薬剤師が英語力を生かして転職できる4つの職場と、求められるレベル
薬剤師の転職先には、英語力の生かせる職場が意外にも多いことをご存知でしょうか?
近年、外国人の来訪も増え、一般の薬局でも英語を活用する機会は増えています。実はそれだけでなく、薬局以外にも英語力を活用できる職場はたくさん存在しています。
今回の記事では、自身が持つ英語力を薬剤師で生かしたいと考えている方に向けて、おすすめの働き方をご紹介します。
目次
1. そもそも、薬剤師に英語力は必要?
日本を訪れる外国人観光客や日本への移住者は増加の一途をたどっています。
日本政府観光局 (JNTO) が発表しているデータによれば、2018年の訪日外国人数は約3,120万人と初めて3,000万人を突破。2010年(約860万人)と比べると、3.5倍以上に増加しています。
また法務省の発表によると、平成30年末時点で日本に住む外国人住民は273万人強、前年末に比べ約17万人(6.6%)増加となり、こちらも過去最高の人数を記録しています。
こうした状況を背景に、ドラッグストアや調剤薬局を訪れる外国人はますます増えてくることが予想されます。それに伴い、薬剤師が英語で対応するケースも必然的に増えてくるでしょう。
これらの背景から、英語力は今後、薬剤師にとって重要なスキルの1つとなり、転職にあたっても有利になると考えられるのです。
2. 薬剤師が英語を習得する3つのメリット
ではまず、薬剤師が英語を習得することによって得られる3つのメリットについて見ていきましょう。
メリット1.新薬情報をいち早く理解することができる
新薬の情報は、医学雑誌やウェブサイトに英文で掲載されることが一般的です。
また、それらの情報が日本語に翻訳されて公開されるまでには数か月かかることもありますし、そもそもすべての記事や論文が日本語に翻訳され、公開されるわけではありません。
したがって、英文を読むことができれば、いち早く最新情報に触れ自身の知識にすることができるのです。
メリット2.海外の方への接客がスムーズになる
当然ですが、海外の方が病気やけがになってドラッグストアや調剤薬局を訪れた際に、どういった症状で、どういう薬がほしいかを説明しても、英語を理解できる薬剤師がいなければ適切な接客対応をすることができません。
そんなとき、英語が話せる薬剤師がいれば、丁寧な対応や商品説明ができて、接客がスムーズになります。
お客様の信頼感が高まり、口コミによって評判が広まれば、多くの外国人が顧客になってくれる可能性があります。お店の売上げアップにもつながるでしょう。
メリット3.転職や給料アップの可能性が広がる
実用レベルで英語を使いこなすことができる薬剤師は、多くても薬剤師全体の数%程度だと考えられます。
今後は外国人客の増加や医薬情報のボーダレス化が進展していくため、英語ができる薬剤師のニーズはますます高くなっていきます。
英語力がある薬剤師は、転職のチャンスが広がる可能性が高く、英語力の高さを転職時の条件交渉の手段として用いることもできるので、給料アップの可能性も高くなるでしょう。
3.薬剤師が英語力を生かして働ける4つの職場
薬剤師が英語力を生かして働くことができる職場には、以下に挙げる4つがあります。
それぞれの職場では、どのように英語力が求められるかを詳しく見ていきましょう。
3.1.特定の調剤薬局
調剤薬局のなかにも、英語力が求められる職場があります。
例えば、国際線の空港内にある薬局、もしくは空港に近い場所に出店している調剤薬局です。外国人観光客の利用が多いことから、ある程度の英語力は必須と言えるでしょう。
また、銀座、秋葉原、大手町、新宿などの外国人観光客が多い場所に出店している調剤薬局でも、英語での問い合わせに対応できるスキルは役立ちます。
そのほか、米軍基地や外国語学校の近隣にある店舗には英語圏の患者さんが多く来店するため、身についた英語力を生かすことができます。
これらの調剤薬局で勤務することによって、外国人客と接する機会が増えれば、さらに英語力を高めることができるでしょう。
3.2.海外とのやり取りがある医療系企業
臨床現場から離れて企業に就職することも、英語力を生かすチャンスです。
海外企業との提携や、協業を積極的に進めている製薬会社、また治験に関係する会社などでは、英語を活用する機会にあふれています。
国際的なプロジェクトに関わることも多く、英語を使った専門的なメディカルライティングができ、海外との英語のやり取りを行える人材が求められることも多いのです。
さらに、医療機器メーカーにおける学術業務、DI、薬事業務などでも、英語力がなければ対応できない業務があります。
英語で書かれた臨床試験の資料を翻訳したり、メディカルライティングとして英語で書類を作成したり……。専門的な説明を英語で行うため、より高い英語力が必要となるでしょう。
勤務する職種によって英語力のニーズが変わるため、どういった業務に携わるかで求められるスキルは大きく異なります。薬剤師ならではの知識と英語力を生かせる企業・職種を選びましょう。
3.3.海外勤務
英語圏の国で就職することになれば、英語を使うのが日常となります。
しかし、薬剤師免許はその国ごとに取得する必要があり、日本の薬剤師資格を持っていても、そのままで働くことはできません。
まずは、滞在国でライセンスを取得しなおすところからスタートすることになるでしょう。
再取得の方法としては、その国の薬科大学に編入して薬剤師資格を取得するか、薬剤師免許のトランスファー制度を利用して薬剤師資格を取得するための試験を受けるかのどちらかです。
また、同時に労働ビザを取得する必要があります。ただし、国によっては外国人の雇用が少なく、ビザの取得が難しい場合もあるので注意しましょう。
国によってはワーキング・ホリデー制度を利用することで、観光ビザでも就労することはできますが、期間が限られます。薬剤師免許を活用せず、外資系製薬会社の海外支店で勤務することも一つの手です。
そのほか、国境なき医師団などの海外派遣ボランティアとしての活動であれば、国内の薬剤師免許だけで海外での活動が可能です。
3.4.外資系の製薬会社
外資系の製薬会社は、社内の公用語が英語である場合もあるため、英語力は欠かせないスキルだと言えます。
他国での医薬品の承認申請を進めてシェアの拡大を図っている外資系の製薬会社では、薬剤師経験者を募集しています。
特に「DI職(ドラッグインフォメーション)」という職種は、医師やMRからの薬に関する質問に対して、英語で書かれた論文を読解して情報を提供するという仕事の性質上、英語力が必要となります。
薬剤師から外資系製薬会社のMRに転職する場合も、薬剤師の経験や英語力を生かして活躍することができます。営業成績によっては、高収入を得ることもできるでしょう。
4.求められる英語力のレベル
職種や勤務する場所によって、求められる英語力のレベルは異なります。
調剤薬局では、日常会話と病状確認・服薬指導ができる程度の英語力を、ドラッグストアでは、調剤薬局で必要になるレベルに加えて、商品の場所や値段を答えられる程度の英会話ができれば十分でしょう。
4.1.TOEICのスコアでは?
TOEICは自身の英語力を測る指標となります。一般的に企業への就職では、より専門的で高度な英語力が必要となります。
採用時の基準となるのはTOEICの点数。求められるレベルは企業・職種によって異なりますが、990点満点中800点を超える実力があれば、採用の可能性が高まるでしょう。
海外勤務は言うに及ばず、現地レベルの英語力が欲しいところ。
患者や来院した方とコミュニケーションを図れる英語力があるかどうかも重要になってきます。普段の生活はもちろん、薬剤師資格を再取得するのであれば、英語による試験に合格できる理解力も必要です。
国や州によって異なりますが、複数の試験に合格する必要があり、薬学的能力だけでなく、英会話能力をチェックする試験もあるため、かなり高難度の英語力が求められるでしょう。
4.2.医療英語を理解する
外資系メーカーなどで海外勤務を目指すのであれば、日常会話に用いる英語だけではなく、専門的な医療英語も学んでおく必要があります。
就職の際にはTOEICの点数も重要ですが、それ以上に、より専門的な内容を英語で説明できるかも重要になってきます。
医療英語特有の表現や言い回しを英語で話せるレベルでなければ外資系や海外勤務は難しいかもしれません。
まずは、TOEICで高得点を目指しながら、基礎英語をしっかりと固めていきましょう。基礎がしっかりと学べたなら、専門知識を増やしていくと医療英語が身についてくるはずです。
5. 英語力を活用して、自分の理想の働き方を手に入れるには?
英語力の高さが年収やポジションに直接影響することはあまりありませんが、英語力を活用して何らかの成果を出すことができれば、待遇面に反映されることも考えられます。
それ以上に、外国人観光客や移住者が増えていく時代に合って、英語力を生かして社会に貢献できるというやりがいを感じられるのは大きな喜びだといえるでしょう。
ただ、求人募集において英語力を条件として提示するところは少なく、情報が限られます。
地域の調剤薬局であればなおさら、患者さんの層まで明記されることはほとんどありません。
より濃い情報を集めるためにも、適切な職場を探すプロである転職エージェントを頼るのも一つの手です。
マイナビ薬剤師なら一般に公開されていない情報も多く、市場の状況を含めて適切なアドバイスをさせていただきます。
英語力を生かせる職場を探すのなら、是非ともご活用くださいませ!
[もっと知りたい! 続けてお読みください]
あなたにおすすめの求人
書類準備のQ&A
薬剤師の転職の準備に関するその他の記事
※在庫状況により、キャンペーンは予告なく変更・終了する場合がございます。ご了承ください。
※本ウェブサイトからご登録いただき、ご来社またはお電話にてキャリアアドバイザーと面談をさせていただいた方に限ります。
※薬剤師の人材紹介サービス15ブランドにおける調査。調査委託先:楽天インサイト(2019年10月)
「マイナビ薬剤師」は厚生労働大臣認可の転職支援サービス。完全無料にてご利用いただけます。
厚生労働大臣許可番号 紹介13 - ユ - 080554