新型コロナウイルスによる薬剤師の転職への影響は?現在の転職事情について解説

新型コロナウイルスによる薬剤師の転職への影響は?現在の転職事情について解説

各種業界に多大な経済的打撃をもたらしている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大。その影響は、これまで急成長を続けてきた薬剤師業界にまで及んでいます。

外出自粛による新しいライフスタイルの浸透や、感染への不安のために医療機関の受診を控える動きが広がり、薬局等の経営が悪化しています。

これから転職を考えている薬剤師にとって、どのような直接的影響が考えられるのでしょうか。現在の転職事情について、そしてコロナ禍の転職を乗り切るために今できることを詳しくみてきましょう。

1. 新型コロナウイルスによる薬剤師業界への打撃

新型コロナウイルスによる薬剤師業界への打撃

行政による「院外処方」への誘導政策や、社会の高齢化の追い風によって、急成長を続けてきた薬剤師業界。全国で発行される処方箋のうち、「院外処方」が占める割合は毎年上昇し続け、新型コロナウイルスが感染拡大する以前の令和元年には、これまでの最高値76.6%に記録するなど、調剤薬局を中心に市場規模を拡大してきました。
参照データ:厚生労働省 令和元年社会医療診療行為別統計の概況

これに伴い、近年では、大手調剤薬局チェーンだけでなく、地域の調剤薬局の店舗拡大が進み、正社員としての就業以外にも、パート薬剤師などの非正規雇用などの多様な働き方も広がっていました。

ところが、新型コロナウイルス感染拡大による打撃を受け、薬剤師業界全体がこれまでにない危機に直面しています。最も大きな影響は、新型コロナウイルスの感染への不安から、医療機関の受診を控えるケースが増えていることです。

健康保険組合連合会が公表しているデータによると、診療分で処理された処方箋枚数は、前年度同月と比較すると、日本で初めて感染が確認された令和2年1月に12.36%減、3月以降は20%を超え、4月と5月に至っては27%も減少していました。
参照データ:健保組合医療費(医療保険医療費)最近の動向

また、同じデータによると、令和2年3月以降、処方箋一枚あたりの医療費が急増傾向にありました。

これは、医療機関の受診に伴う新型コロナウイルスへの感染の機会を減らす為、患者自身の希望もしくは医師の判断により、処方箋一枚あたりの処方日数が延長されていることが影響しています。処方箋一枚当たりの薬剤費は増えますが、調剤基本料や調剤技術料、薬学管理料などの調剤報酬算定回数が減少するため、薬局にとっては大きな減収になってしまいます。

この処方箋枚数の減少は、薬局薬剤師の人員配置にも直接影響します。「薬局業務運営ガイドライン」の薬剤師配置基準によって、1人の薬剤師が1日に受けることができる処方箋枚数は40枚までと定められています。そのため、取り扱う処方箋の多い薬局では、この基準を十分満たせるよう、人員を確保してきました。
参照データ:厚生労働省(旧厚生省薬務局)資料

ところがコロナウイルス感染症の拡大に伴う処方箋枚数の減収により、薬剤師の人員配置の見直しや、雇用形態の変更、雇い止めなどが発生しており、薬剤師の就労環境にも影響を及ぼしています。

2. 新型コロナウイルスは転職市場にも影響している?

新型コロナウイルスは転職市場にも影響している?

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う調剤薬局を中心とした薬剤師業界の低迷の影響は、薬剤師の転職市場にも及んでいます。

新型コロナウイルスの感染が拡大し、国民に不要不急の外出自粛要請が出されて以来、薬剤師業界全体の動向として、求人件数が減少傾向にあります。特に雇用状況に大きな影響が出ているのが「パート」や「派遣」などのいわゆる非正規雇用者の求人です。
フレキシブルな働き方ができる非正規雇用は、子育て世代を中心とした幅広い年代の薬剤師の転職先として人気が集まっているだけに、非正規雇用の求人数の減少は、転職希望者にとって大きな打撃と言えます。

また、非正規雇用の薬剤師の就労環境自体も、人件費削減のために勤務日数や勤務時間が削られ、一月当たりの給与水準が落ち込んでいる傾向が伺えます。
ただし、コロナ禍における新しいライフスタイルの普及や、就労環境の変化などによって離職者が出ることもあるため、就職先によっては人手不足になっているところも出てきています。

また、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、転職希望者の選考方法も変わりつつあります。これまでは、書類による一次選考の後、対面での面接による選考の流れが主流でしたが、現在ではweb等を使った遠隔での面接を行うなど、新型コロナウイルスへの感染対策を取り入れている企業も出始めています。

3. コロナ禍でも転職できる薬剤師になるには

薬剤師の転職事情が大きく変化している今、コロナ禍でも希望する就職先に転職できる薬剤師になるにはどうすればよいのでしょうか?求人先から一目置かれる人材として、コロナ禍における転職を有利に進めるためのポイントをおさえておきましょう。

3.1.薬剤師としてのスキルを高める

患者さんの受診控えなどによって、経営状況が厳しい調剤薬局などでは、まさに「即戦力」としてすぐに活躍できる薬剤師を求めています。他の応募者と差をつけ、より好条件で転職するには、薬剤師としてのスキルを磨くことが大切です。

例えば、幅広い診療科をカバーできる薬剤師としての知識と調剤経験、親切で正確な服薬指導の技術、薬剤服用歴管理がスムーズに行えるなどのスキルを身に着けていれば、新しい職場でもすぐに業務をこなすことができるため、優先的に内定をもらえる可能性が高くなります。

また、臨機応変にシフトに対応できる、休日や夕方、夜間などに出勤し、時間該当加算に貢献できるなどの柔軟性や、率先して業務に取り組む姿勢も大切です。

既にこれまでの職歴の中で、管理薬剤師としての勤務実績を持っていたり、認定実務実習指導薬剤師として、教育や実務実習の指導資格あるいは経験を持っている、各専門分野の認定薬剤師などの資格をもっているなどの強みがあれば、より良い条件で転職することもできるでしょう。

3.2.オンライン(遠隔)服薬指導などリモートに対応できるようにする

オンライン(遠隔)服薬指導などリモートに対応できるようにする

医薬品医療機器等法の改正に伴い、電話やインターネットなどの情報通信機器を使った「オンライン服薬指導」が令和2年9月に解禁されました。
新型コロナウイルスへの感染の不安から、薬の受け取りや服薬指導に関しても、対面ではなくリモートによる非対面のやり取りを希望する患者さんが増えています。

そこで、調剤薬局としても、いち早くオンライン服薬指導に対応することで、コロナ禍においても集客を維持しようという動きが高まっています。そのため、コロナ禍で転職を希望する場合、さまざまな遠隔コミュニケーションツールを使ってリモートに対応できる知識と柔軟な姿勢が求められます。

4. 転職には薬剤師の転職エージェントを活用しよう

長期化の様相を呈している新型コロナウイルスの感染拡大。薬剤師の求人の減少傾向もしばらく続くことが予想され、転職市場における競争はますます激しくなりそうです。

何年も薬剤師業界に携わってきたマイナビ薬剤師転職アドバイザーにもインタビューしてみました。
コロナ禍の転職市場を目の当たりにして感じることをお話しいただいたので、ぜひ参考にしてみてください。

マイナビ薬剤師

マイナビ薬剤師 転職アドバイザーコメント

コロナの影響で転職市場が縮小しているのはもちろんのこと、採用される企業様側も採用ハードルを厳しくせざるを得ない傾向にあります。
そのため、採用されやすい年齢も若年化している印象を受けます。
もし、転職したいけれどコロナ禍というので迷われておりましたら、早めのスタートを切っておくのがカギになるでしょう。

情報収集する際もまずはマイナビ薬剤師に登録して紹介求人を見てみるのもおすすめです。
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直接マイナビにお越し頂かなくても、WEB上での転職のご相談も可能です。
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※2020年12月現在

インタビューにもあるようにコロナ禍で転職を考えるなら、薬剤師に特化した転職支援サービス「マイナビ薬剤師」を活用することをおすすめします。マイナビ薬剤師に申し込み・登録をすると、“希望する条件などのヒアリング、求人紹介から応募、面談や見学、内定から入社”までの全てのプロセスにわたって、プロの転職アドバイザーによるサポートを無料で受けることができます。

特にコロナ禍においては、通常時に比べて求人件数が減少しているだけでなく、新しい求人の供給が不安定になっています。その一方で、急な離職による人員不足を補うため、思わぬ好条件での急募がかかることもあります。

転職のチャンスを逃さないためには、希望条件に合った求人が出たタイミングで、いかにスピーディーに動けるかが鍵になります。マイナビ薬剤師を活用すれば、事前のヒアリングで伝えた一人一人の希望条件を元に迅速にマッチングし、新着求人が出ればいち早く紹介してくれます。

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4.1. コロナ対策としてWEB面談サポートも

マイナビ薬剤師では、はじめて転職に挑む方でも安心して転職サポートを利用できるよう、全国15か所の会場で面談できるサービスを提供してきました。

しかしこの新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、「会場に行くのは不安」という気持ちを抱く方もおられます。
そこで、マイナビ薬剤では、新型コロナ感染症対策として、従来の面談サポートに加え、WEBを介してアドバイザーと面談ができる「WEB面談サポート」を新たに開始しました。

「WEB面談サポート」では、従来の面談サービスと同様に、コロナ禍における最新の業界動向に関する情報の提供や、採用面接に役立つアドバイス、日程調整などアドバイザーとの打ち合わせなど、幅広いサービスを受けることができます。

転職をお考えの方は、好きな時に、好きな場所で受けられるWEB面談を活用してみましょう。
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5. まとめ

新型コロナウイルス感染拡大による転職市場への影響は、今後もしばらく続くことが予想されます。コロナ禍では薬剤師の労働環境や業務内容は目まぐるしく変化し、薬剤師にはオンライン服薬指導への対応など、より柔軟性のある姿勢が求められます。

また、転職市場の動向に関しては、非正規雇用を中心とした人員削減の流れによって、ますます不安定になる可能性があります。

転職を考えているなら、業界全体の動向を察知し、数少ないチャンスをつかまなくてはなりません。マイナビ薬剤師の転職支援サービスを活用し、いかなる状況でもベストな選択ができるよう、今からしっかり準備しましょう。

この記事の著者

医学博士、医学研究者

榎本 蒼子

最終学歴は京都府立医科大学大学院医学研究科博士課程卒業。2011~2015年 京都府立医科大学にて助教を勤め、医学研究および医学教育に従事。

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