薬剤師に英語力は必要?海外で働くために必要なレベルや転職できる職場とは
薬剤師の転職先には、英語力の生かせる職場が意外にも多いことをご存じでしょうか?
近年、外国人の来訪も増え、一般の薬局でも英語を活用する機会は増えています。実はそれだけでなく、薬局以外にも英語力を活用できる職場はたくさん存在しています。
今回の記事では、自身が持つ英語力を薬剤師で生かしたいと考えている方に向けて、おすすめの働き方をご紹介します。
目次
1. そもそも、薬剤師に英語力は必要?
日本政府は観光立国を推進しており、訪日外国人は年々増加しています。
日本のOTCや化粧品は訪日外国人に人気が高いため、外国人対応を強化しているドラッグストアも少なくありません。
企業のグローバル化による海外赴任や外国人留学生など、日本に滞在する外国人も増え続けており、薬剤師が英語力の必要性を感じる場面も多いのではないでしょうか。
1-1. 国内で薬剤師として働く場合
北海道にある大学の薬学部が、国内の病院で働く薬剤師と薬局で働く薬剤師240名に、英語の必要性と業務で使用する頻度などのアンケート調査をおこなったところ、病院では論文や専門誌の読解、講演の聴講、プレゼンテーションなどに英語の必要性を感じる薬剤師が多く、薬局勤務の薬剤師では患者/顧客対応に最も英語の必要性を感じる、という結果となったそうです。
参照元:北海道科学大学薬学部/薬剤師の英語使用の実態と必要性の認識および学部時代の教育への
評価に関する調査研究
いずれの薬剤師も多くは自分自身の英語スキルについて不十分と感じており、薬剤師の業務をおこなう上で英語学習は必要、と答えています。
病院薬剤師には主にリーディングとヒアリング力が、薬局薬剤師にはコミュニケーションツールとしての英会話力が求められており、多くの薬剤師が勤務先のニーズに応じた英語力の必要性を感じていることがわかります。
1-2. 海外で薬剤師として働きたい場合は?
海外で活躍する日本人は年々増加しており、海外在留邦人の数は2009年の約113万人から、10年後の2019年には約141万人に増えています。
参照元:政府統計の総合窓口(e-Stat)外務省/海外在留邦人数調査統計
海外で働きたいと考える薬剤師も増えているようで、実際にタイやシンガポールなど日本人が多く暮らす国では日本人の薬剤師が常駐する薬局も少なくないようです。
ただし、一部の国を除くほとんどの国では自国の薬剤師資格を必要とするため、働きたい国であらためて薬剤師認定試験を受ける必要があり、受験やビザの申請には極めて高度な英語力が要求されます。
途上国でのボランティアとしてなら日本の薬剤師資格でも働くことが可能ですが、ここでも中級~上級の英語力を要求されることが多いようです。
勤務する国や職場によって必要な英語力のレベルは異なりますが、欧米など薬剤師の資格がきちんと整備された国で働くには、一般的な英語力はもちろん医療分野に特化した科学英語をマスターしておく必要があるでしょう。
2. 薬剤師が英語を習得する3つのメリット
ではまず、薬剤師が英語を習得することによって得られる3つのメリットについて見ていきましょう。
2-1. メリット1.新薬情報をいち早く理解することができる
新薬の情報は、医学雑誌やWebサイトに英文で掲載されることが一般的です。
また、それらの情報が日本語に翻訳されて公開されるまでには数ヵ月かかることもありますし、そもそもすべての記事や論文が日本語に翻訳され、公開されるわけではありません。
したがって、英文を読むことができれば、いち早く最新情報に触れ自身の知識にすることができるのです。
2-2. メリット2.海外の方への接客がスムーズになる
当然ですが、海外の方が病気やけがになってドラッグストアや調剤薬局を訪れた際に、どういった症状で、どういう薬が欲しいかを説明しても、英語を理解できる薬剤師がいなければ適切な接客対応をすることができません。
そんなとき、英語が話せる薬剤師がいれば、丁寧な対応や商品説明ができて、接客がスムーズになります。
お客様の信頼感が高まり、口コミによって評判が広まれば、多くの外国人が顧客になってくれる可能性があります。お店の売上げアップにもつながるでしょう。
2.3. メリット3.転職や給料アップの可能性が広がる
実用レベルで英語を使いこなすことができる薬剤師は、多くても薬剤師全体の数%程度だと考えられます。
今後は外国人客の増加や医薬情報のボーダレス化が進展していくため、英語ができる薬剤師のニーズはますます高くなっていきます。
英語力がある薬剤師は、転職のチャンスが広がる可能性が高く、英語力の高さを転職時の条件交渉の手段として用いることもできるので、給料アップの可能性も高くなるでしょう。
3. 薬剤師が英語力を生かして働ける職場
薬剤師が英語力を生かして働ける職場には、国内ならインバウンドの多い観光地や海外からの赴任者が多い都市部の薬局・ドラッグストア、製薬企業の学術職などがあります。
また、海外では薬剤師としての業務以外に原材料や海外製医薬品の貿易に関わる仕事もあります。
会話やライティングなど、英語力のなかでも自分の得意とするカテゴリをどう生かすかが職場選びのポイントとなるでしょう。
3-1. 特定の調剤薬局
調剤薬局のなかにも、英語力が求められる職場があります。
例えば、国際線の空港内にある薬局、もしくは空港に近い場所に出店している調剤薬局です。
外国人観光客の利用が多いことから、ある程度の英語力は必須といえるでしょう。
また、銀座、秋葉原、大手町、新宿などの外国人観光客が多い場所に出店している調剤薬局でも、英語での問い合わせに対応できるスキルは役立ちます。
その他、米軍基地や外国語学校の近隣にある店舗には英語圏の患者さんが多く来店するため、身についた英語力を生かすことができます。
これらの調剤薬局で勤務することによって、外国人客と接する機会が増えれば、さらに英語力を高めることができるでしょう。
3-2. 海外とのやり取りがある医療系企業
臨床現場から離れて企業に就職することも、英語力を生かすチャンスです。
海外企業との提携や、協業を積極的に進めている製薬会社、また治験に関係する会社などでは、英語を活用する機会にあふれています。
国際的なプロジェクトに関わることも多く、英語を使った専門的なメディカルライティングができ、海外との英語のやり取りをおこなえる人材が求められることも多いのです。
さらに、医療機器メーカーにおける学術業務、DI、薬事業務などでも、英語力がなければ対応できない業務があります。
英語で書かれた臨床試験の資料を翻訳したり、メディカルライティングとして英語で書類を作成したりが主な業務になります。
専門的な説明を英語でおこなうため、より高い英語力が必要となるでしょう。
勤務する職種によって英語力のニーズが変わるため、どういった業務に携わるかで求められるスキルは大きく異なります。
薬剤師ならではの知識と英語力を生かせる企業・職種を選びましょう。
3-3. 海外勤務
英語圏の国で就職することになれば、英語を使うのが日常となります。
しかし、薬剤師免許はその国ごとに取得する必要があり、日本の薬剤師資格を持っていても、そのままで働くことはできません。
まずは、滞在国でライセンスを取得しなおすところからスタートすることになるでしょう。
再取得の方法としては、その国の薬科大学に編入して薬剤師資格を取得するか、薬剤師免許のトランスファー制度を利用して薬剤師資格を取得するための試験を受けるかのどちらかです。
また、同時に労働ビザを取得する必要があります。ただし、国によっては外国人の雇用が少なく、ビザの取得が難しい場合もあるので注意しましょう。
国によってはワーキング・ホリデー制度を利用することで、観光ビザでも就労することはできますが、期間が限られます。
薬剤師免許を活用せず、外資系製薬会社の海外支店で勤務することも一つの手です。
そのほか、国境なき医師団などの海外派遣ボランティアとしての活動であれば、国内の薬剤師免許だけで海外での活動が可能です。
3-4. 外資系の製薬会社
外資系の製薬会社は、社内の公用語が英語である場合もあるため、英語力は欠かせないスキルだといえます。
他国での医薬品の承認申請を進めてシェアの拡大を図っている外資系の製薬会社では、薬剤師経験者を募集しています。
特に「DI職(ドラッグインフォメーション)」という職種は、医師やMRからの薬に関する質問に対して、英語で書かれた論文を読解して情報を提供するという仕事の性質上、英語力が必要となります。
薬剤師から外資系製薬会社のMRに転職する場合も、薬剤師の経験や英語力を生かして活躍することができます。
営業成績によっては、高収入を得ることもできるでしょう。
3-5. 空港内の薬局
規模の大きな空港には、店舗数は少ないですがドラッグストアや薬局があります。
総じて営業時間が長く、なかには※24時間営業の店舗もあるようですが、調剤の受付時間は一般の薬局と同様で、外国人対応が多いこと以外の業務内容に違いはないでしょう。
空港のドラッグストアのなかには語学手当を支給している店舗もあるくらい、英語力を生かすにはうってつけの職場です。
ただし空港の薬局やドラッグストアは求人情報が少ないので、転職先を探すならこまめに求人情報をチェックするか、転職エージェントの利用をおすすめします。
※現在は休業中、または時間短縮している場合があります。
3-6. その他にも活躍できる場所は多数
薬局や薬事職などのほかにも英語力と薬剤師の資格を活かせる仕事は多数あります。
なかでも比較的新しい職域であるMSL、PV、メディカルライターについてご紹介します。
3-6-1. PV(ファーマコビジランス)
製薬会社などで活躍するPV(ファーマコビジランス)も最近注目されている職種の一つです。
日本語で「医薬品安全性監視」と訳されるPVですが、世界保健機関(WHO)では「医薬品の有害な作用または医薬品に関連する諸問題の検出、評価、理解および予防に関する科学と活動」と定義されています。
仕事内容は、医薬品の開発段階から医薬品の情報や薬を服用したことで患者の身体に発生した、好ましくない症状のすべてを、MRなどと連携して収集し、記録、評価することです。
PVは各国の症例報告や医学専門誌に掲載される論文などから、医薬品の副作用や有害事象の情報を収集するため、科学英語の得意な人材が求められます。
また、海外とのコミュニケーションが必要とされる場合もあり、高度な英語力が必須の職種です。
PVの詳細はこちらをご参照ください。
3.6.2. メディカルライター
医療や健康に関する文書などを専門的に執筆する仕事をメディカルライターと呼びます。
臨床試験の報告書作成や、製薬企業では添付文書、インタビューフォームなどの作成、論文の清書や要約の作成、書籍や雑誌の記事など、仕事内容は広範におよびます。
メディカルライターもMSLやPVと同様、最新の論文など英文を情報源とすることが多く、英語力を求められる場面の多い職種です。
メディカルライターの詳細はこちらをご参照ください。
3-6-3. MSL(メディカル・サイエンス・リエゾン)
MSLはMRのような自社製品の販売促進業務とは違い、最新の論文や学会への参加、あるいは専門家や医療現場から集めた情報をもとにして、最新の治療法などを普及する中立的な立場で活動し、結果として自社製品や自社価値の向上をサポートします。
近年、臨床研究の不正が疑われる事例があとを絶たないことから採用が増えている新しい職域で、英語論文からの情報収集や海外の関係者とのコミュニケーションなど、MSLには専門分野に強い英語力が求められます
MSLの詳細はこちらをご参照ください。
4. 求められる英語力のレベル
職種や勤務する場所によって、求められる英語力のレベルは異なります。
調剤薬局では、日常会話と病状確認・服薬指導ができる程度の英語力を、ドラッグストアでは、調剤薬局で必要になるレベルに加えて、商品の場所や値段を答えられる程度の英会話ができれば十分でしょう。
4-1. TOEICのスコアでは?
TOEICは自身の英語力を測る指標となります。一般的に企業への就職では、より専門的で高度な英語力が必要となります。採用時の基準となるのはTOEICの点数。
求められるレベルは企業・職種によって異なりますが、990点満点中800点を超える実力があれば、採用の可能性が高まるでしょう。
海外勤務はいうに及ばず、現地レベルの英語力が欲しいところ。患者や来院した方とコミュニケーションを図れる英語力があるかどうかも重要になってきます。普段の生活はもちろん、薬剤師資格を再取得するのであれば、英語による試験に合格できる理解力も必要です。
国や州によって異なりますが、複数の試験に合格する必要があり、薬学的能力だけでなく、英会話能力をチェックする試験もあるため、かなり高難度の英語力が求められるでしょう。
4-2. 医療英語を理解する
外資系メーカーなどで海外勤務を目指すのであれば、日常会話に用いる英語だけではなく、専門的な医療英語も学んでおく必要があります。
就職の際にはTOEICの点数も重要ですが、それ以上に、より専門的な内容を英語で説明できるかも重要になってきます。医療英語特有の表現や言い回しを英語で話せるレベルでなければ外資系や海外勤務は難しいかもしれません。
まずは、TOEICで高得点を目指しながら、基礎英語をしっかりと固めていきましょう。基礎がしっかりと学べたなら、専門知識を増やしていくと医療英語が身についてくるはずです。
5. 薬剤師が英語を勉強するには
薬学部が6年制となってから科学英語を含め、英語教育に注力する大学、薬学部が増えてきています。
しかし、4年制の頃の卒業生や6年制でも学部で充分な英語教育を受けられなかった薬剤師は少なくありません
それでは、薬剤師が仕事をしながら効率よく英語を勉強するにはどうすればよいのでしょうか。
5-1. まずは接客用語を覚える
薬局やドラッグストアに勤務する薬剤師ならば、なにはともあれ来店したお客さまとのコミュニケーションが最も重要です。
また、インターネットで「薬局」や「英会話」などのワードで検索すると、非常に多くの教材がヒットします。
自分の目的に合った教材を購入して学習するか、接客英語を中心に教える英会話学校で基本を学ぶのがよいでしょう。
その他にも、医薬品卸業界の大手サイトからは薬局で使用できる英会話のフレーズ集を入手することもできます。
また、大阪府のホームページでは「薬局での外国人対応マニュアル」が公開されているため、接客英語の学習に活用できます。
5-2. 医療用語は必ず暗記する
論文や医療専門誌などを原文で読むには専門英語の知識が不可欠です。
薬学用語の英和辞典としても使用できる用語辞典や、論文によく使われる英単語の解説をしているサイトなどもあるため、大変ですが医療英単語は必ず暗記するよう努力しましょう。
5-3. 英語が必要な職場に転職する
英語に限らず、語学力を磨くにはなによりも実践こそが最強のトレーニングです。
自分の英語力をさらに高めるために、より高度な英語を必要とする職場に転職することで、自然に英語力は向上することでしょう。
とはいえ、数ある求人情報のなかから、薬剤師としての業務内容、必要とされる英語力、給与や勤務条件などを考え合わせて自分に最適な求人を見つけだすには大変な労力を必要とします。
もし、すぐにでも英語を使える職場への転職を考えるなら、迷わず転職エージェントに相談することをおすすめします。
6. 海外で英語力を証明しやすい資格
英語力を示す指標としてよく使用されるのが、英検、TOEIC、TOEFLなど英語検定試験の点数です。
日本では英検とTOEICがおなじみですが、このふたつの試験は海外、特に欧米における知名度は低く、指標として採用されていない場合もあります。
薬剤師として海外勤務を希望するのであればTOEFL、あるいはIELTSをおすすめします。
6-1. TOEICのスコアは国内でしか通じない?
TOEICは米国のETS(Educational Testing Service財団)による世界標準の英語能力テストですが、きっかけは日本からの働きかけによりETSが日本人を対象として開発をスタートさせたもの。
その当時、ETSはすでに英語圏でTOEFLを浸透させていたため、TOEICはもっぱら非英語圏で普及していきました。
TOEICの試験項目は、1979年のスタート時から長らくリスニングとリーディング(L&R)のみでした。
2006年からはスピーキングとライティング(S&W)の試験も実施されていますが、L&Rの点数しか評価の対象にしない企業が多く、実質、国内での就活にS&W対策は不要です。
受験者もS&WはL&Rの約2割程度にとどまっており、残念ながら「TOEIC高得点者でも話せない人が多い」という印象を裏付ける結果となっています。
日本のほかにTOEICが実施されているのは、アジア、南米、中東、アフリカ、ヨーロッパなど、英語を母国語としない国や地域のため、北米や英語圏での知名度は低く、英語能力の証明とみなされないこともあります。
海外で働くことを目指すのであれば英語での面接対策が必要であり、その点においてもTOEIC L&Rは不向きといわざるを得ません。
6-2. TOEFL
TOEFL(Test of English as a Foreign Language, 外国語としての英語テスト)はTOEICに先行してETSが開発、運営している英語検定試験で、主に英語圏の教育機関が非英語圏の入学希望者に対しておこなう試験です。
6-2-1. 国外でも評価される
TOEICと同じくETSにより開発されたTOEFLですが、その歴史は古く、1964年に最初のTOEFL PBT(Paper Based Test)が開始されてから、現在のiBTに至るまで50年以上の実績を誇っています。
主に北米をはじめとする英語圏の国で実施されているため、日本の大学でも、就職対策にはTOEIC、留学を目指すならならTOEFL、といわれている通り、海外での評価が高い英語検定試験です。
6-2-2.ライティングやスピーキングを含めた4技能の英語運用力を測れる
現在運用されているTOEFL iBTは、リーディング、リスニング、スピーキング、ライティングの4項目でおこなわれます。
得点は各セクションにそれぞれ30点が配点され、4項目の合計最高得点は120点となります。ただし、同じ15点でもライティングなら中級、スピーキングでは初級、というように点数に応じた習熟度のレベルはセクションごとに異なります。
TOEIC同様、TOEFLは合格不合格を判定するシステムではありませんが、海外の大学や高等教育機関の多くは独自に合格基準点を設けており、なかにはセクションごとに最低点を決めている学校・機関、団体もあります。
「読む・書く・聞く・話す」の4要素を個別に評価するTOEFLは、「読む・聞く」だけを一括で評価するTOIEC L&Rと比較して、より実践的な英語能力検定試験といえるでしょう。
実際に、TOEFLは英語圏、非英語圏を問わず世界150ヵ国、11,000以上の大学や研究機関で活用されており、留学や移住における英語力評価に採用している国が多数あります。
6-3. IELTS
IELTS(International English Language Testing System, アイエルツ)は、英国ケンブリッジ大学英語検定機構、ブリティッシュカウンシル(英国文化協会)、オーストラリアの教育サービス会社IDP Educationが共同でおこなう英語検定試験です。
IELTSには、移住や一般的な生活に関するジェネラル・トレーニング・モジュールと、研究機関や医師、コメディカルなどへの就業や海外留学のためのアカデミック・モジュールいう2種類の試験フォーマットがあります。
海外で薬剤師などの専門職として働く場合はアカデミック・モジュールを選択することになります。
試験はリスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの4項目から成りますが、試験結果はバンドスコア(英語の熟練度)として統合され、1から0.5ずつ、9.0を最高位とするランクに分類されます。
日本では英検を主催している日本英語検定協会が実施するIELTSの試験を受けることができます。
IELTSが他の英語検定と異なる点は面接形式のスピーキングテストで、現実に即した英語力の証明を重視しています。
世界140ヵ国、10,000以上の機関が採用しているIELTSでの高得点は、海外薬剤師への転職を目指す方にとって大きなアドバンテージとなるでしょう。
7. 日本と海外では薬剤師の扱いが違う?
欧米諸国の薬剤師には日本にくらべてより広範な権限が与えられています。
例えば米国では医療費が高額なため、医療機関を受診しないでまず薬剤師に相談するのが一般的で、薬剤師は医師に代わる健康相談の窓口となっています。
英国では医師の処方せんがなくとも独自の処方が認可されている薬剤師が存在しており、米英ともに医師の処方せんをもとに薬剤師の権限でくり返し調剤することが可能なリフィル処方せん制度があります。
カナダの薬局では薬剤師がインフルエンザの予防接種をおこなうなど、米国同様、医師の代わりに薬剤師が市民の健康相談窓口として活躍しています。
また、フランスにおける医薬分業の歴史は13世紀までさかのぼり、薬剤師の役割は古くから確立されていました。明治以前の日本で漢方医が診断、処方、調剤、治療まで医療のすべてをおこなってきたのとは実に対照的です。
明治以降の近代医療制度のなかでも、日本における薬剤師の役割は「調剤」という極めて限定的な業務にとどまってきたことで、欧米との薬剤師の役割に大きな差が生まれてしまいました。
一般的に、欧米の薬剤師は医師と並ぶ医療者として社会的地位や収入も高いようですが、その反面、仕事もハードで社会的責任も重いといえるでしょう。
8. 英語力を活用して、自分の理想の働き方を手に入れるには?
英語力の高さが年収やポジションに直接影響することはあまりありませんが、英語力を活用して何らかの成果を出すことができれば、待遇面に反映されることも考えられます。
それ以上に、外国人観光客や移住者が増えていく時代に合って、英語力を生かして社会に貢献できるというやりがいを感じられるのは大きな喜びだといえるでしょう。
ただ、求人募集において英語力を条件として提示するところは少なく、情報が限られます。
地域の調剤薬局であればなおさら、患者さんの層まで明記されることはほとんどありません。
より濃い情報を集めるためにも、適切な職場を探すプロである転職エージェントを頼るのも一つの手です。
マイナビ薬剤師なら一般に公開されていない情報も多く、市場の状況を含めて適切なアドバイスをさせていただきます。
英語力を生かせる職場を探すのなら、ぜひともご活用くださいませ。
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