登録販売者と医療事務の違いとは?それぞれの特徴を比較

登録販売者と医療事務の違いとは?それぞれの特徴を比較

病院や薬局など、薬剤師の近くで働く仕事の中に、登録販売者と医療事務という二つの職種があります。それぞれ専門的な分野の仕事であるため、その仕事内容や違いについて、詳しく知っている方は少ないのではないでしょうか。
しかし特殊な職種であるからこそ、その道を歩んでいくためには事前の準備が不可欠であり、今後のキャリア選択を間違えないためにも、それぞれの違いについて正しく理解しておくことが大切です。

今回は、登録販売者と医療事務の違いについて、それぞれの特徴を比較しながら解説します。

<訂正:2023年10月>
本記事において、登録販売者を国家資格とする表記がございました。お詫びして訂正いたします。



1.登録販売者と医療事務の違いとは

登録販売者とは、薬剤師の代わりに医薬品を販売することができる専門職のことです。2009年に薬事法が改正されるまで、医薬品は薬剤師や薬種商といった専門的な資格を持った人しか販売することができず、薬剤師の負担増が深刻な課題となっていました。そうした中で生まれたのが登録販売者であり、薬剤師に代わって一般医薬品(第2類・第3類)の情報提供やアドバイスを受け持つことで、薬剤師の業務負担が軽減され、調剤業務に集中できる環境を作ることができるようになるなど、今の時代になくてはならない仕事の一つと言えます。

対して医療事務とは、病院などの医療機関で患者の応対や医療費の計算、診療報酬の請求を行う事務職のことです。一般的な企業で働く事務職の、医療機関版と考えればわかりやすいでしょう。ただし、医療機関で働くからこそ、知識やスキルを備えておく必要があり、専門職よりの事務職となっています。

このように登録販売者と医療事務は、そもそもメインとして行う業務も異なっており、またその仕事に就くために求められる資格やスキルなども異なる、完全な別職種だと覚えておきましょう。

2.医療事務には多くの資格がある

医療事務という職種について紹介しましたが、実は一口に医療事務と言っても、さまざまな種類の資格が存在します。その一部を以下に紹介します。

2-1.医科医療事務管理士®技能認定試験

医科医療事務管理士®技能認定試験とは、技能認定振興協会(JSMA)が主催する、日本で最初に生まれた医療事務管理士になるための資格試験です。
受験資格は特になく、どなたでも受験可能です。試験内容は、マークシート形式で学科試験10問(法規、保険請求事務、医学一般)と実技試験3問(レセプト点検、レセプト作成)で構成されています。

在宅受験とインターネット試験の二つの受験方式があり、在宅受験の場合は毎月第4土曜日翌日(日曜日)が受験日、インターネット試験は随時となっています。
合格率は50%程度となっており、比較的取りやすい資格といえます。

2-2.医療事務技能審査試験(メディカル クラーク®)

医療事務技能審査試験(メディカル クラーク®)とは、一般財団法人日本医療教育財団が主催する資格試験です。
特別な受験資格はなく、どなたでも受験可能です。試験内容は、記述式の筆記試験で患者接遇の知識を問う「実技Ⅰ」、択一式の筆記試験で医療事務知識を問う「学科」、診療報酬に関するスキルを問う「実技Ⅱ」の3部構成となっています。

受験方式は在宅試験のみで、試験日程は医科で年12回(毎月)、歯科で年6回(奇数月)。合格率はおおむね60%から80% 程度です。

2-3.医療事務認定実務者(R)試験

医療事務認定実務者(R)試験とは、全国医療福祉教育協会が主催する資格試験です。
受験資格は特になく、どなたでも受験可能です。試験内容は、マークシート形式で学科問題30問(接遇とマナーに関する知識、医療機関における各種制度に関する知識、医療事務業務に関する知識、診療報酬請求に関する知識)と実技問題(レセプト作成)を外来1症例で行います。

受験方法は在宅受験と会場受験の2種類があり、試験日は毎月第4土曜日翌日(日曜日)。合格率はおおむね60%から80%程度です。

3.登録販売者はどんな資格?

登録販売者とは厚生労働省が定める国の資格制度の一つで、薬剤師に代わって医薬品を販売することができる専門資格のことです。取り扱える医薬品は「第二種医薬品」と「第三種医薬品」に分類されている一般医薬品に限定されますが、薬剤師の代わりに医薬品が販売できる貴重な資格であり、その価値は非常に高いものであると言えます。

受験資格は特になく、希望をすれば誰でも受験が可能。筆記試験に合格すれば、晴れて登録販売者としての資格を有することができるようになります。ちなみに、登録販売者の資格は有効期限がなく、一度取得すれば生涯有効な資格となります。
また、登録販売者の資格は独学での合格も可能なため、コストを抑えることもできます。

登録販売者の資格や独学での勉強方法については下記をご覧ください。

4.登録販売者になるメリットと注意点

ここからは、登録販売者になるメリットと注意点について解説していきます。

4-1.メリット

登録販売者の資格取得について、まずはメリットの部分から見て行きましょう。

4-1-1.収入アップが期待できる

職場によっては、登録販売者の資格を持っていることで資格手当や役職手当が出るなど、収入アップが期待できる可能性を高めることができます。加えて、登録販売者がいることが店舗運営において必須とされるケースも少なくないため、より良い条件で転職ができたり、より上位の立場に立つことができるなど、非常に重宝される存在となれることは間違いありません。

4-1-2.働き方に幅ができる

薬事法の改正によって、コンビニやスーパーなど、薬局やドラッグストア以外のさまざまな業種の店舗で、医薬品を取り扱うことができるようになりました。そのため、登録販売者の資格を有していれば、必ずしも医療機関で働く必要がなくなり、より広い選択肢の中から自由に働き方を選べるようになっています。場合によっては医薬品を扱うオンラインショップを運営する会社で働くなど、これまでの医療関係者とは一線を画す働き方も実現可能です。

4-2.注意点

取得することのメリットが多い登録販売者ですが、注意しなければならない点もあります。以下に、登録販売者の資格取得に際しての注意点を紹介します。

4-2-1.資格取得後のハードルが高い

登録販売者の資格そのものは未経験でも試験に合格すれば取得可能ですが、実際の仕事現場において登録販売者として働くためには、実務経験を積み、一定の基準を満たさなければなりません。もし未経験から始めた場合、直近5年以内に「2年以上の実務経験」、もしくは「1年以上の実務経験+追加的な研修の受講」のいずれかを満たすまでは、登録販売者(研修中)として勤務しなければならないため、資格さえ取得できればすぐにでも登録販売者として自立できるわけではない、ということを覚えておきましょう。

5.医療事務のメリットと注意点

次に、医療事務の資格取得に関するメリットと注意点について解説していきます。

5-1.メリット

まずは医療事務の資格を取得するメリットから見て行きましょう。

5-1-1.やりがいを感じられる

医療事務はその名の通り医療機関で働くことになるため、不安を抱える患者の気持ちに寄り添ったり、日々煩雑な業務に追われる医師や看護師をサポートしたりと、一般企業とはひと味違う仕事のやりがいを感じることができます。

5-1-2.転職先に困らない

医療事務はどのような医療機関においても重宝される存在であるため、転職先がなくて困るといったこととは無縁です。自分の住み慣れた土地で働いたり、より良い条件を提示してくれる所で働いたり、自らの意志を優先した職場選びができるのも、医療事務ならではのメリットと言えるでしょう。

5-2.注意点

医療事務のメリットだけに注目するのではなく、注意点もしっかりと押さえておきましょう。

5-2-1.国家資格ではない

医療事務は、厚生労働省が定める国の資格制度である登録販売者とは異なり、あくまでも民間の資格となります。そのため、就職や転職の際に有利に働かせることはできますが、資格を持っていることで給与が増えたり、より上位の役職に就かせてもらえたりといったことには繋がりにくくなっています。もちろん、有資格者を優遇する職場がないわけではありませんので、事前にしっかりと確認し、吟味して選ぶことが大切です。

6.まとめ

登録販売者と医療事務の違いについて、それぞれの特徴や強みを交えながら解説してきました。どちらも、色々な職場で重宝される資格であることは間違いないため、取得するメリットは非常に大きいと言えます。

ただし、それぞれ行う業務が異なっているため、自身が理想とするキャリア像や実際の仕事内容も鑑みながら、より自分に向いている資格の取得を目指すのがおすすめです

この記事の監修

フリーライター

山岡 宗祐

1987年生まれ。
大学卒業後、東証一部上場の就職情報会社にて、クリエイティブディレクターとして勤務。医療系・健康系を中心とした、幅広い企業における広告制作のライティングやディレクションに従事し、年間の原稿執筆本数は300本以上。
現在はフリーライターとして、“誰が見てもわかりやすい文章”をモットーに、取材や原稿執筆業務に携わる。

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