薬剤師が化粧品会社・メーカーに転職するには?業務内容と必要スキル
薬剤師の専門性が求められる職種は多く、意外な場所でもニーズがあります。たとえば、女性薬剤師を中心に注目が集まる職場「化粧品メーカー」もそのひとつ。未経験の分野でスキルを生かしたい人にとっては、新たな扉を開くチャンスかもしれません。
今回は、気になる「化粧品メーカー」での働き方や、求められる人材の傾向についてお伝えします。
目次
1.薬剤師の需要が広がる「化粧品メーカー」
化粧品の開発から製造とともに、営業販売まで行っている化粧品メーカーには、大小さまざまな規模の企業が存在します。
成分の研究や化粧品の企画開発、安全性の確認など、トータルで化粧品を取り扱っているところもあれば、原料のみを専門的に製造するメーカーもあります。また、化粧品に限らず、サプリメントや健康食品を開発・販売するメーカーも増えており、近年ますます現場での薬学知識が求められるようになりました。
さらには、見た目の美しさだけでなく、医薬品レベルの薬学知識が活用されたアンチエイジング製品などの開発も進んでいることから、より専門性の高い人材として、薬剤師の需要が高まっています。
2.化粧品メーカーで薬剤師が担う仕事とは
では実際に、化粧品メーカーに勤務した場合の具体的な業務内容を見てみましょう。
企業によって異なるものの、化粧品メーカーの業務内容は「研究開発」「営業販売」「管理部門」の大きく3つに分かれます。それぞれに主となる業務内容は異なるものの、すべての部署において、薬剤師の活躍の場があります。
2-1.研究開発
新製品を開発するためには、まず試作品を作り、成分を決める処方開発や臨床試験を行わなければなりません。化粧品は、美容面で効果が期待できることはもちろんですが、安全性を維持し、注意事項や禁忌となる条項を正確に分析する必要があります。
そのため、開発するにあたり、薬事法や皮膚科学、生物学、細胞学などの専門知識が必要とされます。薬剤師はこうした研究開発の現場において、薬学的な専門家として参加することになります。
2-2.営業販売
開発した製品を販売する際には、製品の効能や使い方などをまとめ、マーケティングに生かしたり、広報に使ったりして、多くの消費者に認知してもらわなければなりません。
成分や効能に関して、より詳しい情報を理解し伝えられる専門家として、薬剤師の知識が求められます。
企業のホームページや商品リーフレットに記載する製品の紹介文についても、薬機法(旧薬事法)を意識する必要があり、メディカルライターとしてのニーズもあるでしょう。
2-3.管理部門
開発した化粧品に問題がないことを証明したり、製品の製造販売認可を得るための手続きを行ったりする場合にも、薬剤師の専門的な知識が求められるところです。
化粧品製造販売を行うためには、薬機法に基づいた許可を得る必要があり、法改正などによって条件が変化する場合の申請や手続き等が必要になれば、アドバイスを行ったり、実際に書類を作成したりすることになります。
また、消費者からの問い合わせに対して、薬事的な観点から答えたり、クレーム対応を行ったりすることも管理業務の一部です。薬剤師として、製品に対する品質管理から対外的な対応まで、幅広い業務を担当します。
3.化粧品メーカーで働くメリット
これまで病院や薬局で勤務してきた薬剤師にとって、化粧品メーカーでの仕事は未知の世界かもしれません。デスクワークとなることが多いものの、メーカー勤務によるメリットはたくさんあります。
3-1.収入や福利厚生など、比較的待遇が良い
薬局や病院と異なり、化粧品メーカーは企業として利益を得ています。そのため、製薬会社のような一般企業と同様に、比較的高い収入を得られたり、福利厚生が手厚い傾向にあります。
3-2.調剤だけでない、幅広い仕事に携われる
化粧品メーカーでの勤務は、一般の薬局では経験できないことばかり。これまでに培ってきた薬学知識を生かしながら、ビジネスの世界で実力を発揮できるため、薬局勤務とは異なったキャリアパスを描けます。
外資系や海外進出を積極的に行っている化粧品メーカーであれば、世界を舞台として活躍できる可能性もあるでしょう。
3-3.最新の美容情報に触れられる
美容に興味のある女性薬剤師であれば、常に新しい美容情報を入手できる職場でもあります。話題の成分を研究したり、新商品をいち早く試せたりするのも化粧品メーカー勤務だからこその役得といえるでしょう。
4.化粧品メーカーで働くときの注意点
多くのメリットがある化粧品メーカー勤務ですが、転職を考える前に注意しておきたい点もあります。
4-1.全体の求人数が少ない
人気が高い職種であるため、ただでさえ狭き門でもあるなか、一般企業と同様に、化粧品メーカーの求人は新卒対象となることが多く、中途採用での募集はあまりありません。
もともと、メーカーからの求人自体が少ないこともありますが、薬剤師の資格を持つ人材がすでに雇用されているのであれば、欠員が出るまで待たなければならず、転職活動のタイミングが合わなければ応募することさえ難しいでしょう。
4-2.高い専門性が求められる
化粧品メーカーで活躍するためには、薬学だけに偏らず、幅広い知識が必要です。特に、研究開発部門においては、より高度な専門性が求められるでしょう。
営業販売部門や管理部門の業務においても、薬機法に抵触しないよう慎重に判断しなければなりません。また、勤務先によっては、英語力が必要になることもあります。
4-3.調剤に関するスキルアップは望めない
化粧品メーカー勤務では、研究開発職を除いて、そのほとんどがデスクワークとなります。薬剤師だからこそ認められる調剤業務に関わることはほとんどないため、調剤に関するスキルアップは望めません。
将来的に、病院や薬局での勤務を考えているのであれば、キャリアパスとして正しい判断ができているかどうかを検討する必要があるでしょう。薬剤師として、どのようなキャリアプランを描いているのかを明確にしておくことが大切です。
転職を考える際のポイント
転職前に薬剤師としてのキャリアプランを考えてみましょう!
転職は今後の人生に関わってくるもの。転職しようかな?と思ったらまずは自分のキャリアについてプランを立ててみるのがおすすめです。
5.化粧品メーカー勤務に向いている人
いろいろ考えたうえで、やっぱり化粧品メーカーで働きたいと思ったら、合わせて適性があるかどうかも考えてみましょう。
5-1.コミュニケーション能力がある
メーカー勤務に限らず、一般的な薬剤師のスキルとして必要なのが、コミュニケーション能力です。薬局や病院では、同僚のスタッフや患者さんとのやり取りが中心ですが、化粧品メーカーでは、上司や同僚に加え、取引先やマスコミなど関わる人が広がります。
また、研究開発やマーケティングといったプロジェクトを成功させるためにも、チームワークを良好に保つコミュニケーション能力が欠かせません。
5-2.流行に敏感
常に最新の美容情報を提供するためにも、トレンドに興味をもち、ある程度、流行に敏感であることも大切です。日ごろから話題の美容成分やメイクアップ法などをチェックすることで、採用後の業務に生かせることでしょう。
6.化粧品メーカーへの転職は狭き門!情報収集力のある転職エージェントに相談を
化粧品メーカーは、女性薬剤師にとってあこがれの職場です。世の女性を美しくする仕事は、やりがいを感じられることでしょう。とはいえ、実際の求人数は少なく、情報を集めるだけでも大変です。そこで役立つのが、転職エージェントです。
非公開案件を含め、多くの求人情報を持つ「マイナビ薬剤師」なら、化粧品メーカーの求人が出た時点で、希望者に通知をお届けできるため、いち早く転職活動を開始できることでしょう。
理想のキャリアプランを描くためにも、エージェントを上手に利用しながら、化粧品メーカーへの転職を成功させましょう。
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