薬剤師の定年は何歳?定年後の働き方や再就職する方法について解説

薬剤師の定年は何歳なのか、定年後も働けるのか、再就職先はあるのかといった疑問を持つ人は少なくないでしょう。医療・福祉分野では60歳での定年が一般的ですが、薬剤師は資格職であることもあり、60代・70代まで働き続けるケースも見られます。

薬剤師の定年後の働き方には、勤務延長制度や再雇用制度を利用して同じ職場で働く方法の他、調剤薬局・ドラッグストア・企業などに再就職するといった選択肢があります。

本記事では、薬剤師の定年年齢や何歳まで働けるのかについて解説するとともに、60歳以上の平均年収や定年後の働き方、再就職時の注意点についてお伝えします。

1. 薬剤師の定年は何歳?

厚生労働省「令和4年 就労条件総合調査」によると、医療・福祉分野の企業の99.3%が定年制度を設けています。そのうち、一律定年制を定めている企業は96.5%となっており、最も多い定年年齢は60歳(66.1%)、次いで65歳(25.6%)です。薬剤師の多くが勤務する病院・調剤薬局・ドラッグストアはこの「医療・福祉」区分に含まれるため、薬剤師の定年も60〜65歳としている企業が多いでしょう。

参考:令和4年就労条件総合調査の概況|厚生労働省

2. 薬剤師は何歳まで働ける?

厚生労働省「令和6年 医師・歯科医師・薬剤師統計(結果の概要)」の年齢階級別データでは、60歳以上の薬剤師が全体の20.1%を占め、現役として働き続けていることが明確に示されています。

また、各施設で働いている年齢階級ごとの薬剤師の割合は、診療所や介護保険施設で60代が最も多い年齢階級として示されており、60代薬剤師が現場を支えている実態が読み取れます。70歳以上の薬剤師も一定数いることから、職場によっては70歳以上でも活躍できる環境があるといえるでしょう。

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総数 薬局 病院 診療所 介護保険施設 大学 医薬品関係企業 衛生行政機関又は
保健衛生施設
その他の者
29歳以下 11.8% 12.0% 16.7% 2.2% 0.6% 9.5% 8.7% 11.0% 4.9%
30〜39歳 25.4% 25.3% 32.6% 9.2% 5.9% 15.3% 19.3% 32.9% 20.7%
40〜49歳 22.5% 22.5% 23.1% 15.7% 16.8% 28.3% 23.8% 28.3% 17.7%
50〜59歳 20.3% 20.5% 16.7% 21.5% 22.4% 25.9% 26.6% 19.9% 16.9%
60〜69歳 14.0% 13.8% 8.8% 32.0% 33.7% 19.2% 15.4% 7.2% 22.2%
70歳以上 6.1% 5.8% 2.1% 19.4% 20.6% 1.9% 6.2% 0.7% 17.5%

参考:令和6(2024)年 医師・歯科医師・薬剤師統計の概況|厚生労働省

3. 60歳以上の薬剤師の平均年収

厚生労働省「賃金構造基本統計調査」では、薬剤師の年齢階級別の賃金が示されています。このデータから算出した60歳以上の薬剤師の平均年収は、60~64歳で約685万円、65~69歳で約559万円、70歳以上で約466万円となりました。

きまって支給する
現金給与額
年間賞与その他
特別給与額
平均年収
全体 43万800円 82万3,600円 599万3,200円
60〜64歳 50万900円 84万1,900円 685万2,700円
65〜69歳 41万3,700円 62万9,700円 559万4,100円
70歳〜 36万2,400円 31万900円 465万9,700円

※平均年収=きまって支給する現金給与額×12カ月+年間賞与その他特別給与額で算出
参考:令和6年賃金構造基本統計調査 表番号5 | 政府統計の総合窓口

薬剤師全体の平均年収は約600万円であり、国税庁の調査では国民全体の平均給与が478万円であることから、60歳以上の薬剤師の年収は低くない水準であることが分かります。
参考:令和6年分 民間給与実態統計調査|国税庁

定年後はパート勤務や短時間勤務が増えるため年収は徐々に下がりますが、60歳以降も一定の収入を確保しやすい点は、薬剤師という資格職の強みといえるでしょう。

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4. 薬剤師の定年後の働き方

薬剤師は資格職であり、年齢を重ねても働き続けやすい点が大きな特徴です。同じ職場で働き続けたり、転職して負担の少ない職場で働いたりなど、さまざまな選択肢があります。いずれにしても、定年後も無理なく長く働くためには、自分に合った働き方を見極めることが重要でしょう。ここでは、薬剤師の定年後の働き方について詳しくお伝えします。

4-1.勤務延長制度や再雇用制度を利用して同じ職場で働く

医療・福祉業界では定年後の継続雇用制度を導入している企業が非常に多く、再雇用制度勤務延長制度の導入率は93.6%に上ります。そのため、薬剤師が60歳の定年後も働き続けたい場合、勤務先の勤務延長制度や再雇用制度を利用するのも方法の一つです。

慣れた環境であることに加え、仕事内容は大きく変わらず、勤務時間の短縮や責任範囲の調整など負担を抑えた働き方ができるため、安心して働き続けることができます。収入も安定しやすいため、定年後の選択肢として利用しやすい働き方といえるでしょう。

参考:令和4年就労条件総合調査の概況|厚生労働省

4-2.転職して違う職場に再就職する

定年を機に働き方を見直し、より負担の少ない職場や自分のペースに合った環境へ転職するケースもみられます。調剤薬局・ドラッグストア・企業など、60歳以降も活躍できる職場が広く用意されているのは薬剤師の強みです。勤務日数を減らしたり、パート勤務に切り替えたりすることで、無理なく働き続けることができます。ここでは、定年後に働ける職場の例を紹介します。

4-2-1.調剤薬局

調剤薬局の中には60歳以降の薬剤師を積極的に採用している店舗も多く、定年後の再就職先として選ばれやすい職場です。調剤・服薬指導など、これまで培ってきた経験をそのまま生かせるため、ブランクがあっても復帰しやすい点が特徴でしょう。

パート勤務や短時間勤務など柔軟な働き方ができ、体力に合わせて無理なく働けます。人材が不足している地域の薬局では、即戦力となるベテラン薬剤師の需要が高く、患者対応やスタッフ育成などで活躍の場が広がるでしょう。

4-2-2.ドラッグストア

ドラッグストアの中には、シニア層の薬剤師採用に積極的な企業もあります。勤務時間帯の選択肢が多く、早朝・日中のみ・短時間勤務など柔軟に調整できるため、体力に不安がある場合でも続けやすい環境が整っています。調剤業務に加えて、一般用医薬品(OTC)販売や健康相談など業務の幅が広いため、自分に合った働き方を選べるでしょう。接客が好きな薬剤師にも向いている職場です。

4-2-3.物流センターなどの管理薬剤師

医薬品卸や物流センターでの管理薬剤師は、調剤業務がなく立ち仕事の負担が比較的少ない職種です。勤務時間が安定しやすく、夜勤や急な残業が少ない点は魅力でしょう。

主な業務は、医薬品の品質管理、保管状況の確認、書類作成などで、正確性や知識が重視される職種です。落ち着いた環境で働きたい場合や体力面を考慮して負担を抑えたい場合に適しています。

5. 薬剤師が定年後に再就職するときの注意点

薬剤師は60歳を過ぎても働き続けやすい職種ですが、定年後の再就職にはいくつか注意すべきポイントがあります。定年後も長く安心して働くためには、注意点を理解した上で、自分に合った働き方を見極めることが大切です。ここでは、薬剤師が定年後に再就職するときの注意点についてお伝えします。

5-1. 定年前より収入は下がることが多い

定年後に再就職する場合、定年前と同じ給与水準を維持するのは一般的に難しくなります。再雇用制度を利用する場合も、給与体系が見直され、基本給や賞与が減額されることがあります。転職する場合には、60歳以上の採用はパート・非常勤が中心となり、勤務時間が短くなる分、年収は自然と下がる傾向にあります。

とはいえ、薬剤師は資格職であり、他職種に比べれば収入は安定しやすい点が強みです。定年後の働き方を考える際は、収入の変化を前提に、生活設計や働き方の優先順位を整理しておくことが重要でしょう。

5-2. 求人数が限られやすい

薬剤師はシニア層でも働きやすい職種ですが、60歳以上の採用方針は企業によって異なり、求人数が限られやすい状況です。特に正社員やフルタイム勤務の求人は年齢制限が設けられている場合もあり、選択肢が狭まる傾向にあります。

パートや短時間勤務の求人は比較的見つかりやすいものの、地域によっては応募が集中し、競争率が高くなることもあるでしょう。再就職をスムーズに進めるためには、早めに情報収集を始めること、働き方の条件に柔軟性を持つこと、複数の職場形態を検討することがポイントになります。

5-3. 年下の上司のもとで働く場合がある

定年後に再就職すると、自分より年下の管理薬剤師や店長のもとで働くケースが増えます。特に調剤薬局やドラッグストアでは、30〜40代が管理職を担うことが多く、年齢差が大きい職場環境になることも珍しくありません。これまでの経験や価値観との違いから、指示の受け方やコミュニケーションに戸惑う場面もあるでしょう。

再就職後に円滑に働くためには、年齢に関係なく相手を尊重し、柔軟に職場のルールに合わせる姿勢が重要です。ベテランとしての知識や経験は強みを強みとしつつ、適切な距離感で生かすことが求められるでしょう。

5-4. 体力的に無理のない働き方を選ぶ必要がある

薬剤師の仕事はデスクワーク中心に見えますが、実際には立ち仕事が多く、長時間の調剤や接客は体力的な負担が大きくなりやすいでしょう。

定年後は体力の変化を踏まえ、無理のない勤務時間や業務内容を選ぶことが大切です。パート勤務や短時間勤務、調剤業務の少ない職場など、負担を調整できるところを選ぶようにしましょう。

また、無理をして働き続けるとミスのリスクも高まるため、自分の体調や生活リズムに合った働き方を優先することが、長く働き続けるためのポイントです。

6. 薬剤師が定年後も無理なく働くために

薬剤師は60歳の定年を迎えた後も働き続けやすい職種であり、実際に60代・70代の薬剤師が多くの現場で活躍しています。平均年収も比較的低くない上に、定年後も安定した収入を得られる可能性はあるでしょう。

一方で、再就職時には収入の低下や募集枠の限定化、年下の上司の下で働くケースなど、注意すべき点もあります。無理のない働き方を選ぶためには、勤務延長制度の活用や、調剤薬局・ドラッグストア・企業の管理薬剤師など、複数の選択肢を比較検討することが大切です。自分の体力や生活スタイルに合った働き方を見極めることで、定年後も安心して長く活躍し続けることができるでしょう。

この記事の著者

薬剤師ライター

秋谷 侭美

薬剤師ライター。病院・薬局で幅広い診療科を経験。現在は2児の子育てをしながら、Webライターとして活動中。専門的な資料や情報をわかりやすくかみ砕き、現場のリアルに寄り添う言葉で伝えることを大切にしている。同じ薬剤師として、日々の悩みやモヤモヤに共感しながら、少しでも役立つヒントや気づきを届けられるように試行錯誤中。

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