中高年(50代)の薬剤師が求人を見つけ、転職で採用を勝ち取る方法
薬剤師は、職場と雇用形態、勤務条件によっては他職種よりも募集年齢の幅が広く、なかには60歳以上も可とする職場もあります。
そのため、薬剤師の仕事は、40代・50代でも比較的転職しやすい業界といえるでしょう。とはいえ、50代の薬剤師の求人は数が限られており、採用を勝ち取るにはちょっとしたコツがあります。
今回は、50代の薬剤師が転職を成功させる方法をご紹介します。
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なお、40代の転職活動については以下の記事でまとめています。40代の方は、是非そちらの記事も併せてご覧くださいませ!
目次
1. 50代薬剤師の転職は、就職先や雇用形態の選定が重要
「50代だけど、今からでも転職したい」「50代でも採用してくれる職場はあるのかな……」と悩む薬剤師は多いです。
薬剤師の転職理由としては、年収や労働環境に対する不満、仕事内容(調剤の有無など)への不満、あるいは職場の人間関係などがよくあげられますが、50代の場合はそれに加え、「家庭環境の変化」や「定年後への不安」といった中高年特有の理由を抱える方も少なくありません。
また、50代の薬剤師は、20代や30代の若手薬剤師に比べると高収入の方が多いという特徴があります。薬剤師の平均年収577.9万円に対し、50代男性では710.3万~763.3万、50代女性では675.2万~695.8万円と、高くなっています。
データ出典元:政府統計の総合窓口 e-Statファイル/令和5年賃金構造基本統計調査 職種(特掲)、性、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)より、企業規模計(10人以上)の薬剤師の「きまって支給する現金給与額」×12(ヵ月)+「年間賞与その他特別給与額」にて算出
そのため、採用する側からみると、50代を雇うのは費用がかかります。そのうえ働ける期間も短くなってしまうので、どうしても若い薬剤師が優先的に採用されてしまう現状があります。
ですが冒頭にご説明したとおり、薬剤師は他の職種に比べても50代でも比較的転職しやすい傾向にあります。勤務条件や雇用形態によっては他の職種より募集年齢の幅が広く、なかには60歳以上の方も歓迎という職場もあります。
とはいえ、やはり年齢が上がるにつれて転職は難しくなってくるもの。スムーズに転職先を決めるためには、就職先や雇用形態をあらかじめ考えておくことが有効です。
まずは、スムーズに転職するための就職先や、雇用形態について考えていきましょう。
1.1. 就職先は調剤薬局やドラッグストアが中心
50代の薬剤師の求人は、調剤薬局やドラッグストアが中心になります。薬局は全国で約6万軒とコンビニよりも多く、今もなお増え続けています。
調剤薬局やドラッグストアはそもそも店舗数が多いので、必要とされる薬剤師の人数も多いのです。さらに、人員増や突然の欠員などの理由で薬剤師が足りなくなり、困っていることも少なくありません。
そのため、50代でも採用される可能性が高くなります。加えてドラッグストアは他の業種に比べて待遇のよい店舗が多く、年収アップも狙えるか傾向にあります。
既に50代以上の薬剤師が活躍している店舗で、研修期間をしっかり設けている店舗を選ぶようにしましょう。そういった職場では50代でも採用されやすい傾向にあり、採用後も早く職場に慣れることができるのです。
1.2. 正社員以外の雇用形態も視野に
50代ですと、定年まで働ける時間は多く残されていません。
また、新しい業務を覚えるのが難しいこともあり、「50代の薬剤師は正社員よりもパートやアルバイトで採用したい」と考える企業は少なくありません。
もちろん年齢で一律に決まるものではなく、例えば管理薬剤師の経験があれば、そのスキルを活かして正社員で活躍してほしいというオファーもあるかもしれません。
しかし、正社員としての働き方にこだわらなければ、転職活動がスムーズに進む可能性があります。
自身のキャリアを考えたうえで、パートやアルバイトといった雇用形態を検討してみるのもひとつの手です。あるいは、ダブルワークや派遣薬剤師なども視野に入れると、これまで考えてこなかった柔軟な働き方がみつかるかもしれません。
正社員以外の多様な働き方
正社員の他、準社員、契約社員、派遣社員、パート、アルバイトなど様々な働き方があります。ひとつの価値観に囚われず、自分が叶えたい暮らしにあわせて考えてみるのもいいですね。
転職に不安を感じている、転職市場が気になっている薬剤師の方は、ぜひマイナビ薬剤師にご相談ください。
薬剤師専任のキャリアアドバイザーがご相談内容にあわせて転職活動をサポートいたします。
2. 50代薬剤師の転職が難しい4つの理由
家庭を支える方が多く、絶対に失敗できない50代の転職。しかし、50代の薬剤師の転職では、応募する薬剤師側と採用する側の双方の思惑がからみ、以下のような理由から転職が難しくなりがちです。
理由1. 転職のための条件が多くなってしまう
50代ともなると、家庭をもっている場合、一家の大黒柱として収入を確保する役割を担っています。子どもも成長し、学費などの負担も重くのしかかるころでしょう。さらに、50代は自身の老後に向けた資産形成をしなくてはならない時期でもあります。
そのため転職においても、「教育費がかかるので年収○○円は欲しい」「定年後もよい条件で働ける職場がいい」など、求める条件が上がってしまいがちです。希望条件を、よく吟味する必要があるでしょう。
理由2. 転職に失敗した時のリスクが高い
若いうちであれば、応募した求人で採用に至らなかったとしても、すぐに切り替えて次の求人を探すこともできます。また万が一、転職した後で「やっぱり自分には合わなかった……」となっても、すぐに別の転職先を探しやすいものです。
しかし50代の転職では、条件を満たす求人数が少ないため、転職活動が長期化する可能性が出てしまいます。
先の見通しが立たない期間や離職した期間が長期化してしまうと、生活に影響してしまいます。特に家族がいる方の場合は、その影響は大きいと思います。
そのため、確実性のない転職に踏み切れない方も多いようです。
理由3. 人件費の割に、雇用可能期間が短い
50代の薬剤師はその年齢を考えると、転職後、若い人のように30年40年と長く勤務できるわけではありません。
定年後もパートや再雇用で同じ薬局で働くケースはありますが、勤務時間の短縮や体力の低下なども伴うため、職場にとっては戦力ダウンは否めないでしょう。
そもそも、50代は人件費が高くなるうえ、採用後は年下のスタッフに業務を教えてもらうことになるので、年齢がネックとなりギクシャクしてしまう可能性もあります。こうした将来性の面で50代の薬剤師を敬遠する企業もあることから、求人の幅が狭まってしまう傾向にあります。
理由4. 新しい仕事を覚えるのが難化していく
「昔に比べて薬の名前を覚えられなくなった」「新しい職場でレセコンや電子薬歴などのパソコン操作ができるか不安……」といったことはありませんか?
若い方に比べると、50代ではコンピュータの扱いに苦手意識のある方が多いと思います。
「そんなことはない」「新しい知識も勉強するから大丈夫」という方ももちろんいますが、一般的には(もちろん個人差はありますが!)年齢を重ねるにつれて体力は衰え、知識の定着が緩やかになる傾向にあります。
しかし、50代の薬剤師はそれまでの公私にわたる人生で積み重ねてきた経験があります。特に、調剤経験があって他の調剤薬局に転職する場合は即戦力として期待されることでしょう。
ただその場合でも、環境が変わるため調剤の配置などイチから覚えるべきことは少なからず出てくることに注意が必要です。
3. それでも50代の薬剤師が転職する3つの理由
ここまで述べてきたように、求人の数が少ない50代になって転職するには、やはりさまざまな壁があります。
それでも、薬剤師として50代で転職することを決意する方は多くおられます。その理由は、大きく3つに分けられるようです。
転職理由1. 定年後も働きつづけるため
「老後資金2000万円」が必要だとする金融庁の報告書が話題になったことに象徴されるように、老後への不安を抱える方は少なくありません。人生100年時代を前に、定年退職後も働く意向の人は増えています。
今勤めている職場は、定年後も働けるでしょうか。再雇用制度がない場合や、あったとしても「体力的に厳しい」「年収が極端に下がる」といった場合は、先に手を打った方がよいかもしれません。
なお、薬剤師の平均年収は50代をピークに、60代に推移すると減少傾向にあります。
50代のうちに、60代や70代になっても働きやすい職場を見つけておくのも一つの手です。いざ定年退職をしてからでは、選択肢はずっと少なくなってしまうのです。
転職理由2. 子育てが落ち着いたため
薬剤師の約6割は女性です。妊娠や出産を機に離職する方、育児のために短時間勤務やパートで働くことを選ぶ方も多いですが、50代になればそろそろ子どもの手が離れていきますよね。
今の職場で働く時間を増やすことを検討したり、子育ての落ち着きなど、ライフイベントを機に新しい職場に就職・転職したりするのもひとつの手でしょう。
薬剤師は、一般的に2年間働いていないと「ブランクがある」とみなされます。
調剤報酬の改定が2年に一度で、薬価の変更などがあるためです。ブランクが長くて不安がある場合は、アルバイトやパートから始めて徐々に慣れていくという方法もあります。
転職理由3. スキル不足に不安を覚えたため
製薬企業や調剤を併設していないドラッグストアに勤務してきたなどで、調剤経験がないまま50代になった薬剤師が、調剤のできる職場へと転職を考えることは珍しくありません。
調剤薬局であれば定年後も働ける可能性が高いので、今のうちに調剤経験を積んでおきたいと考えるためです。そして、調剤薬局や調剤併設ドラッグストアであれば、調剤未経験の50代の薬剤師でも転職できる可能性があります。
また、調剤をしている方でも、例えば門前薬局などでルーチンワークばかりだと感じている方が、他のスキルも幅広く学ぶために転職先を探すケースもあります。
4. 50代の薬剤師が採用を勝ち取るには
家庭を支える人が多い50代の転職は、短期間のうちに成功させなければなりません。転職活動を長期化させないために、以下のポイントを意識してみましょう。
4.1. 経験を生かせる職場に限定する
50代の転職は、なんといってもその経験値や実績が大きな強みとなります。転職先を選ぶのであれば、これまでの経験を生かせる職場を中心に探すのがポイントです。即戦力として人手不足を解消できることをアピールすれば、採用につながることでしょう。
調剤経験や管理薬剤師の経験の有無は重要なチェックポイントになります。また、研修認定薬剤師や実務実習指導薬剤師など、有用な資格を取得していればさらに大きなアピールポイントとなります。
4.2. 求人の多い職場をねらい撃ちする
50代での転職活動は、短期決戦がポイントであり、確実性の高い行動をとらなければいけません。病院から調剤薬局への転職など、これまでの経験を生かした転職を考えるとともに、求人数の多い職場を探してみましょう。
中途採用での募集が多い調剤薬局やドラッグストアなどは特にねらい目です。勤務条件を確認しながら、採用の可能性が広がる転職先を探すことが大切です。
4.3. 経験を鼻にかけず、学ぶ姿勢をアピールする
経験豊富であることは有利といえますが、プライドが高すぎると「扱いづらい」と思われてしまいかねません。
50代の転職では、周囲の先輩スタッフが年下になる可能性も高いため、協調性の高さが特に重視される傾向があります。採用面接には、謙虚な姿勢でのぞむことを心掛けましょう。
また、日進月歩の医療業界では、常に学ぶ姿勢が問われます。仕事に対するやる気を見せることも忘れないようにしましょう。
4.4. 転職活動の長期化を覚悟する
できるだけ短期間で転職できるのが理想ですが、条件が合わなければ、長期化する可能性もゼロではありません。急ぎすぎて「もうここでいいや」と妥協してしまうと、結果的に職場になじめず、また転職を考えてしまうかもしれません。
50代の転職は長期戦となることも想定し、計画的に準備を行うことが大切です。転職先が決まる前に退職するのはリスクがあるため、現在の職場で働きながら並行して転職活動を行うとよいでしょう。
ミドル世代は謙虚な姿勢が大切
ミドル世代の転職では、自分より若いスタッフが先輩になることが多くあります。このため、謙虚な姿勢で仕事に取り組み、年下先輩スタッフとも上手くやっていけるか?という点もポイントになります。
5. マイナビ薬剤師で50代の転職を成功させよう
50代を迎えて転職を決意したのであれば、情報収集をはじめ、事前の準備が必要となります。しかし、年齢的な課題もあり、不安も感じやすいものです。
そんなときには、転職のプロの手を借りて、アドバイスを受けながら、より効率の良い転職活動を行ってみましょう。
5.1. マイナビ薬剤師は非公開求人も豊富
転職をサポートするマイナビ薬剤師では、サイト上では公開されていない情報もあり、自分ひとりでは探せないような案件も存在します。非公開求人のなかには、経験豊富な人材を募集していることもあり、希望の条件に一致することもあるでしょう。
薬剤師の転職を専門とするマイナビ薬剤師では、50代の転職についてもノウハウがあり、さまざまな相談が可能です。
5.2. マイナビ薬剤師50代のご利用者の声
実際に、マイナビ薬剤師を利用した50代の声を見てみましょう。
6. 経験をアピールしながら50代の転職を成功させよう
未経験分野への転職は難しい場合もありますが、これまでの経験やスキルを生かせる職場であれば、50代であっても転職の道は開かれています。
50代の薬剤師が若い薬剤師に勝っている点は、何といっても経験と実績です。これまで何十年もかけて培ってきた知識やスキルは、一朝一夕で身につくものではありません。
しかし、これまでの経験をアピールするあまり、プライドが高いと思われてしまっては、逆効果でしょう。これからも学び続けたいという謙虚な姿勢を持ちながら転職活動にのぞめば、理想の職場がきっと見つかることでしょう。
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