薬剤師の勤務時間ってどれくらい?1日の流れや休日についても解説

薬剤師の勤務時間ってどれくらい?1日の流れや休日についても解説

調剤薬局やドラッグストア、病院や企業など、幅広い業種で活躍する薬剤師。そんな薬剤師の勤務時間は一体どれぐらいなのでしょうか?

医療サービス全体のニーズが多様化する中、薬剤師の働き方も変わりつつあり、シフト制や変形労働時間制、フレックス制など、より柔軟な勤務形態を採用している求人も増えてきています。

今回は、薬剤師の勤務形態に関する基礎知識の紹介をはじめ、業種ごとの勤務時間の特徴や違い、休日の取り方など、職場探しに役立つ情報について徹底解説します。

1. 労働時間の基本知識

労働基準法により、労働時間は原則として1日に8時間まで、1週間に40時間までと定められており、これを「法定労働時間」と言います。

また、休日に関しては少なくとも毎週1日あるいは4週間を通して4日以上の休日を設けることが定められています。

企業が労働者を雇用するときは、この労働基準法に則って労働時間を決めるのが原則ではありますが、働き方の多様化が進む今、職種や仕事内容の性質に合わせて、一定の条件内で柔軟に労働時間を設定することが認められています。
参照:厚生労働省 現行の労働時間法制について

薬剤師に多い働き方のパターンをいくつか見てみましょう。

1-1. 時間や曜日の「固定制」

「固定制」は、勤務する曜日や時間帯などがあらかじめ決まっている標準的な働き方です。

1日8時間以内かつ1週間40時間以内の法定労働時間に準じて働き、それを超過した場合は、時間外労働として25%割増の賃金が発生します。
(労働基準法 第三十七条)
例えば月~金曜日の8時半に薬局に出勤して調剤業務にあたり、17時に退勤、土日は休みというように、毎週規則正しいペースで働くことができます。

1-2. 日によって時間が変わる「シフト制」

「シフト制」とは、例えば早番の日は9時出勤~17時退勤、遅番の日は12時出勤~20時退勤、のように、日によって働く時間帯が変わる働き方のことです。

また、出勤日や休日に関しても、曜日固定ではなく、週ごとあるいは月ごとに変則的になる場合もあります。

シフト制の場合も、法定労働時間を超過した分は、時間外労働として25%割増の賃金が発生します。

1-3. 月・年単位調整の「変形労働時間制」

「変形労働時間制」は、繁忙期と閑散期の差が激しい店舗や病院などで採用されている働き方で、時期に合わせて柔軟に労働時間を調整することができます。

原則的に法定労働時間は1日につき8時間以内、かつ1週間に40時間以内と定められていますが、忙しい時期には、法定労働時間内で仕事を完了させることが難しいこともあります。
(労働基準法 第三十二条の二)

そのような場合、変形労働時間制を採用している企業では、月単位あるいは年単位で労働時間を平均し、1週間あたりの労働時間が法定労働時間を超過することがないように調整します。

つまり、忙しい特定の時期に、法定労働時間を超えて働くことを想定し、他の時期の労働時間を短く設定するということです。
変形労働時間制には、下記のものがあります。

  • 1ヶ月単位
  • 1年単位
  • 1週間単位

職場の忙しさや仕事量に応じて、メリハリをつけて働くことができます。

1-4. 労働時間を自ら決める「フレックスタイム制」

「フレックスタイム制」とは、一定期間内での働く時間の総量(総労働時間)をあらかじめ企業と取り決めた上で、働く人が出勤時間や退勤時間、労働時間などを自分で決める働き方です。

フレックスタイム制では、1日8時間以内かつ週40時間以内の法定労働時間を超えて働いた場合であっても、必ずしも時間外労働として割増賃金が発生するわけではありません。

一定期間内で実際の総労働時間が、その期間から起算した法定労働時間を超過した場合にのみ、時間外労働としてカウントされます。
働く人のライフワークバランスを重視した働き方です。

2. 業種ごとに勤務時間はどう変わる?

薬剤師の勤務時間は、勤めている業種ごとに大きく異なります。

薬剤師の主要な勤務先である「調剤薬局」「ドラッグストア」「病院」「企業」の勤務時間の傾向を見てみましょう。

2-1. 調剤薬局

調剤薬局は、近くの病院やクリニックの診察日、診察時間に合わせて営業していることがほとんどです。

年中無休や24時間体制で診療にあたっている大病院が近くにあるケースを除いて、ほとんどの調剤薬局は平日の日中の営業がメインです。

そのため、朝8~9時頃に出勤し、17~18時頃に退勤するケースが一般的です。

近くに夜診対応しているクリニックがあれば、調剤薬局もそれに合わせて夕方以降も営業するため、薬剤師の勤務パターンは早番、遅番のシフト制になることが多いです。

「かかりつけ薬剤師」として勤務している場合は、既定の勤務時間に限らず、24時間体制で患者さん対応にあたらなくてはならないため、時間外勤務をすることもありますが、このようなケースを除けば、薬剤師の勤務時間帯は基本的に平日の日中です。

求人情報を見ると、勤務形態としては固定制やシフト制が多いですが、最近では、変形労働時間制やフレックス制などを採用しているところもあります。

調剤薬局の薬剤師求人に関してはこちらをご覧ください。
>調剤薬局の薬剤師求人一覧

2-2. ドラッグストア

ドラッグストアは、年中無休かつ1日の営業時間が長い傾向があり、その多くは朝から夜遅くまで薬剤師が常駐しています。勤務形態としては土日祝日を含む1日実働8時間のシフト制を採用している店舗が一般的です。

働き方としては、正社員の他に、契約社員やパート、夜間のアルバイトなど多様な選択肢があるのもドラッグストアならではの特徴です。

保険調剤に対応しているドラッグストアの場合は、調剤業務を担当する薬剤師は早番で出勤し、第一類医薬品や要指導医薬品などのOCT医薬品の販売を担当する薬剤師は早番に加え、夕方以降の遅番の出勤もあるなど、勤務時間のパターンはさまざまです。

ドラッグストアの薬剤師求人に関してはこちらをご覧ください。
>ドラッグストア(調剤併設)の薬剤師求人一覧
>ドラッグストア(OTCのみ)の薬剤師求人一覧

2-3. 病院

薬剤師の勤務時間は、病院に入院施設があるかどうか、夜間の救急体制があるかどうかによって大きく異なります。

外来診察のみの病院やクリニックでは、薬剤師の勤務時間も基本的に病院の診察時間に準ずることになるため、平日の日中の勤務が中心になります。

一方、入院施設や夜間対応のある病院に勤める薬剤師の場合は、通常の日中業務だけでなく、夜勤や当直などの夜間の業務もあることがほとんどです。

勤務形態は病棟の規模などによって異なりますが、土日を含む二交代制もしくは三交代制のシフト制を採用していることがほとんどです。

二交代制の場合は、例えば朝8時~17時までの「日勤」(8時間勤務)と16時半~翌朝9時「夜勤」(休憩2~3時間含む16時間勤務)の2シフトを交代制で担当します。

三交代制の場合は、朝8時半~17時までの「日勤」(8時間勤務)、16時半~午前0時半の「準夜勤」(8時間勤務)、午前0時~翌朝9時「深夜勤」(8時間勤務)の3シフトを交代制担当します。

働き方が多様化している昨今は、正社員の求人だけでなく、当直や夜勤のないパートや、逆に夜間のみのアルバイトなどの求人も増えており、勤務時間の選択肢が広がっています。

病院・クリニックの薬剤師求人に関してはこちらをご覧ください。
>病院・クリニックの薬剤師求人一覧

2-4. 企業

企業に勤めている薬剤師の場合は、基本的に一般社員と同じ勤務時間で勤務するケースがほとんどです。

ただし、MR(医薬情報担当者 )として製薬会社に勤める薬剤師であれば、平日のみの9~18時までの実働8時間勤務が基本ではあるものの、営業職という特性上、残業が発生することもあります。

その他、例えば大手ドラッグチェーンや医薬品を扱う量販店などの倉庫管理薬剤師として勤務する場合は、繁忙期を中心とした変形労働時間制を取り入れている企業もあります。

また、製薬会社などの研究開発部門などでは、医薬品の試験や開発に関わる研究職に対し、フレックス制を採用しているところもあります。

企業で働く薬剤師求人に関してはこちらをご覧ください。
>企業で働く薬剤師の求人特集

3. 薬剤師の休日はどれくらい?

薬剤師の休日は、勤めている職場の営業体制によって大きく異なります。

土日祝日がしっかり休めるケースとしては、土日祝日が休診の病院やクリニック近くの調剤薬局に勤務する場合や、製薬会社などの企業に勤務する場合などが該当します。

一方、土日祝日のいずれかに出勤する必要があるケースとしては、シフト制を取り入れているドラッグストアや病院に正社員として勤務している場合などがあります。

これらのケースでは、土日祝のシフトのいずれかに出勤する代わりに、平日のうち1~2日が休日になります。

ただし、ドラッグストアや病院であっても、パートタイムやアルバイトとして勤務する場合は、家庭の事情などに合わせて休日を選びやすくなることもあります。

4. 薬剤師の平均残業時間は?

厚生労働省による「令和1年賃金構造基本統計調査」によると、薬剤師の1月あたりの超過実労働時間数、つまり残業時間の平均は11時間でした。

同じ医療系の職種では、医師の1月あたりの平均残業時間が15時間、歯科医師が2時間、看護師で7時間、准看護師で3時間でした。

もちろん、薬剤師の実際の残業時間は、業種や職場によって大きく異なるため、あくまでも目安ではあるものの、薬剤師全体の平均値からは残業の多い傾向が伺えます。

ただもし薬剤師として残業の少ない職場をお探しの場合はこちらを参考にしてみてください。

5. 短時間勤務は難しい?

全体として残業が多い傾向にある薬剤師。短時間勤務は難しいのでしょうか?

多様な働き方がある昨今、薬剤師業界でもダブルワークをする方や、結婚や出産、子育て、介護、リタイアなどのライフイベントをきっかけに、気軽に働ける短時間勤務を希望する人は増えています。

一方、企業や調剤薬局などでも、業務の効率化を図るため、例えば調剤のオーダーが集中する時間帯のみ短時間勤務してくれる薬剤師を募集するといったケースもあります。

また、ドラッグストアや医薬品を扱う量販店などでも、短時間勤務の求人が出やすいのでチェックしてみましょう。

6. 自分のワークライフバランスに合わせた職場を見つけよう

薬剤師の就業環境は職場によってさまざまです。自分らしく仕事を続けていくために自身の生活の中での仕事の位置づけを明確にし、ワークライフバランスに合った職場を見つけることが大切です。

とはいえ、膨大な求人情報の中から、本当に理想の職場を見つけ出すのは至難の業です。「残業がない職場を選んだはずが、実際に就職してみると定時で帰ることができない職場だった」というような失敗も少なくありません。

そのような失敗を避け、自分に合った職場を探すなら、薬剤師を専門に扱う転職エージェント「マイナビ薬剤師」を活用することをおすすめします。

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7. まとめ

薬剤師の勤務条件は業種の性質や、職場ごとに大きく異なります。

特に1日あたりの勤務時間や休日の取り方などは、自分の生活パターンに大きく影響する要素です。

「固定制」「シフト制」「変形労働時間制」「フレックス制」など、求人情報で見かけることの多いそれぞれの勤務形態の違いについて知り、自分に合った働き方を選びましょう。

実際の転職や就職にあたっては、「薬剤師としてとにかく稼ぎたい」あるいは、「家族や自分の時間を大切にしたい」など、自分が理想とするワークライフバランスが実現できるよう、プロの転職エージェントを活用しながら進めていきましょう。

この記事の著者

医学博士、医学研究者

榎本 蒼子

最終学歴は京都府立医科大学大学院医学研究科博士課程卒業。2011~2015年 京都府立医科大学にて助教を勤め、医学研究および医学教育に従事。

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