薬剤師の転職で選考通過率を上げる志望動機の書き方・組み立て方【NG例】

履歴書を書くとき、一番頭を悩ませるのが「志望動機」ではないでしょうか。

頭の中では「なぜ転職したいのか」が明確でも、いざ文章にするとなかなかまとまらなかったり、今ひとつ思いが伝わらなかったりすることはよくあることです。

ここでは、内定をぐっと引き寄せる、転職に有利な志望動機の書き方をご紹介します。

目次

1. 履歴書の中でも志望動機は特に重要なエリア

転職を成功させるには、まず書類選考を通過し、面接に進まなくてはなりません。書類選考において、場合によっては経歴以上に重要な役割を果たすのが志望動機です。

中途採用は、これまでの経験を生かして即戦力として活躍してもらうことが、企業にとって前提となります。

経歴がどんなに立派でも志望動機が型どおりで「想い」が感じられない方よりは、経歴が少し劣っても志望動機から熱意が伝わる方を選ぶという採用担当者は少なくありません。

志望動機は、履歴書の中で唯一型にはまらず、転職にかける思いや仕事に対する考え方などを存分にアピールできる項目です。

そのため、志望動機には自己PRをしっかりと盛り込みます。
また、面接で活用される事前情報であることを意識して、最も伝えたいことに絞ることが大切です。

その上で、しっかりと内容を磨きあげ、熱意の伝わる志望動機を書くことが書類選考を突破するコツです。

2. 人事担当者は「志望動機」のどこを見ているのか?

中途採用における書類選考では、経歴や実績以上に「経験を生かして成果を挙げたいという意欲があるか」「どうしてもこの会社で働きたいという熱意を感じるか」「採用することで自社にどんなメリットがあるか」といった点がチェックされています。

採用担当者が、志望動機を通じて知りたいと考えている具体的な項目は、次の4つです。

2-1. なぜ同業他社ではなく「この職場」なのか

ドラッグストアや調剤薬局など同業他社が多い分野では、「なぜ、この職場なのか」という明確な理由が書かれていなければ、採用担当者の印象には残りづらくなります。

大学病院や総合病院、企業などを志望する場合も、同業他社にはない強みや魅力を理解し、共感していることが伝わると評価されやすいでしょう。

2-2. どのようなキャリアビジョンを持っているのか

採用担当者は、中途採用者が自社に定着し、長く働き続けてくれることを期待しています。「現在」だけでなく「今後」にも言及し、転職先でキャリアを積み上げていきたいという意思を伝えることが大切です。

2-3. 転職して、どのような成果を挙げたいと思っているのか

採用担当者が知りたいのは、前職で積んできた経験やスキルよりも、「それらを生かして、転職後にどんな成果を上げることができるか(上げたいと思っているか)」という点です。

ただ、経験やスキルを羅列するのではなく、自分を採用することで応募先にどのようなメリットがあるか説明しましょう。

2-4. 前職(現職)の退職理由

退職理由は、「入社したら長く働いてもらいたい」と思っている採用担当者にとって重要な関心事です。

書類に書くことを避けても、面接では必ず聞かれるのでしっかりと整理しておきましょう。応募書類に前向きな退職理由を書くことができれば、他者との差別化につながります。

また、企業によって見られているポイントは異なりますので、マイナビ薬剤師のキャリアアドバイザーに確認してみましょう!

3.【3ステップ】採用に結びつく志望動機の組み立て方

では、志望動機はどのように組み立てていけば良いのでしょうか。具体的な流れを確認しましょう。

ステップ1. 応募した理由

まず、応募先に興味を持ったきっかけについて書きましょう。その職場ならではの魅力と、他社にはない特徴を併せて書くとスムーズです。

比較対象となる前職や他の医療機関をおとしめるのではなく、応募先への深い共感を示すことで違いを際立たせるのがポイントです。

その際、あなたの目標とするキャリアとリンクさせることができれば、より熱意が伝わる志望動機になるでしょう。

<例>
私は、薬剤師の経験を、より患者様の治療に反映できる職場で仕事をしたいと考えてきました。
そこで貴院が毎週薬剤師を含めてミーティングを行い、全員で治療計画を立てるという方針を知り、感銘を受けました。
このような真のチーム医療を目指している貴院でなら、患者様のためになる医療に貢献できると思い、応募しました。

ステップ2. 転職したら何がしたいか、何ができるか

自分が転職した場合、その職場にどのような貢献ができるかという視点で、採用された後のキャリアビジョンを描きましょう。

自身の強みを具体的にわかりやすくPRし、過去の経験をどのように生かせるかという点も併せて書くと、即戦力のアピールにもなって効果的です。

<例>
前職の調剤薬局では、服薬指導や健康相談を通じて、高齢の患者様の悩みや不安に寄り添うことを心掛けてきました。
採用していただいた際には、医師や看護師など他職種と密に連携をとり、超高齢社会の中で在宅医療に取り組む貴院の一員として患者様の生活をサポートしていきたいと思っています。

ステップ3. 決意表明

締めの言葉として、採用後の決意を書くと全体が締まります。

<例>
これまでの経験を生かし、さらに認定薬剤師(専門薬剤師)を目指して経験と努力を積みながら、患者様に寄り添い、患者様に信頼されるかかりつけ薬剤師になるよう努めます。

4.これを書いたら採用率ダウン!?志望動機NG例5選

履歴書の志望動機欄はスペースが狭く、書くことができる文章量はそれほど多くありません。

つい、あれもこれもと盛り込みたくなりますが、内容は前述した「採用担当者が知りたいこと」にしぼり、マイナス評価につながるポイントを避けることを心掛けましょう。

マイナス評価になるのは、以下のような点です。

4-1. インターネットで見つけた例文を転用している

インターネットで検索すると、志望動機の例文がいくつも掲載されています。しかし、例文をそのまま使用したり、一部を変えて流用したりすることはおすすめできません。

それには、二つの理由があります。

まず、採用担当者が例文の転用であることを見破る可能性があるからです。もし転用だとわかれば、どれだけ華々しい経歴がある方でも、「熱意がない」と判断されるか、信頼を失ってしまうでしょう。

次に、もし書類選考を通過したとしても、面接で志望動機を掘り下げられたときに困ってしまうからです。面接の場で考えの浅さが露呈して不採用にならないよう、自分の考えを自分の言葉で書くようにしましょう。

4-2. どの企業にでも使えるような内容

特定の企業や病院に特化しない志望動機は、同時に複数の書類選考を受ける場合には便利なものです。しかし、「どうしても貴社で働きたい」という熱意は伝わりにくくなります。

汎用的な文章はあくまでも志望動機のベースとし、応募先ごとに志望動機をカスタマイズするようにしましょう。

4-3. 志望動機の具体性に欠ける

「経験を生かしたい」「企業理念に感銘を受けた」など、具体性に欠ける志望動機は、「下調べをしていません」と自己申告しているように受け取られがちです。

「経験をどう生かしたいのか」「企業理念の何に感銘を受け、それが転職にどうつながるのか」を具体的に書きましょう。

4-4. プライベートな自己都合が多い

「育児と両立したいから」「家から近いから」といった志望動機は、「それさえ実現できれば他社でもいい」と受け取られる可能性があります。

プライベートとの両立については、面接で聞かれた時に伝えるようにしましょう。

4-5. 応募先に貢献しようという気持ちが感じられない

「転職を機に、薬剤師としての技術の幅を広げたいと思ったから」「研修制度が充実していると知り、スキルアップできると考えたから」といった志望動機のみを書くケースがあります。

しかし、これでは、「転職先に自分を成長させてもらいたい」という要望を押し付けただけで、「自分の経験を生かして応募先に貢献しよう」「応募先を自分の力で成長させよう」という意欲が感じられません。

採用担当者は、転職希望者を成長させるために採用するのではなく、「自社に貢献してくれる方を採用したい」という前提を忘れないようにしましょう。

5. 履歴書を書く上で意外と重要なポイント

履歴書を書く上では、経験やスキルをアピールすることが大切ですが、実は意外に意識されていない重要なポイントがあります。

以下の4つのポイントを押さえておくと、よりアピールできる履歴書にすることができるでしょう。

ポイント1.手書きであれば、丁寧な文字を心がける

手書きの履歴書の場合、文字の上手・下手が合否への影響を与えると思われがちですが、必ずしも文字が上手である必要はありません。

大切なのは、上手さよりも丁寧な文字を書くように心がけることです。読みやすい大きさで、バランスが取れた文字だと見た目の印象がよくなります。

ポイント2.記入欄には余白がないように努力する

記入欄に余白が多い履歴書の場合、応募者のやる気や熱意が伝わらず、採用担当者の印象があまりよくありません。
記入欄の8割程度の文章量を目安として記入するように努力しましょう。

逆に、細かい文字でぎっしりと記入された履歴書は、読みにくいだけでなく、「内容を簡潔にまとめることができない」という印象を与えかねないので注意してください。

ポイント3.派遣の期間は簡潔に記載する

正社員ではなく、派遣薬剤師として勤務していた場合は、勤務していた薬局や病院をすべて記載する必要はありません。

派遣は短期間であることが多く、すべてを記載すると長くなってしまい、現実的ではないからです。

「〇〇年〇月 株式会社××に派遣として就業(〇〇年〇月まで)」のように、派遣会社に就業していたことを簡潔に記載すれば十分でしょう。

ポイント4.志望動機の記入欄がない履歴書を選ぶ選択肢も?

「志望動機ってどんなふうに書けばいい?」という悩みは、多くの転職希望者が抱くところです。そういった方は、志望動機の記入欄がない履歴書を選ぶという選択もあります。

「志望動機なしでも大丈夫なのか?」という懸念があるかもしれませんが、薬剤師採用の書類選考においては「職務経歴書」の内容が重視され、履歴書は人事情報のためという位置づけの場合が多いようです。

また、志望動機欄がなければ、記入の仕方をミスして採用担当者にマイナスなイメージを与えるリスクも避けることができます。

6.【職種別】志望動機の例文

薬剤師であっても、志望先の職種によって志望動機は異なるものです。

調剤薬局やドラッグストアへの転職では「なぜ、他社ではなくこの会社なのか」、病院や企業への転職では「他にはない強みや魅力を理解し、共感していること」が伝わる志望動機にすることが大切です。

ここでは、調剤薬局、ドラッグストア、病院、企業の4職種に分けて、志望動機の例文をご紹介します。

6-1. 調剤薬局に転職する場合の志望動機例

「私はこれまで病院薬剤師として勤務してきましたが、患者様とより密接に関わることができ、健康維持のために貢献している貴社への転職を決意いたしました。

また、貴社は地域に根付いた調剤薬局として、多くの医療機関や患者様からの高い信頼を得ておられます。

病院の薬剤師としての知識や経験を生かし、新しい知識も身につけながら、地域に根付いた医療に貢献していきたいと考えております。」

6-2. ドラッグストアに転職する場合の志望動機例

「私はこれまでは調剤薬局で勤務してきましたが、レジ打ち、商品補充といった販売業務、POP制作、売場づくりなどの販促業務など、調剤以外のスキルも身につけ、広くお客様と接することができる貴社への転職を決意しました。

貴社はドラッグストアの中でも、健康をテーマとしたセミナーを開催するなど、地域医療へ貢献することを積極的に行っておられます。

これまでの調剤業務などの経験も生かしながら、服薬の指導など生活の助けや健康の維持に貢献していきたいと考えております。」

6-3. 病院に転職する場合の志望動機例

「私はこれまで調剤薬局に勤務しておりましたが、医師や看護師など、他の医療従事者の方々とともに患者様と向き合いながら医療に貢献したいと考え、貴院への転職を志望いたしました。

特に貴院は糖尿病診療において、地域の中心的な役割を果たしておられます。

調剤薬局時代にも多くの糖尿病患者様の服薬指導に携わってきましたが、医療の現場において臨床経験を積みながらスキルアップを図り、さらに多くの患者様に貢献したいと考えております。」

6-4. 企業に転職する場合の志望動機例

「私は調剤薬局の薬剤師として、製薬卸会社のMSの方と接する機会が多くありました。

中でも、貴社のMSの方は他社の担当者と比べて対応が迅速かつ適格であり、当方からの要望にも真摯に応えていただけました。

そこで私も薬剤師としての経験を生かし、より正確な情報を薬剤師さんたちに向けて発信し、また現場の方々からの意見、要望に耳を傾ける活動を通して人々の健康に貢献していきたいと考えております。」

7.志望動機は「自分の言葉で書くこと」が大切

志望動機を書くにあたっては、採用担当者が知りたいポイントと、マイナス評価につながるNG例を踏まえて構成することが大切です。

しかし、それ以上に重要なのは、人のまねではなく自分の言葉で書くということです。例文の転用は絶対に避け、思いのこもった志望動機で内定を勝ち取りましょう。文章を書くのがどうしても苦手という方や、マイナスの転職理由をどう転換していいかわからないという方、書いては見たものの内容に自信がないという方は、薬剤師専門のキャリアアドバイザーに相談しましょう。

マイナビ薬剤師なら、個別の応募先ごとに採用担当者が気にするポイントや、好印象を抱かせる履歴書の書き方を無料でサポートいたします。

是非お気軽にご相談ください。

この記事の著者

ライター

齋藤 伸成

出版社にてビジネス書の編集、ビジネスマン向け通信教育講座テキスト(法務・財務・税務・マーケティング)の編集に従事。

その後、編集プロダクションにて数多くの書籍・雑誌等の企画・編集・執筆等に従事する。
携わった分野についても、健康・医療だけではなく、ビジネス書や歴史関連など幅広い実績をもつ。

現在は、フリーランスの編集者として活動。

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