登録販売者は年齢制限がない?気になる働き方を解説

登録販売者は年齢制限がない?気になる働き方を解説

登録販売者として働くことに興味があるものの、年齢によっては不利なこともあるかも?と資格の取得に一歩踏み出せない方がいらっしゃるかもしれません。

しかし、法改正により資格取得の条件が緩和され、さまざまな年代の方が登録販売者として薬局やドラッグストアなどで活躍されています。また就職活動するにあたって、どのような働き方があるのか気になるところです。

ここでは、登録販売者の資格の取得を考えている方に向けて、登録販売者の年齢制限や資格取得後の働き方などについて解説します。

1. 登録販売者の年齢制限

平成27年の登録販売者の制度の改正により、登録販売者試験の受験資格の見直しが行われました。かつては登録販売者の受験資格には、薬局などでの実務経験などの条件があり、受験できるのは一部の方に限られていました。

しかし、制度が変わったことによって受験のハードルが下がり、年齢や学歴に関係なく登録販売者の試験に合格すれば、誰でも取得することができるようになりました。

2. 未経験&独学でも合格は可能

登録販売者の試験は未経験&独学でも合格は可能です。資格取得の条件が緩和され、年齢や実務経験の有無に関係なく誰でも合格を狙うことができます。未経験でも独学で合格は可能なので、思い立ったら誰でも資格取得のための勉強を始めることができるのも魅力。

年齢制限がないので資格取得後、幅広い年齢層の方が活躍されています。登録販売者試験は都道府県によって行われており、問題は都道府県によって異なるため合格率に幅があります。令和4年度の試験の全国平均の合格率は、44.4% と比較的取得しやすい資格と言えるでしょう。

それでは登録販売者の資格取得後の主婦や学生、高齢での再就職の場合での働き方の具体例をご紹介しましょう。

参照元:厚生労働省/これまでの登録販売者試験実施状況等について

2-1. 主婦の場合

登録販売者は、一般用医薬品の接客販売など知識を活かしてさまざまな働き方ができるため主婦の方にもおすすめです。 例えば「土日は休みたい」「配偶者控除の範囲内で働きたい」など家庭の都合に合わせてパートなどの短時間で働けるのも魅力の一つ。

さらに子育てがひと段落したので、正社員で働くなど実際に多くの主婦の方が登録販売者として現場で活躍しています。仕事内容や諸々の条件など、自分の希望にあった就職先を選ぶことができるので、安定したキャリアを築けるため、継続して登録販売者として働く上での強みになります。家事や子育てと両立しながら働ける職場もあるので、可能なら早めに取得しておくのが得策です。

2-2. 学生の場合

受験に年齢制限はないため、学生でも登録販売者の資格を得られます。登録販売者の資格があることで、無資格者よりバイト採用の確率が上がりますし採用された場合は、時給アップにつながる可能性があります。

また、就職活動の際には履歴書に「登録販売者の資格あり」と記入ができるので、資格を持っていた方が有利になるでしょう。資格の期限はないので一度取得すれば、永久に登録販売者の資格保有者として名乗れることになります。このことから資格を取得することに価値は十分にあるといえます。

資格取得の勉強は学業との併用では忙しくなるかもしれませんが、令和4年度の登録販売者の試験の合格率を都道府県別に見ると、30~50%台 となっており、難易度はそれほど高くありません。充分に勉強をすれば合格は見えてくるはずです。

参照元:厚生労働省/これまでの登録販売者試験実施状況等について

2-3. 中高年での再就職の場合

資格取得に年齢制限がなくなったことで、中高年(50代や60代の定年退職後)の方でも、資格取得を狙えます。ドラッグストアや薬局などの経験が未経験の方でも資格を得られるため中高年を含む幅広い年代にとって人気の資格です。

薬局やドラッグストアで働いたことがないといった未経験の方でも再就職の可能性は十分にあります。体力面で心配であれば、接客中心の仕事をメインに携わったり、短時間で働けるパートタイムで働いたりすることも可能です。正社員の場合、60~65歳で定年制度がある企業が多いですが、パートは定年制の有無は企業によって異なるので確認が必要です。

なお、登録販売者の仕事を離れていた「ブランク期間」がある中高年の再就職の場合、「管理者要件」を満たしているかが問題となります。一人で売り場にたつことができる正規の登録販売者になるためには、実務経験を積み、一定の基準を満たさなければなりません。
令和5年4月1日以降、管理者要件が変更になっていますので注意してください。ブランクを経て再就職する場合、管理者要件を満たしているか気になる方はこちらの記事をご覧ください。

3. 資格取得後の主な就職先

一般医薬品の大部分を薬剤師がいなくても販売できる、登録販売者。一般医薬品を取り扱うさまざまな店舗では、欠かせない存在となって来ており、活躍の場は以前にも増して広がって来ています。 その点からも需要の高い資格とも言えますが、資格取得後の就職先はどのようなものがあるのか気になる方も多いでしょう。

ここでは資格取得後の主な就職先について紹介します。

3-1. ドラッグストア

ドラッグストアは登録販売者の就職先としては真っ先に思いつくのではないでしょうか?一般医薬品だけでなく、医薬部外品や健康食品、サプリメント、日用品なども取り扱っており、幅広い知識が必要です。

お客さんの話を聞きながら、症状に合わせた薬を選び、不安を取り除いてもらう。このようにお客さんと向き合いながら、直接やり取りできる機会が多いのは、ドラックストアならではです。

3-2. コンビニエンスストア

最近ではコンビニエンスストアでも一般医薬品を取り扱う店舗があり、登録販売者の採用をしています。

一般医薬品の相談、販売をメイン業務にするのではなく、一般医薬品の対応をこなしつつ、コンビニエンスストアの通常業務も並行するという働き方です。

医薬品を取り扱う以上、登録販売者を採用しなければならないため、他のスタッフと比較すると高待遇で採用される可能性があります。

3-3. 調剤薬局

調剤薬局は処方箋受付がメインのため医療用の医薬品を扱いますが、なかには一般医薬品を置いてある調剤薬局もあります。普段は調剤薬局の業務として処方箋の受付や入力、会計、レセプト業務などの仕事もこなします。

時には薬局業務で忙しい薬剤師に代わって、登録販売者が一般用医薬品を販売することもあります。それにより薬局全体の業務がスムーズに行くことが多いので重宝される資格です。

3-4. ホームセンター、スーパー

ホームセンターやスーパー、家電量販店、ディスカウントストアなどで店舗の一角に一般用医薬品コーナーを設けているのを見たことがある方も多いでしょう。ドラッグストアを併設しているところもありますが、このような職場はドラッグストアなどに比べて開店時間が短いので、働きやすい傾向があります。

このように登録販売者の就職先は多岐に渡ります。興味のある方はこちらをご覧ください。

4. キャリアアップのために抑えておきたい管理者要件とは

登録販売者の資格には年齢制限がなく誰でも取得のチャンスがあります。しかし、キャリアアップするためには「管理者要件」を満たしていることが重要です。
管理者要件を満たして店舗管理者になった場合には、医薬品の販売だけでなく仕入れや在庫管理、他の従業員の指導にあたるなど仕事の幅が広がります。

店舗管理者としてキャリアを積み重ねていくと、店長やエリアマネージャーへとキャリアアップが見込め、年収アップも狙えるでしょう。このように管理者要件を満たすことは、後々のキャリアに大きな影響を与えることになります。

それでは店舗管理者になるための管理者要件について見てみましょう。令和5年3月の法改正により、管理者要件が緩和されました。店舗管理者になるためには以下の(1)~(4)いずれかの条件を満たす必要があります。

  1. 過去5年間のうち、通算して2年以上(合計1,920時間以上)の実務経験があること。
  2. 過去5年間のうち、通算して1年以上(合計1,920時間以上)の実務経験があり、かつ継続的研修並びに追加的研修を修了していること。
  3. 通算して1年以上(合計1,920時間以上)の実務経験があり、かつ過去に店舗管理者等として業務に従事した経験があること。
  4. 通算5年以上の実務経験があり、かつ法律に定められた研修を通算5年以上受講していること。

なお、(4)は当面の間の経過措置です。この場合は、1か月に80時間以上従事している必要がありますが、近年働き方が多様化していることを踏まえ、合計4,800時間以上従事していれば「5年以上」とみなして差支えないとされています。

参照元:厚生労働省/医薬品の販売制度

これまでは、過去5年間で通算して「2年以上」の実務経験がないと店舗管理者になれませんでしたが、2023年に登録販売者制度が改正され、実務経験「1年以上」でも店舗管理者になれる要件が追加されました。これにより、出産、育児、介護などの理由で長期間、離職せざるを得ない方でも、店舗管理者の要件を満たしやすくなりました。
店舗管理者になるための条件や、具体的なメリットなどについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

5. 登録販売者が注目されている理由

受験資格の見直しにより、登録販売者はますます注目されています。受験者数の推移を見てみましょう。平成26年度には受験者数3万1362人でしたが、3年後の平成29年度には6万1126人と平成26年度の約2倍に迫りました。令和4年度は5万5,606人の受験者数がおり、注目度は衰える気配はありません。

一度取得すると資格が一生有効なため、年齢に関係なくライフスタイルに合わせて働くことができ、社会的な信用が高く、需要も拡大しているので就職や転職に有利と注目されています。

また、注目されている理由は社会的な背景にも絡んできます。
一つは国の「セルフメディケーション」の推進が挙げられます。自分自身で健康を管理し、軽い不調があるときは自分で医薬品を購入して手当するのがセルフメディケーションの考え方です。一定の条件を満たせばセルフメディケーション税制の一環として一般用医薬品などの購入の際に所得控除が受けられるので、ドラッグストアや薬局で自主的に一般用医薬品などを購入する機会が増えました。

もう一つは超高齢化社会を迎えている日本において年々、健康意識が高まってきているという背景が挙げられます。人生100年時代を健康に過ごすため、さまざまな健康情報などを目にすることが増え、医薬品だけでなくサプリメントや健康食品なども上手に活用する機会も増えてきました。

こうした背景の中で医薬品に対しての専門性や信頼性は、ますます求められます。健康や薬の正しい使用方法、副作用などについての専門的知識を持ち、街のドラッグストアや薬局などで気軽に相談できる登録販売者の活躍は、今後ますます期待されます。

6. まとめ

人生100年時代において健康需要がますます高まる中、登録販売者は試験に合格さえすれば、年齢や学歴に関係なく、ライフスタイルに合わせて働くことができるため注目の資格です。

しかし登録販売者として、さらにステップアップをして責任のある立場で働くためには、管理者要件を満たさなければなりません。管理者要件を満たせば、社会人としてキャリアアップできるだけでなく、年収アップも見込めます。
また転職する際にも有利に働き、即戦力を求めている企業では重宝されるでしょう。今後ますます増加する登録販売者の中で差別化をはかるためにも、管理者を目指しましょう。

この記事の監修

管理薬剤師

黒木 真綾

大手調剤薬局、ドラッグストアを経て、現在調剤薬局にて管理薬剤師として勤務。
現場で21年以上にわたり患者指導に関わっている。薬剤師の視点での健康食品やサプリメントの記事作成を得意とする。

今ならご登録うれしい特典!今ならご登録うれしい特典!

※在庫状況により、キャンペーンは予告なく変更・終了する場合がございます。ご了承ください。
※本ウェブサイトからご登録いただき、ご来社またはお電話にてキャリアアドバイザーと面談をさせていただいた方に限ります。

マイナビ薬剤師」は厚生労働大臣認可の転職支援サービス。完全無料にてご利用いただけます。
厚生労働大臣許可番号 紹介13 - ユ - 080554