フリーランス薬剤師という働き方|平均収入や、やり方、注意点まで説明

フリーランス薬剤師という働き方|平均収入や、やり方、注意点まで説明

フリーランスは自由に働けて収入もアップする魅力的な働き方だと思われがちですが年収や時給、開業届の出し方、自分に合っているのかなど、気になる点がいくつかあるのではないでしょうか。

ここではフリーランス薬剤師のメリット・デメリット、フリーランス薬剤師になる方法や注意点について解説します。

1.フリーランス薬剤師とは?

特定の会社と雇用契約を結ばず、どの組織にも所属しない形で働く薬剤師の方をフリーランス薬剤師と呼びます。

薬剤師業務に限らず、執筆業や講演、オンラインで情報発信をする方も広い意味ではフリーランス薬剤師といえますが、この記事では薬剤師業務をメインとするフリーランス薬剤師について解説していきます。

参照元:厚生労働省/フリーランス白書2018

1-1.主な仕事内容

薬局などで働く場合、薬剤師としての業務内容は正社員でもフリーランスでも大きく変わりません。

その方のスキルによって任せてもらえる範囲は異なりますが、基本的な業務内容は近いものと認識しておいてよいでしょう。

薬剤師の仕事内容について詳しくは下記ページをご覧ください。

2.フリーランス薬剤師と派遣薬剤師の違いは?

フリーランス薬剤師と派遣薬剤師は混同されることが多いですが、大きな違いは就業先との契約状況です。

派遣薬剤師は派遣元の企業と契約を交わして、派遣会社から紹介される薬局などで業務をおこないますが、フリーランス薬剤師は、薬剤師本人が就業先と業務委託契約を結びます。

派遣薬剤師やパート薬剤師は薬局の人員不足を解消する点において需要がありましたが、コロナ禍により患者数が減ったことで派遣薬剤師の需要が減り、それにともなって給料も減少傾向にあります。

そのため、コロナ禍においても薬剤師として少し高めの収入が提示されやすいフリーランス薬剤師へ注目が集まっています。

3.フリーランス薬剤師のメリットは?

まずはフリーランス薬剤師のメリットについて、さまざまな面から説明します。

3-1.時給が高い仕事もある

パート薬剤師の給与は、全国平均時給で2,414円です。

一方、フリーランス薬剤師の場合時給が3,000円以上の求人が紹介されていることもあり、目安としてパート薬剤師より少し高めの時給のようです。

フリーランスである以上、自身の工夫次第で収入は上がるため厳密な上限はありません。

また、正社員のときと給料は変わらなくても、休日が増えてワークライフバランスが充実する場合もあります。

参照元:厚生労働省/令和3年賃金構造基本統計調査

3-2.自由な働き方ができる

正社員のように決められた場所・時間で働くのではなく、自分が働きたいと思った取引先と交渉し、業務内容や報酬などの契約内容を自分で決めることができます。

また、薬剤師という資格を活かしつつ、執筆や講演、配信、広告収入など、薬剤師業務に縛られない働き方も可能になるでしょう。

3-3.人脈が広がる

一つの薬局で働き続けるのではなく、フリーランスではさまざまな場所で働くことになります。

働き続けることで多くの経営者・ビジネスマンと出会うことができますので、そのときの自己成長だけでなく、将来的にも自身の働き方の選択肢が増えることにつながるでしょう。

3-4.経費として計上ができる

フリーランス薬剤師として働くために必要となった費用は経費として扱うことができます。

具体例としてはスキルアップのための参考書の購入やセミナー参加費、お取引先の方との食事代、仕事で必要となった交通費、自宅を事務所と使う場合は家賃の一部などを経費として計上できます。

年間の売上額は正社員の時と同じであったとしても、経費が多いと最終的に得られる金額はフリーランスのときのほうが多い、という場合もあるかもしれません。

4.フリーランス薬剤師のデメリットは?

ここまでフリーランス薬剤師の良い点を紹介しましたが、次はデメリットになりうる点について説明します。

いずれも薬剤師に限らず、フリーランスとしては共通のデメリットといえるものでしょう。

4-1.収入が不安定

報酬や業務内容が取引先によって異なるため、収入は一定ではありません。また、取引先が望む分の業務が完了すると契約も終了となる場合が多いです。

継続して依頼をいただけるように、その薬局の状況や改善点なども考えながら仕事に取り組む姿勢が大切です。

4-2.社会保険などは自己負担になる

正社員の場合、会社で保険料などを一部負担してもらうことがほとんどですが、フリーランスの場合は自分で保険を選んで手続きをし、支払いまでおこなう必要があります。

また、正社員のように業務上の事由によるケガや疾病に対しての補償である労災保険や失業手当が支給される雇用保険には入ることができません。

ケガや病気などで自身が働けなくなった分は収入が減ってしまいます。その対策として、自分で民間の保険にも加入しておいたほうがよいでしょう。

4-3.豊富なスキルが必要

フリーランス薬剤師の場合、即戦力であることを期待されて契約がおこなわれるため豊富なスキルが必要です。

スキルに問題があれば契約が打ち切られる可能性もあります。

自信がない場合は、パートや派遣薬剤師などでスキルアップや職場に順応する方法を身につけてからフリーランス薬剤師になることも考えましょう。

4-4.税金や確定申告などは全て自分で行う

フリーランスになると、会社員のときは不要だった確定申告を自分でおこなう必要があります。

1年間分の帳簿や領収書・レシート、控除証明書類を集めて整理した上で、所得にかかる税金を計算し、税額を報告して納税する手続きは、非常に手間がかかります。

慣れない方にとっては、薬剤師の本業時間を圧迫する一大作業となってしまいます。

5.フリーランス薬剤師になる方法は?

まず、フリーランス(=個人事業主)として独立するためには、開業などの手続きをおこない、その後に取引先を探す必要があります。

具体的には、開業届や承認申請書の提出、国民年金の支払い手続き、国民健康保険への切り替え、お仕事を探す、の4つのステップが必要です。

5-1.開業届と承認申請書の提出

1つ目の開業届と青色申告承認申請書は納税地を管轄する税務署に提出します。

開業届は「個人事業の開業・廃業等届出書」と呼ばれる書類に必要な情報を記入し、税務署の窓口に提出します。

提出期限は開業日から1カ月であるため、注意しましょう。

青色申告承認申請書は確定申告の際に節税ができるようにしておくための書類で、開業届と同様に税務署へ提出するものです。

フリーランスになると毎年2月から3月の間に確定申告をおこないますが、青色申告のほうが白色申告よりも控除額が大きく、節税効果が大きくなります。

白色申告のほうは記帳が分かりやすい面もありますが、青色申告では最大65万円の控除や赤字を3年繰り越すことができますので、青色申告の準備をしておいたほうがよいでしょう。

参照元:国税庁/個人事業の開業届出・廃業届出等手続

5-2.年金の支払い手続き

2つ目は年金の支払い手続きです。

こちらはお住まいの地域の役所でおこなうことができます。

正社員の場合は厚生年金を会社と自分で折半し、給与から天引きされていたので、自分で支払うという意識が低かったかもしれません。

しかしフリーランスになると自らの売り上げから国民年金を全額支払うことになります。

5-3.国民健康保険への切り替え

3つ目は国民健康保険への切り替えです。

こちらも年金と同じく、フリーランスの場合は自分で支払う必要があります。

任意で、正社員のときと同じ健康保険に最長2年間継続加入もできますが、会社負担分がなくなることから、支払額が以前の倍になるので注意が必要です。

これらが済んだらフリーランス薬剤師として仕事を探す段階となります。

フリーランス薬剤師で薬剤師業務をおこなう場合、主な働き先は薬局・ドラッグストア・病院・クリニックなどです。

また、他業種のフリーランスと同じく、交流会などで知り合う方と交渉したり、以前お仕事で一緒になった方や知人を経由して依頼をいただくこともあるでしょう。

6.フリーランス薬剤師の注意点は?

デメリットでも紹介したとおり、保険の切り替えや支払い、確定申告には注意が必要です。また、保険薬剤師登録が必要かどうかの確認もおこなうようにしてください。

6-1.年金や保険の切り替え

上述の「5.フリーランス薬剤師になる方法」で説明したとおり、国民年金への切り替えと支払い、正社員の時に加入していた健康保険を継続するか国民健康保険に切り替えるかどうかの判断が必要です。

6-2.確定申告

確定申告は本業での利益がほぼない場合や赤字の場合は不要となるケースもあります。

本業以外にもアルバイトや株式の取引、不動産による収入は確定申告が必要となるケースがありますので注意が必要です。

6-3.保険薬剤師登録

保険薬局で調剤をおこなう場合に必要な保険薬剤師登録ですが、申請や変更などの必要がないか確認しましょう。

病院薬剤師の場合は、病院全体が保険医療をしていることと医師の指示により調剤をおこなうため、保険薬剤師でなくても問題ありませんが、調剤薬局やドラッグストアで調剤をおこなう場合は、保険薬剤師登録が必要です。

生活環境が変わる時はやるべきことが多いため、保険薬剤師登録についても忘れないように注意が必要です。

7.フリーランスになる前に相談してみるのもあり

「今の職場では実現できないことがあるけど、フリーランスに踏み出すのはまだ怖い」という方は薬剤師専門の転職エージェントに一度相談してみるのも一つの手段です。

「マイナビ薬剤師」は薬剤師に特化した転職支援サービスです。あなたのお悩みを丁寧にお聞きして、ご希望に合った薬局やドラッグストアをご紹介します。

薬剤師専任のキャリアアドバイザーが無料で転職をお手伝いしますので、一度登録を検討してみてはいかがでしょうか。

フリーランス薬剤師になる前に、薬剤師専任のキャリアアドバイザーに1対1で相談することで、自身が本当に求める薬剤師の仕事が明らかになるかもしれません。

8.まとめ

ここまでフリーランス薬剤師の働き方やメリット・デメリット、注意点などについて説明しました。

フリーランス薬剤師は収入や働き方の幅が広がる一方で、経営や経理など薬剤師業務ではない対応も必要です。

フリーランス薬剤師は、そのメリットとデメリットを理解した上で、自分の可能性をもっと試してみたい方や、ワークライフバランスを良くしてさらに自分らしく生きたい方におすすめします。

この記事の著者

薬機法セールス/医療広告ライター

吉村友希

神戸大学大学院医学研究科修士課程卒。大手外資系企業にて医薬品開発を経験するが、疾患の治療よりも”予防”や”毎日を健康に楽しく過ごすこと”の重要性を痛感。現在は健康食品・化粧品・医療広告の執筆業を行う。

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