チーム医療における薬剤師の役割とは?必要性やメリット、具体例まで徹底解説

チーム医療における薬剤師の役割とは?必要性やメリット、具体例まで徹底解説
薬剤師は、チーム医療の中でどんなことを求められているのか、考えてしまう薬剤師の方もいるのではないでしょうか。

チーム医療とは、多種多様な医療の専門スタッフが、目的や情報を共有しつつ連携して、患者さんの状況に適切に対応した医療を提供することです。今後のチーム医療の中で、薬剤師には、コミュニケーション能力、専門性の高い知識やスキルが求められています。

ここでは、チーム医療の必要性やメリット、具体例などをご紹介します。

1.チーム医療とは

チーム医療とは、患者さん一人ひとりに対して多種多様なスタッフが、目的や情報を共有しつつ、連携または補完し合い、おのおのの高い専門性を発揮して、患者さんの状況に的確に対応した医療を提供することです。

参照元:厚生労働省/チーム医療の推進について (チーム医療の推進に関する検討会 報告書)

2.チーム医療の必要性

ここでは、チーム医療が必要とされるようになった背景について解説します。

2-1.医療の高度化・複雑化が進んでいるため

質が高く、安心で安全な医療を求める患者さんや家族が増えている一方、医療技術の進歩による高度化や複雑化により、医療現場では業務量が増大しています。このことが原因で懸念されているのが、医療従事者の疲弊です。
そのため各職種が高い専門性を活かしつつ、情報を共有・連携しながら、効率的に安心・安全な医療を提供する必要があります。

参照元:厚生労働省/チーム医療の推進について (チーム医療の推進に関する検討会 報告書)

2-2.超高齢社会に対応するため

日本は世界でも類を見ない速さで高齢化が進んでおり、内閣府の「令和6年版高齢社会白書」では、現状の高齢化率は29.1%となっています。65歳以上人口はこの後も増加傾向が続き、2037年には3人に1人が65歳以上になると予測されています。

ケアが必要な高齢者の数が多くなっても、医療従事者の数や関われる時間には限りがあるため、効率的に効果的に多くの高齢者に対応するために、地域全体で患者さんやその家族をサポートするチーム医療は必須です。

薬剤師は、医師や看護師、介護職など他の専門職と協働して、患者さんの多様なニーズに応えていかなければなりません。また地域包括ケアシステムの中では在宅医療や介護施設での薬剤管理にも積極的に関与していくことが求められています。

参照元:内閣府/令和6年版高齢社会白書(全体版)

2-3.心理的・社会的・精神的、多方面からのケアが必要なため

一人の患者さんでも心理的不安や社会的不安、精神的不安など、さまざまな悩みを抱えている可能性があります。そこでチーム医療により多方面から専門的な知識でアプローチすることで、より一人ひとりの悩みや疾患などの改善に合った質の高い医療を提供できるようになるでしょう。さらに、患者さんの情報を幅広く共有すれば、効率的で安全におこなうことが可能です。

3.チーム医療における薬剤師の役割

チーム医療における薬剤師の役割は多岐にわたりますが、基本的には、医師や看護師などの他の医療職と連携し、患者さんに最適な薬物療法を提供することです。具体的には、処方薬の適正使用の確保、副作用のモニタリング、服薬指導による患者さんのアドヒアランス向上などがあります。

また、薬物療法の効果や安全性を評価し、必要に応じて処方提案をすることで、治療の質を高めることにも貢献できるでしょう。さらに、感染管理や医療安全の面でも重要な役割を担っています。患者さんの状態によっては、多職種カンファレンスに参加し、薬学的見地から意見を提供することで、よりよい治療方針の決定に貢献することもできるでしょう。

チーム医療の一員として、薬剤師は専門性を活かしながら、患者中心の医療の実現に向けて尽力しています。

参照元:厚生労働省/チーム医療における薬剤師の役割
参照元:厚生労働省/チーム医療の推進について (チーム医療の推進に関する検討会 報告書)

4.薬剤師以外にチーム医療に携わる職種

薬剤師以外にチーム医療に携わる職種は、以下のとおりです。

4-1.医師

医師はチーム医療において、専門知識や技術を用い、診断・治療方針の決定、他の医療職への指示・連携を行う中核的な役割を担います。患者さんの視点に立ち、チーム全体を統括するリーダーシップも期待される職業です。

4-2.看護師

看護師は診察や治療、患者さんの生活支援など幅広い業務を担当し、医療現場で重要な役割を果たしています。そのため、患者さんや医師、他の医療スタッフから大きな期待が寄せられる職業です。

4-3.助産師

周産期医療では、過重労働による産科医不足が問題となる一方、助産師は正常分娩を独立して担当できます。産科医との連携を強化し、役割分担を進めることで、助産師の専門性をさらに活用することが期待される職業です。

4-4.リハビリテーション関連職種:理学療法士、作業療法士、言語聴覚士

患者さんの高齢化にともない、運動機能の維持とQOL向上が重要視されています。これにより、急性期患者へのベッドサイドリハビリや訪問リハビリの必要性が増し、リハビリ専門家が医療現場で果たす役割が期待される職業と言えるでしょう。

4-5.管理栄養士

高齢化や生活習慣病の増加にともない、管理栄養士の役割は重要です。栄養管理や指導を通じて、患者さんの栄養状態を改善し、免疫力向上、治療効果の向上、生活の質(QOL)向上をサポートします。

4-6.臨床工学技士

医療技術が進歩し、医療機器が多様化・高度化する中で、専門家による操作や管理の重要性が高まっています。医療現場において、これらの専門知識・技術を持つ人材の役割はますます大きくなっていくでしょう。

4-7.診療放射線技師

放射線治療や画像検査の需要が増大し、専門家の役割が重要になっています。放射線治療・検査・管理、画像検査の専門家は、高度な技術と知識を駆使し、安全で効果的な医療への貢献が期待される職業です。

4-8.臨床検査技師

医療技術の進化と高齢化にともない、各種検査の需要が高まり、専門家の重要性が増しています。広範な検査に対応できる専門家は、増加する業務に対応し、質の高い医療を提供することで、医療現場に大きく貢献するでしょう。

4-9.医療クラークなど事務職員

書類作成の業務量増加で医師や看護師の負担が増え、患者さんは書類待ち時間に不満を抱えています。これを解決するため、医療事務に精通した医療クラークを導入し、医療従事者の負担軽減と患者サービスの向上を図る必要があるのです。

4-10.介護職員

地域包括ケアシステムの構築には、看護師の負担軽減と患者サービスの向上が不可欠です。そのため介護職員と看護職員が専門性を活かし、連携することで地域住民へ切れ目のない医療・介護サービスをおこなうことが望まれます。

参照元:厚生労働省/チーム医療の推進について (チーム医療の推進に関する検討会 報告書)

以上のように、おのおのの医療スタッフの専門性を高め、チーム医療を再統合し、患者さん一人ひとりに最適な医療を提供することで、患者さんやその家族が期待する質の高い医療を実現することが期待されます。

5.チーム医療を進めるメリット

チーム医療には、大きく以下の4つのメリットがあります。

5-1.負担軽減につながる

チーム医療の推進は、医療従事者と患者さん双方にとって大きな負担軽減というメリットがあります。医療従事者にとっては、医師や看護師、薬剤師、理学療法士などがチームで協力することで、業務負担の分散が可能です。このことで各専門職は自身の専門領域に集中でき、効率的かつ質の高い医療サービスが提供できます。

一方、患者さんにとっても、専門的スタッフがチームで対応することで、同じことを何度も聞かれない、多くの職種から違うアドバイスを受けられるなど、不安が軽減しやすくなります。また、異なる視点から多角的に情報を共有するので、誤診や治療ミスなどのリスクも減少し、患者さんにとってより安全で安心な医療環境が整うことになるでしょう。

5-2.早期発見や重症化の予防・生活の質の向上につながる

複数の専門職による治療やケアを受けるので、一人が関与する場合よりも患者さんはきめ細かい対応を受けられるようになります。

たとえば、医師が病気の診断や治療方針を決定するだけでなく、看護師が患者さんの観察やケアをし、薬剤師が薬の使い方や副作用について詳しく説明することで、より的確で効果的な医療を提供できるでしょう。また、栄養士や理学療法士など他の専門職との連携により、患者さんの状態に合わせた栄養指導やリハビリテーションをすることで、早期発見や重症化の予防ばかりでなく早期回復も期待でき、生活の質の向上にもつながります。

5-3.専門性が高まる

チーム医療の推進は、医療現場全体の専門性を高め、質の高い医療提供を実現するうえで欠かせません。医師、看護師、薬剤師など、各専門職が連携し、それぞれの知見を持ち寄り総合的に判断するので、より的確で効果的な治療方針を決定することが可能です。

治療の多くに薬物が関係しているので、チーム医療で薬剤師の役割は、特に重要です。医師の処方意図や患者さんの状態を理解した上で、より適切な薬剤選択や投与量、相互作用などを考慮した薬物療法を提案します。これは、薬剤師自身の専門性の向上にもつながります。

5-4.安全性の向上が図れる

チーム医療では多職種がそれぞれの専門知識や立場から患者さんの情報を共有し、関わります。
このような多角的な視点を取り入れることで、一人の医療従事者だけでは見逃してしまうリスクや副作用の可能性にも気づきやすくなり、医療ミスの減少や事故の発生を防ぐことにつながるでしょう。

具体的な例としてあげられるのは、ダブルチェック機能の強化や医療従事者間のコミュニケーション改善による誤認防止などです。結果として、患者さんにより安全で安心な医療の提供が可能です。

参照元:厚生労働省/チーム医療の推進について (チーム医療の推進に関する検討会 報告書)

6.チーム医療の実践事例を紹介

ここでは、チーム医療の実践具体例について2つ紹介します。

6-1.集中治療チーム

多種多様の重症疾患を抱えた集中治療の対象患者を、各医療スタッフがチームを組み、専門性をもとに治療の質を保ち、安全性の向上を図ることは重要です。集中治療チームで、各職は以下のような業務を担いました。

  • 医師:治療管理方針の決定、チームが効率的に機能するようにリード
  • 看護師:リスク管理を主に、急激な病態変化や時間単位の指示変更に対応
  • 薬剤師:投与薬剤や投与量変更の必要性の提案、医薬品管理
  • 臨床工学士:使用機器の準備やメンテナンス
  • 理学療法士:廃用症候群の防止や早期離床
  • 言語聴覚士:嚥下困難への対応

集中治療チームとして治療することで、安全かつ効果的な治療ができ、その結果、ICU在室日数や病院在院日数の短縮、医療費の削減、物的コスト削減、副作用や合併症、原疾患の悪化などの早期対応、未然回避につながりました。

6-2.外来化学療法チーム

入院患者を対象におこなっていた抗がん剤の化学療法を外来ですると、患者さんのQOLの向上だけでなく、医療経済の面からも有益です。外来化学療法チームで、各職は以下のような業務を担いました。

  • 医師:化学療法が適正に実施できるように指示およびチームをリード
  • 薬剤師:抗がん剤の調製や患者さんに薬効や副作用などの説明、副作用のモニタリング、アドヒアランスの確認
  • 看護師:患者さんからの相談事項への対応やセルフケアの提供
  • 社会福祉士:患者さんとスタッフ、地域生活などとのつなぎ役として、医療費の問題や患者さんなどからの相談事項に対応

薬剤師は、問題があれば医師に情報を提供し、薬物治療の適正化を図ります。外来化学療法チームとして患者さんに対応することで、日常的に情報交換や情報共有ができ、専門的な視点に立って薬物療法や患者ケア、副作用の防止、アドヒアランスの向上に寄与できるようになります。

参照元:厚生労働省/チーム医療の具体的実践事例

7.今後のチーム医療で薬剤師に求められることとは

今後のチーム医療で薬剤師には、「コミュニケーション能力」と「専門性の高い知識やスキル」がますます求められると考えられます。

●コミュニケーション能力
医師や看護師などと効果的に情報を共有し、治療計画をよりスムーズに進めるために、薬剤師にも高いコミュニケーション能力は欠かせません。チーム全体の効率が上がるだけでなく、医薬品の副作用のリスクを未然に防ぐことも可能です。

●専門性の高い知識やスキル
薬剤師が専門性の高い知識やスキルを活かすことで、チーム医療の質の向上に貢献できます。たとえば、がん専門薬剤師が抗がん剤の適正使用や副作用管理について助言することで、患者さんの治療成績の改善とQOL向上が期待できます。また、感染制御専門薬剤師が抗菌薬の適正使用を推進することで、薬剤耐性菌の発生を抑制できるでしょう。

これらの能力を身につけることで、割り当てられた業務以外の領域の仕事もでき、活躍の場が広がります。

8.まとめ

チーム医療とは多種多様な医療の専門スタッフが、目的や情報を共有しつつ、連携して患者さんの状況に適切に対応した医療を提供することです。医療の高度化や複雑化、日本の超高齢社会に対応するためにおこなわれるようになりました。チーム医療の中で薬剤師には、コミュニケーション能力、専門性の高い知識やスキルが求められています。

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この記事の著者

薬剤師ライター

藤野 紗衣

ドラッグストア、精神科病院、一般病院を経て、2022年より薬剤師ライターとして活動。薬剤師業務経験と学術活動、安全衛生委員会事務局業務を基にした、 根拠のある、分かりやすい医療・健康記事執筆が得意。

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