ブラック薬局の6つの見分け方と転職で失敗しない方法

ブラック薬局の6つの見分け方と転職で失敗しない方法

狭い人間関係や会社の規模、人手不足などが理由でブラック薬局は少なからず存在しています。

もし現在の職場や転職した先がブラック薬局だったとしたら、精神的にも身体的にも病んでしまう可能性もあるので注意が必要です。

そこで、今回は薬剤師として間違った転職先選びで失敗することがないように、ブラック薬局の見分け方についてご紹介します。

気になる大手薬局と中小薬局でのメリットとデメリットも比較し、ブラック薬局ではない薬剤師の職場の探し方もご紹介します。

1. ブラック薬局を見分ける6つのポイント

巷で「ブラック薬局」と呼ばれる仕事環境の悪い薬局は残念ながら存在します。そして、ブラック薬局は皆さんにとっても決して無縁な存在ではありません。

まずは、現在の勤務先がブラック薬局に当てはまるかどうか、また転職先がブラック薬局ではないかどうかを見分ける6つのポイントをご紹介します。

ポイント1. 人間関係が悪く風通しの悪い職場、いじめやパワハラがある

ポイント1. 人間関係が悪く風通しの悪い職場、いじめやパワハラがある

人間関係に全く問題がなく「100%健全である薬剤師の職場」というのは、実際のところ少ないかもしれません。

とはいえ、仕事に大きな支障を来すことなく、通常の薬剤師業務を行える職場が理想的ですよね。

しかし、ブラック薬局では人間関係が複雑であったり、とても影響力の強い立場の人が職場の雰囲気を悪くしていたり、さらには最近問題となっているいじめやパワハラが横行していることもあります。

小さな世界で状況を変えようと努力をせず、意見をいえないような風通しの悪い環境もブラック薬局となる要因といえるでしょう。

ポイント2. 残業が慢性化している、サービス残業が当たり前

ポイント2. 残業が慢性化している、サービス残業が当たり前
ブラック薬局かどうかの判断基準の一つとして、残業の長さ・労働時間の長さは外せないポイントです。残業が多すぎるのは、非効率的な職場であることだけではなく、残業代を請求できないように上司や会社から圧迫されている可能性があるため、注意が必要です。

特に、薬局の場合は近隣の病院が終わるまで閉店することができず、受け身の状態になってしまうことも少なくありません。

決められた就業時間を超えて残業することが定常的になっている場合も多く見られます。スタッフ不足で残業を絶対に断れない、サービス残業が当たり前という雰囲気があればブラック薬局といえるでしょう。

ポイント3. 離職率が高く、スタッフが定着しない

「働きにくい薬局」「仕事が忙しすぎる薬局」「人間関係が複雑である薬局」、こういったネガティブな要素を持っている薬局では、薬剤師が定着しないので離職率が高くなります。

また、業務が多いにも関わらず給与が低い、福利厚生が充実していないなど待遇面が悪い場合は薬剤師が離職しやすい傾向にあります。

頻繁に薬剤師が入れ替わって長く働いている人が少ない場合はブラック薬局である可能性が高いでしょう。

ポイント4. 忙しくて休憩や有給休暇・法定休暇も取れない

ポイント4. 忙しくて休憩や有給休暇・法定休暇も取れない
ある程度の忙しさは仕方のないことですが、それでもスタッフを揃えたり勤務体制を整えたりすることが会社の役目です。

一人薬剤師で薬局が常に開店しているため休憩をまともに取れない、忙しくて調剤室から抜けられない、人員不足で週休などの休日も返上で出勤を求められる…など。

休みを十分に取れないような薬局は完全にブラック薬局といえます。

ポイント5. 研修補助や教育制度が整っていない

ブラック薬局の特徴として、研修補助や教育制度などバックアップする体制が整っていない場合も多くみられます。

社長や上層部の意向で、薬剤師の研修補助は余計な出費として見なされている、研修に行く時間があれば実務をこなして欲しい……。

などといった考えが浸透している薬局では薬剤師として成長することが難しく、ひいてはブラック薬局化につながる恐れがあります。

ポイント6. 調剤報酬の不正請求が行われている、過誤対策が不十分

最後に、あってはならないことですが、調剤報酬を不正に請求している場合も完全にブラック薬局といえます。

例えば、加算算定に該当する指導を行なっていないのに不当に加算を算定しているケースなどが該当します。

スタッフにも加算を強要し、意見できないような雰囲気ができあがっているならば非常に危険な状態です。

また、過誤に対するリスク管理が十分に行われていない、過去の反省を踏まえた改善がみられない場合も同様にブラック薬局といえます。

そのような環境では自分もいつか過誤を引き起こして加害者になる可能性があるので、一刻も早く改善案を提案するか自ら退職を検討することをおすすめします。

2. 大手チェーン薬局と中小薬局でブラック度を比較

薬局を選ぶ時に大手薬局と中小薬局ではどう違うのかも気になりますよね。

そこで、大手と中小でメリット・デメリットを比べてみて、どちらがブラック薬局の可能性があるのか考えてみましょう

2-1.薬剤師が大手薬局を選ぶメリット

2-1.薬剤師が大手薬局を選ぶメリット
数十店舗以上の多店舗展開する大手薬局やグループ企業の傘下にあるような大手チェーンの場合、次のようなメリットがあります。

  • 企業の営業収益が安定している
  • 薬剤師への福利厚生が充実している
  • 薬剤師の教育・研修制度が整備されている
  • 薬剤師の育休・産休制度の実績が多い
  • 薬剤師のヘルプをお願いしやすい
  • システム化やIT化が進んでいて、薬剤師の調剤過誤対策が充実している
  • 薬剤師が人間関係で問題が起きても店舗間の異動ができる
  • 薬剤師の昇給や評価などの給与体系が明確である

企業からの転職者や新卒者の場合は研修制度が充実しているので、大手の方が薬剤師としての土台をしっかり作ることができます。

また、収益も安定しているので給与面の変動も少ないことが予想されます。家庭を持つ方将来は家庭を持って仕事との両立を希望している方にとっては、シフトの融通がききやすく働きやすい職場となります。

2-2.薬剤師が大手薬局を選ぶデメリット

薬剤師が安定的に働けるという魅力がある一方で、大手薬局に特有のブラック薬局に陥りやすいデメリットもあります。

  • 薬剤師の転勤や異動がある
  • 薬剤師が調剤業務以外に本社から依頼された事務仕事が増える
  • 薬剤師の給与が中小企業よりも少ない場合がある
  • 薬剤師が店舗間のヘルプを急に求められることがある
  • イベントや社内行事、面談などが多い
  • 報告・連絡・相談など意思決定に時間がかかる
  • 薬剤師の勉強会の頻度が高く、プライベートな時間が削られる

全ての項目が1つあるだけでブラック薬局になるわけではありませんが、度をすぎたり、自分の希望と合わなかったりするとブラック薬局に陥ってしまう可能性も秘めています。

2-3.薬剤師が中小薬局を選ぶメリット

2-3.薬剤師が中小薬局を選ぶメリット
大手チェーンは苦手で中小企業くらいの規模の方が働きやすいと感じる薬剤師も多くいます。大手にはない魅力も多い中小企業では、次のようなメリットがあります。

  • 薬剤師の異動が少なく、地域密着型で長く働ける
  • 薬剤師一人に任せられる仕事が大きく、やりがいを感じやすい
  • 薬剤師の給与水準が大手企業と比べて高い傾向がある
  • 社長などの上層部、経営陣と直接意見を交換できる
  • 薬剤師の提案が採用されるまでの意思決定が早い
  • 薬剤師の人員の配置転換が少なく、同じメンバーで安定して働きやすい
  • 薬剤師が独立希望の場合には独立支援してくれる場合がある

中小企業はその規模の小ささがメリットにもなり、柔軟に薬剤師の意見を取り入れたり、シフト調整をしてくれたりと薬剤師が働きやすい環境であることも多いです。

また、経営者が企業や社員の成長を促したいと考えているのであれば、薬剤師の教育・研修制度も充実しているケースが多いでしょう。

また、社員同士の距離感が近く、直接相談しやすいことも中小薬局のメリットです。

2-4.薬剤師が中小薬局を選ぶデメリット

中小薬局の場合は規模の小ささがメリットにもなればデメリットになることもあります。

特に中小企業の場合は狭い環境や人間関係がブラック薬局の原因になりやすい傾向があります。

  • 薬剤師の教育体制が大手と比べると整っていない
  • 薬剤師個人にかかる責任や業務量が多くなる
  • 薬剤師の情報共有や報告・連絡・相談などの流れが整っていない
  • 管理職一人の一存で物事が左右されてしまう
  • ワンマン社長であれば、薬剤師も受け身にならざるを得ない
  • 意味のないローカルルールに縛られる
  • 薬剤師の評価制度が整っていないため、正しい評価が行われない
  • 薬剤師の調剤スキルやマナーなどが自己流になりがち

大手薬局よりもマニュアルやルールが明確ではない分、現場の判断が求められることが多いのが中小薬局の特徴です。

その自由さをやりがいに感じられる人もいれば、負担に感じてストレスを溜めてしまう方もいます。

一概に大手薬局だから、中小薬局だからとブラック薬局と判定することは非常に難しく、個人の適性も関係してきます。自分にあった薬剤師の職場は大手なのか中小なのか、十分に検討することが大切です。

2-5.大手薬局と中小薬局のメリット・デメリットまとめ

メリット・デメリットのまとめ
大手薬局 中小薬局
働き方 調剤以外の雑務が発生しやすいが、薬剤師のヘルプを頼みやすい環境。 薬剤師の裁量が大きい傾向にあり、やりがいがある反面、一人あたりの業務量は多め。
教育体制 研修や教育体制が整っていることが多い。 大手に比べ整っていないことが多い。
給与水準 中小薬局と比べ低い傾向がある。 大手と比べ高い傾向がある。
異動の有無 転居も伴う転勤や異動が起こりうる。 基本的に転勤や異動はない。
人間関係 メンバーの入れ替わりが多く、仮に問題が起こっても店舗間での異動が可能。 同じメンバーで長く働きやすいが軋轢が生じると修復が難しい傾向がある。
福利厚生 育休・産休制度なども整っており、取得実績がある場合も多い。 大手に比べると見劣りする傾向がある。
評価制度 昇給や昇格など給与体系や評価制度が明確であることが多い。 評価制度が整っていないことが多いが、社長との距離が近く話しやすい。
マイナビ薬剤師

自分にあった働き方で働くために

それぞれ違った魅力のある大手と中小の薬局事情。自分はどんな働き方がしたいのか?という「転職先を選ぶための軸」を持つためにも、まずは自分のキャリアの棚卸しからしてみましょう。

3. ブラック薬局を選んで転職に失敗しないためには?

ブラック薬局を選んで転職に失敗しないためには?
ブラック薬局は一般的に誰が見てもブラックな場合もあれば、他のスタッフは平気でも自分にとってはブラック薬局と感じてしまう潜在的なブラック薬局という場合もあります。

いずれにせよ、ブラック薬局を選んで失敗しないようにするには、事前に十分に自分の希望を洗い出しておくことが大事です。

そして自分の希望に適した薬局を探すことが、ブラック薬局に間違って勤めて後悔しないようにするために必要なステップになります。

3-1. 求める条件と優先順位を明確にする

大手薬局と中小薬局に分けてそれぞれのメリットとデメリットをご紹介しましたが、どちらが自分に合っているか見極めることが大事です。

そのためには薬剤師として求める条件と、その中で絶対に譲れない条件優先順位を決めておくことがポイントです。

全ての条件を満たす完璧な薬局というのは、そう簡単には見つからないものです。だからこそ、優先順位を決めておき、自分が絶対に妥協できないポイントと譲れるポイントを明確にしておくと自分の希望に近い薬局を見つけやすくなります。

3-2.薬剤師専門の転職エージェントに相談する

転職活動においてブラック薬局かどうか知るには、とにかく情報収集がカギを握っています。自分一人の転職活動では限界があり、いざ勤めてみたらブラック薬局だった……なんてことにもなりかねません。

ブラック薬局や潜在的なブラック薬局を避けるためにも、薬剤師転職のプロである転職エージェントへの登録がおすすめです。

一般的には手に入らない企業のリアルな情報を入手することができるので、まずは登録しておくと良いでしょう。

特にマイナビ薬剤師に登録すると経験豊富なキャリアアドバイザーに無料で相談することができます。

相談することで自分一人では分かりづらい、求める条件や譲れない条件が明確になるほか、それを踏まえて経験豊富なキャリアアドバイザーが自分にとって最適な職場を提案させていただきます。

就職後のミスマッチも少なくなるとおもいますので、ブラック薬局に不安を感じている方は、ぜひマイナビ薬剤師を活用してみてください。

この記事の監修者

薬剤師専任キャリアアドバイザー

中村 貴大

薬剤師の転職サポート歴7年。
調剤薬局、病院、ドラッグストアなどの法人担当だけでなく、多くの求職者様の転職活動を成功に導いた経験と知識を活かし、転職活動を開始される皆さまを全力でサポートさせていただきます。

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