ファーマコビジランスの仕事内容や必要なスキルについて徹底解説

ファーマコビジランスの仕事内容や必要なスキルについて徹底解説

医薬品のリスクやベネフィットのバランスを正しく評価するために必要不可欠な「ファーマコビジランス」。薬によっておこる影響について情報収集し、開発担当者などと連携して記録・評価する重要な役割を担います。
この記事ではファーマコビジランスの仕事内容ややりがい、求められるスキルなどをご紹介します。

1. ファーマコビジランス職とは

ファーマコビジランス職とは製薬会社などで活躍する職種の1つです。

ファーマコビジランスとは「pharmaco(薬の)」と「vigilance(監視)」という単語を組み合わせた造語です。日本語では「医薬品安全性監視」と訳されます。

世界保健機構(WHO)では、「医薬品の有害な作用または医薬品に関連する諸問題の検出、評価、理解及び予防に関する科学と活動」と定義されています。

医薬品の開発段階から医薬品の情報を収集し、記録、評価を行う仕事です。よって、医薬品の適正使用を推進するとともに、副作用などの健康被害のリスクを最小限に抑え、医薬品の価値を最大化する役割を担っています。

2. ファーマコビジランスの主な仕事内容

ファーマコビジランスは、医薬品の情報を収集し、分析、評価を行うことで安全性を維持する仕事です。
薬を服用したことで患者の身体に発生した、好ましくない症状のすべてを、MRなどと連携して収集し、記録、評価することです。

また、得られた情報をもとに、どのようにすれば薬を安全に使用できるかを分析し、医療施設や医療従事者に伝えたり、厚生労働省への報告なども行います。

3. ファーマコビジランスのやりがい

ファーマコビジランスは医療や患者に貢献できる仕事と言えます。

安全性情報の専門家として、薬が持っている副作用のリスクを克服するために、市販の薬や臨床試験中の薬などを対象に情報収集を行っています。

そのため、ファーマコビジランスは、医薬品安全性に関わる重要な仕事であるため、大きなやりがいのある仕事だと言えるでしょう。

4. ファーマコビジランス求められるスキル

ファーマコビジランスは、医療や患者の安全に貢献する重要な仕事となっているため、さまざまなスキルが必要になります。

ここではファーマコビジランス求められるスキルをご紹介しますので、ファーマコビジランスを目指している方は、どのようなスキルが必要となるのかぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

4-1. 変化への対応力

ファーマコビジランスには変化についていける対応力が求められます。

ファーマコビジランスの業務は、基本的には情報収集や報告書の作成というルーティンワークですが、薬機法やGVP、GPSPなどの医薬品や試験に関する法律や基準に準拠して行われており、これらの基準は頻繁に改正されるため、変化の多い一面もあります。

そのため、日々の変化についていけるスキルが必要になるでしょう。

4-2. 理系の知識

ファーマコビジランスの業務では、個々の症状と対象になる医薬品の因果関係の分析や、収集したデータから得られた一定の傾向などを報告書にまとめることになります。

疫学や統計学、科学的思考を駆使してデータ分析を行うことになるため、生物や薬学、化学、農学、バイオなどのさまざまな理系の知識が活かせるでしょう。

4-3. 語学力

ファーマコビジランスは、実際の医療現場での症例報告や学会での発表、科学誌に掲載されている論文などのさまざまな情報を収集することになります。

特に科学誌での症例報告や論文は英語で書かれていることが多いため、日常的に英語を目にします。また、海外進出してる製薬会社であれば、世界各国のグループ会社と緊密に連携をとる必要があります。

そのため、語学力が必要になると言えます。語学力の評価基準として、TOICEスコアを500~600点と設けている製薬会社もあります。

4-4. コミュニケーション能力

ファーマコビジランスは、市販後安全対策のためさまざまな外部医学専門家とコミュニケーションを取り、情報収集を行う必要があります。

そのため、社内の関連部門や外部医学専門家、規制当局などと良好な関係を築くことができるだけの高いコミュニケーションスキルが必須となるでしょう。

4-5. タイムマネジメント能力

ファーマコビランスが扱う情報は医薬品の安全性情報であるため、「正確性」や「スピード感」が求められます。優先順位付けし、スケジュール管理できる能力が必要となります。

5. ファーマコビジランスに必要な資格

ファーマコビジランスの業務には医学や薬学などの知識が必要になりますが、必須の資格はありません。

しかし、医薬品投与後の患者さんに起きた有害事象の経緯や状態、患者さんの背景、添付文書や臨床試験の情報などを読み取るために、医学・薬学の知識が必要不可欠となってきます。

そのため、薬の専門家である薬剤師の方はもちろん、看護師や臨床検査技師として医療現場で活躍されていた方も、知識や経験を活かすことができます。

6. ファーマコビジランスの今後

希少疾病用医薬品の増加や医薬品の早期承認制度の導入などにより、近年では市販後の薬品の安全対策が重視されるようになってきています。

そのため、医薬品の安全管理の専門家であるファーマコビジランスはますます重要性が高まっていく職種と言えるでしょう。
そのため、ファーマコビジランスには高い将来性があります。

7. まとめ

ファーマコビジランスは、薬のリスクを管理し、副作用から患者さんを守ることで、製薬会社の責務を果たす、社会貢献度の高い仕事です。

本記事では、ファーマコビジランスのやりがいやファーマコビジランス求められるスキルなどをご紹介しました。

興味がある方は、将来性の高いファーマコビジランスを目指してみると良いでしょう。

この記事の監修者

薬剤師専任キャリアアドバイザー

中村 貴大

薬剤師の転職サポート歴7年。
調剤薬局、病院、ドラッグストアなどの法人担当だけでなく、多くの求職者様の転職活動を成功に導いた経験と知識を活かし、転職活動を開始される皆さまを全力でサポートさせていただきます。

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