登録販売者は実務経験が必要?昔と現在の変化や雇用形態とは

登録販売者は実務経験が必要?昔と現在の変化や雇用形態とは

登録販売者になるためには、まず年に1回実施される登録販売者試験に合格しなければなりません。しかし、登録販売者として実際に就業するためには、実務経験や登録の手続きなどが必要です。

ここでは、登録販売者として働くために必要な実務経験の内容、「販売従事登録」の手続きなどを詳しく解説します。

1.登録販売者の「実務経験」の必要性

登録販売者として従事するためには「実務経験」が必要ですが、平成26年の「薬事法の一部を改正する法律」の施行以前と現在では、その意味するところが異なります。

1-1. 平成26年度以前は実務経験が受験資格に必要だった

平成26年度までの登録販売者試験では、「高校卒業以上で、1年以上一般用医薬品の販売などに関する実務に従事した者」という受験資格が設けられていました。つまり、実務経験は、登録販売者の受験資格として必要だったのです。

1-2. 現在では就業のために必要

令和2年に薬機法の一部が再び改正され、この実務経験の算定方法も若干緩和されています。その背景には、パートタイムやフレックス制など、多様な働き方が広がっていることが影響しています。

令和2年の改正の主なポイントとしては、平成27年度からは実務経験としてカウントできるのは月あたり80時間以上従事した場合に限られていましたが、この条件を満たさない場合であっても、「直近5年間のうち、月単位で従事した期間が通算2年以上であり、かつ、合計 1,920時間以上従事した場合」は、登録販売者の実務経験として認められることになりました。

これらの実務経験に関する要件を満たしていないと、登録販売者試験に合格しても「登録販売者(研修中)」という扱いとなり、薬剤師または登録販売者(店舗管理者・管理代行者の要件を満たした者)の管理・指導のもとで医薬品販売の実務に従事しなければなりません。

ちなみに、ここで求められている実務経験は、過去5年間のうち、通算して2年以上かつ、累計1,920時間以上あればよいとされています。なお、途中にブランクがあっても問題はありません。

これから試験を受験される方は、こちらの記事で試験概要を把握しつつ勉強方法も確認してみてもよいでしょう。
登録販売者の試験は暗記中心ということもあり、独学で合格することも十分可能です。
とは言え、出題範囲も広いため勉強方法にも工夫が必要になりますので、あらかじめ出題傾向についても下記の記事で把握しておきましょう。

1-3. 登録販売者の経過措置の延長について

平成26年度以前の旧試験合格登録販売者に対しては、旧制度から現行制度への時限的な経過措置(そのまま登録販売者として就業することを認めるとする措置)を設けています。この経過措置が設けられた当時は、その期限を令和2年3月までと定めていましたが、昨今の勤務環境の変化をふまえて薬機法の一部が再び改正され、令和3年8月まで延長することになりました。
これによって、現行制度によって定められた実務実績の要件を満たすことができず、令和2年3月以降に登録販売者として就業できなくなるおそれのあった登録販売者も、延長期限まではそのまま登録販売者として就業することができるようになりました。

2. 就業のために必要な実務経験

登録販売者として就業するために必要な「直近5年間に2年以上の実務経験」は、以下のような条件を満たす場合をいいます。

  • 一般従事者として、薬剤師または登録販売者の管理・指導の下で、トータル2年以上勤務していること。連続して2年以上でなくてもよい。
  • 同じ月に同じ店舗(または同じ業者の複数の店舗)で月80時間以上勤務し、合算して2年(24カ月)以上であること。
  • 月あたりの勤務が80時間を満たない場合であっても、月単位で勤務した期間が通算2年以上あり、かつ、合計 1,920時間以上勤務している場合であること。(令和2年の薬機法一部改正より)。

参照元:厚生労働省/医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令の施行等について

次に、すでに実務経験がある場合とない場合に分けて、具体的にどのような条件が当てはまるのか解説します。

2-1. 実務経験がすでに2年以上ある場合

合格以前の直近5年間に通算して2年以上かつ、累計1,920時間以上の実務経験があれば、すぐに販売登録者として就業することができます。

2-2. 実務経験のあいだが空いている・足りていない場合

合格以前に実務経験はあるものの、退職してブランク期間があるために、直近5年間での勤務期間が通算2年に満たない場合、あるいは実務経験があるもののまだ通算2年に達していないという場合は、合格後に研修中の登録販売者として勤務し、その期間と以前の実務経験を合算して直近5年間のトータル実務経験が2年以上かつ、累計1,920時間以上という要件を満たす必要があります。この要件を満たすと、正規の登録販売者として就業することができます。

ただし、実務経験のカウントに際しては、基本的に同一月に同一店舗(もしくは同一業者が経営する複数店舗)で勤務した場合のみ認められるなどの条件があるため注意が必要です。例えば、2年以上登録販売者としての勤務実績があると思っていても、月の途中で転職したケースなどでは、実務経験としてカウントできないこともあります。
ブランクをお持ちの方は、詳しく確認しておくとよいでしょう。

2-3. 実務経験が全く無い場合

実務経験が全く無い方が販売登録者試験に合格した場合は、まず、勤務先の店舗を管轄する都道府県で、登録販売者販売従事登録の申請を行い、販売従事登録証を発行してもらいます。
その後、研修中の登録販売者としての勤務がスタートします。実務経験として認められるためには、同一月に同じ店舗もしくは同一業者が経営する複数店舗で計2年以上かつ、累計1,920時間以上の勤務が必要です。

3. 実務経験として求められる雇用形態とは?

登録販売者の実務経験として必要なのは、薬剤師または登録販売者(店舗管理者・管理代行者の要件を満たした者)の指示を受けて働いたかどうかです。

登録販売者の資格を取得する前に、一般用医薬品を取り扱っているドラッグストアや薬局、コンビニエンスストア、調剤薬局などで、薬剤師や登録販売者から指示を受けて働いた経験が、「実務経験」となります。

なお、雇用形態は正社員に限らず、アルバイトやパートであっても構いません。令和2年の薬機法の一部改正によって、月あたりの勤務が80時間を満たない場合であっても、月単位で勤務した期間が通算2年以上あり、かつ、合計 1,920時間以上勤務している場合は、実務経験として認められるようになりました。

4. 実務期間を終えたら、「実務従事証明書」を申請・発行する

実務期間の要件を満たした場合は、それを証明する「実務従事証明書」が発行されます。以下に述べる「販売従事登録」が済んでいても、1人で医薬品が販売できるようになるには、この実務従事証明書が必要となります。

実務従事証明書の発行を申請するための書式は、各都道府県の公式ホームページから入手することができます。なお、過去に実務経験が2年以上ある人や、過去の実務経験と合わせて2年以上かつ、合計 1,920時間以上に達した場合にも、実務従事証明書を申請することができます。

すでに退職している場合でも、過去5年間にさかのぼって実務経験がある場合は、その職場に実務従事証明書の発行を申し出ることができ、申し出があった場合、企業側には証明書を発行する義務が生じます。

参照元:厚生労働省/医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令の施行等について

4-1. 実際に働くには「販売従事登録」が必要

実際に登録販売者として働くためには、勤務先の都道府県で「販売従事登録」を行う必要があります。
登録の申請にあたっては、以下の書類が必要です。

  • 販売従事登録申請書:各都道府県の公式ホームページからダウンロードするほか、保健所でも配布しています
  • 登録販売者試験の合格通知書
  • 戸籍謄本、戸籍抄本または戸籍記載事項証明書(発行6か月以内のもの)
  • 医師による診断書(発行3か月以内のもの):機能の障害、麻薬、大麻、あへん、覚醒剤の中毒者ではないことを証明するために必要です
  • 使用関係を示す書類:雇用証明書など
  • 登録手数料:各都道府県によって異なります(令和元年9月現在、7,100円~10,300円)

申請書類等の提出方法は、郵送もしくは直接持ち込みです。都道府県によって異なりますので、各都道府県の公式ホームページで確認しましょう。販売従事登録証の交付は、窓口での受け取り、または郵送です。即日交付ではなく、通常、申請から2週間ほどで入手できます。

なお、異動などで勤務先が変わった場合でも再登録の必要はありません。異動先が他の都道府県であっても、再登録は不要です。本籍地、氏名、生年月日など、登録証の記載内容に変更があった場合は、書換え交付の申請が必要となります。

5. 実務経験は転職に影響ある?

医薬品販売業の転職市場では、一般医薬品を販売することができる登録販売者のニーズが高まっています。
もちろん、実務経験を積んだ登録販売者であれば、入社後すぐに戦力として就業できるほか、ひとりでも一般医薬品を扱うことができるため、当然実務経験のない登録販売者(研修中)の人よりも有利な立場で転職活動を進めることができます。
実際、「実務経験が2年以上歓迎」と記載している求人や、採用の条件として「登録販売者の実務経験2年以上」と設定している求人もあります。すでに十分な実務経験があれば、転職先の選択肢も広がるでしょう。

6. 登録販売者は、店舗管理者にもなれる可能性も!

登録販売者になると、単独で売り場に立つことができるだけでなく、店舗管理者になることもできます。では、店舗管理者の業務や店舗管理者になるための条件などを見ていきましょう。

6-1. 店舗管理者とは?

店舗管理者とは、文字通り、店舗の管理を担う者で、具体的には以下のような業務を行います。また、医薬品を扱う店舗では、必ず店舗管理者を1人設置しなければなりません。

  • 店舗に勤務している薬剤師・登録販売者、その他すべての従業員の監督
  • 店舗の構造設備、医薬品、その他の物品管理、業務に必要とされるものについての注意喚起
  • 保健衛生上の支障が生じないよう、店舗販売業者に対して必要とされる意見を述べる

参照元:厚生労働省/医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法 律施行規則の一部を改正する省令の一部を改正する省令の施行等について

6-2. 店舗管理者のメリット

店舗管理者になることで期待できるメリットにはどのようなものがあるでしょうか。まず、大きなメリットの一つは、会社から店の運営を任せてもらえるようになり、専門職としてのキャリアアップができることです。

医薬品の販売やカウンセリングなどの登録販売者としての業務以外にも、店舗の運営や商品の発注、お金の管理、他の登録販売者や一般従事者の指導やシフト管理など、直接経営に関わる業務に携わることができるようになります。そのような立場で働いてみると、これまで以上にやりがいを感じることができるようになり、社会人としての経験も積むことができます。

さらに給与面でもメリットが期待できます。責任ある立場である店舗管理者には、基本給にプラスして「手当」が付くことが少なくありません。店舗管理者になることで、年間の収入アップが見込めます。

6-3. 店舗管理者になるには?

先ほど、登録販売者として就業するには、直近5年間に2年以上かつ、合計 1,920時間以上が必要であると述べましたが、この要件を満たしていれば、店舗管理者になることができます。

なお、一般用医薬品のうち、第2類・第3類医薬品を販売する店舗の管理者は登録販売者でよいのですが、第1類医薬品を販売する店舗の管理者は基本的に薬剤師がなるよう推奨されています。

薬剤師が店舗管理者になれない場合、過去5年間のうち第1類医薬品を販売する店舗で登録販売者としての実務経験が3年以上、か つ合計2,880時間以上あれば、登録販売者でも店舗管理者になることができます。ただし、管理者の補佐として薬剤師を置くことが定められています。

7. まとめ

平成26年の薬事法一部改正により、登録販売者制度が刷新され、新制度の登録販売者試験の合格者が登録販売者として売り場に立つためには、一定の実務経験が必要になりました。また、旧制度登録販売者試験の合格者については、令和3年8月まで経過措置が設けられていますが、経過措置期限後も、登録販売者として働くためには、経過措置がなくなる前に一定の実務経験を積む必要があります。

実務経験のカウント方法については、令和2年に薬機法の一部が再び改正され、パートタイムやフレックス制などの時短勤務でも、実務経験を積みやすくなりました。

実務経験の要件を満たした登録販売者なら、店舗管理者として働くことができるため、転職市場でも有利な立場で職場探しを進めることができます。実務経験を積み、キャリアアップや収入アップを目指しましょう。

この記事の監修

医学博士・医学研究者

榎本 蒼子

最終学歴は京都府立医科大学大学院医学研究科博士課程卒業。
2011~2015年 京都府立医科大学にて助教を勤め、医学研究および医学教育に従事。

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