一人薬剤師とは?メリット・デメリットや辛いときの対策をご紹介

一人薬剤師とは?メリット・デメリットや辛いときの対策をご紹介

調剤薬局には、複数の薬剤師が在籍しているのが一般的です。ただし、近くに医療機関の数が少なく、規模が小さい薬局などでは薬剤師が一人しかいないこともあります。

ここでは、「一人薬剤師」として働くことにはどのようなメリット・デメリットがあるのか、転職を考える際にはどのような点に注意をしたらいいのかなどを解説していきます。

1.一人薬剤師とは?

「一人薬剤師」とは、通常なら複数の薬剤師が分担してこなしている業務を、一人でこなす薬剤師を指します。

薬剤師が行う業務には、調剤、監査、服薬指導、薬歴記入など、さまざまなものがあります。

業務の種類が多岐にわたるので、それぞれの薬剤師が担当の業務を行うわけですが、これらの業務を一人で担当しても店舗の運営に支障がないと見込まれる場合には、一人薬剤師の体制をとっていることがあるようです。

2.一人薬剤師のメリット

まずは、一人薬剤師で働くメリットについて見ていきましょう。

2-1.職場の人間関係に悩まなくて済む

「一人薬剤師」であれば、人間関係を気にすることなく、自分のペースややり方で仕事をすることができるのがメリットといえます。

特に薬剤師は調剤室などの狭いスペースで複数の人たちが働いている場合が多く、人間関係のしがらみやトラブルに悩まされることも少なくありません。

その点、一人薬剤師であれば、「他の薬剤師に気を使うのが苦手」「一人で仕事をするほうがやりやすい」といった方には、非常におすすめの職場といえるでしょう。

2-2.一人薬剤師でない場合よりも給与が高い

一人薬剤師は一店舗を任されるという責任の重さがあり、幅広い業務と仕事量を一人でこなさなければならないことから、給与は一般的な薬剤師よりも高額になるケースが多いのがメリットといえます。

平均年収で比べると、50~100万円程度、一人薬剤師のほうが高い傾向にあるようです。薬剤師の数が不足している地方では、需要の高さから年収が800~1000万円に及ぶケースもあります。

一人薬剤師の年収事情については、以下の記事で詳しく紹介しています。20代~50代の給与明細例なども取り上げていますので、ぜひ合わせて参考にしてください。

> 最新版!全国の薬剤師年収ランキング 年収事情 一人薬剤師編

2-3.スキルが身につきやすい

一人薬剤師は調剤業務に加え、薬局長として在庫管理や発注業務など店舗の運営にかかわる幅広い業務をすべて一人で担っているためスキルが身に付きやすいことがメリットといえます。

一人ですべての業務をこなす必要があることから、薬剤師としてスピーディーかつ正確性の高いスキルが身につきやすいのはもちろん、経営者としてのスキルや経験も積み重ねられるのでより一層のスキルアップも可能になります。

3. 一人薬剤師のデメリット

続いては、一人で多くの仕事をこなさなければならない一人薬剤師のデメリットを見ていきます。

3-1.休憩や休みがとりづらい

一人薬剤師は休憩や休みが取りづらいのがデメリットです。
職場に他の薬剤師がいないので、次々と仕事をこなさなければならず、忙しい日は、休憩をとるのも厳しいこともあるでしょう。

また一人のため休みもとりづらく、有給休暇の申請や急な休みの希望に対応してもらえなかったりします。

事前に予定がわかっていれば、系列の他の薬局からサポートに入ってもらうといった対応も可能ですが、なかなか融通が利かないのが現実だと言えるでしょう。

3-2.業務範囲と責任が大きくストレスがかかる

一人薬剤師は担当する業務の範囲が広いため、その責任も一人で負わなければならず、それがストレスにもつながることがデメリットとなります。

たとえば、調剤を間い併用禁忌薬を出してしまうと、患者さまの命や健康にもかかわりかねませんが、一人薬剤師の場合は他の薬剤師によるダブルチェックができません。本来の業務に加え、患者さんからのクレームに対応しなければならないケースもあります。

このように一人薬剤師というのはプレッシャーが大きく、心身ともに大きなストレスがかかってしまうものです。休憩や休みが自由にとりにくいことも相まって、しんどさや辛さを感じる方も少なくないようです。

4.一人薬剤師体制でも気持ちよく働けるケースもある

一人薬剤師というと、どうしても「忙しくて大変」というイメージが定着しているのではないでしょうか。しかし実際には、休暇がとりやすく気持ちよく働くことができるケースもあります。

調剤業務を行う処方箋も、一人ではこなしきれなくなるほどの数に及ぶことはさほど多くないと言われています。

また、一人薬剤師の薬局でも事務員がいる場合には、調剤業務以外の電話応対や会計などの事務的な作業を任せることができます。ですから、一人薬剤師は調剤業務に集中して、休憩や休暇もとりながら気持ちよく働くことができる場合もあるようです。

5.一人薬剤師に向いている人

一人薬剤師のさまざまなメリット・デメリットを踏まえたうえで、以下に挙げるようなタイプの人は一人薬剤師に向いていると思われます。これらに該当する方は、一人薬剤師としてキャリアを重ねていくといいでしょう。

  • 向上心があり、スキルアップを目指したい人
  • 人間関係にわずらわされず、気楽に働きたい人
  • 一人で業務をこなすのが好きな人
  • 忙しくても高収入の職場で働きたい人

6.一人薬剤師が辛いと思ったら

では、「自分は一人薬剤師には向いていない」「これ以上、多忙な日々を送ることになるのは辛い」という方は、どのような対処法をとればいいのでしょうか。

6-1. 別店舗への異動を相談してみる

一人薬剤師が辛いと思ったときの対処法の1つ目は、会社に別店舗への異動を相談してみることです。

たとえば、休憩がほとんどとれない状態が続いているようであれば、「労働時間が8時間を超える場合は、少なくとも60分の休憩を与えなければならない」という労働基準法の定めに反することになり、会社としてもその状態を改善しなければなりません。そうした状況も会社側に伝えれば、別店舗へ異動することも考えられます。

参照元:e-Gov法令検索/令労働基準法 第三十四条

6-2.転職を考える

会社に一人薬剤師として辛い状態や異動を相談しても、変わらない場合は、転職することを視野に入れてみましょう。

会社は相談を受けても人員配置計画や人件費のコスト抑制といった理由で、簡単には異動が認められない会社の事情もあります。仮に他の店舗へ異動できたとしても、異動先でまた一人薬剤師を任される可能性がゼロになるわけではありません。

そのため自分に合うように今の職場の労働環境を改善するだけでなく、新しい労働環境を探す転職という選択肢も考えることが大切です。

7.転職活動時の注意点

一人薬剤師が転職活動を進める際には、次の2点に注意する必要があります。これらの点に注意して転職活動を進めないと、転職先でも前の職場と変わらず辛い思いをすることになりかねません。

求人情報をチェックする際はもちろん、面接の場でも一人薬剤師の状況については必ず確認しておきましょう。

7-1.一人薬剤師でない職場を探す

一人薬剤師として働くことが辛かったわけですから、転職先の候補としては一人薬剤師ではない職場を探すことが大切です。

求人情報では年収や雇用条件も大事ですが、それ以上に一人薬剤師の店舗があるか、一人薬剤師として勤務する場合もあり得るかどうかは必ずチェックしてください。

転職先候補としては、個人薬局よりも大手薬局を選ぶようにしましょう。大手薬局でも一人薬剤師として働く可能性はゼロではありませんが、個人薬局はそもそも薬剤師の数が少なく、一人薬剤師となる状況に追い込まれる可能性が高くなります。

7-2.転職希望先のフォロー体制を確認する

転職先探しに当たっては、希望する転職先のフォロー体制を忘れずに確認するようにしましょう。主に確認すべき点は、下記の通りです。

  • 事務員やパート薬剤師などが在籍していて、休暇をきちんと取得することができるか
  • 体調不良や所用などで急に休みを取らなければならなくなったとき、近隣の店舗からサポートが得られ、店舗の運営に支障が生じないか

事務員やパート薬剤師が在籍しているかどうかによって、働く環境は大きく異なるので事前の確認は不可欠です。

8.一人薬剤師の悩みは転職エージェントに相談してみよう

一人薬剤師の中には、今の職場が辛いので転職を検討しようと考えてはいても、「今、自分が辞めてしまったら会社に迷惑がかかるのでは……」と転職に踏みきれずにいる方もいらっしゃると思います。

今の職場の上司や先輩に相談した場合には、「もう少し頑張ってみては」「そのうち、異動させてもらえるよ」と、何とか転職を引き留めようと説得する方向に話がいきがちです。

いざ転職をしようと思っても、一人薬剤師ではない職場探しや転職希望先のフォロー体制のチェックなどは自分一人で転職活動を進めているとなかなか難しいのが現状かと思います。

そこでおすすめしたいのが、薬剤師に特化した転職エージェント「マイナビ薬剤師」を活用することです。

マイナビ薬剤師では、薬剤師の転職に豊富な経験をもつ専任のキャリアアドバイザーに相談することができます。

求人を出している職場の内情にも精通しているので、「一人薬剤師ではない職場で働きたいが、また、一人薬剤師として働く可能性があるのかどうか」といった情報も入手可能で、あなたの希望条件とマッチした求人紹介をしてくれます。

一人薬剤師のため相談相手がおらず、転職するかどうか自体を迷っている方でも気軽に無料で相談できるので、まずは無料登録をすることをおすすめします。

9.まとめ

一人薬剤師として働くことには、ここまで述べてきたように、さまざまなメリットやデメリットがあります。あなたが一人薬剤師に向いているタイプであれば、今の職場でスキルを磨きキャリアアップを目指すといいでしょう。

ただ、一人薬剤師として働くのが辛いという方は、異動を希望したり、転職を検討してみましょう。自分だけで悩むことなく、転職エージェントなども活用しながら、あなたが薬剤師として気持ちよく働ける理想の職場探しを始めることをおすすめします。

この記事の著者

ライター

齋藤 伸成

出版社にてビジネス書の編集、ビジネスマン向け通信教育講座テキスト(法務・財務・税務・マーケティング)の編集に従事。

その後、編集プロダクションにて数多くの書籍・雑誌等の企画・編集・執筆等に従事する。
携わった分野についても、健康・医療だけではなく、ビジネス書や歴史関連など幅広い実績をもつ。

現在は、フリーランスの編集者として活動。

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