの変更点について、詳しく見ていきましょう。
2-1. かかりつけ薬剤師指導料・包括管理料の廃止と服薬管理指導料への統合
2026年度の調剤報酬改定では、かかりつけ薬剤師指導料とかかりつけ薬剤師包括管理料が廃止され、服薬管理指導料に統合されました。改定後は、服薬管理指導料1・2が「イ」と「ロ」の2区分に再編されます。「イ」はかかりつけ薬剤師が指導を行った場合、「ロ」はかかりつけ薬剤師以外の薬剤師が指導を行った場合に算定する区分です。
ここで注目したいのが、かかりつけ薬剤師が指導した場合と、それ以外の薬剤師が指導した場合で点数が同じになる点です。旧制度では、かかりつけ薬剤師指導料(76点)と服薬管理指導料(45点・59点)に差があり、患者さんの自己負担に反映されていました。今回の改定により点数差が解消されたことで、患者さんは窓口負担を気にせずに、かかりつけ薬剤師を選びやすい仕組みになっています。
参考:令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】(かかりつけ薬剤師に対する評価の見直し)|厚生労働省
参考:調剤報酬点数表に関する事項|厚生労働省
2-2. かかりつけ薬剤師フォローアップ加算とかかりつけ薬剤師訪問加算の新設
2026年度改定では、かかりつけ薬剤師による継続的な服薬指導や在宅訪問による残薬対策を評価する加算として、かかりつけ薬剤師フォローアップ加算(50点、3カ月に1回)と、かかりつけ薬剤師訪問加算(230点、6カ月に1回)が新設されました。どちらも服薬管理指導料1のイまたは2のイ(かかりつけ薬剤師が指導した場合)を算定している患者さんが対象です。
かかりつけ薬剤師フォローアップ加算は、電話などでの継続的な服薬確認・指導を評価する加算です。患者や家族の求めに応じて、かかりつけ薬剤師が電話などで服用期間中に服薬状況や残薬状況を確認し、必要な指導を行った場合に算定できます。ただし、直近6カ月以内に外来服薬支援料1、服用薬剤調整支援料1・2、調剤管理料の調剤時残薬調整加算・薬学的有害事象等防止加算のいずれかを算定した場合に限ります。調剤時残薬調整加算は、残薬調整のために処方医の指示の下で7日分以上相当の調剤日数の変更が行われた場合に算定する加算です。薬学的有害事象等防止加算は、重複投薬の確認などに基づいて処方医へ疑義照会を行い、その結果、処方変更が行われた場合に算定します。
かかりつけ薬剤師訪問加算は、患者さんや家族の求めに応じて自宅や施設を訪問し、服用薬の服薬管理や残薬状況の確認を行った上で、その結果を医療機関へ情報提供した場合に算定する加算です。
参考:令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】(かかりつけ薬剤師による残薬解消に向けたフォローアップの評価の新設)|厚生労働省
参考:調剤報酬点数表に関する事項|厚生労働省
2-3. 服用薬剤調整支援料2の再編
服用薬剤調整支援料2は、複数の医療機関から6種類以上の内服薬が処方されている患者さんを対象に、薬剤師が処方医へ減薬を提案した場合に算定する点数です。
2026年度の改定では、従来のイ(110点)・ロ(90点)という2区分が1区分に整理され、点数は1,000点に設定されました。算定頻度は同一の患者さんに対して6カ月に1回、かかりつけ薬剤師一人につき月4回までです。
算定できるのはかかりつけ薬剤師に限られ「患者の服薬状況等に係る総合的な管理及び評価を行うために必要な研修」の受講が必須となります。
また、実施をするにあたり薬物療法最適化のため、次の6項目の実施が必要です。
- 薬物治療に関する患者やその家族等からの主観的情報の聴取
- 検査値等の薬物治療に必要な客観的情報の収集
- 服薬支援に必要な患者の生活状況及び意向に関する情報の聴取
- 各服用薬剤がもたらす治療効果と有害事象の評価
- 解決すべき薬剤関連問題の特定と整理
- 服用薬剤調整後の観察計画と対応案の立案
参考:令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】(かかりつけ薬剤師によるポリファーマシー患者への包括的介入の評価)|厚生労働省
参考:調剤報酬点数表に関する事項|厚生労働省
2-4. かかりつけ薬剤師の施設基準・要件の見直し
2026年度改定では、かかりつけ薬剤師になるための要件が一部見直されました。
薬剤師要件のうち、変更されたのは勤務時間と在籍期間です。薬局での勤務時間は週31時間以上、継続在籍期間は6カ月以上で要件を満たせるようになりました。3年以上の保険薬局勤務経験という要件は従来通りです。
加えて、薬局の施設基準も追加されました。常勤の保険薬剤師の平均在籍期間が1年以上であること、または管理薬剤師が当該薬局に3年以上継続して在籍していることのいずれかを満たす必要があります。なお、産前産後休業・育児休業・介護休業を取得した薬剤師が復職する場合、休業前と同一の保険薬局であれば、薬剤師要件の在籍期間と施設基準の平均在籍期間のいずれにおいても、休業前の在籍期間を合算できる仕組みです。2026年5月31日までにかかりつけ薬剤師指導料に係る施設基準の届出を行っている薬局については、11月30日まで新たな施設基準を満たすものとみなす経過措置が設けられています。
さらに、かかりつけ薬剤師の同意を得る際、お薬手帳の薬剤師名の近くに「かかりつけ」と記入することが要件に加わりました。該当ページのコピーを薬局で保管することも求められます。
参考:令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】(かかりつけ薬剤師に対する評価の見直し)|厚生労働省
参考:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて|厚生労働省
参考:調剤報酬点数表に関する事項|厚生労働省
3. かかりつけ薬剤師の仕事内容
かかりつけ薬剤師の主な業務は、次のとおりです。
- 一元的・継続的な薬学的管理と個々に合わせた服薬指導
- 24時間の相談対応と在宅訪問
- 医師・ケアマネジャーなど多職種との連携
それぞれの業務内容を見ていきます。
3-1. 一元的・継続的な薬学的管理と個々に合わせた服薬指導
かかりつけ薬剤師に求められるのは、患者が服用する薬剤を一元的・継続的に把握することです。自局で調剤した薬剤だけでなく、他の医療機関からの処方薬やOTC薬、健康食品などをまとめて管理。その上で、重複投薬や相互作用、服薬状況、副作用の有無などを確認します。
把握した情報を基に、患者一人一人の状況に応じた服薬指導を行います。同じ薬剤であっても、年齢や併用薬、既往歴などによって、伝えるべき注意点はさまざまです。食事のタイミングや服用間隔、副作用発現時の対処法などを、患者さんが理解しやすい言葉で伝えます。
2026年度の調剤報酬改定では「かかりつけ薬剤師フォローアップ加算」が新設され、処方箋受付時にとどまらず、服用期間中のフォローアップも重視されるようになりました。次回来局までの間に患者の状況を継続的に確認し、必要な指導につなげていくことが期待されています。
3-2. 24時間の相談対応と在宅訪問
かかりつけ薬剤師には、休日や夜間を含めた24時間の相談対応が求められます。担当する患者さんには、時間外の連絡先を事前に伝えておかなければなりません。
時間外の相談には、原則としてかかりつけ薬剤師が対応します。ただし、同じ薬局の他の薬剤師が対応することも認められています。その場合は、連絡を受けた経緯や相談内容、調剤や服薬指導の詳細などを、かかりつけ薬剤師と共有します。薬局以外の場所で対応する時でも、必要に応じて薬剤服用歴などを閲覧できるような体制を整備することも望まれます。
外出が難しい患者さんに対しては、自宅や施設へ伺い、薬剤の説明を行う在宅訪問も担います。2026年度の改定で新設された「かかりつけ薬剤師訪問加算」で示されている通り、在宅訪問による服薬状況や残薬確認も重要な業務です。
3-3. 医師・ケアマネジャーなど多職種との連携
かかりつけ薬剤師には、医師との連携も期待されています。具体的な業務として、疑義照会や処方提案、トレーシングレポート(服薬情報提供書)による情報提供などが挙げられます。
中でも、重複投薬やポリファーマシーへの対応として、患者さんの服薬状況を踏まえた減薬提案は重要な取り組みです。2026年度の改定では服用薬剤調整支援料2が見直され、処方医と連携しながら薬物療法の最適化に関わることが、かかりつけ薬剤師に求められています。
連携先は医療機関だけではありません。在宅療養中の患者さんを支える介護支援専門員(ケアマネジャー)や訪問看護師、介護職との連携も必要です。生活環境や介護状況を踏まえて服薬支援を行うには、多職種で情報を共有しながら患者さんを支えていく姿勢が欠かせません。
4. かかりつけ薬剤師になるための要件とは?
かかりつけ薬剤師になるためには、薬剤師要件と施設基準を満たす必要があります。2026年度調剤報酬改定後の、薬剤師要件は次のとおりです。
| 項目 | 要件 |
|---|---|
| 保険薬局の勤務経験 | 保険薬剤師として3年以上の保険薬局勤務経験がある。保険医療機関における勤務経験を1年以上有する場合、1年を上限として算入可能。 |
| 勤務時間 | 当該薬局に週31時間以上(育児・介護休業法に基づく時短勤務が適用されている場合は、週24時間以上かつ週4日以上)勤務している。 |
| 在籍期間 | 当該薬局に継続して6カ月以上在籍している。産前産後休業・育児休業・介護休業から復職する場合は、休業前の在籍期間を合算可能。 |
| 研修認定の取得 | 薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得している。 |
| 地域活動への参画 | 医療に係る地域活動の取組に参画している。 |
薬局の施設基準は、以下の表を参考にしてください。
| 項目 | 施設基準 |
|---|---|
| 薬剤師の配置 | 薬剤師要件をすべて満たす保険薬剤師(派遣労働者を含み、休職中の者を除く)を配置している。 |
| 薬剤師の在籍状況 | 次のいずれかを満たすこと。 |
| ●常勤の保険薬剤師の継続在籍期間が平均1年以上(産前産後休業・育児休業・介護休業からの復職者は休業前の在籍期間を含む)。 | |
| ●管理薬剤師が継続して3年以上在籍している。 | |
| なお、2026年5月31日時点でかかりつけ薬剤師指導料に係る届出を行っていた薬局は、2026年11月30日までの間に限り、本要件を満たすものとみなす。 | |
| 設備 | パーテーション等で区切られた独立したカウンターを設置するなど、患者さんのプライバシーに配慮している。 |
4-1. かかりつけ薬剤師の同意書を取得するには?
かかりつけ薬剤師の指導料を算定するには、患者またはその家族から同意を得なければなりません。薬局に複数回来局している患者が対象です。
これまでは、かかりつけ薬剤師に希望する事項と署名を同意書に記載してもらう形で同意を得ていました。報酬改定後は、かかりつけ薬剤師本人が業務内容や役割、その意義を患者に説明した上で同意を取得する流れに変わっています。
同意取得後は、お薬手帳に以下の内容を記入し、薬剤師名の近くに「かかりつけ」と記載します。
- 氏名、生年月日、連絡先等の患者に関する記録
- アレルギー歴、副作用歴等の薬物療法の基礎となる記録
- 既往歴等の疾患に関する記録
- 日常的に利用する保険薬局の名称、保険薬局または保険薬剤師の連絡先等
併せて該当ページのコピーを薬局で保管し、薬剤服用歴にも同意を得た旨を記録します。なお、別の薬局のかかりつけ薬剤師の氏名が記載されている手帳に上書きすることは、原則として認められていません。
5. かかりつけ薬剤師のメリットとは?
かかりつけ薬剤師は、薬剤師・薬局と患者の双方にとって意義のある制度です。それぞれの立場から見たメリットを整理しましょう。
5-1. 薬剤師・薬局側のメリット
同じ患者と長く関わる中で信頼関係を築けることは、かかりつけ薬剤師ならではの魅力です。「いつもの薬剤師さんに聞きたい」と頼ってもらえる立場は、日々の業務の励みになるでしょう。
また、一人の患者を継続的に担当することで、薬学的管理の知見が深まっていきます。服薬状況や生活背景を踏まえて関わる経験は、薬剤師としてのスキルアップに役立つはずです。
薬局にとっても、かかりつけ薬剤師がいることは収益面のメリットになります。2026年度の報酬改定により新設された「かかりつけ薬剤師フォローアップ加算」や「かかりつけ薬剤師訪問加算」は、かかりつけ薬剤師でなければ算定できません。
さらに、かかりつけ機能や地域医療への貢献などを評価する地域支援・医薬品供給対応体制加算(旧名称:地域支援体制加算)の実績要件に、かかりつけ薬剤師の指導実績が組み込まれています。かかりつけ薬剤師としての業務が、薬局の評価にも反映されやすい仕組みです。
5-2. 利用者側のメリット
かかりつけ薬剤師がいると、飲み合わせや服薬管理、薬物治療に関する疑問や悩みを、気軽に相談できます。同じ薬剤師が継続的に対応するため、これまでの治療経過や体質、生活背景を踏まえた的確なアドバイスが受けられます。継続的な関わりの中で信頼関係も築かれていくので、些細な不安でも相談しやすくなるでしょう。
かかりつけ薬剤師は24時間対応の体制を取っているため、夜間や薬局の営業時間外に困った時に相談できる点もメリットです。在宅訪問に対応しているため、来局が負担になっている患者さんにとっても心強い存在となるでしょう。
6. 2026年度改定における変更点を押さえ、かかりつけ薬剤師としての業務に生かそう
かかりつけ薬剤師・薬局とは、患者さんが服用している薬剤を一元的かつ継続的に把握し、服薬指導や健康相談に対応する薬剤師や薬局のことです。
2026年度の調剤報酬改定では、かかりつけ薬剤師指導料・包括管理料が廃止され服薬管理指導料に統合されたほか、かかりつけ薬剤師フォローアップ加算(50点)やかかりつけ薬剤師訪問加算(230点)が新設されました。服用薬剤調整支援料2が再編され、算定できるのはかかりつけ薬剤師に限られまるように。かかりつけ薬剤師になるための要件も一部見直され、勤務時間は週31時間以上、継続在籍期間は6カ月以上で要件を満たせるようになりました。
同じ患者と長く関わる中で信頼関係を築けることは、かかりつけ薬剤師ならではの魅力です。改定内容を踏まえ、フォローアップや在宅訪問など、これまで取り組めていなかった業務に挑戦してみてはいかがでしょうか。
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厚生労働大臣許可番号 紹介13 - ユ - 080554






