薬剤師を辞めたいと思う理由とは?対処法や転職で失敗しないためのポイントを解説

薬剤師を辞めたいと思う理由とは?対処法や転職で失敗しないためのポイントを解説

薬剤師として働く中で「このまま働き続けていいのだろうか」と悩むこともあるでしょう。薬剤師という責任ある仕事だからこそ、悩みは深く、一人で抱え込みがちです。

本記事では、薬剤師が「辞めたい」と思う主な理由や、違う仕事をするかどうかを判断するポイントについて解説します。また、「辞めたい」と思ったときの対処法や転職で失敗しないポイントもお伝えします。

1.薬剤師を「辞めたい」と思う主な理由

薬剤師を辞めたいと思う背景には、仕事内容とのミスマッチ、過度なプレッシャー、職場の人間関係など、さまざまな要因があります。はじめに、多くの薬剤師が抱えやすい悩みを8つの理由に分けて整理し、それぞれの特徴を詳しく見ていきます。ご自身の状況と照らし合わせながら読み進めることで、悩みの根本原因が見えやすくなるはずです。

1-1. 仕事内容が自分に向いていないと感じる

薬剤師を辞めたいと思う理由として、薬剤師としての仕事内容が、自分の性格や適性に合っていないと感じるケースが挙げられます。

例えば、患者さんとじっくり関わりたいのに調剤業務が中心だったり、逆に黙々と作業に集中したいのに積極的なコミュニケーションが求められる職場だったりすると、仕事内容と適性がかみ合わず、ストレスを感じやすくなります。

このようなミスマッチが続くと、仕事への意欲が薄れていってしまうことがあるでしょう。

1-2. ミスが許されない分、プレッシャーが大きい

薬剤師の仕事は患者さんの健康に直結するため、常に高い緊張感の中で業務を行う必要があります。

わずかなミスでも患者さんに影響が及ぶ可能性があるため、「絶対に間違えてはいけない」という意識が頭から離れず、心が休まるときがないと感じる人も少なくないでしょう。

こうした強いプレッシャーにさらされ続ける状態も、薬剤師を辞めたいと思う理由になり得ます。

1-3. 職場の人間関係になじめない

薬局や病院は、少人数で長時間を共に過ごすことが多い職場です。そのため、人間関係に困ったときでも物理的にも精神的にも距離を置きにくく、逃げ場がないと感じやすい環境といえます。

特定の同僚や上司と合わない場合、毎日顔を合わせ続けなければならない状況が大きなストレスになることもあるでしょう。

業務をスムーズに進めるためには良好な人間関係が不可欠ですが、自分だけの努力では状況を変えられないケースも少なくありません。

1-4. 教育体制やフォロー体制が整っていない

教育やフォローの体制が十分でない職場では、必要な知識や手順を理解しないまま業務を進めることになり、不安を抱えながら働く状況が続いてしまう可能性があります。

人手不足で指導や研修の時間が取れなかったり、質問しづらい雰囲気だったり、マニュアルが整っていなかったりすると、経験の浅い薬剤師ほど不安を感じることでしょう。

こうした環境では、いつまでも自信を持てないまま仕事に向き合うことになり、次第に働き続けること自体がつらくなって、辞めたいと思うのも無理はないかもしれません。

1-5. 給料や待遇に不満がある

給料や待遇への不満も、薬剤師を辞めたいと思ってしまう理由のひとつといえます。特に、自分の働きが正当に評価されていないと感じたとき、その思いは強くなるのではないでしょうか。

厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」によれば、薬剤師の平均年収は約599万円とされています。給与の水準が相場よりも低いと、頑張りが報われていないように感じてしまうことがあるでしょう。

また、評価基準が不明確で、成果が給与に反映されにくい職場もあります。どれだけ努力しても待遇が変わらない環境では、働く目的を見失いやすく、不満が積み重なりやすくなります。

1-6. ワークライフバランスが取れない

残業が続いたり、希望通りに休暇が取れなかったりすると、仕事中心の生活になり「もう辞めたい」と思ってしまうこともあるでしょう。

特に慢性的な人手不足の職場では、一人当たりの業務負担が増え、定時で帰れない日が多くなったり、休みたくても代わりの人がおらず休めなかったりする状況が生まれることもあるかもしれません。

病院における夜勤やドラッグストアでの土日・祝日の勤務など、職場によって働き方はさまざまですが、自分の望む生活スタイルと合わない場合、退職を考えることもあるでしょう。

1-7. 長期的なキャリアビジョンを持てない

長期的なキャリアビジョンを描けない状態が続くと、仕事への意欲は徐々に低下していきます。自分がどの方向へ向かって成長していくのか、将来の見通しを持てないまま働き続ける状況では、キャリアが前に進んでいるという実感を得にくくなるためです。

例えば、管理職のポストが埋まっていたり、専門薬剤師のような資格取得を支援する制度がなかったりすると、具体的な目標を立てることが難しくなります。また、日々の業務に追われて新しい知識を学ぶ機会が少ない場合、成長の余地がないと感じることもあるでしょう。

このような状況が続くと、自身の薬剤師としての市場価値に不安を覚えるようになり、成長できる環境を求めて、新たな職場を探したいと考えるのも自然なことといえます。

1-8. 新しい仕事にチャレンジしたい

現在の仕事に大きな不満がなくても、自分の可能性を広げたい、新しい環境で挑戦したいという前向きな気持ちから、転職を考える薬剤師もいます。

ひとつの職場で長く働いていると、業務内容がある程度固定され、新しいスキルを身に付ける機会が少なくなる場合があることも事実です。もっと専門性を高めたい、幅広い知識を身に付けたいと感じたとき、環境を変えることが成長につながる可能性があります。

例えば、在宅医療の分野で地域に貢献したい、病院でチーム医療の一員として臨床に深く関わりたい、製薬会社で研究開発に携わりたいなど、これまでとは違う領域への興味が、次のステップを考えるきっかけになり得ます。

2.薬剤師を辞めて違う仕事をするかどうかを判断するときのポイント

辞めたい気持ちが強くなっても、すぐに決断を下すのは難しいものです。ここからは、薬剤師を辞めて違う仕事をするかどうかを判断するときのポイントを「続ける方がいいケース」と「違う仕事をする方がいいケース」の2つの視点から解説します。

2-1. 薬剤師を続ける方がいいケース

薬剤師を辞めたいと思う理由が、薬剤師の仕事そのものではなく、現在の職場環境にある場合は、辞める決断をする前にほかの解決策を探りましょう。働く場所を変えるだけで状況が改善するケースもあるためです。

まずは、信頼できる上司や同僚に相談してみましょう。相談しづらい環境であれば、社内の異動制度を利用して部署を変える方法も選択肢のひとつです。それでも問題が解決しない場合には、薬剤師として別の職場へ転職するという選択肢を検討することで、状況が好転する可能性があります。

2-2. 薬剤師を辞めて違う仕事をする方がいいケース

薬剤師という仕事自体にやりがいを感じられない場合や、ほかに挑戦したいことが明確にある場合は、異業種への転職を検討してもよいかもしれません。また、仕事内容そのものへのミスマッチや、人の命を預かるプレッシャーにどうしても耐えられないといった問題は、職場を変えるだけでは解決が難しいことがあります。

こうしたケースでは、製薬会社のMR・CRAなど、薬剤師としての知識を生かせる職種へ進む道もありますし、思い切って全く新しい分野に挑戦する選択肢もあります。自分の価値観や興味に合ったキャリアに踏み出すことで、より納得感のある働き方を実現できるでしょう。

3. 薬剤師を「辞めたい」と思ったときの対処法

実際に「辞めたい」という気持ちが湧き上がってきたとき、どのように行動すればよいのでしょうか。ここからは「辞めたい」と思ったときの対処法についてお伝えします。

3-1. 問題解決のために行動する

辞めることを決意する前に、まずは現在の職場で問題を解決できないか試みることが大切です。

例えば、業務量が多すぎるのであれば、信頼できる上司に相談して調整を依頼する、人間関係に悩んでいるならその状況を伝える、といった具体的な行動が考えられます。

自分から動いてみることで、事態が改善に向かうかもしれません。こうした行動によって職場環境が整えば、辞めたい気持ちが落ち着く可能性も十分にあるでしょう。

3-2. 長期間の休みを取る

心と体が疲弊している状態では、冷静な判断ができなくなりがちです。休暇や休職制度を利用し、一度仕事から距離を置くことで、心身をリセットする時間を確保するのもよいでしょう。

慢性的なストレスや疲労は、自身の視野を狭めてしまうことがあります。十分に休むことで気持ちに余裕が生まれ、自分の将来について落ち着いて考えることができるようになるかもしれません。

3-3. 周囲の人に相談する

薬剤師を辞めたいと思ったときは、できるだけ一人で悩みを抱え込まず、家族や友人、同僚や先輩など、信頼できる人に話を打ち明けてみましょう

自分一人で悩み続けていると、考えが堂々巡りになりがちです。第三者の客観的な意見を聞くことで、自分では気づかなかった新しい視点や、具体的な解決策が見つかることがあります。特に、転職やキャリアの悩みを経験したことがある先輩の話は、判断材料として参考になることも多いはずです。

また、キャリアカウンセラーのような専門家に相談し、客観的なアドバイスをもらうことも、自分の状況を整理する上で助けになるでしょう。

3-4. 希望に合った職場に転職する

状況が変わらないと判断した場合は、希望条件に合う職場への転職を検討する段階かもしれません

転職活動を始める際は、自分が何を最も重視するのかを明確にすることが大切です。例えば、ワークライフバランスを重視するなら休日数が多い職場、スキルアップを目指すなら研修制度が充実した職場を選ぶなど、目的をはっきりさせてから行動に移しましょう。

4. 薬剤師が転職で失敗しないためには?

転職活動を進めるときは、失敗しないための準備が欠かせません。ここからは、転職で失敗しないために押さえておきたいポイントを解説します。

4-1. 転職理由を明確にする

転職活動を始めるときは、転職理由を明確にすることが大切です。理由が曖昧なまま転職活動を進めてしまうと、次に選ぶ職場の基準が定まらず、結果として繰り返し同じ状況に陥ってしまう可能性があります。

例えば「給料が低い」という一言で片付けず「努力が給与に反映されない評価制度に不満がある」といった具体的な形にまで掘り下げてみましょう。理由が明確になるほど、次に選ぶべき職場の条件も見えやすくなります

4-2. 求人を探す前に希望条件を整理する

求人を探し始める前に、転職先に求める条件を整理しておきましょう。例えば「年収は550万円以上」「年間休日は125日以上」「自宅から30分以内で通える」など、具体的に書き出して順位付けしておくと、自分に合う職場を見極めやすくなります。

希望条件を整理するときは「絶対に譲れない条件」と「できれば満たしてほしい条件」に分けて考えるのがおすすめです。給与や休日、勤務地など、すべての希望を完全に満たす職場を見つけるのは簡単ではありません。だからこそ、あらかじめ優先順位を決めておくことで、ミスマッチを防ぎながら効率よく求人を探せます。

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4-3. 転職後のキャリアビジョンを立てる

転職をゴールにするのではなく、その先のキャリアビジョンを立てておくことも、転職で失敗しないポイントです。5年後、10年後どのように働いていたいのかを、できるだけ具体的にイメージしましょう。

例えば「専門薬剤師の資格を取得して、特定の分野で活躍できる人材になりたい」「管理薬剤師として、店舗のマネジメント経験を積みたい」など、具体的なビジョンを持つことが、長期的な視点での職場選びにつながります。

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4-4. 転職エージェントを活用する

一人で転職活動を進めるのが不安な場合は、薬剤師専門の転職エージェントを活用しましょう。転職エージェントを活用すると、非公開求人の紹介を受けられたり、応募書類の添削や面接対策をしてもらえたりとさまざまなメリットがあります

また、自分では交渉しにくい給与や条件面の交渉を代わりに行ってくれる点も心強いポイントです。

エージェントごとに保有している求人や提供されるサービス内容が異なるため、複数のエージェントに登録して比較する方法もおすすめです。

5. 今の悩みを整理して、納得できる選択をしよう

薬剤師が辞めたいと思う理由は、適性とのミスマッチや現職への不満などネガティブな理由のほか、新しい仕事にチャレンジしたいといったポジティブな理由であるケースもあり、人によってさまざまです。

薬剤師を辞めたいと思ったときには、悩みの原因を見つめ直し、まずは現在の職場で問題解決に向けて行動してみましょう。また、長期間の休みを取ったり、信頼できる上司や同僚に相談したりすることで、具体的な解決策が見つかることもあります。

状況が変わらないと判断した場合は、転職を検討するのもよいかもしれません。転職活動では、転職理由や希望条件を明確にして、転職後のキャリアビジョンを立てましょう。必要に応じて、非公開求人の紹介を受けられたり、応募書類の添削や面接対策をしてもらえたりする転職エージェントも活用しながら、自分に合う働き方を見つけてください。

この記事の著者

薬剤師

篠原 奨規

2児の父。調剤併設型ドラッグストアで勤務する現役薬剤師。薬剤師歴8年目。面薬局での勤務が長く、幅広い診療科の経験を積む。新入社員のOJT、若手社員への研修、社内薬剤師向けの勉強会にも携わる。音楽鑑賞が趣味で、月1でライブハウスに足を運ぶ。

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