漢方薬剤師とは?主な仕事内容や必要なスキルについて解説

漢方薬剤師とは?主な仕事内容や必要なスキルについて解説

人々の健康意識が高まる近年は、自分自身の健康を管理する「セルフメディケーション」に関心を寄せる人が増えてきました。そうした中で注目を集めているのが、一般的な西洋薬とは異なる漢方薬や生薬です。

薬剤師として働く方の中にも、漢方薬を専門に扱う「漢方薬剤師」に興味を持っている方がいるのではないでしょうか。今回は、漢方薬剤師の概要や仕事内容、必要なスキルなどについて、詳しく解説します。

1. 漢方薬剤師とは?

「薬剤師」と聞いて、一般の人がイメージするのは、処方箋に基づいて西洋薬の調剤、服薬指導などをおこなう職種ではないでしょうか。西洋薬は、化学合成によって人工的に作られた物質がほとんどで、特定の症状や疾患に対して高い薬理効果を発揮します。

一方、漢方薬剤師とは、その名の通り「漢方薬や生薬の専門知識を持ち、一人ひとりの症状や体質に合わせて薬を調剤する能力・適性を備えた薬剤師」のことです。漢方薬は、動植物や鉱物といった自然由来の素材から作られており、1種類の処方であっても複数の症状に対する効果が期待できます。

1-1. 漢方薬が注目され始めている

近年、高齢化が進んだことや、人々の健康意識が高まったことで、心身の健康を後押ししてくれる漢方薬への注目度も高まってきました。

西洋薬では対応できなかった体の不調が、漢方薬を使うことで改善されたという例もあり、「健康的な生活を実現するために漢方薬を活用したい」という人はけっして少なくありません。

事実、医療用漢方薬や薬局・ドラッグストアで販売される一般用漢方薬の市場は、2019年以降拡大傾向が続いています。

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2. 漢方薬剤師の主な業務内容

漢方薬剤師の主な業務は、患者さまが抱える症状や悩みをヒアリングした後、それぞれの体質や症状に合った漢方薬を処方することです。

一般的な薬剤師は医師の処方箋に基づいて調剤をおこないますが、漢方薬剤師は自らの判断で漢方薬を処方するため、主体的に治療にかかわることができます。

責任をともなう仕事ではありますが、その分やりがいも大きく、より患者さまに寄り添った仕事ができる職種だといえるでしょう。

3. 漢方薬剤師に必要な資格は?

漢方薬剤師になるのに、特別な資格は必要ありません。

しかし、漢方薬や生薬は専門的な知識・スキルを問われる分野のため、専門性を証明するための資格に挑戦してみるのもよいでしょう。

取得することで、就職・転職の際のアピールポイントになったり、患者さまからの信頼を獲得しやすくなったりするはずです。

以下では、漢方薬剤師として働くのに有効な2つの資格を紹介します。

3-1. 漢方薬・生薬認定薬剤師

漢方薬・生薬認定薬剤師は、公益財団法人日本薬剤師研修センターが認定する認定薬剤師資格です。

取得することで、漢方薬や生薬に関する一定レベル以上の能力、適正を備えていることが証明できます。

資格を取得するためには、

  • 薬剤師免許を取得している
  • 公益財団法人日本薬剤師研修センターおよび一般社団法人日本生薬学会により実施される「漢方薬・生薬研修会」を修了している
  • 薬用植物園実習を受講しレポートを提出している
  • 上記研修会・実習修了後、試問試験に合格している

などの条件を満たす必要があります。

試問試験は、漢方薬・生薬に関する基本的な知識を問う内容となっており、2023年の合格者は414名、2024年の合格者は434名となっています。

参照元:公益財団法人日本薬剤師研修センター 漢方薬・生薬認定薬剤師制度 合格者数

詳しい仕事内容や資格の取得方法などについては、こちらをご覧ください。

3-2. 漢方アドバイザー

漢方アドバイザーとは、一般社団法人日本技能開発協会が認定する資格です。

薬剤師ではない一般の方も挑戦でき、取得資格取得までの学習を通じて、漢方の基礎から服薬方法などの応用技術まで、幅広い知識が身につきます。

資格を取得するためには、

  • 日本技能開発協会が提供するテキストや問題集、添削課題で学習する
  • 認定試験に合格する

という2つの条件が課されています。申し込み方法や資格の取得までの流れなどについては、こちらをご覧ください。

日本技能開発協会/漢方アドバイザー

4. 漢方薬剤師のメリット

漢方薬剤師の概要や目指し方について解説してきましたが、ここからは漢方薬剤師になるメリットについて見ていきましょう。

4-1. 専門性の高い知識が身につく

漢方薬は種類が多く、患者さま一人ひとりの症状や体質に合わせた処方が不可欠。そのため、一般の薬剤師にはなかなか手を出せない領域でもあります。だからこそ、漢方薬剤師としての資格を取得し、その道でしっかりと経験を積んでいけば、他の薬剤師にはない知識とスキルを身につけられるでしょう。
セルフメディケーションに対する関心が高まる中、漢方薬に寄せられる期待も大きくなっているため、漢方薬剤師の専門性はさまざまな場面で生かせるはずです。

4-2 転職で有利になる

漢方薬剤師の知識は、専門性が高く社会的なニーズも大きいため、転職で有利に働く可能性があります。特に、漢方薬剤師の資格を取得していれば、一般的な薬局はもちろん、漢方のカウンセリング・処方などをおこなう漢方薬局でも活躍できるでしょう。

漢方薬剤師としての知識やスキルを磨くことで、漢方メーカーの研究者や技術者として働く道も見えてくるため、薬局、医療機関以外で働いてみたい方にもおすすめです。

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5. 漢方薬剤師に必要なスキルや経験

最後に、「漢方薬剤師として活躍するには、どのようなスキルや経験が必要になるか」について解説します。

5-1. コミュニケーション能力

漢方薬剤師は患者さまとコミュニケーションを取ったうえで、症状や体質に合わせた漢方薬を処方します。

患者さまの状態を正しく聞き取り、理解し、対処するためには、コミュニケーション能力が不可欠でしょう。円滑なコミュニケーションは、患者さまの信頼を得ることにもつながります。

5-2. 中医学ならではの知識やスキル

漢方薬は中国伝来であり、その論理や概念は中医学がベースになっています。そのため、「整体観」「弁証論治」「五臓六腑」「八綱分類」「気・血・水」といった、中医学ならではの概念をしっかりと理解しておく必要があります。

薬剤師としての基本的な知識を深めつつ、中医学の知識・スキルを高めることも心がけましょう。

5-3. 漢方について学び続ける姿勢

一般の薬剤師と同様、漢方薬剤師にも常に知識・スキルの向上を目指す姿勢が求められます。より深く学びたい方は、漢方薬を取り扱うメーカーや団体、大学などの勉強会に参加するのがよいでしょう。

一般的な薬局では取り扱う漢方薬が限られるため、漢方薬を豊富に取り扱う薬局で働き、実践を通じて知識を深めていくのも1つの方法です。

6. まとめ

本記事では、漢方薬剤師の概要や目指し方、メリットなどを紹介しました。

漢方薬に対する注目度は今後ますます高まると予測されます。

それにともなって、漢方薬剤師の価値やニーズも高まっていくでしょう。

より専門的な知識やスキルを磨き、活躍の幅を広げていきたい方は、漢方薬剤師を目指してみてはいかがでしょうか。

この記事の著者

ライター

山岡 宗祐

大学卒業後、東証一部上場の就職情報会社にて、クリエイティブディレクターとして勤務。
医療系・健康系を中心とした、幅広い企業における広告制作のライティングやディレクションに従事し、年間の原稿執筆本数は300本以上。

現在はフリーライターとして、“誰が見てもわかりやすい文章”をモットーに、取材や原稿執筆業務に携わる。

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