【最新2024年度診療報酬改定】6年ぶりの介護報酬との同時改定 保険薬局と病院の診療報酬の全体像をつかむ | 薬剤師の転職・求人・募集なら【マイナビ薬剤師】

第1回 6年ぶりの介護報酬との同時改定
保険薬局と病院の診療報酬の全体像をつかむ

保険薬局と病院の診療報酬の全体像をつかむ 保険薬局と病院の診療報酬の全体像をつかむ

診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬のトリプル改定となった2024年度改定。医療従事者の賃上げや医療デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進、入院医療の評価見直しなどとともに、医療と介護の連携もテーマとされました。

今改定は、医療職の技術料などに当たる診療報酬本体は0.88%のプラスとされ、引き上げ分の多くが賃上げのための原資とされました。特に病院薬剤師に関しては、賃上げのためのベースアップ評価は大きなトピックです。

一方、調剤報酬においては6年に1回の介護報酬との同時改定という機会であり、在宅業務を中心に評価が新設されています。薬局薬剤師、病院薬剤師にとって新たに評価された部分も多く、評価が手薄だった部分にも目が行き届いた改定と言えるかもしれません。

今回の記事では、薬局薬剤師、病院薬剤師に関わる改定の注目ポイントを取り上げながら、2024年度改定の全体的な動きを見ていきます。

保険薬局では在宅業務や調剤基本料を評価

薬局の医薬品供給拠点機能を評価

2024年度診療報酬改定では、診療報酬本体が0.88%引き上げられ、保険薬局に対する調剤報酬にはそのうち0.16%が振り向けられました。今回の調剤報酬改定は、介護保険と関連する在宅業務での評価の新設が目立ちましたが、幅広く網羅的に見直しが行われたという印象です。

まず、薬局の体制を支える調剤技術料が引き上げられたことがポイントです。「賃上げ」という今改定の大きなテーマもあり、「調剤基本料」が引き上げられました。

その加算についても、前改定で設けられた感染・災害発生時の対応体制を評価した「連携強化加算」が引き上げられたほか、新たに医療DXへの対応体制を評価した「医療DX推進体制整備加算(以下、医療DX整備加算)」も設けられました。

「地域支援体制加算」は引き下げられたものの、両加算を算定できれば、調剤基本料と合わせてプラスになります。

今回新設された医療DX整備加算に加え、連携強化加算でも地域支援体制加算に該当しなくても同加算が算定できるように体系が組み替えられました。こうしたことも算定の後押しになりそうです。

なお、調剤基本料などのプラス評価の背景には、賃上げのほか、昨今の医薬品供給不足を踏まえて、保険薬局の地域における医薬品供給拠点機能を強化する狙いもあります。

地域支援体制加算では、実績評価のハードルが引き上げられるとともに、健康サポート薬局でも求められているOTC医薬品48薬効群の備蓄、緊急避妊薬の取扱いといった保険調剤に限らない、薬局の持つべき機能が示されています。

そのほか、調剤基本料では医療モールやそれに準じた環境の薬局にメスが入ったほか、敷地内薬局に対してはさらに厳しい対応が取られ、一定条件を満たす医療機関側にも処方箋料引き下げが課されました。

調剤後フォローアップは心不全にも拡大

外来調剤では、糖尿病の調剤後フォローアップを評価した調剤後薬剤管理指導加算が「調剤後薬剤管理指導料」に再編され、対象が拡大されました。インスリン製剤やSU剤に限らず、糖尿病治療薬全般が対象になるとともに、慢性心不全も追加されました。

かかりつけ薬剤師指導料などを算定していても、調剤後薬剤管理指導料や吸入薬指導加算を算定できるようになったことも、細かい部分ですが押さえておきたいポイントです。

そのほか、2024年10月1日から導入される長期収載品(先発品)の選定療養に伴う改定項目もあります。医療上の必要がある場合や、後発品の提供が困難な場合は別ですが、患者さんが長期収載品の処方や調剤を希望した場合は、その費用の一部を保険外で自己負担する仕組みに変わります。その際の患者さんへの説明なども、「特定薬剤管理指導加算3」で新たに評価されています。

退院直後の在宅移行支援を新たに評価

今回は介護報酬との同時改定だったこともあり、在宅業務関連において、これまで評価されていなかった隙間を埋めるような形で様々な評価が登場しています。

なかでも一番の注目ポイントは、「在宅移行初期管理料 230点(1回に限り)」です。これは、退院直後など訪問薬剤管理指導の前に患者さん宅を訪問し、服薬状況などの情報収集や残薬確認、服薬管理方法の調整などを行い、ケアマネジャーなど関係職種に文書で情報提供することを評価したもの。

退院直後は、病院薬剤師も薬局薬剤師も関わらない空白の期間になりがちでしたが、在宅移行がよりスムーズになることが期待されます。認知症で服薬管理が困難など重点的な服薬支援が必要と判断される人が対象ですが、高齢者だけでなく、障害児や乳幼児、末期のがん患者なども対象になります。

休日や夜間、深夜の時間外の訪問が高く評価されたことも特筆すべき点です。すでに時間外加算が設けられている薬学的管理や調剤などに加えて、訪問もようやくカバーされました。

外来時からのケアマネジャーとの情報連携へ

介護保険施設での薬剤師業務についても、介護老人福祉施設(※特別養護老人ホーム)で、入所時や処方変更時などに重点的な服薬管理支援を行った場合の評価(外来服薬支援料2の施設連携加算の新設)や、介護老人福祉施設でのショートステイの利用者への服薬指導の評価(服薬管理指導料3)などが行われています(図1)。

図1 在宅業務に関する調剤報酬改定の概要

介護保険施設の種別によっては、薬局薬剤師がなかなか関わりにくい領域ですが、今後はさらに連携が進むことが予想されます。

居宅のケアマネジャーへの情報提供も強化されました。今改定では2つの評価が設けられ、在宅訪問(介護保険の居宅療養管理指導)だけでなく、外来(服薬情報等提供料2ハ)、医療機関を退院して在宅移行した直後(在宅移行初期管理料)においても、要支援・要介護者についてケアマネジャーと情報共有を図ることが必須とされています(図2)。

図2 介護支援専門員(ケアマネジャー)との連携の評価

それにより、外来から在宅まで継続的にケアマネジャーと連携する機会も増えていくことでしょう。

なお、介護報酬改定は4月1日から施行されていますが、薬剤師が関わる居宅療養管理指導や、それに伴う医療用麻薬持続注射療養加算などについては、調剤報酬と同様に6月1日からの施行となります。

病院薬剤師不足や賃上げに対する評価新設も

新人薬剤師研修と薬剤師派遣の体制評価

病院薬剤師に関わる今改定のポイントは、賃上げ、病棟業務、外来がん化学療法、後発医薬品の4点です。

看護職や病院薬剤師などの賃上げに関しては、2024年度診療報酬の本体引き上げ分0.88%のうち0.61%が当てられ、ベースアップ評価料が新設されました。

病院薬剤師については、2022年度改定で処遇改善評価の対象外とされた経緯もあり、今改定ではベースアップ評価料の対象職種として明記されました。

病院では、外来・在宅医療の初診料や再診料に上乗せして算定できる「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)」と、入院基本料などに加えて算定できる「入院ベースアップ評価料」が設けられています。

また、病院薬剤師では人手不足が喫緊の課題となっているなかで、病棟薬剤業務実施加算1の加算として「薬剤業務向上加算 100点(週1回)」が新設されました。算定対象となるのは大学病院や地域の基幹病院です。

薬剤師免許取得直後の薬剤師が総合的に学べる研修体制と、都道府県内の薬剤師不足の医療機関への薬剤師(※概ね3年以上)派遣体制を整備することに対する評価です。

医師の初期研修や、関連病院への医師派遣を担う大学医局機能を連想しますが、うまく機能すれば、薬剤師の偏在・不足解消のための臨床拠点をつくる動きにつながっていくかもしれません。

診察前に薬剤師が患者さんから情報収集することを評価

外来業務では、「がん薬物療法体制充実加算100点(月1回)」の新設が目を引きます。前回の改定で、薬剤師によるがん患者指導料ハが外来腫瘍化学療法診療料に包括されましたが、今改定では違う形での介入が評価されました。

同加算では、医師の診察前に、薬剤師が患者さんから副作用状況などを収集し、医師に情報提供や処方提案を行うことを評価したものです。外来での薬剤師の新たな関わり方という意味でも、今後の行方が気になる点数です。

急性期以降の病院で注目したいのは、新たな包括病棟として設けられた「地域包括医療病棟入院料」です。同病棟は、軽症・中等症の高齢者救急に対応する、急性期病棟と地域包括ケア病棟の中間的な位置づけです。

同病棟では、病棟薬剤業務実施加算1や薬剤総合評価調整加算、薬剤管理指導料が算定できるのがポイントです。中小病院などで病棟の編成や薬剤師不足などのため、病棟活動の対価が得られていなかった病院にとっては、新たなチャンスといえるかもしれません。

後発医薬品への置き換えは次のステップへ

そのほか、医薬品の供給不足への対応などを踏まえ、病院に関しては後発品使用体制加算が引き上げられました。後発医薬品(以下、GE)の数量シェアなどの要件はそのままですが、医薬品供給不足による治療計画等の見直しなどに対応する体制の整備や、患者さんへの説明、院内掲示などが追加されています。

また、バイオ医薬品の後続品、バイオシミラー(BS)について、これまで外来で算定できるバイオ後続品導入初期加算が設けられていましたが、今改定では入院患者さんにも適用される「バイオ後続品使用体制加算」が新設されました。

リツキシマブやエポエチンなど、BSへの置き換えが進んでいる薬剤群では80%以上、ソマトロピンやエタネルセプトなど進んでいない薬剤群では50%以上という、BSの数量ベースでの置き換え割合が要件とされています。

入院で算定する点数ですが、置き換え目標に位置づけられている薬剤のなかには、主に外来で院外処方されているものもあるため、保険薬局においてもチェックしておきたい項目です。

政府のBS使用促進の方針を受け、厚生労働省では「2029年度末までに、バイオシミラーに数量ベースで80%以上置き換わった成分数が、全体の成分数の60%以上(※成分数ベース)にする」という目標を打ち出しています。

加えてこの3月には、GEの普及に関して「2029年度末までに後発医薬品を“金額ベース”で65%以上とする」という副次目標を新たに示しました。

これまで数量ベースのみだった目標に金額ベースの指標が取り入れられることで、薬価の高いバイオ医薬品のBSへの置き換え圧力が高まることが予想されます。

(参考資料)
◎厚生労働省「令和6年度診療報酬改定の概要(医科全体版)」
◎厚生労働省「令和6年度診療報酬改定の概要(調剤)」
※本記事は2024年4月25日までの疑義解釈を参考に執筆しています。

PROFILE
利根川 恵子
医療ジャーナリスト。薬剤師。東京医科歯科大学医療政策学修士。
医療系出版社勤務後、2000年に独立。薬剤師としての知識を活かしつつ、医療分野・介護分野を中心に取材を行う。

著書『福祉・介護職のための病院・医療の仕組みまるわかりブック』
『イラストで理解するケアマネのための薬図鑑』(共著)など。

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