薬剤師の結婚とタイミングについて-平均年齢や仕事との両立ポイントも紹介

薬剤師の結婚とタイミングについて-平均年齢や仕事との両立ポイントも紹介

結婚は人生の大きなターニングポイントです。薬剤師の方は、6年間という長い大学生活、そして実習や国家試験を乗り越えて薬剤師免許を取得しています。

その苦労を乗り越えて取得した薬剤師免許を活かして、キャリア形成をしたいとお考えの方は多いのではないでしょうか。

結婚とキャリア形成は時に両立が難しく、思い悩む方もいらっしゃるかと思います。

ここではそんな結婚とキャリアの両立にお悩みの方に向けて、薬剤師の結婚のタイミング事情や、仕事との両立について解説しています。

1.全国での平均結婚年齢は?

薬剤師に限らず、日本は未婚率の上昇、更には晩婚化がたびたび話題になります。では実際に全国の平均結婚年齢と薬剤師の平均結婚(初婚)年齢についてご紹介します。

1-1.婚姻件数・離婚件数ともに減少傾向にある

厚生労働省の人口動態統計によると、婚姻件数は減少傾向にあります。婚姻数は結婚する人口の多い適齢期の人口が減ればもちろん減ります。

婚姻件数は昭和47年の109万9984組をピークに、増減を繰り返しながら徐々に減少しています。令和3年の婚姻数は50 万 1116 組とピークの半分以下でした。

それでは人口に左右されない、人口1,000人に対する婚姻件数の割合を示す婚姻率はどうでしょうか。実はこちらも昭和22年の12.0をピークに減少しています。

令和3年の婚姻率は4.1となっており、人口に影響される全体的な婚姻件数だけでなく、人口に影響されない結婚する人の割合も減っているのです。

また、離婚件数も減少傾向にあります。離婚件数は婚姻件数と比例する傾向にあります。

令和3年の離婚件数は18万4386組で、平成14年の28万9836件のピーク時と比較すると約3分の2にまで減っています。

参照元:厚生労働省/令和3年(2021)人口動態統計月報年計(概数)の概況-結果の概要 p14、p16
厚生労働省/平成28年度 人口動態統計特殊報告「婚姻に関する統計」の概況-用語の解説

1-2.薬剤師の結婚年齢は30代からが一般的?

薬剤師の結婚(初婚)年齢という公的統計データがないため、薬剤師を含めた全体の統計データから推測してみます。

厚生労働省の人口動態調査によると令和3年の男性の平均初婚年齢は31.0歳、女性の平均初婚年齢は29.5歳です。この統計は薬剤師も含めた全人口によるものとなります。

ただ薬剤師は、6年制大学を卒業し、国家試験に合格してから薬剤師になります。そのため、一般的な4年制大学や短大、専門学校卒業者より2〜4年程度経ってから社会に出て働き始める方が多くなり、必然的に結婚する平均年齢も2〜4年程度遅くなることも予想されます。

つまり薬剤師の結婚年齢は、全人口の平均初婚年齢、男性31.0歳、女性29.5歳に2〜4年程度を加算して男女ともに30代中盤程度が、平均結婚(初婚)年齢であることが推測されます。

参照元:厚生労働省/令和3年(2021)人口動態統計月報年計(概数)の概況-結果の概要 p15

2.未婚の割合は上がっている?その理由とは

戦後の1950年において、50歳時の未婚率は男女共に1.5%を下回っていました。ところが2020年、50歳時の女性の未婚率は17.8%、男性は28.3%です。男性では実に4人に1人が50歳で未婚というのが現状です。

なぜ未婚の割合が上がっているのでしょうか。理由を解説していきます。

2-1.男女格差がなくなってきている

「女性は結婚し家庭に入るもの」「男性は家庭を持ってこそ一人前」という固定観念はもう古いものとなり、男女格差がなくなってきていることが未婚率増加の要因の一つともいえるでしょう。

1985年に男女雇用機会均等法が成立して30年以上過ぎ、女性が男性と同様に就職活動をする「女性が働ける社会」が定着しました。

さらに平成26年には、「女性の力」を、社会の活性化につなげるために内閣官房に「すべての女性が輝く社会づくり本部」が設立され、直近では、女性の経済的自立を目的に内閣府の「女性版骨太の方針2022」で、働く女性の視点に立った社会保障制度や税制の在り方を検討されるなど「女性が働ける社会」から「男女が平等で働ける社会」に向けて社会が変化してきています。

このように男女が平等に働けるようになることが、「女性の自立サポート」につながり、未婚という道を選ぶ人が増えたのだと推測できます。

参照元:首相官邸/すべての女性が輝く社会づくり本部
男女共同参画局/女性版骨太の方針

2-2.働き方が変化したことにより、仕事への意識が変わってきている

近年、大手企業は男女格差の是正がすすみ、女性が活躍できるように取り組みがなされています。

女性の活躍の場が増えると、「結婚までの仕事」という意識から「仕事でのキャリアアップ」を目指す女性が増えることが、未婚率増加を引き上げる要因の一つともいえるのではないでしょうか。

女性にとっては育児休暇やテレワークの充実などがあっても、今まで通りフルタイム勤務と同様に働いたり、成果を出したりすることは難しく、結婚・子育てをきっかけに転勤や休職を余儀なくされることも多々あります。

そのため、女性が働きやすく、キャリアアップが望める環境の場合、未婚を選択する女性もいるのではないかと考えられます。

2-3.子育てや経済的な不安によるもの

結婚することで、子育てや経済的な不安に駆られることも独身でいることを促し、未婚率増加を引き上げている要因の一つとなっている可能性があります。

新型コロナウィルスの影響で経済が大打撃を受け、雇用が不安定であったり、給与が上がらないといった状況の中で、急激な物価上昇が起こっています。

そうした不安定な経済状況下においては、結婚した場合、女性も家計を支える必要性が出てきます。

つまり子育てをするには「育児の時間と経済の余裕のなさ」を克服しなければならないのです。そのため独身を選ぶ女性が増え、未婚率増加につながっている可能性があります。

3.薬剤師が結婚のタイミングを逃す原因

ここからは、薬剤師の結婚タイミングについて解説します。薬剤師の方が結婚のタイミングを逃してしまう原因について考察しました。ぜひご参考になさってみてください。

3-1.出会いが少ない

薬剤師の職場は、閉鎖的な人間関係であるとたびたび言われています。特に薬局では、総合病院門前の大型店舗を除けば、限られた人数の薬剤師のみ配置されている場合が多いです。

「薬剤師の需給動向把握事業における調査」では、薬局における常勤職員の人数は2人以下であると回答した薬局が半数以上であるという結果が出ています。同じ薬局で、未婚の男女が出会い結婚に至るというのは、大変レアなケースだと言えるでしょう。

また、令和2年の「性・年齢階級別にみた薬剤師数」の統計では、薬剤師数男女比は男性34.8%、女性65.2%と、男性の割合が少ないです。

すなわち女性の平均初婚年齢において男女比に偏りがある職場環境で働くということは、必然的に出会いが限られ結婚のタイミングを逃す原因の一つとなります。

参照元:厚生労働省/薬剤師の需給動向把握事業における調査結果概要
厚生労働省/令和2(2020)年 医師・歯科医師・薬剤師統計の概況 p24

3-2.一人の時間を優先してしまう

薬剤師の多くは、薬学部の勉強で大変な6年間を過ごし、働きはじめてようやく自分で稼いだ給料を、自分の好きなことに使えるようになります。

やっと手に入れた自由な時間とお金を、自分のためだけに使える贅沢を一度知ってしまうと、結婚という選択肢が遠ざかってしまうことがあります。

3-3.時間に余裕がない

薬剤師は、業務時間外にも拘束される時間があります。日々目まぐるしく変化する医療についていくには、自己研鑽が欠かせません。

自己学習、勉強会の参加、学会発表など、薬剤師として活躍したいと思えば思うほどプライベートの時間を確保することが難しくなります。

新人時代は勉強することも多く、慣れない仕事で、職場と家を往復するだけで精一杯という方もいるかと思います。

また、中堅ともなれば、任される業務が増え残業が増える場合もあります。そういった時間的な余裕のなさが、異性との出会いやプライベートでのゆとりを失わせてしまい、結婚のタイミングを逃す原因の一つとなります。

3-4.将来に不安がある

薬剤師は安定した職業と言われていますが、実は将来に不安がある方は多くいらっしゃいます。

近年、門前をメインにする薬局にとって厳しい診療報酬改定が続いています。薬価差収益や対物業務の評価は縮小傾向であり、今までの処方箋枚数が確保できれば薬局の経営は安泰という状況は変化しています。

更に薬学部が増え、薬剤師が飽和するという話は数年前から話題になっています。現に都市部においては、平日昼間だけ働きたい子育て中の薬剤師の正社員募集は限られており、薬剤師免許があれば高い給与で就職先に困らないといった、以前の転職市場とは傾向が変化してきています。

こういった背景から、将来の給与やキャリアの不安により、結婚のタイミングを逃し、未婚を選ぶ方もいらっしゃいます。

参照元:厚生労働省/令和4年度診療報酬改定について

4.薬剤師の結婚でベストなタイミングは?

それでは、薬剤師が結婚するベストなタイミングについて解説していきます。

4-1.仕事が安定してきた時

どの職業でもそうですが、新人の間は仕事を覚えて慣れることだけで精一杯の日々です。

薬剤師という専門職では、そこに自己学習の時間も必要ですので、プライベートに割く時間は必然的に限られてしまいます。

仕事に慣れ、ワークライフバランスが上手くとれるようになってきたタイミングで結婚を考える方が多いでしょう。仕事が安定し、社会的に認められた自信は、結婚という人生の大きな決断の後押しになるでしょう。

4-2.経済的に余裕ができた時

華美な結婚式を望まなくても、結婚生活をスタートする際は何かとお金がかかります。夫婦二人暮らしを始めるためには住居、家具家電、引越し費用がかかります。

もちろん理想の結婚式を思い描いている方は、結婚式費用も準備しなければいけません。一生に一度の結婚式だからこそ、妥協したくないポイントでもあります。

結婚式を含めると、結婚生活を始めるには100万円以上必要となる可能性もあります。
目標としていた貯蓄額に到達したタイミングや昇給したタイミングなど、経済的に余裕ができた時、結婚へ踏み切る方は多いようです。

4-3.将来の目標が決まった時

将来の目標への道筋がクリアになった時に結婚を決めるのも良いタイミングです。

例えば、管理薬剤師になったり、専門の資格を取得した場合、仮に転職が必要になったときでも大きな強みとしてアピールできるようになります。

何かを成し遂げると社会的にも認められ、自信にもつながりますので、大きな決断をするにはベストなタイミングかもしれません。

5.薬剤師が仕事と家庭を両立させるポイント

薬剤師が仕事と家庭を両立させるのには、どういったポイントに気をつければいいのでしょうか。仕事も家庭も諦めたくない方に向けて解説していきます。

5-1.役割分担はしっかりと決めておく

仕事と家庭の両立は、パートナーの協力なしには実現できません。共働きの世帯が増え、男女の家事時間の格差が是正されてきているとはいえ、まだまだ家事・育児は女性の役割だという認識をもつ方もいます。

どちらかに負担がかかり過ぎる状況では長く続きません。そこで、各家庭で役割分担を決め、持続可能な家庭と仕事のバランスを模索する必要があります。

このバランスは子どもが産まれるタイミングや、成長の段階に応じて変化していきます。その都度夫婦が歩み寄って問題を解決しなければいけません。

5-2.育児サポートを利用する

共働き世帯が増えるにつれ、育児サポートが充実してきています。保育園のみならず、自治体が運営するファミリーサポート制度や、家事代行サービスなど、検索すればさまざまな育児サポートが見つかります。

負担が多く仕事と子育て、どちらかを諦めざるを得なくなる状況となった場合に、子育てサポートサービスがどのようなものがあるかを知るだけでも、いざという時に頼れるので安心材料になります。

家庭の中で全て解決しようとするのではなく、上手くサービスを活用するのも、これから共働きする家庭に必要なスキルでしょう。

5-3.自分のペースで進めていく

仕事と家庭の両立で最も大切なことは、自分のペースで進めていくということです。
それは一人ひとり持つキャパシティが違うからです。他者と比較せず、自分ができる範囲で仕事も家庭も両立すれば良いのです。

先ほども解説したように、育児サポート制度は多くありますし、手が回らない部分は便利家電を導入するのも一つの方法です。自分に合った方法で仕事と家庭の両立を目指してみてください。

こちらの記事では、パパ・ママ薬剤師が育児・子育てと仕事を両立させる働き方について解説しております。こちらもぜひご参考になさってみてください。

6.まとめ

薬剤師の結婚のタイミング、仕事との両立について解説しました。
結婚は人生において重大な決断です。

誰しも失敗したくないと思いますし、慎重になるのも無理ありません。そして結婚をして子どもが産まれると、家庭や子どもを優先しなければいけない事が多々あります。

しかし、仕事と家庭の両立は必ずしも不可能ではありません。工夫をしたり、時には周囲のサポートを頼ったりすることで、仕事も家庭も両立させることができます。

家庭もキャリアも諦めない、そんな生き方がスタンダードになる日はもうそこまできています。男女問わず自分らしく、結婚後も薬剤師としてキャリアを積める働き方を模索していきましょう。

この記事の著者

薬剤師ライター

山田 聡美

新卒より急性期病院に勤務し、集中治療室や循環器、外科病棟を主に担当している。 急性期病院から地域の薬局へ患者さまをつなぐ、薬薬連携に特に力を入れている。現在は薬剤師ライターとしても活動中。 特にがん、循環器、医療情勢、医薬品全般に関する領域を得意とする。

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