知識不足と感じたら…薬剤師のための勉強方法についてご紹介

知識不足と感じたら…薬剤師のための勉強方法についてご紹介
忙しい薬剤師業務に追われる日々の中、分からないことに直面して、知識不足を感じることはありませんか?

薬剤師業務を行うには、薬学的な専門的知識に基づいたスキルや、実践で学んだことに基づくコミュニケーションなどに代表されるようなスキルが必要です。

この記事では、専門的な薬剤師の勉強方法のポイントや注意点、長続きさせるコツ、そして実践で学ぶ必要があるスキルについてご紹介します。

1.薬剤師のための勉強方法とは

日本では、毎年100品目を超える薬が新たに承認されており、2022年も174品目(新有効成分含有医薬品52品目を含む)の新薬が認可されました。
薬剤師を続けていくには、どんなに経験を重ねた薬剤師であっても日々更新されていく最新医療情報を収集し、生涯にわたって勉強し続ける必要です。
薬剤師のための、勉強方法や勉強するための情報収集の方法をご紹介していきます。

1-1.ノートにまとめる

勉強した内容は、アウトプットして日々の仕事で活用することができるようにしておくことが大切です。そのためには、学んだ内容をきちんとノートにまとめておく習慣をつけるといいでしょう。ノートにまとめることで、学んだ内容を記憶にしっかりと定着させることができますし、後から見返して確認しながら業務を行うこともできます。

1-2.セミナーや講演会に参加する

企業や団体が主催する医薬関連のセミナーや講演会に参加する方法です。
これらは講師の主張をリアルタイムで聴くことができ、またそのテーマに興味を持った人が集まるので、情報交換の場として活用できる場合もあります。
開催情報を掲載したWebページもありますので、興味がある分野のセミナーや講演会の情報を収集したり、学会に所属して学術大会に参加したりするのもよいでしょう。

  • 日本薬剤師研修センター
    薬剤師の生涯学習を推進し支援することを目的として設置された公益財団法人で、研修や各種認定制度があります。
  • 薬事日報
    薬事行政、医療、学術の報道など幅広い情報や、業界情報として研修、セミナー、催し物も紹介しています。
  • 日本薬剤師会
    薬剤師の生涯学習のための生涯学習支援システム(JPALS)の提供や、学術大会・研修会などを開催しています。

1-3.勉強会に参加する

薬局や病院で開催される勉強会に参加することも、薬剤師にとって貴重な学びの機会です。勉強会では、実際に現場で課題になっていることや薬に関する情報を先輩の薬剤師や製薬会社の社員から学べるので、すぐに仕事で活用できる知識を身に付けることができます。
自分で興味がある分野、テーマの勉強会を探して参加するという方法もありますのでチェックしてみるといいでしょう。

1-4.Webやアプリで勉強する

医療に関するさまざまな情報の収集にはWebやアプリが有効です。薬剤師を対象としたコンテンツも多くあり、業務や知識の習得を目的する情報がWebやアプリと、さまざまな形式で提供されています。スマートフォンで利用できることから、通勤時間や休憩時間などの隙間時間にも手軽に勉強できるでしょう。
例えば、アプリでいえば薬剤情報やガイドラインを手軽に確認できる医師向けの臨床支援アプリ「HOKUTO」や、Webサイトでは「日経DIオンライン」や「CareNet」など、医療関連や薬物療法の最新のニュースを掲載しているサイトもあります。
Webでの薬剤師に関する情報収集に最適なサイトが、マイナビ薬剤師が発信している薬剤師の情報コラムサイト「薬読」です。医療や製薬業界の最新情報から、薬剤師の悩みや転職・スキルアップに関することまで幅広く取り扱っています。

1-5.診療ガイドラインを読む

診療ガイドラインとはエビデンス(科学的根拠)に基づいて最適と思われる治療法を提示する文書と定義されており、患者さんと医師が治療法を決める上で重要な判断材料として用いられています。
診療ガイドラインは、医師が処方した薬剤をもとに医師の処方意図、治療方針、患者さんの重症度などの推察に役立てることができるでしょう。インターネット上から利用できるガイドラインも多く存在していますので、ご自身に関連する専門科のガイドラインを読んでみることをおすすめします。

1-6.参考書から学ぶ

薬剤師が勉強する際に必要とする参考書の内容は多岐にわたります。疾患、薬の比較、薬歴の書き方、服薬指導についてなど例を挙げきれないほどです。
知識が不足している分野や興味のある分野があるのであれば、その分野について書かれている参考書をもとに学ぶことができます。
また、働いている職場によって必要とされる知識やスキルが異なるので、同僚や先輩、上司がおすすめする参考書を探してみるのも一つの方法です。
ここでは用途別に薬剤師のスキルアップに役立つ書籍を紹介しています。

【薬の知識を増やしたい方】

  • 薬がみえるシリーズ(医療情報科学研究所/編集)
    テキストとイラストが記載されており、読みやすい薬の本です。

【薬歴を書くことに苦手意識のある方】

  • 誰も教えてくれなかった実践薬歴(山本 雄一郎/著)
    薬歴を通した実践的な薬学管理を実際の症例をもとに解説した一冊です。

2.勉強方法のポイントや注意点

それぞれの勉強方法について、押さえておきたいポイントや活用する際の注意点について解説します。

2-1.勉強ノートの活用

勉強ノートを活用する際には、使いやすさを考慮してまとめ方や書き方のルールを作っておくといいでしょう。

例えば、見出しは太字にする、ペンの色を使い分けるといった工夫をすると、一目で内容が理解しやすくなります。また、付箋を活用すると、どこにどの情報が書かれているかが見直しが可能です。

薬剤師として勉強する必要があるテーマ、領域は広く及びます。それらの情報を1冊のノートにまとめると、見にくくなってしまうでしょう。一方で、テーマ、領域ごとにノートを分けると、何冊ものノートを持ち歩かなければならず不便です。
そこで、ルーズリーフを活用することをおすすめします。ルーズリーフであれば、テーマ、領域ごとに並べ替えたり、差し替えたりしやすく非常に便利です。

気をつけたいのは、ノートを書くことが目的にならないようにしましょう。勉強したことが身に付きやすく、仕事に生かせるような工夫をしたノートづくりを心がけることが大切です。

2-2.セミナーや講演会・勉強会の参加

セミナーや講演会、勉強会に参加する場合、知りたいことがあれば事前にまとめておき、当日は、参加者と情報交換をしたり、先輩に積極的に質問したりして、疑問点を残さないように心がけましょう。

オンラインで開催されるセミナーや研修会に参加する際には、開始時間前にログインする、ラフになりすぎない服装にするなど、オンラインでのマナーもきちんとチェックしておく必要があります。

2-3.Webやアプリの活用

先ほども紹介したように、薬剤師の勉強に有用なWebやアプリにはさまざまなものがあります。Webやアプリを選ぶ際は、自分にとって今必要な情報は何か、どのような情報・知識が欲しいのかという目的を明確にしておくことが大切です。

個人サイトやアフィリエイトサイトなどは情報の信頼性が低いこともあるので、安易に活用するのは避けましょう。アプリを活用する際は、セキュリティーが確保されていて、個人情報の漏えいなどの恐れがないかどうか注意が必要です。

2-4.診療ガイドラインの活用

診療ガイドラインは、インターネット上で見られるものも多くあります。よく参考にする診療ガイドラインは、いつでも確認することができるように、ブックマーク、お気に入り設定をしておきましょう。

診療ガイドラインは検査法や治療法のエビデンス、医療制度の変化などを踏まえて、数年ごとに改訂されるので、最新版であることを確認することが大事です。

公益財団法人日本医療機能評価機構の「Mindsガイドラインライブラリ」では、各種の診療ガイドラインを検索できるので、活用することをおすすめします。

2-5.参考書の活用

参考書を読む際のポイントは、すぐに仕事で活用できる知識を身に付けるために、今知りたいと思っている情報、気になる部分から読み進めることです。最初から順番にすべてを読もうとすると、なかなか先に進まず、読むのが面倒になりかねません。

参考書を読んだだけでは、内容を十分に理解できないこともあるかもしれません。そのような場合は、内容をノートに書き写してみましょう。そうすることによって、内容が頭に入ってきやすくなります。

ページ数が多い参考書は持ち運びが大変なので、外出先では、電子書籍を活用するなど、いつでも気になったときにすぐに参考書で確認できるように心がけましょう。

3.実践的なスキルは現場で学ぶほうがよい

日々の業務を行うには薬学に関する専門的な知識以外にも現場で必要とされるスキルがあります。現場で必要とされるのは、組織人として仕事を推し進めていく実践的なスキルです。このスキルには、コミュニケーション能力、チームワーク、リーダーシップなど対人に対するスキルと経験や技術、その経験に基づく勘などが挙げられるでしょう。

薬学的知識や技術などを中心としたスキル(テクニカルスキル)に対して、対人に対する前述したようなスキルは「ノンテクニカルスキル」といわれ、チームで行う医療の現場で必要な注目のスキルです。

もちろん現場で学ぶことが多い「ノンテクニカルスキル」ですが、医療者向けのプログラムも存在しています。薬剤師を対象としたものには、薬学ゼミナール生涯学習センターにより2017年度から薬剤師に必要なノンテクニカルスキルを醸成する講座が開始されました。

4.学ぶ上でのポイントは?

学ぶ上でのポイントは?
不足している知識が明らかな場合はそれを補う勉強をすることができます。しかし不足している知識が分からず、漠然と知識不足を感じている方は、学びの種を見つけてみてはいかがでしょうか。

学びの種を見つけ、実際の現場で生きたスキルとして使うために、学ぶ上での4つのポイントをご紹介します。

4-1.分からないと思ったらすぐにメモをとる

分からないことをそのままにせず、分からないと思ったらすぐにメモをとる習慣をつけましょう。「すぐに」ということがポイントです。一般的に「人は忘れる動物」といわれるように、後回しにしないことで取りこぼしを防ぎます。

このことからも忙しい日々の中で、分からないと思ったことを覚えておくことは難しいことです。分からないことはすぐにメモしておき、後でまとめて調べるとよいでしょう。

4-2.先輩や上司に質問してみる

身近にいる先輩や上司も同じような課題に直面したり悩みを抱えたりした経験があるかもしれません。このようなことから「メンター制度」を導入している組織も多くあります。

このメンター制度とは、経験豊かな先輩社員が後輩社員と双方向の対話を通じて、キャリア形成上の課題解決や悩みの解消を援助して個人の成長をサポートすることが主な目的です。

制度として導入している組織があることからも分かるように、経験不足から課題の解決や悩みの解消を自身で行うことが難しい場面はあります。そういったときは先輩や上司に時間をとっていただき、質問してみるとよいでしょう。直面している課題や悩みを解決する糸口が見つかるかもしれません。

4-3.常にアンテナを張っておく

ほぼ毎年100品を超える新医薬品が承認される医療業界において、薬剤師は新医薬品を含めた医療情報にアンテナを張り続けなければなりません。その上で、常に知識や技術を更新していかなければならないのです。

また、学び続けて得た知識を、患者さんや施設のスタッフさん、または医師や看護師と、さまざまな立場の方々にしっかり伝わるようにコミュニケーションを図らなければならず、相手の反応にも注意深くアンテナを張り巡らさなければなりません。

そのためには、薬剤師として勉強を積み重ねている勤務中や仕事のための情報収集のときはもちろん、人との何げない会話やニュースなど、さまざまな情報に触れたときにも常にアンテナの感度を高めておくことが重要です。

4-4.しっかりと計画を立てておく

計画を立てる際は具体的で明確な目標を立てるようにしましょう。目標を設定することで行動の方向が決まり、目標を成し遂げるための手段や方法を考えるといわれています。また目標を立てることがモチベーションにつながる場合があるのでおすすめです。

5.勉強を長続きさせるためのコツ

いざ勉強を始めても、長続きせずに三日坊主で終わっては意味がありません。勉強を長続きさせるためには、そのための環境づくりや工夫が必要です。ここでは、勉強を長続きさせるためのコツをアドバイスしますので、ぜひ参考にしてください。

5-1.勉強する時間を決めておく

薬剤師としての仕事もこなしながら勉強を続けていくには、寝る前の30分、仕事の休憩時間といったように勉強する時間を決めておくことが大きなポイントとなります。そうすることで、勉強を習慣化すれば、勉強を長続きさせることができます。

休日にまとめて勉強する時間を確保するのもいいでしょう。家では集中できないという人は、カフェや図書館などを利用するのもおすすめです。

5-2.勉強後のご褒美タイムをつくる

「好きなスイーツを食べる」「我慢していたゲームを好きなだけ楽しむ」といったように、勉強が終わった後にご褒美タイムをつくるのも、勉強を長続きさせるコツの一つとしておすすめです。ご褒美タイムは、勉強に集中するための動機付けとなるでしょう。

5-3.集中できる空間をつくる

限られた時間の中で実のある勉強をするためには、勉強に集中できる空間をつくることも大きなポイントです。勉強に使用する部屋は日ごろから整理整頓に心がける、机の上には必要な勉強道具以外に物を置かない、スマホや携帯電話は手の届かない所に置いておくといったことを実践しましょう。

5-4.小さな目標を立てる

「参考書の〇ページまで読み切る」「今週中に新薬についてマスターする」など、小さな目標を立てることも、勉強を長続きさせるコツの一つです。小さな目標をクリアしていくことによって勉強することが面白くなり、勉強を続けようというモチベーションが高まります。

6.不安になったら環境を変えてみよう

ここまで知識不足を解消する方法をご紹介してきました。しかし、これらに前向きに取り組むことができそうにない環境に身を置いている方もいるかもしれません。
働く環境を改善することで勉強に前向きになれる場合もあります。そのような方は、薬剤師業界全体のキャリアプランニングを得意とする転職エージェントへの相談がおすすめです。

「マイナビ薬剤師」は、薬剤師に特化した転職サービスです。マイナビ薬剤師に登録いただければ、求人情報の照会や転職支援だけでなく、新しい職場に転職した後もかかりつけのアドバイザーとしてしっかりとした転職支援も行っています。

キャリアを重ねたのでこれ以上は実践でのスキルアップが望めないなど、新たな環境を必要としている方も多いのではないでしょうか。マイナビ薬剤師では、薬剤師専任のキャリアアドバイザーが一人ひとりに仕事における希望や実践でのスキルアップを可能とする求人情報を提供しています。

転職活動時には、求人情報の選び方から面接の日程調整、条件交渉など、転職に必要なプロセスを全面的にサポートしますので、在職中の薬剤師の方も現在の仕事への負担が少なく転職活動を行うことができるでしょう。

その他にも、今すぐ転職を考えていないけれど、先輩や上司に相談できる雰囲気でない場合や、先輩など周りの薬剤師から知識不足に関するアドバイスではなく指摘ばかりで自信をなくしてしまう場合もあるかもしれません。

「マイナビ薬剤師転職相談会」では薬剤師専任のキャリアアドバイザーによる無料の相談会やセミナーを開催しています。全国10カ所以上の会場またはWeb上で参加することができるので、転職に興味のある人はぜひ登録してみましょう。

7.まとめ

日々の薬剤師業務において、知識不足によって不安を覚えることがあるかもしれません。不安は焦りを生んでしまいますが、知識やスキルは一朝一夕で身に付くものではありません。ポイントを押さえ、長続きするような工夫をしながら勉強することで、新たな知識が着実に身に付いていきます。目の前の一つひとつに向き合い、焦らずにじっくり取り組んでいきましょう。

いろいろな勉強方法を試したり、周囲に相談したりしながら模索することで、自身の薬剤師としての考え方や立場が確立されていきます。それがあなたの思い描く薬剤師像へとつながっていくことでしょう。もし、現在の環境によってそれが難しい場合は、新たな環境を探してみるのも一つの方法です。

この記事の著者

ライター

齋藤 伸成

出版社にてビジネス書の編集、ビジネスマン向け通信教育講座テキスト(法務・財務・税務・マーケティング)の編集に従事。

その後、編集プロダクションにて数多くの書籍・雑誌等の企画・編集・執筆等に従事する。
携わった分野についても、健康・医療だけではなく、ビジネス書や歴史関連など幅広い実績をもつ。

現在は、フリーランスの編集者として活動。

毎日更新!新着薬剤師求人・転職情報

薬剤師の転職の準備に関するその他の記事

薬剤師の転職の準備に関する記事一覧

※在庫状況により、キャンペーンは予告なく変更・終了する場合がございます。ご了承ください。
※本ウェブサイトからご登録いただき、ご来社またはお電話にてキャリアアドバイザーと面談をさせていただいた方に限ります。

「マイナビ薬剤師」は厚生労働大臣認可の転職支援サービス。完全無料にてご利用いただけます。
厚生労働大臣許可番号 紹介13 - ユ - 080554