薬剤師と看護師の年収はどれくらい違う?資格の取得方法や仕事内容も比較

同じ医療職である薬剤師と看護師の平均年収を比較すると、薬剤師の方が高い水準です。ただし、年齢や勤務先の規模によって、その傾向は異なります。また、資格の取得方法や仕事内容、将来性にも違いが見られます。
本記事では、厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査のデータを基に、薬剤師と看護師の平均年収を比較します。さらに、資格の取得方法や仕事内容、将来性の違いを解説した上で、薬剤師が年収アップを実現する方法を紹介します。
目次
1. 薬剤師と看護師の年収はどれくらい違う?
薬剤師として働いていると、同じ医療職である看護師と比べて年収に差があるのか気になる方もいるでしょう。ここからは、令和7年賃金構造基本統計調査のデータを基に、薬剤師と看護師それぞれの平均年収を紹介します。
1-1. 薬剤師の平均年収
令和7年賃金構造基本統計調査によると、薬剤師の平均年収は566万7900円です。「きまって支給する現金給与額」は39万8700円、「年間賞与その他特別給与額」は88万3500円でした(男女計・企業規模計:10人以上)。年収は「きまって支給する現金給与額」の12カ月分に年間賞与を加えて算出しています。
「きまって支給する現金給与額」とは、基本給に職務手当・通勤手当・家族手当・超過労働給与額などを加えた、1カ月あたりの給与額を指します。所得税や社会保険料を引く前の金額で、手取りではなくいわゆる額面の給与にあたります。
ただし、この金額はあくまで全国平均の数値です。実際の年収は、勤務先や年齢、地域によって変動することがあります。
1-2. 看護師の平均年収
令和7年賃金構造基本統計調査によると、看護師の平均年収は524万7200円でした。「きまって支給する現金給与額」は36万5900円、「年間賞与その他特別給与額」は85万6400円です(男女計・企業規模計:10人以上)。
なお、本記事で紹介する看護師のデータは、賃金構造基本統計調査の職種区分「看護師」の数値です。「准看護師」は別の職種として集計されているため、対象には含まれません。
1-3. 平均年収は薬剤師の方が高い
令和7年賃金構造基本統計調査のデータを比較すると、薬剤師(566万7900円)が看護師(524万7200円)を約42万円上回っており、薬剤師の方が看護師より高い年収水準にある傾向が見られます。
ただし、この差はあくまで全国平均を比較した結果です。個別の年収は、勤務先や年齢、勤続年数、企業規模によって異なります。次の章では、年齢階級別・企業規模別に両職種の年収を比較します。
参考:賃金構造基本統計調査 令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 表番号1|政府統計の総合窓口 e-Stat
参考:賃金構造基本統計調査で使用されている主な用語の説明|厚生労働省
2. 薬剤師と看護師の年収を年齢階級・企業規模別に比較
平均年収は、あくまで全体の傾向を示す数値にすぎないため、年収を比較する際は属性別のデータも参考になります。ここからは、令和7年賃金構造基本統計調査のデータを基に、年齢階級・企業規模別に薬剤師と看護師の年収を比較します。
2-1. 年齢階級別の年収の違い
令和7年賃金構造基本統計調査を基に、年齢階級別の薬剤師・看護師の年収をまとめました。
| 年齢 | 薬剤師の年収 | 看護師の年収 |
|---|---|---|
| 20〜24歳 | 408万3,700円 | 440万1,400円 |
| 25〜29歳 | 494万7,600円 | 501万4,900円 |
| 30〜34歳 | 533万1,900円 | 490万5,200円 |
| 35〜39歳 | 598万円 | 518万8,600円 |
| 40〜44歳 | 595万2,000円 | 548万3,800円 |
| 45〜49歳 | 675万8,400円 | 561万1,800円 |
| 50〜54歳 | 642万9,900円 | 577万7,000円 |
| 55〜59歳 | 657万4,900円 | 573万5,300円 |
| 60〜64歳 | 550万700円 | 502万8,700円 |
| 65〜69歳 | 612万300円 | 424万500円 |
| 70歳〜 | 446万9,700円 | 386万7,100円 |
※各職種の企業規模計(10人以上)を参照
※年収は「きまって支給する現金給与額」×12カ月+「年間賞与その他特別給与額」で算出
20代前半では、看護師の年収(440万1400円)が薬剤師(408万3700円)を上回っています。新卒の段階から夜勤手当が加算されることが、看護師の年収を押し上げている要因の一つと考えられるでしょう。
20代後半になると両者の年収はほぼ同水準になり、30代以降は薬剤師が看護師を上回るようになります。薬剤師は20代後半から30代にかけて伸びが大きく、40代後半でピークを迎えるのが特徴です。一方、看護師は20代から50代にかけて緩やかに上昇していく傾向が見られます。
参考:賃金構造基本統計調査 令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 表番号5|政府統計の総合窓口 e-Stat
2-2. 企業規模別の年収の違い
次の表は、企業規模ごとの薬剤師・看護師の年収を比較したものです。薬剤師・看護師ともに、勤務先の規模が大きくなるほど年収が高くなる傾向があります。
| 従業員数 | 薬剤師 | 看護師 |
|---|---|---|
| 10人以上 | 566万7,900円 | 524万7,200円 |
| 10〜99人 | 586万7,500円 | 469万8,200円 |
| 100〜999人 | 562万7,100円 | 506万2,800円 |
| 1,000人以上 | 564万9,000円 | 569万8,700円 |
※各職種の男女計を参照
※年収は「きまって支給する現金給与額」×12か月+「年間賞与その他特別給与額」で算出
薬剤師は、10〜99人規模の職場で586万7500円、千人以上の職場で564万9千円となっており、その差は約22万円です。規模による年収差は比較的小さく、どの規模の職場で働いても大きな違いが生じにくい点が特徴です。
一方、看護師は企業規模による年収差が大きい傾向が見られます。10〜99人規模の職場と1,000人以上の職場では、平均年収の差が約100万円にもなります。大規模な総合病院や大学病院では、夜勤手当や諸手当が設定されており、その影響が年収差に表れていると考えられます。
参考:賃金構造基本統計調査 令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 表番号1|政府統計の総合窓口 e-Stat
3. 薬剤師と看護師の年収以外の違い
薬剤師と看護師は、年収以外にもいくつか違いがあります。資格の取得方法や仕事内容、将来性といった観点から、両者の違いを見ていきましょう。
3-1. 資格の取得方法の違い
薬剤師と看護師では、資格を取得する方法や在学期間に違いがあります。
薬剤師になるためには、6年制の薬学部を卒業した上で、薬剤師国家試験に合格しなくてはなりません。在学中には、病院と薬局で11週間ずつの実務実習が義務付けられており、座学と実習の両面で学びを深めながら資格の取得を目指します。
看護師資格を取得するには、中学卒業後に5年一貫看護師養成学校専攻科に進むか、高校卒業後に看護専門学校・看護大学・看護短期大学のいずれかに進んだ後、国家試験に合格する必要があります。在学中は、講義に加えて医療施設や介護福祉施設、訪問看護ステーションなどでの実習を通じて、実践的なスキルを身に付けます。
学ぶ期間を比較すると、薬剤師は6年、看護師は最短で3年です。薬剤師の方が、在学期間が長いのが特徴です。
3-2. 仕事内容や働き方の違い
薬剤師法第1条で「薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする」と定められています。主な業務は、処方箋を基に薬を調合する調剤業務です。患者の体質やアレルギー歴、併用薬を確認し、処方薬を安全に服用できるかを監査します。薬効や服用方法を患者に説明する服薬指導も大切な業務です。近年は、かかりつけ薬剤師制度が広がっており、薬全般に関する相談対応や在宅訪問の役割も求められています。
看護師の主な業務は、診療の補助や療養上の世話です。診察や検査、手術で医師をサポートするほか、医師の指示の下で採血や注射、点滴の一部を実施します。加えて、食事や休息、排泄、清潔の保持といった日常生活を支えるケアも行います。患者やその家族への心理的なサポートも、看護師にとって欠かせない仕事の一つです。訪問看護ステーションで患者宅を訪問してケアにあたったり、学校や企業で健康相談に応じたりするケースもあります。
働き方の面でも、両職種には違いがあります。薬剤師は、薬局の営業時間に合わせて働くケースが一般的で、日勤が中心です。一方、看護師の主な勤務先である病院や入院施設では、24時間体制で患者さんのケアにあたる必要があるため、日勤と夜勤を組み合わせたシフト勤務が基本です。土日祝日に出勤するケースも少なくありません。
3-3. 将来性の違い
厚生労働省の資料「薬剤師関係について」(2022年)によると、薬剤師の総数は将来的に過剰になることが見込まれています。業務の充実や資質向上の取り組みが進まない場合には、需要の伸びが鈍化し、供給との差がさらに広がる可能性も指摘されています。一方で、一部の病院や地域では薬剤師不足が指摘されており、地域による偏在への対応が課題となっています。
看護師は、高齢化に伴う医療・介護需要の増加を背景に、今後も一定の需要が見込まれる職種です。訪問看護や介護施設など活躍の場も広がっており、地域医療を支える存在として今後さらに重要性を増していくと考えられます。しかし、看護師養成所において入学者数の減少が目立つなど、新たに資格を取得する人材の確保が課題となっています。
薬剤師は供給過多が懸念される一方で、看護師は供給不足が課題とされており、将来の需給バランスの方向性に違いがある点が特徴です。
参考:薬剤師|職業情報提供サイト job tag
参考:看護師|職業情報提供サイト job tag
参考:薬剤師関係について|厚生労働省
参考:看護職員の需給推計について|厚生労働省
4. 薬剤師が年収アップを目指すには?
今の年収に満足できず、より高い収入を目指したいと考える方もいらっしゃるでしょう。薬剤師が年収アップを実現するために有効な方法は、次のとおりです。
- ニーズが高いスキルを習得する
- マネジメントスキルを身に付ける
- 給料水準が高い職場に転職する
それぞれの方法について見ていきましょう。
4-1. ニーズが高いスキルを習得する
薬剤師が年収アップを実現する方法の一つが、ニーズの高いスキルや資格を身に付けることです。
近年は外来調剤から在宅医療へのシフトが進んでおり、在宅医療に関わる実務経験の価値が増しています。患者の自宅を訪問し、服用状況を把握した上で疑義照会や処方提案を適切に行うことができる薬剤師は、高い評価を得られる可能性があります。
また、スキルを客観的に示す手段として、認定薬剤師や専門薬剤師の資格取得も有効です。資格を取得することで、一定水準以上の知識や経験を有していることの証明になります。職場によっては、資格手当が支給されたり、人事評価で有利に働いたりすることもあるでしょう。具体的な資格として、日本薬剤師研修センターが認定する研修認定薬剤師、日本在宅薬学会の在宅療養支援認定薬剤師、日本病院薬剤師会のがん薬物療法認定薬剤師や感染制御認定薬剤師などが挙げられます。
参考:薬剤師の資格ナビ
4-2. マネジメントスキルを身に付ける
マネジメントスキルを身に付けて、管理薬剤師や薬局長などのマネジメント職に就くことで、年収アップを実現できる可能性もあります。役職手当が支給される上、薬局運営に関わる責任を担うため、一般薬剤師よりも高い給与水準が設定されているケースも少なくありません。
マネジメント職には、調剤業務以外の幅広いスキルが必要です。スタッフの育成や指導、店舗運営、経営分析など、業務は多岐にわたります。特に管理薬剤師は、医薬品の管理や従業員の監督、薬局開設者への意見申述など、法令上の責務も担う立場です。幅広い業務に対応できる知識と経験が求められます。
4-3. 給料水準が高い職場に転職する
今の職場での年収アップが難しい場合には、給料水準が高い職場への転職を視野に入れるとよいでしょう。例えば、薬剤師が不足している地域では、人材確保のために高めの給料が設定されていることがあります。また、製薬企業やドラッグストアなど、病院や薬局以外の業態を視野に入れることで、給料水準の高い求人を見つけやすくなるかもしれません。
転職先を選ぶ際は、提示された年収だけでなく、昇給制度を確認することも大切です。初年度の年収が高くても昇給幅が小さい場合、生涯年収は想定を下回る可能性があります。長く働き続けるのであれば、入社後にどの程度昇給が見込めるのかを事前に把握しておきたいところです。
転職活動を始める際は、スキルや経験の棚卸しを行いましょう。どのような価値を提供できる人材なのかを明確にしておくことで、面接官に好印象を与えやすくなります。
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5. 薬剤師の平均年収は看護師より高い傾向がある
厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」によると、薬剤師の平均年収は看護師を約42万円上回っていました。年齢階級別に比較すると、20代前半は看護師の方が高いものの、30代以降は薬剤師が逆転する傾向が見られます。
資格の取得方法として、薬剤師は6年制の薬学部卒業が必須である一方、看護師は最短3年で取得可能です。将来性の観点では、薬剤師は供給過多が懸念される一方、看護師は供給不足が課題とされています。
薬剤師が年収アップを目指すなら、ニーズが高いスキルを習得したり、マネジメントスキルを身に付け、マネジメント職に就いたりする方法が有効です。今の職場での年収アップが難しい場合には、給料水準が高い職場への転職を検討してみるのもよいでしょう。
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