医薬品販売における2分の1ルールとは?登録販売者などへの影響について

医薬品販売における2分の1ルールとは?登録販売者などへの影響について

これまでOTC医薬品を販売する店舗に対しては、営業時間の半分以上、薬剤師もしくは登録販売者を配置しなければならないという、いわゆる「2分の1ルール」が義務付けられていました。
ところがコンビニエンスストア業界などからのルール撤廃を求める要望を受け、2021年8月1日、厚生労働省は医薬品販売における「2分の1ルール」を撤廃するよう通達。これにより、OCT医薬品販売店舗は「2分の1ルール」に縛られることがなくなったため、これまでよりも幅広い業種が医薬品販売市場へ参入しやすくなりました。

しかしその一方で、このルールの変更によって、現在、薬剤師や登録販売者として働く人たちにもさまざまな影響を与えることが懸念されています。
2分の1ルール撤廃によって、実際にどのような影響が考えられるか、医薬品販売業界の今後の動向もあわせてみていきましょう。

1. 医薬品(OTC)販売の2分の1ルールとは

医薬品(OTC)販売における「2分の1ルール」とは、販売店舗の営業時間の中で、半分以上はOTC医薬品販売の有資格者である薬剤師、もしくは登録販売者を常駐させなければならないという決まりのことです。

この2分の1ルールは、厚生労働省が1964年に示した「薬局並びに店舗販売業および配置販売業の業務を行う体制を定める省令」のなかで定められたもので、OTC医薬品を購入する消費者が、安全かつ適正に医薬品を使用できるように、有資格者による相談体制を確保することを目的としていました。

実際に、これまでの医薬品販売店舗では、基本的に店舗の営業時間は、薬剤師または登録販売者を常駐させ、医薬品販売を行ってきました。

参照元:厚生労働省/医薬品の販売制度

1-1. OTC医薬品について

OTC医薬品とは、医師の処方箋がなくても、消費者自身が薬局やドラッグストアなどで購入することができる医薬品のことです。
OTCという用語は、市販薬の国際的表現である「Over The Counter(オーバー・ザ・カウンター)」の略語で、カウンター越しに買うことができる医薬品を意味しており、一般的には「市販品」と呼ばれることもあります。

このOTC医薬品は、まず「要指導医薬品」と「一般医薬品」の2つに大別されます。このうち、要指導医薬品は、使用に際して慎重に扱う必要があるため、必ず薬剤師が指導販売することが義務付けられている薬品類で、日常生活では比較的馴染みがないものです。実際、店頭でも、消費者が自分で手に取ることができない場所に保管されています。

それに対して、一般医薬品は、私たちにとってより馴染みのあるOTC医薬品です。一般医薬品は、副作用リスクの高いものから、「第1類医薬品」、「第2類医薬品」、「第3類医薬品」の3つに分類されています。このうち、「第1類医薬品」は、使用に際してより注意が必要なため、薬剤師しか取り扱うことができませんが、「第2類医薬品」と「第3類医薬品」に関しては、登録販売者もカウンセリング・販売を行うことが認められています。

2. 2分の1ルールを撤廃する理由

従来のルールでは、OTC医薬品を販売するためには、営業時間の半分以上の時間、薬剤師または登録販売者といった有資格者を常駐することが義務付けられていました。

しかしこの「2分の1ルール」、とある業界組織からの規制緩和要求を受け、2021年8月に撤廃されることになったのです。その業界組織こそが、大手コンビニエンスストア(CVS)企業が加盟する日本フランチャイズチェーン協会(東京都)です。

コンビニエンスストアといえば、その多くは24時間営業です。24時間営業しているコンビニエンスストアが、OTC医薬品を販売したい場合、従来の「2分の1ルール」にのっとると、毎週84時間以は薬剤師または登録販売者を常駐させなくてはならなかったのです。コンビニ業界からの規制緩和要求を受けた厚生労働省も、この「2分の1ルール」が、OTC医薬品の販売市場の拡大にストップをかけてしまっている要因の一つになっていると判断し、撤廃を決定ました。

3. 2分の1ルール撤廃のメリット・デメリット

「2分の1ルール」が撤廃されたことにより、今後どのようなメリット・デメリットが考えられるでしょうか?医薬品販売業会、そして消費者への影響についてみてみましょう。

3-1.薬局・ドラッグストア以外に医薬品(OTC)を置きやすくなる

これまでは医薬品販売といえば、やはり薬局やドラッグストアが主流でした。もともと保険調剤を扱っていたりする関係で、薬剤師や登録販売者などの有資格者のスタッフがいつでも常駐していますから、当然OTC医薬品の販売も並行して行っているのが一般的です。もちろん、ホームセンターやスーパー、コンビニなどでもOTC医薬品を扱っている店舗もありましたが、「2分の1ルール」を満たすために営業時間の半分以上の時間、有資格者を雇える店舗というのは少数でした。

しかし、「2分の1ルール」が撤廃されると、その縛りがなくなるため、これまで有資格者の人員配置が難しかった店舗でも、OTC医薬品販売に参入がしやすくなります。もちろん、実際にOTC医薬品を販売できるのは、有資格者が店頭にいる時間帯に限られますが、それでも、調剤薬局やドラッグストアが閉まる深夜帯や早朝などに有資格者を配置してOTC医薬品を販売すれば、それなりに需要が見込めるため、これまでよりも幅広い業種がOTC医薬品販売に乗り出すと思われます。

3-2.誤薬が起きる可能性がある

「2分の1ルール」の撤廃によって一番懸念されるのが、安全性の問題です。冒頭でも述べたように、そもそも、「2分の1ルール」は、OTC医薬品を購入する消費者が、安全かつ適正に医薬品を使用できるように、有資格者による相談体制を確保することを目的として定められていたものです。

しかし、「2分の1ルール」が撤廃されると、有資格者はOTC医薬品を販売する時間帯だけ店頭にいればよいことになり、コンビニやスーパーなどでは、有資格者がいる時間帯が限られてしまうことも起こり得ます。そうなると、OTC医薬品を購入前や購入後に、不明点や何らかの不具合が発生した時、消費者がすぐに有資格者に相談できる体制が整わず、誤った薬を服用してしまったり、不適切な方法で服用したりという誤薬が起きる可能性があるのです。

4. 2分の1ルール撤廃の影響について

「2分の1ルール」の撤廃は、従来のOTC医薬品販売店やそこで働いてきた薬剤師および登録販売者といった有資格者にもさまざまな影響が及ぶ可能性があります。それぞれの立場への影響をみてきましょう。

4-1.薬局・ドラッグストアへの影響

これまでOTC医薬品の販売において中心的な役割を果たしてきた薬局・ドラッグストアですが、「2分の1ルール」の撤廃により、コンビニ業界やスーパー、ホームセンター、大型量販店などがOTC医薬品の販売に乗り出すことにより、当然客足に影響がでてきます。

一般消費者にとって、日常的に訪れる頻度の高いコンビニや、スーパーなどでも手軽にOTC医薬品が購入できるとなれば、わざわざ薬局にいく必要性が低くなるでしょう。今後、OTC医薬品を扱うコンビニやスーパーがいまよりも増えれば、日用品を買う感覚で、買い物と一緒に手軽に購入できるようになるかもしれません。

4-2.登録販売者への影響

「2分の1ルール」の撤廃によって、直接的な影響が及ぶのではと懸念されているのが、医薬品販売のスペシャリストである登録販売者です。登録販売者は、薬剤師に次ぐ医薬品取り扱いの資格として人気の職業で、薬局・ドラッグストア市場の急拡大に伴って、将来性も期待されてきました。しかしながら、「2分の1ルール」が撤廃されれば、これまでのように登録販売者が店頭に常駐することが必ずしも求められなくなり、需要が落ち込み、就業時間も減少するのでは、と懸念されています。

しかし、その一方で、コンビニやスーパーなどをはじめとする業界が医薬品販売に新規参入することも増えてくるため、結果的に登録販売者の活躍の場がさらに拡大するのではという見方もあります。
いずれの場合でも、登録販売者はこれまでよりもよりフレキシブルで、どのような業界、雇用形態でも対応することが求められるのかもしれません。

登録販売者をとりまく現状や、将来性についてもっと知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

4-3.薬剤師への影響

これまで、薬局やドラッグストアなどでは、「2分の1ルール」を満たすために、薬剤師のみならず、登録販売者を複数人配置して、両者が連携することによって医薬品販売店としての体制を整えてきたケースが主流でした。

しかしながら、「2分の1ルール」の撤廃により、登録販売者の配置を減らし、その代わりにすべての医薬品を扱える薬剤師を最低限の人数配置することで、店舗を運営する流れへとシフトしていく企業もでてくることが予想されます。

そうなると、医薬品を扱えるのが薬剤師だけという状況も増え、しだいに薬剤師への負担が増えていく可能性があります。単純に業務量や残業が増えるだけでなく、休暇が取りづらくなるといった状況も考えられるので注意が必要です。

5. まとめ

医薬品販売における「2分の1ルール」の撤廃は、医薬品販売市場の拡大を促す一方で、薬剤師や登録販売者にとっても、さまざまな影響がでてくると予想されます。当然、医薬品販売業会の転職市場も動きが活発になることが見込まれるため、今後しばらくは中長期的に動向を注視してくことが重要です。

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この記事の監修

医学博士・医学研究者

榎本 蒼子

最終学歴は京都府立医科大学大学院医学研究科博士課程卒業。
2011~2015年 京都府立医科大学にて助教を勤め、医学研究および医学教育に従事。

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