薬剤師の転職が厳しい理由とは?求められるスキルや転職を成功に導くポイントを紹介

薬剤師の転職が厳しい理由とは?求められるスキルや転職を成功に導くポイントを紹介
薬剤師は国家資格であり、資格取得できれば仕事は安泰と考えていたが、いざ転職活動をはじめてみると思ったようにうまくいかないと感じている方もいるのではないでしょうか。

ここでは薬剤師の転職が厳しいと言われている理由と求められるスキル、成功させるポイントについて解説します。

1.薬剤師の転職が厳しいと言われる理由

なぜ薬剤師の転職が厳しいと言われているのでしょうか。その理由について説明します。

1-1.新型コロナウィルスによる影響

まず、新型コロナウィルス感染症の影響による医療業界の売り上げ低下が理由の一つに挙げられます。
令和3年日本薬剤師会のデータによると、令和元年度と比較した令和2年度同月の処方箋受付回数は2月から下降線を辿り5月には23.4%減少したとされています。その後、いったんは回復するものの11月には再び15.0%の減少です。令和2年は新型コロナウィルス感染症の第1波から第3波にかけての時期と重なるため、処方箋回数減少に大きな影響を与えていたことがわかります。

処方箋受付回数が減少すれば経営にも影響するため、薬局も店舗数を減らしたり、経営を終えたりして対応をしなければなりません。

このような背景が薬剤師の転職は厳しいと言われている理由に挙げられるのでしょう。しかし、新型コロナウィルス感染症が令和5年5月8日から5類感染症に移行したこともあり、現状は徐々に回復傾向にあります。

参照元:日本薬剤師会/(速報値)新型コロナウイルス感染症による薬局経営への影響
参照元:厚生労働省/「新型コロナウイルス感染症のこれまでの疫学と今 後想定される伝播動態」に関する図

1-2.薬剤師資格保有者の増加

薬剤師資格保有者の増加も転職が厳しいと言われている理由の一つです。令和4年厚生労働省の医師・歯科医師・薬剤師統計の概況によると、全国の薬剤師数は323,690人とされています。平成28年の同じデータでは301,323人とされており、6年でおよそ2万人以上増えている現状です。
薬剤師の数が増えればその分、転職の競争率は高くなります。厚生労働省の薬剤師需給調査においても、薬剤師の総数は長期的に見ると供給が需要を上回る見込みとされており、転職が厳しくなる可能性があります。

参照元:厚生労働省/令和4年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況
参照元:厚生労働省/平成28年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況
参照元:厚生労働省/薬剤師の需給調査

1-3.地域による需要の違い

薬剤師の転職が厳しいと言われているのは、地域による需要の違いも関係しています。令和4年厚生労働省の医師・歯科医師・薬剤師統計の概況によると、薬剤師の需要は都道府県によって大きく異なり、人口10万人当たりの薬剤師総数で見ても、東京や大阪などの大都市圏で多く、沖縄や青森などの地方で少ない傾向にあります。特に東京は381.3人と全国1位で、沖縄の165.9人と比べると2倍以上の差です。このように、都道府県によって薬剤師の需要に大きな差があることを留意しておきましょう。

参照元:令和4年厚生労働省の医師・歯科医師・薬剤師統計の概況

1-4.求職者数の増加と有効求人倍率の低下

求職者数の増加と有効求人倍率の低下も転職が厳しいと言われている理由の一つです。厚生労働省のデータによると、公共職業安定所(ハローワーク)に求職の申し込みをした人々の数である新規求職が平成30年に622だったのに対し、令和6年では860と増加しています。
また、一人あたり何件の求人数があるかを示す数値である有効求人倍率をみると、平成30年は4.59だったのに対し、令和6年では2.01となっており、数年前は一人あたり4件以上だったのが、近年では2件程度に減少していることがデータから読み取れます。つまり、仕事を求めている求職者数が増えているにも関わらず、有効求人倍率は半分以下になっている現状です。

このようなデータが出ていることも薬剤師の転職が厳しいと言われている理由に挙げられるでしょう。

参照元:厚生労働省/一般職業紹介状況(令和6年6月分)について
参照元:厚生労働省/一般職業紹介状況(平成30年12月分及び平成30年分)について

1-5.調剤併設型店舗の増加

調剤併設型のドラッグストア店舗が増加したことも、薬剤師の転職が厳しいと言われる理由の一つです。

調剤併設型ドラッグストア店舗が増加し、そのぶん調剤薬局の求人や需要が減少したことが要因で、そのほか前述で紹介したように、新型コロナウイルス感染症の影響によって、処方箋発行数が減少し、調剤薬局の数が減ったことも影響していると思われます。

調剤併設型のドラッグストアは増加傾向にあり、2023年では調剤薬局の数も回復傾向となっていました。ただし、2024年1月から7月では、大手の調剤併設型薬局の増加やオンラインでの服薬指導、ネット注文の拡大により、調剤薬局の倒産件数が過去最多となっています。今後もオンライン販売への新規参入やビジネスモデルの変革に対応できない場合、厳しい状況になるかもしれません。またこのことが、薬剤師への転職状況にも影響してくる可能性はあります。

2.転職で失敗しやすい・厳しいと言われる薬剤師の特徴

薬剤師の転職が厳しいと言われていますが、転職で失敗しやすい方にはどのような特徴があるのでしょうか。転職で失敗しやすい、厳しいと言われる薬剤師の特徴について解説します。

2-1.転職回数が多い

過去の転職回数が多い方は、入社してもすぐに退職してしまうのではないかと思われる可能性があります。特に短期間で転職を繰り返している場合、何か問題があるのではないかと警戒され、書類選考が通らないことも少なくありません。薬剤師は国家資格なので比較的転職しやすいかもしれませんが、採用側もより長く働いてもらえる方を探しています。

転職回数を指摘された場合、やむを得ない事情があったことや、前向きな理由で転職したことなど、悪い印象を与えない説明ができるようにしておきましょう。

2-2.他の人との差別化ができていない

薬剤師としてのアピールポイントがなく、他者と差別化できていない方も転職に失敗してしまう可能性があります。

たとえば、自分のアピールポイントや武器となるスキルや経験がない薬剤師と、かかりつけ薬剤師や管理薬剤師の経験を持つ薬剤師なら後者の方が採用される可能性は高いでしょう。薬剤師は医療系の国家資格であり、より専門性が求められる職種です。

これまでの経験や学んできたことを踏まえた、自分ならではのアピールポイントで他者と差別化が図れるようにしておきましょう。

2-3.希望する条件が多い

転職先に希望する条件が多いと、自分が望む職場を見つけにくくなります。

たとえば、給料が高くて残業がなく、家から近くて忙しくない条件の求人を希望しても、すべてを満たせる職場を見つけるのはきわめて難しいでしょう。仮に好条件の求人があったとしても、応募が殺到しやすく競争率も高くなります。

転職に譲れないポイントを絞ったり、希望条件に優先順位をつけたりしてから、転職先を探すようにしましょう。

2-4.スキルや強みを活かせない企業を選んでいる

自分が持っている薬剤師としてのスキルや強みを活かせない企業を選んでしまうと転職がうまくいきません。

たとえば、在宅医療や病院薬剤師として多くの疾患対応をした経験があるのに、処方箋枚数の少ない職場を選んでしまうとやりがいを感じにくいかもしれません。
給与や条件だけで選ぶのではなく、薬剤師としてのスキルや強みを活かせる職場かどうかを見極めることも重要です。

薬剤の転職で失敗しやすい人の特徴について詳しくは下記記事をご覧ください。

3.薬剤師に求められるスキル

薬剤師は仕事をするうえでどのようなスキルが求められるのでしょうか。具体的に求められるスキルについて解説します。

3-1.コミュニケーションスキル

薬剤師には他の医療従事者や患者さんと適切なコミュニケーションを図れるスキルが必要です。薬剤の専門家として、時には医師に対し疑義照会や処方提案などもおこなわなければなりません。

また、かかりつけ薬剤師として、患者さんに説明をしたり、相談を受けたりすることも多いでしょう。ただ話をすることが好きなだけでは専門家としてのコミュニケーションスキルとは言えません。

相手に適切な言葉でわかりやすく、意図を伝え、要望をしっかりくみ取って理解するコミュニケーションスキルが薬剤師には求められます。

3-2.知識を更新し続ける勤勉さ

薬剤師は薬学の専門家として、生涯にわたり最新の知識と技術の習得に努めなければなりません。

医療分野は日進月歩であり、既存の医薬品情報や治療法が更新されることも珍しくないため、新規薬剤の登場や疾病に対する新たな知見、エビデンスに基づいた医療の進展など、常に変化する医療現場に対応していく必要があります。

もし、薬学知識のアップデートを怠れば、患者さんに不利益が生じる可能性も否定できません。誤った情報提供は、患者さんの健康を脅かし、アドヒアランス低下や重大な有害事象につながる可能性もあります。

そのため、日頃から医療や健康に関する情報収集を積極的におこない、学会や研修会への参加、専門誌・学術論文の購読などを通して、常に最新情報をアップデートしていく姿勢が重要となります。

3-3.落ち着いて物事を考えられる冷静さ

薬剤師の業務は、医薬品の適正使用と患者さんの安全確保のため、常に冷静な判断と正確な作業が必要です。

調剤業務においては、散剤や液剤の正確な秤量、処方内容に基づいた医薬品の調剤、さらには配合変化や相互作用のチェックなど、一つひとつの工程に高い精度と注意力が求められます。

医療現場においては、多忙な状況下や時間的制約がある場合でも、冷静さを欠き、業務上のミスが生じれば、患者さんの生命に関わる重大な事故につながりかねません。

そのため、薬剤師には、常に冷静沈着に状況を判断し、集中力を維持しながら、正確に業務を遂行する能力が求められるのです。

薬剤師に求められるスキルについて詳しくは下記記事をご覧ください。

4.薬剤師の転職でアピールしたいスキルや経験

転職では採用側に自己アピールをすることが重要です。薬剤師が転職の際にアピールしたいスキルや経験について紹介します。

4-1.認定薬剤師や専門薬剤師など資格を持っている

薬剤師の転職でアピールできる重要なスキルとして、認定薬剤師や専門薬剤師の資格があります。その領域は、がん、感染制御、精神科、妊婦・授乳婦、HIV感染症の5つの領域です。

まず認定薬剤師とは「特定の専門分野における薬物療法等についての十分な知識と技術を用いて、各医療機関において質の高い業務を実践していることが認められた者」とされています。

一方、専門薬剤師は「特定の専門分野における薬物療法等についての十分な知識と技術を用いて、各医療機関において質の高い業務を実践するととも に、他の薬剤師に対する指導的役割を果たし、研究活動などについてもおこなうことができる能力を有することが認められた者」とされています。

どちらも取得のためには指定された研修を履修し、認定試験に合格しなければなりません。専門薬剤師の方が研究や学会発表、論文提出などの学術的側面が求められ、専攻分野によっては認定薬剤師の上位資格と位置づけられています。
いずれも、薬剤師として一定水準以上の能力を持っている証明になるため、他者と目に見えた差別化が図れます。

薬剤師の資格について詳しくは下記ページもご覧ください。

4-2.かかりつけ薬剤師として活躍できる

かかりつけ薬剤師として活躍できれば、転職の際に大きなアピールになります。かかりつけ薬剤師とは特定の患者さんを受け持って薬の管理や相談に応じる薬剤師のことです。高齢化にともない地域全体で高齢者の健康を支えていくために、今後もかかりつけ薬剤師の需要は高まっていくとされています。

かかりつけ薬剤師になるには以下の5つの要件全てを満たさなければなりません。

  • 薬局勤務経験が3年以上あること
  • 勤務先の薬局に週32時間以上勤務していること
  • 勤務先の薬局に1年以上在籍していること
  • 薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定薬剤師を取得していること
  • 医療に関わる地域活動に参加していること

地域に根ざした調剤薬局や在宅医療施設に転職する際には大きなアピールとなるでしょう。

参照元:厚生労働省/平成30年度診療報酬改定

4-3.在宅医療の知識や経験がある

薬剤師として在宅医療に携わった経験も大きなアピールポイントです。
近年、高齢化にともない在宅で薬の管理や服薬指導を必要とする患者さんが増えています。通院が困難な患者さんに対し、自宅へ訪問して安全な服薬を提供するのも薬剤師の重要な役割といえるでしょう。

必須ではありませんが、在宅療養や緩和ケアのサポートを想定して「在宅療養支援認定薬剤師」や「緩和薬物療法認定薬剤師」の資格を持っていると良いかもしれません。どちらも在宅医療に関する知識やスキルを有している証明になるため、転職に際に大きなアピールポイントとなるでしょう。

「在宅療養支援認定薬剤師」や「緩和薬物療法認定薬剤師」について詳しくは下記ページをご覧ください。


5.薬剤師の転職を成功させるポイント

薬剤師の転職を成功させるためのポイントを紹介します。

5-1.業界研究・企業研究をおこなう

薬剤師の業界研究、企業研究をおこなうことが転職を成功させるためには重要と言えます。

業界研究とは業界全体の景気状況を知り、将来性や成長性を分析することで、企業研究とは、志望する企業がどんな事業や仕事をおこなっているか、どんな職種があるかを分析することです。

たとえば、今後の高齢化にともない医療業界では「かかりつけ薬剤師」の需要が高まること、予防・健康増進支援が重要視されることが見込まれます。その動向に向けて企業ではどのような働き方をしているのか、どのような薬剤師が求められているのかなどを事前に調べておくようにしましょう。業界研究・企業研究により自分の将来設計を立てることが重要です。

5-2.スキルや経験を整理して自分の強みを把握する

これまで養ってきた薬剤師としてのスキルや経験を洗い出して、自分の強みを把握しておきましょう。

たとえば、調剤業務の多い薬局で多数の患者さんへの服薬指導やOTC販売などを通じてコミュニケーション能力を向上させてきた経験、あるいは病院薬剤師として多岐にわたる診療科の処方箋に対応してきた経験があれば、幅広い疾患への対応能力を強みとしてアピールできるでしょう。自分の強みが活かせる職場かを見極めると、スキルや経験を活かせる転職先が見つかりやすくなります。

5-3.企業に求める条件を明確にする

企業に求める希望条件を明確にして、優先順位をつけておくようにしましょう。希望条件が曖昧だと現職場の不満が解消されなかったり、転職後すぐに辞めたくなったりして失敗する可能性が高くなります。薬剤師としてスキルアップしたい、ワークライフバランスを重視したいなど、自分の中で譲れない条件を絞っておくと良いでしょう。さらに絞った条件の優先順位をつけておくと希望に合った転職先を見つけやすいはずです。

5-4.転職する理由を明確にする

転職する理由を明確にしてしっかりと伝えられるようにしておきましょう。面接ではなぜこの職場を選んだのかと聞かれます。前の職場の不満だけを並べたり、ネガティブな理由で辞めたことを伝えたりするとあまりよい印象を持たれません。

たとえば、「将来的に認定薬剤師を取得するためスキルアップしたい」「患者さんと深く関われる環境で働きたい」など、先を見据えた前向きな理由なら好印象を持たれやすいでしょう。ネガティブな理由で転職をする場合でも、ポジティブな内容に変換して話せるようにしておくことが必須です。

5-5.面接の対策をしっかりとおこなう

転職の際は、事前に面接対策をしっかりとおこなっておきましょう。特に薬剤師はコミュニケーションが求められる職種なので受け答えがしっかりできるかどうかが重要視されます。

面接で自信がない印象を持たれたり、伝えたいことがわかりにくかったりすると、現場でもそうなのかと判断されてしまうかもしれません。
薬剤師は患者さんだけではなく、他の医療従事者とも適切なコミュニケーションを求められるため、受け答えは重要です。

自分が言いたいことをまとめておくことも大事ですが、相手が何を聞きたいかをしっかり理解したうえで、目を見て自信を持って話せるように練習をしておきましょう。

5-6.転職エージェントを活用する

転職に不安があるのなら、転職エージェントを利用するのも有効な手段です。

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6.まとめ

薬剤師の転職が厳しいと言われている理由と成功させるポイントについて紹介してきました。前述したとおり、さまざまな理由で薬剤師の転職が厳しいと言われることもありますが、薬剤師が活躍できる職場は数多く存在しています。

職場が求めている人材と自分のスキルや条件が合致すれば、良い転職先を見つけることも困難ではありません。転職を考えている方は、これまでの経験やスキルを振り返り、自分の強みを明確にして転職活動をしてみてください。

この記事の著者

メディカルライター

長崎 燿一郎

医療従事者として、病院やクリニックを中心に医療現場で約20年勤務。現在は整形外科クリニックで働く傍らwebライターとしても活動し、5年目を迎える。医療・健康分野を中心に執筆実績多数。

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