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登録販売者がなるべき管理者(店舗管理者)とは?条件やメリットについて

登録販売者がなるべき管理者(店舗管理者)とは?条件やメリットについて

登録販売者であれば、一度は経験したい「管理者」。管理者になれば、医薬品販売の責任者として、一人で一般医薬品の販売やカウンセリングがこなせるようになります。
また、店舗運営に直接関わるだけでなく、店舗の従業員の監督や指導にも携わる、いわば管理職としての立場で働くことができます。

この記事では、「どうすれば管理者になれるのか?」、「管理者になれば具体的にどのようなメリットが期待できるのか?」など、管理者に関する疑問について詳しく解説していきます。

<訂正:2023年10月>
本記事において、登録販売者を国家資格とする表記がございました。お詫びして訂正いたします。



1.登録販売者について

登録販売者とは、一般医薬品の販売・カウンセリングを行うための厚生労働省が定める国の資格制度です。
登録販売者の資格があれば、薬局・ドラッグストア・コンビニなどの医薬品を扱う店頭で、第一類医薬品を除くすべての一般用医薬品 を販売することができます。

薬剤師不足が叫ばれるなか、薬剤師に次ぐ薬のスペシャリストとしてのニーズが高まっており、医薬品販売に関わるさまざまな業種へと活躍の場が広がっています。

登録販売者を取得後、一定の要件を満たせば、「店舗管理者・区域管理者(管理者)」という立場で働くことができるようになります。
次の項で、管理者について詳しく解説します。

2.登録販売者がなるべき管理者とは

「管理者」には「店舗管理者」と「区域管理者」の2つの種類があります。
「店舗管理者」は名前の通り、薬局やドラッグストアの店舗の責任者としての立場です。
一方、「区域管理者」は、配置販売業という一般薬の販売形態において、責任者として薬の販売やカウンセリングを行う立場です。

ちなみに、配置販売業とは、いわゆる“置き薬”のシステムのことで、販売員が企業や個人宅を訪問して常備薬の箱を設置し、定期的な訪問によって集金と薬の補充を行います。
区域管理者になれば、営業地域内の配置販売業の責任者としての業務を行うことができるようになります。

店舗管理者と区域管理者の業務内容は若干異なるものの、「一般医薬品の販売業務の責任者」という意味ではほぼ同じ立場であるため、ここからは、店舗管理者と区域管理者を総括する用語として、主に「管理者」を用いて解説していきます。
管理者としての勤務実績は、年収アップや自身のキャリアアップに直結するため、登録販売者ならとっておくべき資格です。

3.管理者になるためには?

登録販売者が管理者になるためには、一定の要件を満たす必要があります。管理者になるための要件や必要書類などについて見ていきましょう。

3-1.管理者要件を満たす必要がある

かつて、登録販売者の受験資格として「学歴」や「一般医薬品販売に関する1年以上の実務経験」などが求められていた旧制度では、登録販売者試験への合格と同時に「管理者」の資格を得ることができました。

しかし、平成26年の登録販売者制度の改正により施行された新制度では、学歴や実務経験といった受験資格が廃止されました。
これにより、登録販売者試験の受験のハードルが低くなり、誰でも受験できるようになったのですが、その一方で、「管理者」としての資格を得るためには、別途要件が設けられることになりました。
この要件も平成26年以降何度か改正されており、現行の制度(令和5年に改正)では、管理者になるためには以下の3つのうちいずれかを満たす必要があるとされています。

(1)「過去5年間のうち、通算2年以上(1920時間以上)の実務経験がある。」
(2)「過去5年間のうち、通算1年以上(1920時間以上)の実務経験があり、かつ継続研修並びに追加的研修を修了している。」
(3)「通算1年以上の実務経験があり、かつ過去に管理者として業務に従事した経験がある。」

ここで言う「実務」は、以下の3つが該当します。

  • 一般従事者として薬剤師または登録販売者の管理および指導の下に実務に従事
  • 登録販売者(研修中)として薬剤師または登録販売者の管理および指導の下に実務に従事
  • 登録販売者として業務(店舗管理者または区域管理者としての業務を含む)に従事

(参照:厚生労働省 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法 律施行規則の一部を改正する省令の一部を改正する省令の施行等 について

尚、(1)・(2)の場合、過去5年間の実務経験は、学業や過程の都合などでブランクがあったり、別の薬局への転職があったりした場合でも、通算1年以上または2年以上あれば実務経験としてカウントできます。

3-2.必要書類を提出する必要がある

管理者になるための要件を満たしたら、実際の実務経験を証明する書類「実務(業務)従事証明書」を入手する必要があります。
企業側には、証明を求められたら速やかに証明書を発行する義務がありますので、恐らく用紙も企業側で手配してもらえる場合がほとんどだとは思いますが、もし用紙を持参するように言われたら、各都道府県のホームページで「実務(業務)従事証明書」から書式をダウンロードしましょう。

過去5年間に2つ以上の企業に勤務していた場合は、それぞれに対して発行を依頼します。
この「実務(業務)従事証明書」は管理者としての要件を満たしていることを証明するとても大切な書類です。
最終的にはこの「実務(業務)従事証明書」を、企業に提出することで、はじめて管理者として勤務することができます。

4.管理者が行う業務範囲

実際の業務にあたり、管理者が担う業務範囲について詳しく見ていきましょう。

4-1.医薬品の販売

管理者が担う業務の一つが、一般用医薬品の販売です。 一般用医薬品は、副作用や飲み合わせのリスクが比較的高い「第一類医薬品」と、それ以外の「第二類医薬品」、「第三類医薬品」の3つのランクに分類されており、このうち原則的に管理者による販売・カウンセリング業務が許可されているのは「第二類医薬品」と「第三類医薬品」です。 「第一類医薬品」に関しては、原則的に薬剤師のみが扱うことができます。

とはいえ、「第二類医薬品」と「第三類医薬品」を合わせると、一般用医薬品の約9割にあたることから、ほとんどの一般医薬品の販売・カウンセリング業務ができることになります。 また、ドラッグストアやホームセンターなどで勤務する場合は、医薬品のみならず、医薬部外品や生活用品など、幅広い商品の販売業務を兼任することもあります。

4-2.店舗運営に関わる業務

管理者になると、販売業務だけでなく、店舗運営に係る「人・物・お金」の管理、つまりシフト管理・在庫管理・売上げ管理などに直接関わる業務が増えます。
お店ごとの「月間売上げ」や「ピークタイム」、「客層」などのデータから売上げ目標の設定をしたり、それを考慮した売れ筋商品の仕入れや在庫管理をしたりすることなどにも携わるようになります。

さらに売上げ目標を実現するために、短期的に効率の良い社員、パートタイム・アルバイト従業員のシフト作成や出勤管理はもちろん、長期的に店舗で勤務する人材の採用・育成・管理・指導も重要な業務の一つです。

5.管理者になるメリット

管理者になると、これまで以上に責任ある立場として勤めることになります。
管理者になることによって得られるメリットについて知っておきましょう。

5-1.年収アップに繋がる

管理者要件を満たした登録販売者の場合、給与ベースが高めに設定されていたり、企業から手当がついたりすることも多く、一般の登録販売者として勤めている時よりも年収アップが見込めます。
正社員の場合であれば、店舗の売上げアップに貢献することでボーナスも期待できます。

5-2.キャリアアップが見込める

管理者として店舗運営に携わるという経歴は、社会的にも責任ある立場を経験していることの証明になります。
管理者として店舗をまとめる経験をすると、これまで見えてこなかった「人・物・お金」の動きや、医薬品市場の動向がつかめるようになります。

こうした経験は、医薬品販売のスペシャリストとしての側面にとどまらず、経営者としての視点を育むものでもあり、社会人として大きなキャリアアップに直結するものです。

5-3.市場価値が高まる

管理者は、一般用医薬品を扱う店舗であれば、企業が必ず一人は置かなくてはならないポジションです。
そのため、管理者になることができる登録販売者は希少価値もさることながら、幅広い業界での需要が高く、転職市場においても有利な立場になります。

特に薬局やドラッグストアの転職市場では、一般の登録販売者との差別化が図れるため、よりよい就業条件や、給与アップを目的とした転職も成功しやすくなります。

また、管理者としての業務実績は、一般社会においても実力と信頼の証明になります。
先にも述べたように、管理者のような「人・物・お金」を管理する立場というのは、社会的信用や高い対人スキルが求められるからです。
他業種への転職時にも、管理者としての職歴を記載することにより、一目置かれる存在になるでしょう。

6.まとめ

登録販売者試験に合格し、実務経験を積んで管理者要件のいずれかを満たせば、管理者になることができます。
これから管理者を目指して経験を積もうという方、あるいはすでに要件を満たしている方は、実務経験を証明する「実務(業務)従事証明書」を取得するようにしましょう。

管理者になれば、年収アップが見込めるだけでなく、社会人としての大きなキャリアアップが見込めます。
一般の登録販売者との差別化を図り、転職を有利に進めるためにも、ぜひ管理者を経験しておきましょう。

この記事の監修

医学博士・医学研究者

榎本 蒼子

最終学歴は京都府立医科大学大学院医学研究科博士課程卒業。
2011~2015年 京都府立医科大学にて助教を勤め、医学研究および医学教育に従事。

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