ブランクの長い薬剤師の復職・転職方法とは?|おすすめの職場と成功ポイント


薬剤師は、出産・育児や親の介護などによるブランクがあっても復職や転職がしやすい職種だといわれています。

しかし、休職からの復職であっても、心機一転の挑戦である転職であっても、ブランクがある場合は、「ブランクのあいだに知識が遅れていないか」「仕事と育児を上手に両立できるか」と心配事が尽きないのではないでしょうか。

そうした不安を解消するには、情報収集によって自信をつけるのが一番の近道です。

ブランクのある薬剤師が復職や転職するときに知っておきたいポイントをまとめましたので、復職や転職の際の参考にしてみてください。

1. 薬剤師はブランクがあっても復職・転職しやすい

最近は、結婚や育児、親の介護などによる休職とそこからの復職に対する理解が得られやすくなっています。

しかしながら、世の中の多くの職業では、復職のタイミングや条件が合わず、結局はいったん仕事を辞めざるを得ないというケースもまだまだ存在します。

また、仕事を辞めたあと、ブランクを経て「心機一転!転職をしたい」と思ってもなかなか再就職先が決まらないというケースも珍しくありません。

その点、薬剤師の場合は、ブランクがあっても復職したり、望みどおりの職場に転職したりしやすい職種です。

復職や転職がしやすい一番の理由は、原則として6年制の薬学部を卒業し、薬剤師国家試験に合格した人だけが取得できる資格だからでしょう。

誰でも取れるわけではなく、取りたいと思ってもすぐに取れる資格ではないというのは非常に大きな強みです。

しかも、大手ドラッグストアチェーンや調剤薬局の出店が多い現在、薬剤師の転職市場はまだ売り手市場が続いています。

薬剤師資格は持っているものの、何らかの理由で薬剤師として働いていない人がクローズアップされ、その復帰に期待がかかっているのもそのためです。

たとえブランクが長くても、薬剤師資格を生かして働くつもりがある人は歓迎される状況にあります。

また、ドラッグストアチェーンや調剤薬局などで未経験者に向けた研修が充実しているところもあり、ブランクがある人でもそうした研修を受けられる場合があります。

未経験者を受け入れる土壌がある職場では、指導体制も整っていますので、無理なく少しずつ現場の感覚を取り戻すことができるでしょう。

2. 復職する際にブランクがある薬剤師が持つ悩みや不安

仕事と家庭を両立させる働き方が主流になっている今、出産・育児・介護などのきっかけで一時休職し、ブランクを持ちながらも再び同じ職場に復帰して活躍する薬剤師が増えています。

そんなブランクを持つ薬剤師ならではの悩みや不安についてみていきましょう。

2-1. 復職した職場で馴染めるかどうか

復職後に自分が働く姿を想像したとき、まず心配になるのが“職場に馴染めるかどうか”ではないでしょうか。

辞める前とは職場のメンバーが変わり、一から人間関係をやり直さなければならない不安やブランクのある自分を周囲に快く受け入れてもらえるだろうかといった不安もあるでしょう。

こういった不安は、復職する人なら誰しもが多かれ少なかれ抱くものです。

2-2. 家庭との両立ができるか

家庭の事情やライフスタイルの変化をともなう復職の場合に多いのが、家庭との両立に関する悩みです。

「育児との両立ができるだろうか?」「仕事と家庭のどちらかがおろそかになってしまうのではないか?」と不安を抱くこともあるでしょう。

家庭と仕事とを上手く両立させるためには、復帰後の働き方などについて家族・職場の両方と良く相談し、新しい生活の流れに見通しを立てておくことが大切です。

2-3. 離れていた分の知識を学び直さなければいけない

休職している間にも、次々と新薬や新しい治療法が登場しています。

ブランクがある薬剤師の場合、復職後も最新の医療情報を患者さんに提供できるか、不安を抱いてしまいがちです。

復職後もスムーズに業務をこなすために、勉強しなおさなくてはならないというプレッシャーを感じるという人もいるでしょう。

2-4. 法改定などの情報更新が必要

薬剤師は、法改正に関する知識も持っていなくてはなりません。

薬事法は毎年改正されており、特に最近は医薬品のインターネット販売や、オンライン診療関連の分野の法改正が積極的にすすめられているので、注意が必要です。

また、調剤報酬に関する改正も頻繁におこなわれているので、復職時には最近の改正点をチェックしておくことが必要です。

3. 復職前の勉強方法

復職前の勉強は、ブランクの期間に登場した新しい情報を重点的に、かつ効率よく学ぶことが大切です。

具体的な勉強方法としては、企業や団体が主催する医薬関連のセミナーや講演会に参加したり、薬剤師向けの情報誌を読んだり、e-ラーニングを受講するなど、さまざまな方法があります。

育児中などでまとまった時間が取れない場合は、薬剤師を対象としたWebサイトや情報アプリを活用する方法もあります。

薬剤師向けの情報誌やe-ラーニングでは、薬剤師が今知っておくべき最新情報がわかりやすくまとめられているので、短時間の勉強で、大きな成果が期待できます。

e-ラーニングのなかには、研修認定薬剤師の単位に対応しているものもあるので、さらなるステップアップに活用できるというメリットがあります。

薬剤師が知識不足を補うための勉強法についてもっと知りたい場合は、こちらの記事も参考にしてみてください。

知識不足と感じたら…薬剤師のための勉強方法についてご紹介

4. ブランクのある薬剤師におすすめの職場

薬剤師はブランクがあっても復職や転職をしやすいというのは事実ですが、受け入れられやすさは職場によって異なります。

薬剤師が働くおもな職場の種類ごとに、ブランクのある薬剤師にとってどのような特徴がある職場かみていきましょう。

4-1. ドラッグストア

求人数が圧倒的に多いドラッグストアは、未経験OKの求人、ブランクありOKの求人が最も多い職場です。

大手ドラッグストアチェーンなどは研修制度も充実していますので、働きながらブランク期間に失った知識を取り戻したいという方にも向いているでしょう。

ただし、ドラッグストアの場合、調剤以外に企業によっては接客のスキルや、OTC医薬品をはじめとする日用品の知識なども身につけ、多岐にわたる業務に携わらなくてはなりません。

調剤を中心におこないたいなら、調剤薬局併設型で、部門が別になっているドラッグストアを選びましょう。

また、ドラッグストアのなかには、年中無休で遅い時間まで営業しているところもあります。
育児や介護との両立を目指す場合は、復職や転職を果たしたのちに、希望した勤務時間で働くことができるか、休みをしっかり取ることができるかを事前に確認しましょう。

4-2. 調剤薬局

調剤薬局も、ブランクのある薬剤師とって仕事を再開しやすい職場の一つです。ただし、復職するにしても、転職するにしても、すぐに成功できるかどうかは調剤経験の有無とスキルレベル次第です。

心機一転、転職する場合でも、ブランクOKとしている求人も多いので、自分に合った調剤薬局を選べる可能性が高いです。

資格を取ったあと、ほとんど実務に就かないまま休職したり、辞めてしまったりして、もともと薬剤師としての経験が非常に浅い場合はそれなりの努力が必要ですが、かつて調剤に携わった経験があるなら、問題なく復職できるケースがほとんどです。

ただし、患者数の多い病院の門前薬局や、人手不足で忙しい薬局などでは、ブランク明けであっても即戦力を期待される可能性があり、仕事に慣れる期間が十分に取れないこともあるので注意しましょう。

自信がつくまでは、処方箋の枚数が多すぎず、忙しすぎない調剤薬局で実績を積むのも一つの方法です。

4-3. 病院

病院は、病院の規模や得意とする領域によってブランクのある薬剤師の採用に積極的なところとそうでないところがあります。

急性期病院や大学病院など、高度医療をスピーディーに提供する必要がある病院は、中途採用では即戦力となる人材のみを採用するケースがほとんどのため、こういったタイプの病院への転職を希望するなら、前職での実績がある程度必要です。

慢性期病院や特定の疾患に特化した病院では、ブランクがあっても、比較的転職がしやすい傾向があります。

一方、休職からの復職に関しては、どの病院であってもしっかりと配慮がなされている職場がほとんどです。

高度なスキルやこれまでの実務経験を持った薬剤師は、病院にとって貴重な人材なので、問題なく復職できるでしょう。

ただし、現場に復帰するにあたっては、最新の知識へのアップデートが必要です。

研修会や勉強会があるという情報を聞いたら必ず参加するなど、自分自身で新しい知識を習得する努力を続けなくてはなりません。

5. ブランク明けの薬剤師が転職を成功させるためのポイント

ブランクの長い薬剤師の復職・転職方法とは?|おすすめの職場と成功ポイント
ブランク明けの薬剤師が転職を成功させるためのポイントは4つあります。それぞれについてご説明しましょう。

5-1.優先順位を明確にする

最初に、キャリアアップや年収アップを目指してバリバリ働くのか、育児や介護に支障が出ないよう勤務時間が短く残業のない場所で働くのか、勤務日数そのものを2~3日に抑えるのか、望む働き方をできるだけ具体的に描きましょう。

次に、キャリアアップを優先するなら時短勤務はあきらめる、肉体的にも精神的にも負担のない働き方をしたいから正社員ではなくパート勤務にするといったように、求める条件に優先順位をつけましょう。

すべての条件を満たす転職は難しいので、複数の選択肢で迷ったときに立ち戻れる「軸」を作っておくことが大切です。

5-2.「ブランクの前はこうだった」といったこだわりは捨てる

ブランク前に充実した働き方をしていた人ほど、過去を引きずりがちです。

しかし、新たな企業に勤めることになるうえ、ブランクにともなう状況の変化を踏まえての求職になるわけなので、過去にこだわるのはやめましょう。

現状を受け入れ、今できるベストな働き方を見つけることが大切です。知識もできるだけ最新のものにアップデートするべく勉強しましょう。

5-3.勤務時間や残業など、条件をしっかり確認する

ブランク明けの薬剤師にとって、条件面の確認は重要です。

勤務を開始してから「こんなはずじゃなかった」「家庭との両立が難しく、仕事が続けられない」といったことがないように、勤務時間や残業・休日出勤の有無などをしっかり確認しましょう。

5-4.ブランクがある理由を前向きに説明できるように準備する

ブランクの理由を聞かれた場合に備えて、簡潔に回答できるよう準備しておきましょう。出産や育児、介護などが理由であれば、そのまま伝えても構いません。

人間関係の問題や収入への不満などが理由の場合は、前職の悪口としてネガティブな印象を与えないよう、前向きな理由に転換して伝えるようにしましょう。

6. ブランク明けの薬剤師が復職を成功させるためのポイント

一時休職していた薬剤師が、ブランクを経て職場に復帰する場合、その人を取り巻く生活環境や家庭の事情がブランク前とは変わっていることが多いのではないでしょうか。

ここでは、ブランク明けの薬剤師がスムーズに復職するためのポイントについてみていきましょう。

6-1. 勤務日数を自分のスタイルに合わせて調整する

復職の場合、休職前と同じパフォーマンスを求められ、無理をしてしまうこともあるかもしれません。

家庭の事情やライフスタイルの変化に合わせて、勤務形態を見直すこともときには必要です。

いきなりフルタイムでの復職が不安な場合は、徐々に勤務日数を増やすなどの方法を取れるかどうか、復帰に向けての準備段階として、職場とよく打ち合わせをしておくとよいでしょう。

6-2. 勤務先の業務内容や流れを事前に確認しておく

休職している間に、レセコンなどのシステムが刷新されていたり、業務の流れが変わっていたりする可能性があります。職場によっては、新たにリモートワークが導入されているケースもあるでしょう。復職前の打ち合わせの際に、復職後に実際に従事する業務の内容や、1日の流れについてもよく確認しておきましょう。

7. ブランクにこだわらず、ポジティブな転職活動を!

ブランク明けの転職に対する不安を取り除くには、自主勉強をすることで知識を補い、自信をつけてから活動するのがおすすめです。

専門誌や業界紙、インターネット媒体などを利用して、保険制度や法改正、新薬の情報などを得ておきましょう。

勉強したことを面接などでアピールできれば、採用担当者にも確実に良い印象を与えることができます。

ブランクがあることよりも、今できることに焦点をあて、ポジティブな気持ちで活動しましょう。

また、ブランク明けの転職活動では、条件面を含めた情報収集と、内定を獲得してからの条件交渉が重要です。

条件のことは何となく聞きづらいという場合は、転職エージェントを利用しましょう。

マイナビ薬剤師では、入社日や諸条件の交渉まで、さまざまな過程を転職希望者に代わっておこなうことができます。

8. まとめ

薬剤師は一般的な職業に比べて、復職や転職がしやすい職業です。

ブランクを持つ薬剤師ならではの悩みや不安はあるものの、それらの多くは周囲への相談や、自己研鑽によって乗り越えることができるものです。

復職にあたっては、職場や家族の理解を得ながら、無理なく仕事が続けられるよう心がけましょう。

一方、転職するにあたっては、自身のこれまでのキャリアやスキルを洗い出し、希望条件に合った職場を選ぶことが大切です。

復職・転職いずれのケースであっても、ブランク前の働き方や条件にこだわらず、ポジティブな気持ちで取り組みましょう。

この記事の著者

医学博士、医学研究者

榎本 蒼子

最終学歴は京都府立医科大学大学院医学研究科博士課程卒業。2011~2015年 京都府立医科大学にて助教を勤め、医学研究および医学教育に従事。

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