MRの仕事はきつい？激務でつらいと言われている理由について解説
「MRは仕事がきつい」「激務でつらい」という話をよく耳にします。製薬会社の花形職としてバリバリ働くMRは、収入が多い分「大変な仕事」というイメージがあるのでしょう。しかし、そのイメージは本当なのでしょうか。
今回は、MRの仕事の実態や、「仕事がきつい」と言われる理由について解説します。MRに興味のある方は、就職・転職の際の参考にしてみてください。
目次
1. MRの主な仕事内容は？
MRは、Medical Representativeの略称で、日本語では「医療情報担当者」と呼ばれます。
一般的には、製薬会社の営業・広報担当者として捉えられることが多いのですが、実際の仕事内容は、自社製品の営業や宣伝だけではありません。MRは製品を使用している医師や薬剤師のもとを訪問し、医薬品が有効かつ安全に使用されるように、適切な情報提供を行うという重要な役割を担っています。
また、医療従事者への訪問を通して、自社製品の使用感や有効性、課題などの情報を収集し、自社に持ち帰るのも大切な業務の一つです。
MRの仕事は資格がなくてもできますが、専門的な知識を有する証として、公益財団法人MR認定センターが発行する「MR認定証」の取得を求める企業もあります。MR認定証についてはこちらの記事を参考にしてください。
2. MRの仕事がきついと言われる理由
とにかく激務で仕事がきついと言われているMRですが、MRの仕事のどのようなところが大変なのでしょうか？ MRならではの勤務事情を詳しく見てみましょう。
2-1. 仕事内容は幅広く体力勝負なところも
MRの主な役割は、製薬会社の営業・広報業務と自社の製品に関する情報提供および情報収集です。ただし、それらに付随する業務は多岐にわたるため、すべてを円滑にこなすのは容易ではありません。
例えば、営業だけをとっても、大学病院や市中のクリニックの医師、薬剤師と面会のアポをとり、時間をやりくりしながら訪問しなくてはなりません。訪問先の医師によっては、MRとの面会のタイミングを日常診療が始まる前の早朝や、診療終了後の夜間に指定するケースもあるため、時間帯を問わずに動けるフットワークの良さが求められます。
また、せっかくアポをとっても、緊急の患者対応などで予定どおりに面会できないことも日常茶飯事で、そのたびに臨機応変に対処する必要があります。
一般にはあまり知られていませんが、MRは広報業務の一環として、自社製品に関連する病気や治療法に長けた医師に講演を依頼し、講演会やセミナーを企画・開催する場合もあります。加えて、冊子や印刷物の企画・制作のために、原稿執筆を依頼したりするのもMRの役目です。こうした話を聞くと、MRが一般的な営業職とは一線を画すことがわかるのではないでしょうか。
朝から外勤に出て医療機関をまわり、その合間にオフィスに戻って内勤をこなす。そうした毎日が当たり前になるので、ある意味、体力勝負とも言えるでしょう。
薬剤師の専門知識を生かして、MRへの転職を考えている方もいらっしゃると思いますが、「きつい仕事」と言われるMRの仕事に不安を感じているようであれば、一度マイナビ薬剤師に相談してみてはいかがでしょうか。
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2-2. 専門性が高く常に情報収集が欠かせない
MRは医薬品に関する情報を扱うため、高い専門性が求められます。自社の製品やそれに関連する病気・治療法の知識を身につけるのはもちろん、国内外で日夜アップデートされる医療情報も、きちんと把握しておく必要があるため、日々の情報収集が欠かせません。
特に、新薬の治験・承認の進行状況や、副作用の報告事例などについては、医師から質問される機会も多く、常に適切な情報を提供できるように備えておかなければいけません。一度覚えれば終わりなわけではなく、随時知識のアップデートを求められるのが、MRという仕事なのです。
2-3. 医療従事者との関係構築が難しい
医療従事者との良好な関係を築くこと。これが、MRの仕事を続けるにあたっての最重要ポイントと言っても過言ではありません。MRの主な役割は、医療従事者と医療情報を交換することですが、そのやりとりは決して機械的なものではなく、人と人との信頼関係の上に成り立つものです。だからこそ、「医療従事者といかに円滑にコミュニケーションができるか」は、MRにとって重要かつ難しい課題なのです。
臨床現場で働く医師は多忙な場合が多く、訪問してもなかなか取り合ってもらえないことが少なくありません。だからといって、頻繁に訪問をくり返すと、「忙しいから仕事のじゃまをしないでほしい」と言われてしまったり、最悪の場合は面会を拒否されてしまったりすることもあります。そして、一度関係が崩れてしまうと、持ち直すのは至難の業です。
MRとして働く人たちは、全員一定レベルの専門的知識を持っていますが、成功するMRに共通しているのは、やはり「人を気遣う力や会話力を持ち、医療従事者との信頼関係を築いている」ということです。コンタクトをとりたい医療従事者に合ったコミュニケーション方法を探したり、声をかけるタイミングを見計らったりするのが精神的にきついと感じる人にとっては、つらい場面も多いでしょう。
2-4. ノルマがある
多くの場合、MRには営業ノルマがあり、支店ごとあるいは個人ごとに、管轄地域での「売上前年度比○○％アップ」という目標が課せられます。そして、MRは目標達成を目指して、自社製品をアピールしていく必要があります。
ただし、一般の営業職とは違い、MRは自社製品の価格交渉に関与できません。1991年の独占禁止法改正に伴って、医療機関との価格交渉ができるのは医薬品卸業者のみに限定されたからです。それもまた、MR特有の営業の難しさと言えるでしょう。
また、ノルマが達成できたと思っても、その翌年にはそこから「○○％売上アップ」といった新たなノルマが課せられるケースも多く、MRには常に高いパフォーマンスが求められます。
2-5. プライベートな時間が確保しにくい
プライベートな時間が確保しにくいのも、MRの仕事がきついと言われる理由の一つです。先に紹介したように、MRは自身の医療知識を常にアップデートすることが求められます。そのため、休日を利用して自主的に勉強をしたり、研究会に参加したりすることも多く、プライベートな時間が少なくなりがちです。
また、自社が協賛している学会や、自社が主催の研究会・講演会などのほとんどは、医師の休日に合わせて土日祝日に開催され、MRが業務の一環として出席することも珍しくありません。
3. MRの現状は変わりつつある？
ひと昔のMRは、「医師に対する接待などで毎晩帰りが遅くなるのでは？」と、なんとなくブラックなイメージを持たれがちでした。しかし現在は、MRを取り巻く現状も変わりつつあり、クリーンな労働環境が整ってきています。
その変革をもたらした第一歩は、製薬業界の公正・公平な取引を目指して設立された「医療用医薬品製造販売業公正取引協議会」が、2012年以降、製薬会社による過剰な接待を禁止する措置をとったことです。これにより、現在では営業を目的とした接待が大幅に縮小され、MRの負担も軽減されました。
そして、次に大きな影響を与えたのが、2018年に始まった厚生労働省による「働き方改革」の推進です。これによって残業や土日出勤の多かった製薬業界でも、労働環境が本格的に見直され、働きやすい環境の整備に力を入れる企業が増えました。
さらに、2019年に「販売情報提供活動に関するガイドライン（PGL）」が運用されたことも、MRの労働環境改善を後押ししました。PGLによって、売上を目的とした不適切な情報提供活動に、大きな制限が設けられたのです。
導入された背景には、売上ノルマ達成のために、製薬会社の社員が不適切な情報提供活動を行う例が後を絶たないという問題がありました。そうした事態を再び招かないように、厚生労働省は製薬会社の人事評価制度の見直しにも言及。「売上至上主義によらない人事評価制度や報酬体系」に改めるよう求めています。
MRの仕事はたしかに大変な面もありますが、このような流れを受けて、製薬業界全体がよりクリーンに、働きやすい環境へと変わってきています。
4. 仕事がきついと感じたときは転職を検討してみよう
働き方改革をはじめとする社会全体の動きに合わせて、MRが働く製薬業界も働きやすい環境が整ってきました。ただし、実際に働いている職場によっては、なかなかその実感が得られないといったケースもあるでしょう。また、MRとして成功するためには、医療関係者との良好な関係を構築するための会話力やフットワークが求められるため、向き不向きもあります。
今いる職場になじめなかったり、「MRの仕事がきつい」と感じたりしたときは、思い切って転職してみるのも一つの方法です。
医薬品に関する専門的な知識や業界での豊富な経験を持つMRが、転職を有利に進めるためには、製薬業界や医薬品業界に精通した、専門の転職エージェントを介して活動するのがおすすめです。
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5. まとめ
MRの仕事がきついと言われる理由には、仕事内容が幅広く、ある意味体力勝負なことや、医療関係者との良好な関係を築くためのコミュニケーション能力が問われること、そして専門職として常に自己研鑽が求められることなどが挙げられます。
しかし、近年では働き方改革という社会の流れや、製薬業界における情報提供活動の見直しなどを受けて、MRを取り巻く勤務環境が改善され、昔よりも働きやすくなっています。
とはいえ、MRの仕事量が多いことや、高いコミュニケーションスキルが求められることには変わりありません。そのため、向き不向きも出てくるでしょう。「MRになってみたものの、やっぱりきつい」「自分には合わないかも」と感じたときは、転職を検討してみるのも良い方法です。
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