予防医学指導士

認定団体:日本予防医学会/予防医学・代替医療振興協会
予防医学指導士

予防医学指導士は、予防医学や代替医療を通して健康的な生活を送るための知識を普及させていくスペシャリストです。

日本は超高齢社会を迎えており、近年では平均寿命だけでなく、日常生活に制限のない期間を指す「健康寿命」も注目されています。

予防医学指導士は、生活習慣病の発症予防など、患者のQOL(生活の質)改善に貢献できる資格です。薬の専門家である薬剤師が、さらにスキルアップするのに適している資格の一つといえるでしょう。

予防医学指導士の仕事内容や資格の取得方法、活躍できる場所などについて解説します。

予防医学指導士とは

予防医学指導士は、予防医学や代替医療に関するスペシャリストです。

予防医学指導士は、QOL(生活の質)を向上させ、健康寿命を延ばす活動が期待されています。

誰でも資格取得を目指せますが、医薬系の資格である薬剤師資格を持っていれば、比較的取得しやすい資格といえるでしょう。

予防医学とは

予防医学は、病気を予防し、健康寿命を延ばすことを目的とした医学です。日本の65歳以上の人口は3,627万人(2022年9月現在)で、総人口に占める割合は29.1%と超高齢社会となっています。また、日本の平均寿命は男性81.47歳、女性87.57歳(2022年7月現在)となっており、40年前と比較すると、75歳からの平均寿命は男性で約4年、女性で約6年長くなっています。

一方で、日常生活に制限のない期間を指す「健康寿命」は、男性72.68歳、女性75.38歳(2019年現在)となっており、平均寿命までの約10年間は、介護を必要とされる方の数が増加しています。

平均寿命と健康寿命の差は、医療費の増大にもつながっており、2019年度の医療費は、過去最高の約44兆3895億円、前年度比2.3%増となっています。このため、日本の社会保障負担の軽減は喫緊の課題となっています。

こうした社会背景から、「病気になってから対処する」のではなく、「病気になる前の予防」が重視されるようになっています。

平均寿命と健康寿命の乖離の原因の一つは、生活習慣病の増加です。普段から食生活や運動などの生活習慣を意識することで、病気の発症を予防したり、悪化を抑えたりすることができます。

生活習慣病などに対する予防医学の知識は、薬剤師の仕事にも生かせるため、ぜひ身につけておきたい知識です。

予防医学指導士の仕事内容

予防医学のスペシャリストとして、予防医学の知識を一般の方に普及させていく活動が中心です。予防医学指導士の資格を取得すれば、服薬指導時に、予防の観点からも自信を持って指導できるようになるでしょう。

特にかかりつけ薬局や健康サポート薬局に勤務する薬剤師は、予防医学指導士の資格を生かした仕事をしています。例えば日常生活での食事や睡眠、運動など、薬以外の視点からも、患者の健康を支えることができるでしょう。

また薬剤師と予防医学指導士、両方の知識を生かして、生活習慣病の市民講座など、QOL向上の企画へ参加するケースもあるかもしれません。

予防医学指導士の資格を取得するには?

予防医学指導士の資格は、「予防医学・代替医療振興協会」または「日本予防医学会」で取得することができます。

資格の取得要件

予防医学指導士になるための要件は、認定団体ごとに異なります。

予防医学・代替医療振興協会

協会のテキストで自己学習した後、記述式試験に合格し、研修会を受講することで、資格認定となります。

要件1 予防医学・代替医療振興協会に会員登録していること。
要件2 自宅で100題の記述式試験を受け、合格すること。
※テキストや文献を参考に解答可。解答は郵送またはメールで送付。
要件3 資格取得研修会(ワンデイセミナー)を受講すること。

日本予防医学会

薬剤師など予防医学関連の資格保持者は、認定試験が免除されます。

薬剤師が資格を取得するためには、下記の要件を満たしたうえで、認定審査に通れば資格認定となります。

要件1 日本予防医学会の学会員であり、申請時において年会費を完納している者。
要件2 以下の研修単位を取得している者(薬剤師などの予防医学関連資格所有者は30単位取得、予防医学関連資格を保有していない者は40単位取得)。
・年次学術集会(総会)出席10単位
・演者5単位
・共同演者2単位
※一回の学会出席にあたり最高20単位までを研修単位として認定する。
要件3 以下の資格を有する者、または「予防医学指導士養成コース」を修了した者。
医師、歯科医師、獣医師、看護師、保健師、臨床検査技師、衛生検査技師、理学療法士、作業療法士、診療放射線技師、視能訓練士、歯科衛生士、社会福祉士、管理栄養士、栄養士、薬剤師、介護福祉士、精神保健福祉士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、言語聴覚士、労働安全コンサルタント、労働衛生コンサルタント、衛生管理者、その他認定制度委員会が上記資格と同等と認める者。

資格の取得方法

前項の要件を満たした後、認定書が交付されます。各団体でかかる費用は以下の通りです。

予防医学・代替医療振興協会

一般会員年会費 5,000円(税込)
通信講座受講料 50,000円(税込)
ワンデイセミナー参加費 10,000円(税込)

日本予防医学会

入会金 5,000円(税込)
一般会員年会費 10,000円(税込)
申請料 10,000円(税込)
特別研修会受講料 20,000円(税込)
認定試験受験料 10,000円(税込)
認定審査料 10,000円(税込)
認定証交付料 20,000円(税込)

資格の更新方法

各団体の資格の更新方法は以下の通りです。

予防医学・代替医療振興協会

申請時に更新制の会員登録をおこない、年会費を毎年支払う形で更新します。

更新手数料 年会費として一般会員 毎年5,000円
※退会すると資格は無効。

日本予防医学会

更新は5年ごとで、必修単位10単位、選択単位10単位の合計20単位が必要です。

研修単位 必修単位 予防医学指導士養成研修会を受講 10単位
選択単位 日本予防医学会年次学術総会に出席。 出席 10単位
演者 5単位
共同演者 2単位
当学会セミナーに出席。 各 10単位
当学会雑誌への投稿 筆頭著者 10単位
共同執筆者 2単位
認定更新料 (5年ごと)10,000円
※更新しなければ資格は無効

予防医学指導士を仕事で活かす

資格取得のメリット

病気を薬で治す視点からでなく、予防の視点から病気をみられるようになります。薬剤師としてのスキルアップが図れ、他の薬剤師との差別化にもなるでしょう。

薬剤師としての活躍の場が広がり、予防医学の知識をアピールすることで、健康・美容・代替医療関連への転職にも挑戦できるかもしれません。

また、患者に対してだけでなく、職場の健康意識への啓発や、家族の健康管理にも役立つでしょう。

活躍できる場所

薬剤師は、薬の相談だけでなく、疾病予防についての相談も受けることが多いもの。予防医学の知識があれば、予防の視点からも、自信を持って患者とコミュニケーションがとれるようになるでしょう。

かかりつけ薬局や健康サポート薬局などでは、食生活や睡眠、運動など、薬学以外の視点も重要です。特に生活習慣病の患者は全国的に多いので、予防医学の知識はとても役立つでしょう。

チーム医療体制の中では、他の医療専門職との協働の際に、予防医学の知識を生かすことで、よりチームに貢献できることもあります。

また、職場や市民講座などで健康意識を高める啓発活動もできるようになりますし、予防医学指導士の資格は、薬剤師の活躍の場を広げ、キャリアアップにもつながります。

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