公務員薬剤師を辞めたくなったら？対処法や転職のコツについて解説
公務員薬剤師は、職場の業績や景気の動向に左右されない安定した職種です。しかし、公務員薬剤師の中には、業務内容や給与面、労働環境への不満、ライフステージの変化、転勤などの理由で転職を考える方もみられます。
今回は、公務員薬剤師を辞めたくなる理由や辞めたくなったときの対処法、キャリアを生かして転職を成功させるコツなどについて解説します。
目次
1. 公務員薬剤師が辞めたくなる理由
収入が安定していることや昇進・昇格の基準が明確なこと、景気に左右されずに働けることなど、公務員薬剤師は多くの魅力がある職種です。
しかし、仕事である以上、悩みや不満を感じる場面は必ずあります。中でも、「職場の人間関係」と「定期的な転勤」の2つは、公務員薬剤師が「辞めたい」と感じる大きな要因はだと言われています。
それぞれについて、詳しくみていきましょう。
1-1. 職場の人間関係
公務員薬剤師の仕事は、国家公務員薬剤師と地方公務員薬剤師大別され、それぞれに職務領域が異なります。
国家公務員の場合は、厚生労働省をはじめとする国の機関に所属し、薬事行政や医薬品の安全性監視などの業務を担います。一方、地方公務員の職場は、役所や保健所、公立病院など多岐にわたり、仕事内容も公衆衛生の監視指導や調剤業務、検査・研究業務などさまざまです。
こうした職場では、医療専門職以外の多くの職種と関わることも多いため、考え方や仕事の進め方が合わないと、ストレスを感じて精神的につらくなるケースもあるでしょう。
薬剤師としての専門業務をおこなう場合も、閉鎖的な空間で同じメンバーと働くケースが多く、人間関係の悪化が働きにくさにつながりやすい傾向にあります。
1-2. 定期的な転勤
公務員薬剤師には、転勤や異動がつきものです。一般的には3～5年ごとに異動があり、引っ越しを伴う転勤を命じられることもあります。
転勤や異動が多い理由として挙げられるのは、「各地域に公平なサービスを提供するため」や、「民間との癒着を防ぐため」「職員のスキルアップ・キャリアアップを図るため」などです。単身者や転勤に抵抗がない人にとっては、大きなマイナス要素になりませんが、結婚や出産を控えている人、マイホームやマンションの購入を考えている人には、転勤が負担になる可能性があります。
そのため、ライフステージの変化を機に、転勤のない職場への転職を希望するケースが少なくありません。
2. 公務員薬剤師を辞めたいと思ったら
公務員薬剤師を辞める場合、安定収入や定期昇給といったメリットを手放すことになります。後悔しないためにも、退職することでいまの悩みが解消されるのか、辞める以外に方法はないかなど、一度冷静に考えてみるのもよいでしょう。
2-1. 休暇の取得や休職を検討する
「日常業務がつらい」「職場の人間関係で疲れていて就業が難しい」などの悩みを抱えているときは、休暇の取得を検討するのも一つの方法です。
まずは、年次休暇や病気休暇を利用して、心身の疲労回復を目指してみましょう。それでも復帰が難しい場合には、最大で3年間休職することも可能です。休職した場合でも1年間は給与が保証されており、国家公務員であれば休職中の90日間までは全額支給、それ以降は5〜8割支給されるケースが多いようです。
2-2. 部署異動を申し出る
国家公務員、地方公務員とも、定期的に職員に対する異動希望調査が実施され、勤務地、部署、仕事内容の希望を伝えることができます。必ずしも希望がかなうわけではありませんが、異動したい理由とともに希望を申し出れば、現在よりも働きやすい環境に移れる可能性があります。
3. 辞める前にメリット・デメリットを理解しよう
休暇の取得や異動希望などを検討する際、あわせて考えたいのが公務員薬剤師を継続するメリットとデメリットです。ここでは、それぞれの内容を比較してみましょう。
3-1. 公務員薬剤師のメリット
公務員薬剤師を継続するメリットは、収入の安定性と充実した福利厚生です。
一般企業の場合、薬剤師の給与や賞与、昇給は、企業の業績や個人の貢献度などによって決まります。しかし、公務員薬剤師であれば、給与表に基づいて勤続年数、役職ごとに基本給が定められており、安定した収入を得ることができます。そのため、将来の見通しも立てやすいでしょう。
福利厚生が充実していることも大きなメリットで、住宅手当や地域手当など、さまざまな手当を受けられます。また、年次休暇や出産・育児休暇、介護休暇などの取得も推奨されているので、仕事とプライベートの両立が図りやすい傾向にあります。
公務員薬剤師について詳しく知りたい人は、こちらの記事も参考にしてください。
3-2. 公務員薬剤師を続けることのデメリット
公務員薬剤師の仕事がどうしても向いていないと感じた場合、ストレスをため込みすぎると、心身の不調に陥ってしまう可能性があります。異動や転勤により環境が変わることで、悩みが解消されればよいのですが、そうでない場合はデメリットの方が大きいかもしれません。
また、「公務員薬剤師を辞めたい」と考える人の中には、異動や転勤などの環境の変化をデメリットと捉える人もいます。部署が変わるたびに仕事の内容・進め方が変わったり、職場の人間関係を一から構築したりすることが、心身の負担になるためです。
4. 公務員薬剤師を辞めた後の転職先候補
公務員薬剤師を辞めた後の転職先として多いのは、薬局、ドラッグストア、大学病院の３つです。それぞれの特色をみてみましょう。
4-1. 薬局
調剤薬局は求人件数も多く、比較的転職しやすい職場です。公務員薬剤師のときよりも、事務作業が減り、調剤や服薬指導・管理などの専門的な業務が多くなるでしょう。働き方の自由度も高く、常勤、フレックス、時短、パートタイムなどの選択肢があります。
4-2. ドラッグストア
ドラッグストアも、ここ数年求人が増えている職場です。特に薬剤師資格を持つ人の需要は高く、給与面、労働条件面でも優遇される傾向にあるため、収入アップも狙えます。薬局と同じく働き方の自由度が高いので、常勤で働くのはもちろん、ワークライフバランスを重視して時短勤務で働くことも可能です。「薬剤師として今後どのように仕事をしていきたいか」というプランを明確にしたうえで、自分に合った職場を見つけるのがよいでしょう。
4-3. 大学病院
大学病院の薬剤師は調剤業務が中心ですが、大学という特性上、学生の教育や育成、研究・治験業務などをおこなうこともあります。また、病棟では医療チームの一員として、患者さんの治療計画の策定や服薬管理、勉強会やカンファレンスに参加する場合があります。
5. 公務員薬剤師の転職先選びのコツ
公務員薬剤師が転職しようと決めたとき、理想の転職先に効率よく出会うためにはどうすればよいでしょうか。最後に、公務員薬剤師の転職先選びのコツを紹介します。
5-1. 1〜2ヵ月の期間を想定する
転職すると決めたら、転職活動の期間をあらかじめ決めておきましょう。
活動期間は、求人探しから応募・面接・内定・入社までの過程と、いまの職場での退職交渉・引き継ぎの過程が２ヵ月以内に収まるのが理想です。期間が長引かないことで、高いモチベーションを維持し、適切な判断ができるからです。
5-2. 希望する勤務条件を洗い出す
転職活動の期間を決めたら、下準備をはじめます。まずは、勤務場所や勤務時間、日数、休日、給与、賞与、業務内容、人間関係といった勤務条件をリストアップし、次に項目ごとに自分の希望を整理していきます。実際にノートに書き出すことで、自己分析がしやすくなるでしょう。
5-3. 優先順位を決めて求人を探す
ノートに書き出した条件について、最も重要視する条件、その次に大切にしたい条件といった具合に優先順位をつけ、それにマッチした求人を探しましょう。優先順位を明確にしておかないと、「人間関係に悩んで転職を決意したのに、高収入に目をひかれて職場環境のチェックを忘れてしまった」といったように、本来の希望とは違う職場を選ぶ可能性もあります。
手当たり次第に手を出すのではなく、自分の希望に合ったものに絞って応募してください。
5-4. 転職エージェントを利用する
公務員薬剤師が転職する場合、これまでのキャリアやスキルを最大限に生かすことが成功のカギです。自身の魅力を志望先にアピールするためには、転職エージェントを利用するのもよい方法でしょう。
「マイナビ薬剤師」は、薬剤師を専門に扱う転職エージェントで、キャリア・スキルをベースにしたマッチングや条件交渉を得意としています。
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6. まとめ
安定した収入や手厚い福利厚生など、魅力の多い公務員薬剤師ですが、職場の人間関係や環境が合わなかったり、異動・転勤が負担になったりする場合には、転職するのも一つの選択肢です。
転職すると決めたら、新しい職場に求める条件や転職活動の期間を明確にし、高いモチベーションを持って取り組みましょう。なお、応募時には、公務員薬剤師として培ったスキルやキャリアを最大限に生かすことがポイントです。転職エージェントのアドバイスを参考にしながら、理想の転職を成功させましょう。
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