薬剤師の手取りってどれくらい?月収・年収の手取り額、税金の種類について紹介

薬剤師の手取りってどれくらい?月収・年収の手取り額、税金の種類について紹介

給料日に銀行口座に振り込まれるのは、給与から税金や保険料などが差し引かれた後の手取り額です。給料明細書を見て「思ったより振り込まれた額が少なかった」という薬剤師の方は多いのではないでしょうか。また、薬剤師の手取りはどれくらいなのか、気になっている方もいるでしょう。

そこで今回は、薬剤師の平均月収や年収、税金や保険料などを紹介した上で、薬剤師が手取りアップを目指すために、手軽にできる対策から転職まで、詳しく解説します。

1.手取りとは

手取りとは、給与から所得税や住民税、社会保険料などが差し引かれて、実際に自分が受け取れる金額のことです。給与明細書には「差引支給額」などと表記されています。手取りは総支給金額の75~85%になることが一般的です。

参照元:マイナビ転職/手取りとは?額面との違いは?計算方法や手取りで損しないための方法を解説!

1-1.額面との違い

額面とは、会社から支払われる給与や賞与の金額のことで、所得税や住民税、社会保険料などが天引きされる前の額です。

額面は「基本給」「通勤手当」や「役職手当」「住宅手当」「時間外手当」など、各種手当から構成されており、給与明細書には「総支給金額」などと表記されています。

1-2.2年目以降は手取りが減るのは本当?

新卒で入社した場合、入社1年目よりも2年目の手取りの方が減ることがあります。これは、2年目から住民税の課税が発生するためです。

住民税は、前年の所得が一定以上の人に対して、翌年に課税されるものです。新卒1年目の場合、前年度はまだ学生なので、住民税課税の対象になるだけの収入がないのが一般的ですが、新卒2年目は、1年目の所得に対して住民税が課税されます。2年目の6月の給与から住民税が引かれるため、その分手取りが減る可能性が高くなるのです。

2.引かれる税金や保険料の種類

給与の総支給額(額面)から天引きされる税金や保険料には、所得税や住民税、健康保険料などがあります。それぞれの税金や保険料の種類について、詳しく見ていきましょう。

2-1.所得税

所得税は、一般的に毎月の給与と賞与から天引きされる、個人の所得に対してかかる税金です。課税所得に対して5~45%の7段階に区分され、課税所得が高くなると税率も上がります。

毎月天引きされた所得税額と、最終的な年収をもとに計算した所得税額に差額が生じる場合は、年末調整で還付か追加徴収をして調整をします。

参照元:国税庁/No.2260 所得税の税率

2-2.住民税

住民税は一定以上の所得がある個人に対して、1月1日時点で住んでいる都道府県や市区町村に納める地方税です。住民税の納付方法は、納税通知書にしたがって納税する「普通徴収」と、毎月の給与から天引きされる「特別徴収」の2種類です。

住民税は前年の所得をもとに計算され、特別徴収の場合、6月から翌年5月まで、毎月給与から徴収されます。

参照元:総務省/個人住民税

2-3.健康保険料

健康保険料とは、公的な医療保険制度のもとになるものです。医療保険は、会社に勤務している方やその家族が加入できる医療保険制度のことを指します。
病院での医療費の自己負担が3割になったり、高額な医療費を支払ったときの「高額療養費」や病気や出産で会社を休んだときの「傷病手当金・出産手当金」などの給付金を得られたりするのです。

健康保険料は、会社と従業員が折半して納付します。会社に勤務している場合、従業員の負担分は毎月給与と賞与から天引きされます。

参照元:全国健康保険協会/知っておきたい健康保険の話

2-4.介護保険料

介護保険料は介護保険制度のもとになるものです。介護保険制度とは、介護を必要とする状態になったとき、介護サービスを利用するための費用を軽減する制度で、40歳以上の方は加入が義務付けられています。

介護保険料は会社と従業員が折半して負担するもので、徴収の開始は満40歳に達したとき(誕生日の前日)からです。
会社に勤務している場合、従業員の負担分は40歳から64歳までの毎月の給与と賞与から健康保険料と合わせて天引きされます。

参照元:厚生労働省/介護保険とは

2-5.厚生年金保険料

厚生年金保険料とは、会社に勤務する人や公務員が加入する公的年金制度にかかる保険料で、会社員と公務員は、国民年金と厚生年金の2つの年金制度に加入することになっています。

厚生年金保険料は毎月の給与に対して定率です。会社と従業員が折半して納付します。
厚生年金は国民年金に上乗せされる、2階建ての仕組みになっており、その分、将来受け取る年金の額が厚くなります。

参照元:厚生労働省/日本の公的年金は2階建て

2-6.雇用保険料

雇用保険とは、労働者が失業や休業した場合に、失業給付金や教育訓練給付金を交付したり、就職の支援をしたりする制度です。

雇用形態や加入の希望の有無にかかわらず、「1週間の所定労働時間が20時間以上」「31日以上の雇用見込みがある」のどちらにも当てはまる場合、原則、被保険者になります。

雇用保険の保険料率や会社が負担する額は事業によって異なり、保険料は毎月の給与と賞与から天引きされます。

参照元:厚生労働省/Q&A~事業主の皆様へ Q1.

3.薬剤師の月収・年間での手取りはどれくらい?

薬剤師の月収や年間での手取り額の目安はどれくらいになるのでしょうか。
ここでは、厚生労働省が発表している「令和4年賃金構造基本統計調査」のデータから、男性・女性・男女合計、それぞれ平均の年収・月収・年間賞与の手取り額の目安をまとめました。手取り額の目安は、総支給額に0.8をかけて算出しています。

3-1.男女合計

給与 総支給額 手取り額の目安
年収 583万3,900円 466万7,120円
月収 41万4,600円 33万1,680円
年間賞与 85万8,700円 68万6,960円

3-2.男性薬剤師

給与 総支給額 手取り額の目安
年収 637万700円 509万6,560円
月収 45万800円 36万640円
年間賞与 96万1,100円 76万8,880円

3-3.女性薬剤師

給与 総支給額 手取り額の目安
年収 540万1,000円 432万800円
月収 38万5,400円 30万8,320円
年間賞与 77万6,200円 62万960円

参照元:政府統計の総合窓口 e-Stat/令和4年賃金構造基本統計調査

年収は「きまって支給する現金給与額」×12(カ月)+「年間賞与その他特別給与額」にて算出。

4.薬剤師の初任給は勤務先によってさまざま

薬剤師の初任給は勤務先によって異なります。ここでは、調剤薬局、ドラッグストア、病院、製薬会社で働く薬剤師の初任給について、それぞれ見ていきましょう。

4-1.調剤薬局

調剤薬局の薬剤師の初任給は、地域や企業規模にもよりますが、月収22万~35万円、年収は300万~420万円程度です。

初任給は求人によっては高いものもあるが、昇給の幅は少なめな傾向があります。薬剤師不足の傾向がある地域の薬局では、地域手当が月2万~6万円ほど出る場合がありますが、管理薬剤師になると役職手当が月3万~6万円ほどつき、年収がアップするところもあるようです。

4-2.ドラッグストア

ドラッグストアの薬剤師の初任給は、月収30万円ほど、年収は350万~450万円程度です。地域や企業によっては、ドラッグストアの出店に伴う人員増強のため待遇がよいところもあります。

また、経験を積むことで、店長やエリアマネージャーなどに昇格するチャンスや、昇給も期待でき、店長クラスになると年収600万円ほどになる場合もあります。

4-3.病院

病院の薬剤師の初任給は月収20万~25万円、年収は300万~350万円程度です。夜勤や休日出勤などが発生することが多いため、手当によって収入が上がる可能性はありますが、給料は低めな傾向があります。

国立病院で勤務する場合は、公務員扱いになるため、初任給は法律で決められており、約23万円程度、年収で300万円ほどになります。

参照元:内閣官房内閣人事局/国家公務員の給与(令和5年版)

4-4.製薬会社

製薬会社の薬剤師の初任給は月収約22万円、年収は300万~350万円程度です。初任給は他の業種と比べて低めですが、業績に応じて大幅な昇給が期待でき、継続して働けば収入がアップしていく可能性があります。

薬剤師の初任給については、以下のページをご覧ください。

5.薬剤師の平均年収はいくらぐらい?

同じ薬剤師でも年収はさまざまで幅があります。自分の年収は高いのか、低いのか気になる方は多いでしょう。ここでは、薬剤師の平均年収はどれくらいなのか、正社員とパートの場合で見てみましょう。

5-1.正社員の場合

「令和4年賃金構造基本統計調査」のデータによると、正社員の薬剤師の平均年収は583万3,900円となっています。平均月収は41万4,600円、年間賞与は85万8,700円です。製薬会社やドラッグストアの薬剤師の年収は高めの傾向があります。

参照元:厚生労働省/令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況

5-2.パートの場合

パート・アルバイトの薬剤師の平均時給2,903円です。(実労働日数を13.5日、1日の労働時間を5.9時間とした場合)12カ月と年間賞与その他特別給与額97,300円で算出すると、平均年収は287.1万円となり、正社員とは約296.3万円の開きがあります。

5-2-1.扶養内

扶養内で働きたい場合は、シミュレーションが大切になります。手取り年収を重視するのであれば、社会保険の負担がかかる年収106万円と130万円を意識しましょう。年収が106万円以上になると、パート先の社会保険の加入が義務づけられ、年収130万円以上になると、配偶者の社会保険の扶養から外れなくてはならなくなります。

5-2-2.扶養外

薬剤師の場合、パート勤務であっても時給が高めのため、すぐに年収が高くなってしまい、扶養外になる可能性が高くなります。扶養内の範囲であるかを気にせずに、働く方は多くいます。

薬剤師の平均年収の年齢別・地域別の平均年収など、より詳しい情報は以下の記事をご覧ください。
> 薬剤師の転職Q&A

6.手取り額を増やすためにできることとは

せっかく働いているのですから、できるだけ手取りの額を増やしたいものです。少しでも手取りを増やすためには、いくつかの対策が考えられます。ここでは、5つの方法をご紹介します。

6-1.所得控除を申請する

災害・盗難などの損害を受けた場合に適用される雑損控除や、年間医療費が10万円を超えた場合の医療費控除、寄付金控除などを確定申告で申請することで節税につながり、手取り額が増える可能性があります。

所得控除は15種類です。給与所得者の場合、年末調整で控除できるものがほとんどですが、雑損控除・医療費控除・寄付金控除は個人で確定申告する必要があります。

参照元:国税庁/所得控除のあらまし

6-2.ふるさと納税を活用する

ふるさと納税を活用することで、手取りを増やせる可能性があります。ふるさと納税とは、応援したい自治体に寄付をする制度のことで、寄付金額から2,000円を除いた金額を所得税から還付、住民税から控除でき、自治体からは寄付金額に応じた特産品などが送られてきます。控除上限額は収入や家族構成によって異なるため、事前に確認をしておきましょう。

参照元:総務省/ふるさと納税ポータルサイト

6-3.資格を取得してみる

高度な知識と専門性、技術を有していることを証明する認定薬剤師や、専門薬剤師などの資格を取得することで、手取りアップが期待できるといえるでしょう。
資格を活用することで、キャリアアップのチャンスが増え、資格手当や昇給につながる可能性があるからです。
また、専門的な資格を有していることで、転職の際に有利になり、より給与が高い勤務先へ転職できる可能性も高まるでしょう。

薬剤師の資格について、興味のある方は下記の資格一覧ページをご覧ください。

6-4.副業を考えてみる

本業に差し障りがない範囲で副業を考えてみてもよいでしょう。他の薬局やドラッグストアでの臨時のパートや医療に関する文書の翻訳、薬学の知識を生かしたメディカルライターなど、さまざまな副業があります。

ただし、国立病院勤務の薬剤師や管理薬剤師は副業が禁止されています。また勤務先によっては副業が禁止されていることがあるので必ず確認をしましょう。

薬剤師の副業について、興味のある方は以下の記事をご覧ください。

6-5.転職を考えてみる

手取りアップを狙って、より好条件な勤務先への転職も考えてみましょう。例えば、地方の医療機関や薬局は、人手不足の影響で給与が高めのところが多い傾向にあります。また、全国に支店を持っているドラッグストアに「地方への転勤可能」という条件で応募すると、給与を交渉しやすくなるでしょう。

その他、薬剤師の経験を生かして製薬会社のMR(医薬情報担当者)として活躍したり、管理薬剤師として採用されたりすることで、高収入を得られる可能性があります。

薬剤師の年収をアップする秘策について興味のある方は、以下の記事をご覧ください。

7.転職するためのポイントや注意点

キャリアチェンジや年収アップを期待して、転職したいと思ったとき、どのような点に気をつけたらよいのでしょうか。ここでは、転職活動のためのポイントや注意点についてご紹介します。

7-1.手取り額だけではなく他の条件も確認しておく

薬剤師の主な勤務先である調剤薬局やドラッグストアなどは全国に数多くあります。そのため、給与の手取り額だけでなく、福利厚生や休日、転勤の可能性、どの程度昇給する可能性があるかなど、その他の条件も確認しておきましょう。

手取り額は転職を決める大きなポイントになりますが、それだけで決めず、働きやすさも含めて考えることが重要です。

7-2.希望する条件の優先順位をつける

給与や勤務地、薬剤師資格手当の有無、残業量、休暇日数など、まず、自分にとって重要度の高い条件を洗い出し、その中で優先順位をつけましょう。全ての条件を満たそうとせず、ポイントを絞ることで、転職先の選択肢が広がります。

7-3.手当が多い会社を見つける

住宅手当、通勤手当、地域手当の他、薬剤師資格手当、研修認定薬剤師や外来がん治療専門薬剤師などの認定資格手当など、手当ができるだけ多い会社を見つけるのも、収入アップを目指す一つの方法です。

7-4.転職エージェントを活用する

転職エージェントを活用するのも有効です。転職エージェントでは、給与や勤務形態、場所、福利厚生など、希望する条件に適した転職先探しを、基本的に無料でサポートしてくれます。非公開の求人情報を多く有しているエージェントに登録することで、転職先の選択肢が広がるのも大きなメリットです。

8.まとめ

「年収をもっとアップしたい」「資格を取得したので、資格手当が充実している薬局で働きたい」という方におすすめなのが、薬剤師専門の転職エージェント「マイナビ薬剤師」です。

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この記事の著者

メディカルライター

山原 佳代

大学卒業後、医療機器メーカーに就職。その後、介護企業、広告代理店等を経てライターとして独立。
医療、ヘルスケア関連の広告物やメディアの記事執筆、ドクターへの取材、薬機法を考慮したコピーライティングを中心に活動している。

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