公務員薬剤師の平均年収はいくら?地方・国家公務員の給料データを紹介

公務員薬剤師は、雇用の安定性や充実した福利厚生などが魅力とされています。就職を検討する際には、実際にどれくらいの年収が得られるのか、初任給はいくらかなど、気になることもあるでしょう。
本記事では、公務員薬剤師の平均年収や初任給を、国家公務員・地方公務員に分けて詳しく紹介します。また、仕事内容や働くメリット・デメリット、公務員薬剤師のなり方も解説します。
目次
1. 公務員薬剤師の平均年収
公務員薬剤師の給料は、原則として法律や条例などで定められた給与体系に基づいて支給されます。まずは、公務員薬剤師の平均年収について、国家公務員と地方公務員の2つのケースに分けて見ていきましょう。
1-1. 国家公務員の平均年収
国家公務員として病院、療養所、診療所、矯正施設、検疫所、学校などで調剤に従事する薬剤師の給料は「医療職俸給表(二)」に基づいて支給されます。
参考:人事院規則九―二(俸給表の適用範囲)第十三条|e-Gov 法令検索
人事院が公表した「令和7年国家公務員給与等実態調査報告書」によると、「医療職俸給表(二)」の平均給与月額は36万8,522円、平均俸給(基本給)額は32万5,357円でした。
平均給与月額の12カ月分に、令和7年人事院勧告で示された特別給(ボーナス)の支給月数4.65カ月分を加えると、国家公務員薬剤師の平均年収は593万5,174円と算出できます。
1-2. 地方公務員の平均年収
総務省の「令和6年 地方公務員給与の実態」によると、地方公務員薬剤師の平均年収は615万2,626円でした。
参考:令和6年 地方公務員給与の実態 第5表 職種別職員の平均給与額|総務省
※「薬剤師・医療技術職」の給与月額合計×12カ月分+期末手当・勤勉手当の合計にて算出
一方、厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」では、薬剤師の平均年収は599万3,200円と報告されています。
参考:賃金構造基本統計調査 令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 1 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)|政府統計の総合窓口 e-Stat
※「薬剤師」のきまって支給する現金給与額×12カ月分+その他特別給与額の合計にて算出
異なる調査に基づく数値ではあるものの、地方公務員薬剤師の年収は、薬剤師全体の水準とおおむね同程度であることが分かります。
2. 公務員薬剤師の初任給
公務員薬剤師の初任給は、国家公務員と地方公務員で異なります。ここからは、公務員薬剤師の初任給を見ていきましょう。
2-1. 国家公務員の初任給
「医療職俸給表(二)」が適用される国家公務員薬剤師の初任給は、2級15号俸に基づき支給されます。
参考:人事院規則九―八(初任給、昇格、昇給等の基準) 別表第二 初任給基準表(第十一条、第十二条関係)|e-Gov 法令検索
2025年度における初任給は25万6,000円となっており、前年度に比べて1万1,600円アップしていました。ただし、実際には俸給(基本給)に加えて、住居手当や通勤手当、超過勤務手当(残業代)といった各種手当も加算される仕組みです。
参考:初任給1万1600円増~6年制の公務員薬剤師 人事院|薬読
参考:国家公務員の給与制度の概要|人事院
2-2. 地方公務員の初任給
「令和6年 地方公務員給与の実態」によれば、地方公務員薬剤師の初任給は平均22万3,098円であり、国家公務員に比べるとやや低めの水準となっています。
参考:令和6年 地方公務員給与の実態 第4表 初任給|総務省
ただし、この金額はあくまで全国の平均値です。地方公務員の給与は、各都道府県や市町村が定めているため、勤務する自治体によって初任給の金額は異なります。
3. 公務員薬剤師の仕事内容
公務員薬剤師の仕事内容は、配属される組織によって異なります。ここからは、主な勤務先ごとに、公務員薬剤師の仕事内容を解説します。
3-1. 国家公務員の仕事内容
国家公務員として働く薬剤師の中でも、厚生労働省の薬系技官は、国の薬事行政の中核を担います。代表的な仕事内容は、以下のとおりです。
- 薬事分野:医薬品の品質・有効性・安全性を確保するための監視・指導、薬剤師国家試験の運営、違法薬物の取り締まりなど
- 保健医療分野:診療報酬・調剤報酬の改定や後発医薬品の使用促進による持続可能な医療制度の構築など
- 食品安全分野:食品添加物の指定や残留農薬の基準管理、食品衛生法に基づいた食の安全確保など
- 化学物質分野:化学物質のリスク評価や、毒物・劇物の取り扱いに関する取り締まりなど
- 研究開発分野:医薬品開発の環境整備や医療系ベンチャー支援による研究開発の促進など
- その他行政分野:国際的な薬事交渉や感染症への対応をはじめとした国内外の情勢に応じた行政業務など
また、消費者庁や環境省といった他の省庁へ出向し、さまざまな立場から行政に携わる機会もあります。さらに、国立医薬品食品衛生研究所のような国の研究機関や、地方の行政施設、在外公館で勤務するケースも見られます。
参考:薬系技官とは|厚生労働省
3-2. 地方公務員の仕事内容
地方公務員として働く薬剤師の主な勤務先には、都道府県庁の薬務課や保健所、公立病院、衛生研究所などが挙げられます。
都道府県庁の薬務課や地域の保健所では、行政の立場から公衆衛生に関わります。薬局や医薬品製造業の許認可、毒物・劇物を取り扱う事業者の登録、薬局への立入検査や監査などを通じて、医薬品が適正に使用される体制を整備する仕事です。
県立病院や市立病院といった公立病院では、病院薬剤師として臨床業務に従事します。調剤・服薬指導・医薬品管理といった一般的な薬剤師業務に加え、医師や看護師と連携するチーム医療の一員としての役割も担います。
また、衛生研究所は地域の衛生行政を担う中核機関です。感染症の原因となる病原体の解析や有害物質の検出、医薬品の衛生管理などを通じて、暮らしの基盤となる公衆衛生を支えます。
4. 公務員薬剤師のメリット
公務員薬剤師になるメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 雇用が安定している
- 福利厚生が充実しており、ワークライフバランスを維持しやすい
- 独自のキャリア構築を望める
それぞれのメリットについて見ていきましょう。
4-1. 雇用が安定している
公務員薬剤師の大きな魅力のひとつが、雇用の安定性です。近年、薬価・診療報酬の引き下げの影響などにより、病院や調剤薬局の経営環境が厳しさを増しており、経営悪化や店舗の閉鎖によって職を失う不安を払拭することは難しいかもしれません。
しかし、公務員薬剤師は雇用主が国や地方自治体であるため、民間企業と異なり、倒産や経営状況の悪化などによる失職のリスクが低く、長期的な視点でキャリアを築くことができます。また、定期的な昇給が見込め、賞与も安定して支給されるため、収入の見通しが立てやすい点も特徴です。
4-2. 福利厚生が充実しており、ワークライフバランスを維持しやすい
公務員薬剤師は、配属先にもよりますが、土日・祝日が休みの職場が多く、規則正しい生活リズムを送りやすいでしょう。比較的仕事とプライベートのバランスを保ちやすい働き方ができるといえます。
また、福利厚生が充実している点も魅力です。産前・産後休業や育児休業といった制度が利用しやすく、ライフステージの変化に柔軟に対応できます。特に育児休業は子どもが3歳になるまで取得可能で、一般的な企業よりも長く設定されているのが特徴です。復帰後も短時間勤務制度を利用できるため、子育てをしながらキャリアを継続しやすい環境です。
その他にも、保養所や提携ホテルの割引といったレクリエーション面の補助もあり、心身ともに充実した生活を送りやすい環境が整っています。
参考:国家公務員共済組合連合会
参考:妊娠・出産・育児・介護と仕事の両立支援のページ|人事院
4-3. 独自のキャリア構築を望める
公務員薬剤師になれば、薬局や病院での勤務とは異なる、独自のキャリアを築くことが可能です。
例えば「麻薬取締官」は、麻薬や覚醒剤などの薬物に関する犯罪を取り締まる専門職で、国家公務員が担う仕事です。一般の薬剤師とは異なる専門的な仕事は、大きなやりがいを感じられることもあるでしょう。
また、国家公務員であれば、出向により他の省庁や関連機関で働く機会もあります。薬学の知識を土台に、幅広い分野で経験を積める可能性がある点も、公務員薬剤師の魅力です。
5. 公務員薬剤師のデメリット
公務員薬剤師になると、定期的に異動を命じられることがあります。地方公務員は基本的に自治体内での異動ですが、国家公務員であれば全国規模の転勤となるケースもあるかもしれません。
また、公立病院勤務などを除くと、行政や衛生管理の業務が中心となります。そのため、調剤業務から長期間離れることで臨床経験にブランクが生じ、将来的に薬局や病院へ転職する際のハードルが高くなる可能性もあります。
加えて、公務員は国家公務員法や地方公務員法といった法律により副業が禁止されています。原則として株式や投資信託などの運用は認められる一方で、個人事業やアルバイトなど、報酬を得るような営利活動には従事できません。薬剤師の資格を生かして幅広く活動したいと考える方にとっては、選択肢を狭める要因となることを理解しておく必要があるでしょう。
6. 公務員薬剤師になるには?
公務員薬剤師になるためには、薬剤師免許を取得していることが前提です。その上で、国家公務員試験、もしくは地方公務員試験に合格する必要があります。
例えば、厚生労働省の薬系技官として国家公務員を目指す場合は、年に一度実施される採用試験を受けます。選考では、筆記試験や政策課題討議、個別面接が行われます。採用に関する詳しい情報は、厚生労働省のホームページなどで確認してください。
地方公務員の場合は、各都道府県や市町村が実施する公務員試験に合格しなければなりません。試験の日程や内容は自治体によって異なるため、受験する自治体の募集要項を必ずチェックしましょう。また、年齢制限を設けているケースもあるため、注意が必要です。
参考:薬系技官 採用サイト|厚生労働省
参考:総合職試験|国家公務員試験採用情報NAVI
参考:1類B採用試験(一般方式)|東京都職員採用
参考:令和7年度大阪府職員採用選考案内(薬学職・保健師職・栄養士職)|大阪府
7. 安定した環境で、独自のキャリアを構築しよう
公務員薬剤師の年収は、薬剤師全体の水準とおおむね同程度です。初任給は地方公務員よりも国家公務員の方がやや高い傾向にあり、いずれも地域や配属先によって異なります。
公務員薬剤師のメリットとしては、雇用の安定性やライフワークバランスを維持しやすいこと、独自のキャリア構築を望めることが挙げられます。全国規模の転勤を伴う可能性や、調剤業務から長期間離れることで臨床経験にブランクが生じること、法律で副業が禁止されている点も理解しておく必要があります。
安定した環境で独自のキャリアを構築したい方は、公務員薬剤師を選択肢のひとつとして考えてみてはいかがでしょうか。
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厚生労働大臣許可番号 紹介13 - ユ - 080554






