薬剤師の転職に、転職回数は影響する?転職の多い人が成功するコツ

薬剤師の転職に、転職回数は影響する?転職の多い人が成功するコツ
薬剤師のなかには、自分の転職回数の多さが次の転職の採用の合否に影響するのではと、不安に思っている人が多いのではないでしょうか。

一般のサラリーマンと比較して、国家資格を有し、即戦力となる薬剤師は転職回数が多くても転職しやすい傾向があります。

しかし、「給料が低い」「上司と馬が合わない」などのネガティブな理由による転職の繰り返しは、不利になる可能性があります。一方、家族の転勤や出産などのやむを得ない事情や、スキルアップなどのポジティブな理由であれば、影響しにくいと言えるでしょう。ここでは、薬剤師が転職をしたいと思ったとき、転職回数が多くても採用されるコツについて、詳しく解説いたします。

1.薬剤師の転職状況の実態とは?

一般的に薬剤師の転職回数は多いと言われており、厚生労働省の「令和2年転職者実体調査の概況」では、「転職者がいる事業所」の割合は「運輸業、郵便業(44.2%)」、「鉱業、採石業、砂利採取業(42.8%)」、「学業研究、専門・技術サービズ業(42.1%)」、「情報通信業(41.0%)」、「不動産業、物品賃貸業(40.8%)」の順で大きく、「医療・福祉(38.3%)」は 第6位となっています。

前回の「平成27年転職者実態調査の概況」では平均35.7%に対して、「情報通信業(48.7%)」「運輸業、郵便業(48.5%)」に次いで、「医療、福祉(45.3%)」は第3位と、高い割合だったため、それと比較すると低くはなっていますが、全体でみると医療系の転職者の割合は高い傾向にあります。

これまで、薬剤師は人手不足により「売り手市場」となっていましたが、2020年からの新型コロナウイルス感染拡大の影響により、医療機関を受診する患者さまの割合が減ったことから、処方箋枚数も減少しました。
また、企業や医療機関の経営が悪化したことで、現場の人員整理が進み、薬剤師の需要にも変化が見られます。転職を目指す薬剤師はこれまで以上の面接対策が必要になりそうです。

参照元:厚生労働省/令和2年転職者実体調査の概況
参照元:厚生労働省/平成27年転職者実態調査の概況

2.転職回数が多いと不利になる?

転職回数が多いことが必ずしも不利になるとは言い切れません。しかし、前職の在籍期間が短く、他の人よりも転職回数が多い場合、採用担当者に「入社してもすぐに辞めるのではないか」「忍耐力が足りないのではないか」といったマイナスな印象を与えてしまい、採用が難しくなる可能性があります。

しかし、転職を通して「多様な経験を積んだ」「スキルを磨いてきた」など、ポジティブな説明をすることで、マイナスなイメージをカバーできるかもしれません。転職回数を不利にしないためにも、転職理由をしっかりと考えておくことが重要です。

2-1.採用担当者が見ているポイントとは

実際、採用担当者は、薬剤師を採用するうえで、どのような点を重視して見ているのでしょうか。

    • 長く働いてくれる人材か

採用担当者は、できるだけ長く働いてくれる人材かどうかを重視しています。せっかく時間と費用をかけて採用し、教育期間を設けても、入社してすぐに辞められてしまえば、これまでの労力が無駄になってしまいます。そのため、深く企業研究をして面接に臨み、この会社で何をしたいのかをしっかり伝えることが大切です。

    • 会社に貢献してくれそうか

仕事で大いに活躍し、会社に貢献してくれそうな人材かも見ています。薬剤師としての専門知識や経験、スキルのほか、学ぶ姿勢や仕事への意欲、入社後のビジョンも、採用のポイントになるでしょう。

    • 会社に馴染めそうか

仕事をする一員として会社に馴染めそうかも重視するポイントです。入社しても、会社にうまく馴染めなければ長続きしない可能性があるからです。面接時は挨拶や態度に注意を払い、コミュニケーション能力が高いことをアピールしましょう。

2-2.職場によっても変わる?

転職回数の多さは、職場によっては不利になることがあります。短期間で転職を繰り返している場合、職場によっては定着性がないと判断され、書類選考で不採用にされることもあります。

しかしながら、転職回数の多さが採用に影響するかどうかは、企業によって異なり一概に不利とは言えません。

例えば製薬会社の場合、転職回数が多いと採用される可能性は低いと言えますが、慢性的に人手不足なドラッグストアでは、転職回数が多くても問われにくい傾向があります。

3.転職回数の多さを不利にしないためには「転職理由」が重要

厚生労働省の調査によると、医師・薬剤師等のこれは、ほかの業種に比べても群を抜く高さです。この数字から見ても、薬剤師業界は現在売り手市場で、転職しやすい状況にあるといっていいでしょう。
しかし、有効求人倍率は年々減っており、買い手市場が進んでいます。
内定のハードルが上がりつつある今、転職回数が転職の際に不利になるかどうかは、転職理由によるといえます。

とはいえ、転職回数が転職の際に不利になるかどうかは、転職理由によるといえます。薬剤師が転職する理由として多いのは、以下のようなものが挙げられます。

  • 年収アップのため
  • 社風が合わなかったため

夫の転勤、結婚や出産のための退職など、環境やライフステージの変化が含まれる場合などは問題ないでしょう。また、勤務していた薬局が経営難のため退職せざるをえなかったなど、「会社都合」の場合も同様です。

一方、転職理由が「自己都合」になる場合は少々注意が必要です。特に短期間で何度も転職している場合は要注意。なぜなら、企業側は「少しでも長く働いてくれる人」を求めているから。そのため、転職回数が3回、4回以上となると、企業側にネガティブな印象を与える可能性が高くなります。

ただし、転職理由の多くは「自己都合」であることが実情です。「年収アップのため」や「社風が合わない」などの理由の他にも、労働環境の良い職場に変えたい、スキルアップができる環境で働きたいなど、待遇に対する不満や不安が多くを占めます。

このような理由では、必ずしも転職が正解ではありません。場合によっては現在の職場で改善できる方法を考えたほうがメリットが多いこともあります。

不安や不満などネガティブな転職理由でああれば、まずはストレスを感じる原因を探ることから始めましょう。例えば、ドラッグストアの労働環境であれば、チェーンの他店舗に異動すれば解決するかも知れませんよね?

それでも転職を検討される方は、ぜひ以下の記事をご覧ください。よくある転職理由をご紹介しながら、理想的な転職をするために知っておきたいポイントについてまとめて掲載しています。

転職回数が多い方は転職の悪循環に陥っている可能性もありますので、一層確認すべきでしょう。

4.転職回数が多い人はどう対策すればいい?

転職回数が多いと採用担当者がネガティブな印象を抱きやすいとはいえ、転職できないわけではないのでご安心ください。転職回数が多い人でも、転職活動に成功するコツをご紹介します。

4-1.自分が転職しようと思った原因を明確にする

なぜ、転職をしようと思っているのか、その原因を明確にすることが大切です。転職理由を曖昧にしたまま面接を受けると、採用担当者も採用するべきか否かを決定しにくくなります。

大切なのは、転職を繰り返した原因がネガティブなものであっても、ポジティブな内容に置き換えることです。「スキルアップしたかったから」「経験を積んで成長したかったから」など、前向きな姿勢を示せるように、転職の理由を準備しましょう。

4-2.優先順位を決めておく

仕事をするうえで、優先順位をはっきりとさせることが大切です。仕事の内容そのものを重視しているのか、勤務時間や勤務地、給料などが優先なのか、理想の働き方は人によって異なります。

転職はこれからの自分の働き方について見直すチャンスになることを理解し、優先順位を決めて転職活動に臨むことが成功のポイントです。

4-3.履歴書と職務経歴書には正確な情報を

転職活動では、履歴書と職務経歴書の提出が必須です。転職回数が多い人は転職歴をごまかしたくなるかもしれませんが、絶対に経歴を偽らないようにしましょう。

履歴書を偽って入社したとしても、後に経歴詐称が明るみになる可能性があり、内定の取り消しや解雇につながるリスクがあります。

転職回数が多くても、書き方を工夫することで、イメージは大きく変わります。たとえば、単に職務経歴を羅列するのではなく、自分がそれぞれの企業で学んだスキルや経験がわかるエピソードを交えて説明することで、好評価につながる可能性があります。

薬剤師は患者さまに対する接遇スキルも重要視されるため、コミュニケーションスキルの高さを評価してもらえるかもしれません。

5.転職回数が多い場合に面接で注意すること

採用担当者が知りたいのは、転職回数が多くなった理由です。転職回数が多い事実を変えることはできませんが、少しでもプラスの評価につなげるために、どのようなことを注意したらよいのでしょうか。

5-1.面接で転職回数が不利にならない回答をする

面接では、転職回数が不利にならない回答をする必要があります。これまでの職歴で経験したことや学んだこと、できるようになったこと、今後のビジョンなどについて採用担当者に熱意を持って伝えることができれば、「採用したい」と思ってもらえる可能性が高まります。

5-2.前職の不満や悪口は言わない

転職理由の中には、前職の不満が理由の場合もあるでしょう。
しかし、「人間関係に不満があったから」「給与や待遇が希望と違っていたから」「仕事が忙しすぎたから」といったネガティブな転職理由ばかりを主張するのは、マイナスに働いてしまいます。

なぜなら、ネガティブな理由だけだと、それを聞いた面接担当者に「うちに入社してもまた不満を言いそう」「この人自身のコミュニケーションに問題があるのでは?」など、マイナスなイメージを持たれてしまうからです。

実際には、前職の不満が一番の転職理由であっても、他の理由も一緒に伝えつつ、自分からは詳細には伝えすぎないよう注意が必要です。
不満があって退職をする場合、つい現職の悪口がヒートアップしがちです。社内事情は個人情報でもあるので、伝える際は控えめにしましょう。

一緒に伝える転職理由の例として、「スキルアップのため」「新しいことに挑戦したいため」など、ポジティブな理由も考えてみてください。

ご自身で長く務めるために努力したことも一緒に伝えたり、ポジディブな理由も一緒に伝えるなど、伝え方に工夫をするよう心がけましょう。

5-3.身に付けてきたスキルを伝える

転職回数の多さをカバーできるのは、これまで身に付けてきたスキルです。

「管理薬剤師の経験がある」「大きな病院でたくさんの処方箋に対応した経験がある」「エリアマネージャーの経験がある」など、現場を経験したからこそ得られたスキルは、積極的にアピールしていきましょう。

企業が中途採用をおこなうということは、多くの場合、即戦力を求めていると考えられます。そのため、面接の場では「自分が入社したら、どういったことで、どれだけ会社に貢献できるか」を、熱意を持って伝えることがポイントです。

また、スキルアップが転職理由の場合は、その会社で自分が学びたいことなどを伝え、意欲的な姿勢で面接に臨みましょう。

5-4..職歴に一貫性のある理由付けをしておく

転職回数が多くても、職歴に一貫性があることをしっかりと説明できるように、転職活動をするときは、「これまで在籍した職場でどのようなことを学んだのか」「なぜ転職することにしたのか」など、自分のキャリアの棚卸しをしておきましょう。

さらに、自分にはどういうキャリアプランがあり、これまでの転職はそれを築くために必要だったということを、面接官が納得できる理由をつけて説明できるようにしておくと良いでしょう。

どんな理由であれ、転職経験が多いことを変えることはできません。転職をするときはしっかりと対策を練って、自分がなぜ転職をし、なぜこの会社に入りたいのかを、誠心誠意伝える努力をするようにしましょう。

6.転職理由を聞かれたときの答え方

面接で転職理由を聞かれたとき、どのように答えたらよいのか、例を挙げてご紹介します。

6-1.答え方例1(調剤薬局→ドラッグストア)

これまで、4年間、調剤薬局で服薬指導や健康相談を通じて、患者さまと信頼関係を築きながら、健康への不安やお悩みに寄り添うことに尽力してきました。
地域密着型の薬局の業務には大変やりがいがありましたが、処方箋をお持ちでない患者さまからOTC医薬品の相談を受けることが多く、薬剤師として幅を広げるためには、OTCの知識が不可欠だと実感するようになりました。
貴社は地域の患者さまたちを対象とした健康や薬に関するセミナーや講演なども積極的に開催されており、企業理念にも共感できます。貴社の調剤薬局併設型の店舗では、これまで調剤薬局で身に付けたスキルを活かせると感じています。OTCについて学び、貴社の即戦力となる薬剤師を目指したいと思っています。

6-2.答え方例2(転職回数が多い場合)

これまで、病院やドラッグストア、調剤薬局など、4回の転職を経験してきました。ドラッグストアではOTC販売や患者さまの健康相談に携わり、調剤薬局では幅広い調剤業務の経験を通して、薬剤師としてのスキルを高められたと自負しております。病院では、調剤業務や服薬指導のほか、病棟業務にも関わり、医療全般の幅広い知識を学びました。多様な職場を通じて、多くのことを吸収してきたことで、薬剤師として大きく成長できたと思っています。
そこでもし、貴院に入職できたら前職で培った病棟業務や調剤業務の知識やスキルを活かして薬薬連携のハブとなる薬剤師外来として、多くの患者さまの健康に寄り添いたいと考え、転職を希望いたしました。

6-3.答え方例3(ドラッグストア→企業)

ドラッグストアにて4年間勤務し、主に調剤業務とOTC販売をおこなってきました。多くの患者さまの健康への悩みに寄り添いながら、OTCに関する幅広い知識やスキルを身に付けることができ、地域に貢献できたと思います。
そうした業務のなかで、MRの方と接する機会が多々あり、新薬の普及に携わる仕事に興味を持つようになりました。そこで特定の医薬品や疾病に関する専門知識や営業スキルを身に付け、新薬の販路拡大に貢献することで、多くの患者さまの健康をサポートしたいと考え、全国に営業拠点を持つ貴社への転職を希望いたしました。
前職で培ったOTCに関する知識やコミュニケーション能力を活かし、貴社の業務に貢献していきたいと思っています。

7.薬剤師の転職エージェントを活用する

転職回数のとらえ方は、企業によって異なります。

例えば、書類選考の段階で一定の転職回数の人は不採用にする企業もありますし、年代によって容認する転職回数を決めている企業もあります。企業の方針は求人情報を見ただけでは判断できず、どの企業にどのように応募したらよいのか迷うことも多いでしょう。

転職回数が多く、どのように転職活動を始めたらよいかわからない人は、転職エージェントを活用することをおすすめします。

薬剤師専門の転職エージェントでは、専任のキャリアアドバイザーが、希望条件に合った求人をピックアップしてくれたり、応募したい企業の転職状況を教えてくれたりします。また、客観的なアドバイスや面接対策、履歴書の書き方を教えてくれるなど、転職活動を充実させる幅広いサポートが期待できます。また、非公開の求人を紹介してくれることがあるのも、大きなメリットです。

定期的に転職相談会を実施している転職サイトもありますので、積極的に活用してみてください。

8.まとめ

転職回数が多いと、転職に悪影響を及ぼすのではと不安になるものです。しかし、適切な対策をすることで転職が成功する可能性は高まります。

もし、あなたが転職を考えているのであれば、「マイナビ薬剤師」への登録がおすすめです。「マイナビ薬剤師」では、薬剤師専任のキャリアアドバイザーが、あなたがどのような働き方をしたいのか、希望を詳しくヒアリングし転職をサポートしてくれます。

キャリアアドバイザーは、日頃から企業と直接話をしているため、各社の採用に関する考え方を把握しており、転職が多い方が注意したいポイントを踏まえた有益なアドバイスをしてくれます。

さらに、書類だけでは伝わらないあなたの長所を企業に伝えてくれるなど、転職成功に向けて万全のサポート体制が整っています。

転職回数による転職の不安を抱えている方は、ぜひ「マイナビ薬剤師」に登録し、相談することから始めてみてはいかがでしょうか。

この記事の著者

メディカルライター

山原 佳代

大学卒業後、医療機器メーカーに就職。その後、介護企業、広告代理店等を経てライターとして独立。
医療、ヘルスケア関連の広告物やメディアの記事執筆、ドクターへの取材、薬機法を考慮したコピーライティングを中心に活動している。

この記事の監修者

薬剤師専任キャリアアドバイザー

中村 貴大

薬剤師の転職サポート歴7年。
調剤薬局、病院、ドラッグストアなどの法人担当だけでなく、多くの求職者様の転職活動を成功に導いた経験と知識を活かし、転職活動を開始される皆さまを全力でサポートさせていただきます。

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