薬剤師の転職を成功に導く「自己PR」の書き方とは‐アピールポイントや例文も紹介


採用に一歩でも近づくためには、書類によるアピールが欠かせません。中でも、歴書に書く自己PRの内容は、面接に進みやすくするための重要なきっかけになります。どんなに経歴が魅力的でも、自慢話だけの自己PRでは相手の心をつかむことは難しいでしょう。

「この人なら会ってみたい!」と思わせる自己PRの書き方について、お伝えします。

目次

1.自己PRの役割

自己PRの役割は、2つあります。まずは、応募者が企業の必要としている人材であると伝える役割です。そのため、自己PRでは、応募先の企業で生かせる経験やスキル、自分の強みや特性などを明示し、自分を売り込むための大切な材料にしましょう。

一方、企業の採用担当者にとって、自己PRは応募者を深く知るための手段として、非常に重要な役割を果たします。応募者の強みや仕事で大切にしていることが「募集している仕事に生かせるか」「求める人物像に合っているか」を確認し、入職後に活躍できる人材かどうかを見極める必要があります。

採用担当者は、資格や職務経歴だけでは分からない部分も含めて、総合的に人物を評価します。そのため、より魅力的な自己PRが求められます。

2.担当者が自己PRで重視していること

書類を作成する上で意識したいのが、採用担当者の視点です。多くの書類をチェックする担当者は、応募者の自己PR文から何を基準にして、二次審査に進めるのでしょうか。

2-1.職場への適性・定着性があるか

採用担当者は、できることなら職場に定着し、スキルを生かしながら長く働いてほしいと考えています。そのため、重視されるのが職場への適性や定着性です。

適性がない人材を採用してしまうと、将来的な離職のリスクが高まるだけでなく、本人はもとより、周りのスタッフや患者さんにとっても不利益を生み出してしまいます。

コミュニケーション能力や柔軟性、これまでの経験や実績など、面接時だけでなく自己PRの文章においても、そうした適性をチェックされます。定着性のある人材であるかを判断されていることを覚えておきましょう。

2-2.人間性や人柄・雰囲気が職場に合いそうか

単なる経歴の羅列とは違い、自己PRの文章からは、応募者の人間性や人柄、嗜好(しこう)や趣味などが読み取れます。

職場内の雰囲気に合う人物かどうか、チームとしてコミュニケーションが取りやすいかどうかなど、一緒に働きたいと思える人材が求められます。まず職場というチームで和を乱さず、力を発揮できると思わせることは必須条件といえるでしょう。

また、人柄や雰囲気のほかに、周囲にポジティブな影響を与えられるかどうかも見ています。なぜならば、相手の意見を尊重しながらも積極的に自分の行動に協力してくれる雰囲気を作ることが、職場全体の生産性を高めるからです。

職場の雰囲気に合うだけでなく、ポジティブな影響を与えられる人材であることが自己PRから読み取ることができれば高い評価を受けることができるでしょう。

2-3.職場で活躍・貢献してくれる人物か

応募者が職場で活躍し、会社に貢献してくれるかどうかということも、チェックされるポイントとなります。

たとえば、調剤薬局であれば、かかりつけ薬剤師としての活動経験があれば、加算点がつく可能性が高まり、薬局そのものへの利益につながります。
MR職であれば、医療業界に人脈が広いことをアピールすると、かなりの強みとなるでしょう。

3.自己PRを書く前にやっておくべきこと

自己PRを書く前には、転職を成功に導くために、押さえておくべきポイントを明確にすることが必要です。以下に示すポイントについて、細かくチェックしておきましょう。

3-1.自己分析を行う

自己PRを書くためには、自分自身をよく知っておく必要があります。自分の目的や将来像を明確にし、長所だけでなく短所についてもしっかりと分析をしながら、アピールできるポイントを絞っていきましょう。

まずは、転職に至ったきっかけや、その応募先を選んだ理由について、明確な答えを出しておくことが大切です。きちんとした根拠に基づいた転職活動を進めていれば、PRすべき点も見えてきます。

また、自己分析の結果、転職先に必要とされるスキル面で、不足している能力があることに気づく場合もあるでしょう。そんなときは、今後どのように改善していくのかなど、補っていくための解決策を考えながら、PRの中に盛り込むことが大切です。

薬剤師の転職に役立つ自己分析の手法についてはこちらの記事をご参照ください。

3-2.情報収集や業界・企業研究を行う

次に、情報収集や業界・企業研究を行うことが大切です。
まずは、調剤薬局や病院、ドラッグストア、製薬会社など、転職先候補の業界の情報を広く収集して、把握します。具体的には、厚生労働省などの最新統計をチェックする、各業界にまつわる新聞や専門誌を読むなど、幅広い情報収集を心がけましょう。

続いて、転職を考えている業界や企業の状況を把握するために業界・企業研究を行います。
業界研究では、それぞれの業界の将来性・成長度、安定性などを検討し、企業研究では各企業の具体的な仕事内容や残業、評価制度などを、自分の働き方やキャリアプランと関連づけてチェックします。

各企業のホームページはもちろん、転職サイトやニュースサイトなどの情報もチェックし、複数企業をさまざまな共通の軸で比較することで、希望する企業の特徴や強み・弱みを理解しましょう。

なお、転職エージェントを利用すれば、担当のキャリアアドバイザーが無料で一般公開情報にはない業界や企業のニーズや本音を教えてくれます。あなたの業界・企業研究のアドバイザーとして、転職エージェントを活用するのもおすすめです。

3-3.今までの経験やスキルを洗い出しておく

まずは、今まで経験した仕事を洗い出しましょう。他の人と差別化できるような仕事内容があれば特記しておきます。

次に、管理薬剤師や店長、エリアマネージャーなどの役職経験を書き出し、どのようなリーダーシップを発揮したのか、どのような成果を残したのかも振り返りましょう。

また、これまでの業務の中で、特に評価された経験を洗い出しておくことで、自分が興味のあることや、人より優れている部分がどこにあるのかを明確にできます。

さらに、自分が今まで勉強したこと、スキル向上のために特別に努力したことも思い返してみましょう。特に専門性を高めるために努力してきたことがあれば、振り返っておきます。

以上のポイントを洗い出し、求人先に合わせて、どこを強調して説明すると、自分の良さが客観的に伝わりやすいかを考えておきましょう。

3-4.業種別に重視しているポイントを把握しておく

応募時に提出する自己PRですが、その内容をどの程度重視しているかは、求人先によって異なります。

ここでは、業種別に重視しているポイントを紹介しますので、自己PRを作成する際に参考にしてみてください。

3-4-1.調剤薬局

調剤薬局では患者さんと接する機会が多いため、自己PRではコミュニケーション能力があることを伝えるとよいでしょう。

難しい医療用語を、患者さんが理解できる言葉で分かりやすく伝えられるかどうかが、チェックされやすいポイントです。調剤薬局は地域に根ざした存在ですから、地域医療に貢献する意欲を伝えるのもアピールの1つになります。

3-4-2.ドラッグストア

ドラッグストアでは、OTC医薬品や日用品・サプリメントなど、さまざまな商品を扱っているため、薬剤師には幅広い知識が求められるのが特徴です。接客やセールスの技術も必要になるので、それらの能力を裏付ける経験があれば、ぜひ自己PRに記載しましょう。

クレームや問い合わせへの対応業務もあるので、コミュニケーション能力もアピールポイントになります。

3-4-3.病院

病院での勤務には、医療に関する専門知識が求められます。過去の経験から得た専門知識があれば大きなアピールポイントになるでしょう。さまざまな患者さんと接するので、接遇態度が良い点も重要です。

また、看護師や医師などとチームを組んで働くことになるので、チームのメンバーとして働いた経験がある場合は自己PRに生かせるでしょう。

3-4-4.製薬会社

製薬会社などの企業に応募する場合は、一般的なビジネススキルをアピールするのも大切になります。企業ごとに求める人物像が異なるため、自分の強みの中からその企業に合うものを選ぶようにしましょう。

また、企業ごとに、注目されるPRポイントは異なるため、求められる人物像を思い描きながら、自己PRを書く前に材料となるアピールポイントをまとめてみてください。

4.薬剤師の自己PR作成の流れ

次に、薬剤師の転職活動において、どのように自己PRを作成していけばいいのか、そのポイントを見ていきましょう。

4-1.自身の強みや長所をアピールする

まず、自己分析や転職希望先の情報をもとに、自分の強みや長所など、伝えたいアピールポイントを記載します。最初にアピールすべきポイントを述べることによって、採用担当者にも理解してもらいやすくなります。

たとえば、調剤薬局を志望している方なら、コミュニケーション能力に優れていること、病院を志望している方であれば、医療全般に対する高い専門性と知識習得への意欲、チーム医療の経験などをアピールするとよいでしょう。

4-2.具体的なエピソードを盛り込む

自己PRを採用担当者に納得してもらうためには、アピールポイントの根拠が必要です。これまでの職場での成功体験はもちろん、失敗体験によって学んだことや成長したことなど、具体的なエピソードを盛り込むこともポイントになります。

たとえば、調剤薬局を志望している方の場合であれば、「前職では調剤薬局の管理薬剤師の業務とともに、シフト管理や業務の分担管理、適正な在庫管理も担い、円滑な店舗運営に貢献しました」などのエピソードを入れるとよいでしょう。

4-3.企業でどのように生かせるか、貢献できるのかを伝える

自己PRでは、アピールポイントを伝えるだけでは不十分なため、今後の業務への生かし方や貢献の度合いも、あわせて伝えることが大切です。

「前職では〇年間調剤・投薬業務に従事していたので、入局後すぐに調剤薬局業務を行うことができます」「MRとして医師へ粘り強くPRを行った結果、自社医薬品の新規採用を獲得し、担当先の実績を〇倍に伸ばすことができました」というように、自分を採用することによって、職場にどのような良い影響を与えるのか、どのように活躍できるかなど、採用担当者に入職した後のイメージを持ってもらえるよう意識しましょう。

また、職場への貢献をアピールするため、具体的な成果の数値を交えると、説得力が増します。

5.【業種別】薬剤師の自己PRのポイントや例文

履歴書に書く自己PRの文章は、どの応募先でも使い回せるわけではありません。転職先の候補となる業種に合わせて、注目されるアピールポイントと例文をご紹介します。

5-1.例文1.調剤薬局

調剤薬局への勤務において、特に求められるのは、コミュニケーション能力です。患者さんと接する機会が多い調剤薬局では、患者さんとの信頼関係を築きながら、スムーズに対話できるスキルが重視されます。

過去にあった患者さんとのコミュニケーション例や、エピソードを交えたアピール文章を考えてみましょう。また、在宅医療に力を入れている調剤薬局であれば、そうした分野への興味関心があることも、注目されるPRポイントになります。

例文)
「私は、患者さんとの日ごろのコミュニケーションから、困り事を察したり、いつもとの変化に気づいたりすることが得意です。
ちょっとした会話や表情の変化などからきっかけを見いだし、薬剤の説明や生活指導に活用しています。前職においては、◯名の患者さんから、かかりつけ薬剤師にご指名いただくことができました。
貴社においても、この強みを生かして円滑なコミュニケーションを図り、患者さんからの信頼を得て、かかりつけ薬剤師としてサポートしていきたいと考えています」

5-2.例文2.ドラッグストア

ドラッグストアは、調剤業務に限らずOTC医薬品の取り扱いなどもあり、幅広い業務があります。一般的な調剤薬局ではなく、ドラッグストアを選んだ理由として、そうした業務への意欲をアピールするのもよいでしょう。

また、患者さんだけでなく、一般のお客さまを対象にすることから、コミュニケーション能力や接客力も触れておきたいところです。接客業の経験があれば、良いアピールポイントとなります。

例文)
「私は、ドラッグストアで4年間勤務する中で、OTC医薬品などについて相談を受け、ご提案を行ってきました。
お客さまのために商品を選ぶという業務はドラッグストアならではの仕事であり、非常に大きなやりがいがあると感じています。OTC医薬品やサプリメントを通じた健康サポートにさらに力を入れたいと考え、サプリメントアドバイザーの資格も取得しました。
薬剤師としての知識や経験を生かし、調剤業務のみに限らず、OTC医薬品の販売も通して、お客さまの健康サポートを行いたいと思っています」

5-3.例文3.病院

病院薬剤師として働くためには、薬剤だけでなく、医療全般に関わる専門知識が求められます。過去の経験から病院勤務に必要な知識があれば、大きなアピールポイントとなります。これまでに病院勤務の経験がないのであれば、現在学んでいる内容や、今後のスキルアップに対する取り組みなどをまとめるとよいでしょう。

また、チーム医療に対応できるコミュニケーション能力も求められるため、チームプレーの経験について、自己PRで触れておくこともおすすめです。

例文)
「私は、前職でのチーム医療を通じて培った、コミュニケーション能力や他部署との調整力が強みです。
感染制御認定薬剤師の資格を取得しており、前職では感染制御チーム(ICT)の立ち上げからメンバーとして関わりました。
看護師や医師と協力して、感染制御のマニュアルを整備するなど新しい試みを行い、血流感染症の発症を減らしたり、広域抗菌薬の使用量を減らしたりするなどの成果を得ることができました。
慢性期病院では急性期病院と異なる点も多いとは思いますが、貴院においてもICTの立ち上げに関わった経験を生かしたいと考えています」

5-4.例文4.企業

企業では、高度なスキルや専門知識を身に付けていることも、大きなアピールポイントとなりますが、同時に伝えておきたいのが「ビジネススキル」についてです。

他業種から企業へ転職する場合、ビジネスパーソンとしてのスキルは欠かせないものの一つといえます。新卒者であれば、研修で学ぶこともできますが、中途採用の場合には、ある程度のビジネススキルがあることもアピールしておきましょう。

例文)
「私の強みは、幼いころから続けてきたサッカーで培われた粘り強さとコミュニケーション能力です。
MRとして勤務する中で、医療スタッフの方々が疑問に感じた点について深く調べ、情報提供することを繰り返し行ってきました。それにより、医薬品に関するパートナーとして信頼を得ることができました。
薬剤師の資格を持つMRとして、担当分野のガイドラインや治療法を理解し、実際の臨床に即した情報提供をするように心がけています。デメリットとなり得る点もしっかり情報提供したことで、医師からも一定の評価を得て、実績を◯倍に伸ばすことにつながりました。
貴社は、循環器疾患の治療薬開発に力を入れていると伺いました。循環器領域は現在、新薬も多く、競合の多い分野であると感じています。持ち前の粘り強さで、貴社に貢献できると考えています」

6.【強み別】薬剤師の自己PRのポイントや例文

自己 PRの文章を書く上で、自らの強みをアウトプットすることも重要になります。
アピールしたい自分の強みを自己PRに落とし込むポイントは、実例を交えて説得力を持たせたうえで、訴求することです。ここでは自己PRに活用しやすい「強みのタイプ別」に例文を交えて解説します。

6-1.例文1.協調性

薬剤師の仕事には、「協調性」が非常に重要です。調剤薬局やドラッグストア、病院など、どの職場でも協力して業務を進める必要があります。特に少人数で運営する調剤薬局などでは、スタッフ同士の連携が円滑でないと労働環境が悪化し、業務効率も低下します。そのため協調性が高い薬剤師は、より良い職場環境を築けるため非常に重要な資質として評価されるでしょう。

例文)
「私の強みは「協調性」です。前職の店舗では、スタッフ間の相性が悪く、業務が滞っていました。私はまず、日々の挨拶や感謝の言葉を大切にし、スタッフの意見や考えを聞く機会を設けて、その考えを尊重するように心がけました。これにより、スタッフ間の信頼関係を築くことができ、コミュニケーションが円滑になりました。その結果、業務ミスの減少と薬局の評判改善につながりました。この経験から、協調性が仕事に好影響を与えると実感しています。御社でもこの協調性を活かして貢献したいです。」

6-2.例文2.几帳面

薬剤師の仕事には「几帳面さ」が不可欠です。薬剤師は日々、薬を扱うことで患者さんの命や健康に直接関与するため、業務においては常に正確性が求められます。几帳面な薬剤師は、たとえば薬の在庫管理や処方箋の確認など、細部にまで注意を払うことでミスを未然に防ぎます。このように、高い精度で業務を遂行する几帳面さは、採用する企業も大いに評価する点の一つといえるでしょう。

例文)
「私の強みは「几帳面」な性格で、薬剤師としてミスのない業務を心がけています。お薬手帳を使い、患者さんの服薬情報を丁寧に確認し、重複や相互作用の問題がないか調べます。また、調剤ミス防止のため、スタッフ間でのダブルチェックを徹底しています。在庫管理や発注業務でも正確さを追求し、前職では系列店舗で使える在庫管理マニュアルを作成しました。御社でもこの几帳面さを活かし、円滑な業務環境を作りたいです。」

6-3.例文3.向上心

薬剤師として「向上心」を持つことは非常に重要です。たとえば、薬局の薬剤師が新薬やジェネリック薬品の知識を常に更新することで、患者さんに最適な提案ができます。さらに、薬局内での業務効率を改善するアイデアを取り入れる姿勢があれば、全体のパフォーマンス向上に寄与します。このように向上心を持つことは、患者さんや同僚から信頼される存在となり、薬局全体に大きく貢献できる資質の一つといえるでしょう。

例文)
「私の強みは、薬剤師としての「向上心」です。医療現場は日々変化しており、新しい知識と技術が求められます。私は常に専門性を高めるため、薬剤師会の研修会に積極的に参加し、得た知見を業務に活かしています。特に、服薬指導では患者さんのライフスタイルを考慮し、実用的なアドバイスを提供しています。特に高齢者には薬の飲み合わせを分かりやすく説明し、ビジュアル資料を使って指導しています。御社に採用された際は、最新の知識を活用して、患者さんに最適なサービスを提供し、薬局のファンを増やすことで売上に貢献したいです。」

6-4.例文4.責任感

薬剤師に「責任感」はきわめて重要です。たとえば、病院薬剤師には、入院患者さんの薬歴を詳細に管理し、他の医療スタッフと連携して最適な薬剤療法を提供することが求められます。誤った薬の提供や投与ミスが命に関わるため、責任感を持って細心の注意を払う必要があります。患者さんの安全を確保し、信頼される存在となるだけでなく、医師や看護師とも円滑に協力できるようにするためにも、責任感は重要な評価点といえるでしょう。

例文)
「私の強みは、薬剤師としての強い責任感です。医療現場では、患者さんの命に関わる責任を常に意識し、正確で迅速な対応を心がけています。前職の総合病院では、抗がん剤治療チームの一員として、副作用管理や投薬計画の立案に携わり、医師や看護師と密に連携しました。時には医師の処方に対して毅然と疑義を唱えることもありました。御社でも、この責任感を活かし、医療チームの一員として貢献したいです。」

6-5.例文5.対応力

薬剤師には、多様な状況における「対応力」が求められます。特に、管理薬剤師やエリアマネージャーのように、自ら判断し迅速に決定する立場では、高度な対応力が必要です。対応力を持つ薬剤師は、変化する状況に柔軟に対応し、医療チームの一員として信頼される存在となります。特にキャリアアップの転職の際には「対応力」が重視されるでしょう。

例文)
「私の強みは柔軟性のある「対応力」です。前職では、人気のある病院の門前薬局で管理薬剤師として、多くの処方せんに対応しました。処方元の医師の高い要求に応えるため、往診への同行や新薬の納入など難しい依頼にも、スタッフや近隣店舗、医薬品卸との連携で柔軟に対応しました。普段からの円滑なコミュニケーションが協力体制を築く鍵となりました。御社でも、この対応力を活かして円滑な店舗運営に貢献したいと考えています。」

7.【原因別】薬剤師の自己PRのポイントや例文

ここまでは、自己PRで強みをアピールするポイントについて説明してきました。
ポジティブなことをアピールするのであればよいのですが、ネガティブな要因で転職する場合はどのように自己 PRに落とし込めばよいでしょうか。

ここからは、ブランクがある、転職回数が多いなどのネガティブな原因での転職時の自己PRについて例文を交えて解説します。

7-1.例文1.ブランクがある

出産や子育て、介護などでブランクがある場合でも、決してネガティブに捉えないようにしましょう。むしろ、ブランク期間に頑張ったことや一生懸命取り組んだことをアピールすればよいのです。

特に出産や育児、介護は、医療と密接に関わるため、素晴らしい経験として自己PRに活用することができます。

例文)
「私は出産を機に退職し、4年間育児中心の生活をしてきました。
出産前も小児科門前の薬局で働いていましたが、自分で子育てを経験するまで、こんなにも子どもが薬を飲んでくれないものとは思っていませんでした。自分の子どもに色々と工夫して飲ませることで、今では、子どもはどの薬も嫌がることなく飲んでくれるようになりました。今なら同じような悩みを抱える親御さんにも具体的に薬の服用方法を伝えることができます。子育て中心の生活ではありましたが、薬の飲ませ方などの新たな発見もありました。
もし御社に入職できれば、小児科の処方せんが多い店舗で、子どもに寄り添えるような薬剤師になりたいです。」

ブランクの長い薬剤師がどのように転職活動を進めていくかを知りたい方は、詳しく解説した記事がありますので、ぜひ参考にしてください。
薬剤師の転職に役立つ自己分析の手法についてはこちらの記事をご参照ください。

7-2.例文2.転職回数が多い

薬剤師は、転職を重ねることで、いろいろな診療科の処方せんを経験することができます。そのため、薬剤師は他の職業よりも転職回数が多い職業です。
転職経験がある場合は、経験が豊富で即戦力になることをアピールするとよいでしょう。

ただし転職回数が多いと、「採用しても定着してくれないのでは」と思わてしまう可能性もあります。その場合は、今回の転職で長く勤務できるということを伝えられると印象がよくなるはずです。

例文)
「私は調剤薬局やドラッグストア、総合病院の薬剤部で薬剤師として幅広い経験を積んできました。調剤薬局では内科、循環器内科、精神科、婦人科などさまざまな診療科の門前薬局で勤務し、ドラッグストアではOTC販売に携わりました。御社に入職できた際には、これまでのさまざまな診療科目での経験を活かしてオールラウンドな薬剤師として貢献したいと考えています。結婚を機に地元に根ざし、地域医療に長く貢献したいと考えています。」

転職回数が多く、転職活動に不安のある方には、より詳しく掘り下げた記事がありますので参考にしてください。

7-3.例文3.実務経験が少ない

最初に勤務した薬局が長く続かなかったり、第二新卒で実務経験がほとんどなかったりする中で転職活動を強いられる方もいるでしょう。
経験をアピールすることはできませんが、自らのポテンシャルをアピールすることはできるはずです。
前職でうまくいかない中でも努力したことや、大切に思ったことなどを盛り込み、今後の成長の可能性を感じていただけるように前向きに訴求していきましょう。

例文)
「これまで複数の薬局で内科、小児科、皮膚科などの経験を積んできましたが、短期間での退職を反省し、自己分析を行いました。その結果、最も重視するのは、患者さん一人ひとりへの丁寧なケアとしっかりしたコミュニケーションであると再認識しました。特に、小児科での経験を通じて、子どもたちやその家族との信頼関係の重要性を深く実感しました。今後、子どもたちに役立ち、信頼される薬剤師として長く地元で貢献したいと考えています。」

8.自己PRを書く際のポイントや注意点

自己PRを書く際には、特に以下の6つに注意が必要です。自分をアピールして採用を勝ち取るためには、マイナスになるようなポイントを極力避ける必要があります。できるだけ、自分の魅力をアピールできるような自己PRを作成するよう、心がけてください。

8-1.志望動機と矛盾がないようにする

自己PRは、志望動機と矛盾がないようにすることが大切です。志望動機では、「病院の薬剤師としての知識や経験を生かし、新しい知識も身に付けながら、スピーディーな対応を図っていきたいと考えております」と述べているのに、自己PRでは「コツコツと作業するのが得意」と書いてある場合、志望動機と自己PRが矛盾していて、一貫性がないという評価につながりかねません。

自己PRで伝えた強みによって、志望動機にある目標やビジョンが達成できるという筋を通すようにしましょう。

8-2.企業ニーズに合わせてアピールする

志望する企業がどのような人物を求めているかというニーズをつかみ、それに合わせた自己PRを作成することも重要なポイントです。

たとえば、地域密着型で親しみやすい経営スタイルのドラッグストアであれば、「これまで培ってきた人間関係をスムーズにするコミュニケーションスキルを生かして、企業理念である「まごころあふれるドラッグストア」に貢献できればと考えています」 というようにアピールしましょう。

8-3.ネガティブなワードは使わない

自己PRでは、ネガティブな言葉を使わないことも重要なポイントです。
たとえば、「さまざまな人と接するのが苦手」な場合、そのまま自己PRに書いてしまうとマイナスな印象を与えてしまいますが、「患者さんの話をじっくり聞いて説明することで信頼していただき、かかりつけ薬剤師の指名を〇名いただけた」など、前向き言葉に置き換えると、印象はよくなります。

8-4.同じ内容を使いまわさない

複数の企業に応募する際に、同じ内容で自己PRを書いてしまうかもしれません。
しかし、同じ内容を使いまわすということはどの企業に対しても書ける内容となり。独自性にかけた当たり障りのない自己PRになってしまいます。
企業がどのような人材を欲しがっているかを分析し、企業の担当者の印象に残るような自己PRを心がけるとよいでしょう。

たとえば、向上心が強みであるというPRを書く場合、学会発表を重視している企業であれば、「薬剤師として薬の知識を高め、地域の医療に還元していきたい」というような書き方ができます。同じ向上心でも、大手ドラッグストアであれば、「薬剤師としてだけでなくビジネススキルも身につけて、より大きなフィールドで活躍したい」という書き方もできるでしょう。
以上のように企業がどのような人材を求めているかを踏まえて、自己PRをアレンジすることが重要です。

8-5.簡潔にまとめる・抽象的な表現は避ける

自己PRを書く際には、自分の想いを取り留めもなく書くことで「何が言いたいのかわからない」ことになりがちです。
企業担当者の立場に立って、伝わりやすい簡潔な文章を心がけましょう。たとえば、「自分には指導力があります。スタッフの話に耳を傾け、的確なアドバイスをすることができます」というような抽象的な表現は避けましょう。

具体的なエピソードを入れることで自己PRに説得力を持たせることが重要です。
たとえば、「スタッフからの引継ぎに課題がある相談を受け、引き継ぎノートを作ったり、朝礼や終礼などで引き継ぎの共有時間を設けたりするといった改善提案して問題を解決しました。」というように具体例を加えることで、企業担当者に訴求点がイメージしやすいように書くことが重要です。

8-6.過剰な表現になっていないか確認する

自己PRで過剰な表現になりすぎていないかにも注意を払いましょう。
自分の経歴を過剰に自慢したり、誇大な表現を使ったりすることは企業の担当者にもよい印象は持たれません。

たとえば、「店舗の売上を上げる自信があります。必ず地域で1番にしてみせます。」というような過剰な表現は避けるべきです。

そのような場合は、「これまでの経験を活かし、店舗の売上向上に貢献できます。具体的には、前職では売上を20%増加させた実績があります。」といったように具体的な成果や事実に基づいた表現を心掛けましょう。
過剰になり過ぎない、具体的な根拠のある文例にすることで、企業に対して説得力を持ったアピールができます。

9.まとめ

自己PRは求職者から採用担当者に、自分の強みや長所をアピールするためのものです。転職活動で自分の強みを伝える際は、相手に関心を持ってもらえるようなポイントを意識してみましょう。その際に、具体例をあげて説明することで、自己PRに説得力を持たせることができます。

自分を知ってほしいという気持ちも大切ですが、ネガティブな内容になったり、過剰な表現になってしまったりするのはNGです。前職に対する不満や、現状への不安感ばかりが目立ってしまうと、イメージダウンにつながりかねません。
ブランクや転職回数が多いなどのマイナス面も、その中で得た経験や実績をアピールすることで好印象を与えることもできるのです。

自己PRを作成する前にやっておくべきこと、自己PRを書く際のポイントや注意点をしっかりとチェックし、アピール度の高い自己PRを作成してみましょう。

初めて転職活動を行う方や、書類作成に不慣れな方であれば、プロの手を借りるのも一つの手になります。

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この記事の著者

メディカルライター・薬剤師

下田 篤男

京都大学薬学部卒業。 卒業後は薬剤師として調剤薬局グループで勤務。現在も薬剤師として現場で働く傍ら、その知識や経験を活かして、医療記事や美容記事の執筆、編集や薬局経営コンサルタントなど幅広い業務に携わる。

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