薬剤師1年目で転職は可能?新卒薬剤師が「辞めたい」と感じる主な理由を紹介

薬剤師1年目で転職は可能?新卒薬剤師が「辞めたい」と感じる主な理由を紹介

薬剤師1年目は働き始めて間もないばかりで、業務の習得や職場環境への適応など、想像以上に負担が大きく感じる時期です。そのため、このまま続けられるか不安になったり、理想と異なる職場に不満を抱いたりすることもあるでしょう。

薬剤師は1年目であっても転職することは可能です。しかし、転職するには早すぎる時期のため、採用担当者が納得できるような転職理由と目的を持つ必要があります。本記事では、薬剤師1年目で転職する人の割合や薬剤師1年目の転職は避けた方がよいのかについて解説するとともに、新卒薬剤師が現職を辞めたいと感じる理由や転職を検討するときのポイントをお伝えします。

1. 薬剤師1年目で転職する人はいる?

薬剤師1年目で転職する人は一定数いると考えられます。「令和3年度厚生労働省医薬・生活衛生局総務課委託事業 薬剤師確保のための調査・検討事業 報告書」によると、1年以内の転職を希望している病院薬剤師が6.1%、薬局薬剤師が9.0%となっています。また、3年以内に退職した20代の薬剤師については病院薬剤師が32.9%、薬局薬剤師が11.4%となっていることから、薬剤師1年目で転職をする人は一定数いる可能性があります。

参考:令和3年度厚生労働省医薬・生活衛生局総務課委託事業 薬剤師確保のための調査・検討事業 報告書|株式会社エヌ・ティ・ティ・データ経営研究所

2. 薬剤師1年目で転職するのは避けるべき?

薬剤師の中には、職場環境や人間関係などがどうしても合わず、入社1年目に転職を検討する人もいることでしょう。結論としては、1年目で転職することは可能です。

ただし、一般的には1年目の転職は避けた方がよいとされています。その理由として、転職では即戦力を求められるケースが多いこと、そして新卒薬剤師1年目の転職は採用する側からのイメージがあまりよくないことが挙げられます。

しかし、職場の環境や状況によっては、転職した方がよいと思われるケースもあるでしょう。薬剤師1年目の転職は不利になりやすいものの、それでも転職したいのであれば、誰もが納得できる転職理由とキャリアビジョンを持って志望動機を伝える必要があります。

ここでは、薬剤師1年目での転職を避けるべき理由と、転職に踏み切る場合に用意しておきたい転職理由やキャリアビジョンについて解説します。

2-1. 転職では即戦力を求められるケースが多い

一般的に、中途採用者には即戦力として働くことが求められます。そのため、薬剤師1年目での転職では、即戦力としての活躍を期待しづらいため、転職市場では不利になる可能性があります。

また、転職できたとしても、基本的な業務についての知識やスキルが他の中途採用者同様に身に付いているものとされることもあります。職場にもよりますが、1説明すれば5~8は理解できることを前提に働くことを想定されていることもあるでしょう。細かなことは自分から確認する必要があるため、経験の浅い薬剤師は確認事項が多くなりやすく大変かもしれません。

2-2. 1年目の転職はイメージがあまりよくない

一般的には、最低でも3年は働かないとその仕事や業界の理解を深めることは難しいとされています。また、新卒で入社して1年で転職活動をするというのは、就職活動のミスマッチや、困難な状況への耐性といった点で、採用する側から慎重な見方をされてしまう可能性があります。

さらに、1年で身に付く薬剤師としての経験は限られており、即戦力としての活躍についても大きな期待はできません。そのため、新卒での転職では、薬剤師としてアピールできる武器が少なく、マイナスの印象を持たれているかもしれないということは心に留めておいた方がよいでしょう。それでも1年目で転職したいのであれば、相応の転職理由が必要です。

2-3. 明確な転職理由やキャリアビジョンが必要

薬剤師1年目で転職をするのであれば、採用担当者を納得させられる明確な転職理由やキャリアビジョンを持つ必要があります。「離職率が高くスキル習得が困難な職場環境であった」「薬局薬剤師から病院薬剤師へ進みたい」といったキャリアビジョンが変わった、家庭の事情による転居など、説得力のある明確な転職理由を伝えましょう。

3. 新卒薬剤師が「辞めたい」と感じる理由とは?

今の職場を辞めたいと感じる理由にはさまざまなものがあります。ここでは、新卒薬剤師が現職を辞めたいと感じる理由についてお伝えします。

3-1. 教育体制が整っていない

中小規模の薬局や病院では、教育体制が整っていない職場もあり、十分な指導を受けられないまま業務を任されることがあります。人手不足が原因で一人勤務を求められたり、マニュアルだけ渡されて仕事を任されたりすると、不安や負担を感じながら働かなければなりません。

また、教育担当者と馬が合わず、必要な指導を受けられない場合にも、孤独を感じながら業務にあたることになるでしょう。そのため、教育体制が整っていないことを理由に転職を考えることはあります。

3-2. キャリアアップが望めない

自分の理想とするキャリアアップが望めないと感じた場合、薬剤師1年目であっても転職を考えることがあります。仕事を通して在宅医療に関わりたいという新しい目標ができた場合は、在宅医療を中心的な業務とする職場へ転職したいと考えるようになるでしょう。

また、特定分野の専門性を高めたい場合には、専門薬剤師の取得を目指して、調剤薬局から専門病院などへ転職することもあります。実際に働いてみたからこそ、明確な目標ができることは珍しくなく、1年目の吸収力が高い時期に転職をしたいと思う薬剤師もいます。

3-3. 人間関係に不満がある

薬剤師1年目は、社会人として職場の雰囲気に慣れ、人間関係を構築することが求められます。なるべく早く新しい業務を覚えようとする中で、先輩薬剤師からの指導が厳しかったり、分からないことを相談しづらい雰囲気だったりすると、学生時代とは異なる環境に、不安や不満を感じることもあるでしょう。

また、上司や教育担当者だけでなく、その他のスタッフとのコミュニケーションも苦戦してしまうと、人間関係のストレスが想像以上に負担となるため、新人薬剤師には厳しい職場環境に感じるでしょう。そのため、人間関係の悩みが深いことも、早期に転職を選ぶ理由となります。

3-4. 給料が低い

薬剤師の1年目の給料が、思っていたほど高くないと感じることもあります。特に、奨学金の返済がある場合には収入が重要な要素となりますが、給料に対して業務量や責任が割に合わないと感じてしまうと、少しでも給料の高い職場への転職を考えやすくなります。

また、残業代が十分に支払われていなかったり、昇給がほとんどなかったりすると、将来的な収入面に不安を抱きやすくなります。他の職場に就職した薬剤師と比較して、給与が低かったり、福利厚生が悪かったりする場合も、より良い条件を求めて転職を考えることもあります。

4. 薬剤師1年目で転職を検討するときのポイント

新卒薬剤師が転職したいと思ったときは、すぐに転職活動を行うのではなく、現職に勤め続けられないか、転職で悩みが本当に解決するのかを考えることが大切です。ここでは、薬剤師1年目で転職を検討するときのポイントについてお伝えします。

4-1. 仕事を辞める前にできることを実行してみる

転職を考える要因はさまざまですが、例えば、給料アップを目指すのであれば、現職の手当や昇給を確認してみましょう。認定薬剤師や専門薬剤師を取得したり、かかりつけ薬剤師として担当患者さんを増やしたりすることが、給料アップにつながるかもしれません。在宅医療やがん治療などの専門性を高めたいのであれば、その分野の処方箋を中心に扱っている店舗に異動希望を出せるかを確認するのもよいでしょう。

人間関係や教育体制など他者が関わる悩みについては、転職で解消されるとは限りません。むしろ、悪化する可能性もあるため、まずは自分の行動を変えることで状況を改善できないか考えてみましょう。改善できない場合は、上司や同僚に相談してみるのも方法です。新卒薬剤師1年目は、転職活動を始める前に今の職場で不満や不安が解消できるよう行動することが、転職後に後悔しないためにも大切です。

4-2. 転職によって抱えている問題が解決するのかを考える

転職は、環境を変えるのに適した方法ではありますが、全ての悩みが解決するわけではありません。例えば、忙しすぎてつらいといった悩みは、職場を変えることである程度改善できるかもしれません。しかし、薬剤師の仕事の特性上、どの職場でも一定の業務量はこなさなければならず、忙しい時期や時間帯は存在します。また、人間関係の悩みは転職先でも付き物で、大きな期待はしない方がよいでしょう。

大切なのは、今の不満や不安が職場固有のものかという点です。今の不満や不安が薬剤師として働く限り避けられないものであるなら、転職による解決は期待できません。転職後のギャップを防ぐためにも、転職で何を解決したいのか明確にしておくことは大切です。

4-3. 長期的なキャリアプランを立てておく

薬剤師1年目での転職では、職場環境の変化を求めること以上に、5年後、10年後にどうなりたいかを軸に判断することが大切です。調剤薬局や病院、企業、公務員など、薬剤師のキャリアは多様化しています。どの業界に転職をするにしても、将来像を明確にしておくことが、薬剤師1年目の転職を成功させるためには大切です。長期的な視点を持ち、将来像を理由に転職をすることが、採用担当者へプラスの印象を与えることにつながります。

5. 薬剤師1年目で転職するなら

薬剤師1年目で転職を考えるのは、珍しいことではないでしょう。実際に働いてみたら理想と違っていたり、思っていたより給料が低いと感じたりすると、早期の離職を検討する要因となります。

しかし、転職による中途採用者は即戦力として期待されるため、1年目の転職では基本的な業務の習得ができているか、転職理由に説得力を持たせられるかなどについて十分に考えることが大切です。

現職で働き続けることと転職して新しいキャリアへ進むことを比較検討し、自分にとって最適な選択を考えることが後悔しないキャリア形成につながるでしょう。

この記事の著者

薬剤師ライター

秋谷 侭美

薬剤師ライター。病院・薬局で幅広い診療科を経験。現在は2児の子育てをしながら、Webライターとして活動中。専門的な資料や情報をわかりやすくかみ砕き、現場のリアルに寄り添う言葉で伝えることを大切にしている。同じ薬剤師として、日々の悩みやモヤモヤに共感しながら、少しでも役立つヒントや気づきを届けられるように試行錯誤中。

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