薬剤師の業務委託とは?注意点やメリットなどをご紹介

薬剤師の業務委託とは?注意点やメリットなどをご紹介

薬剤師として転職活動を行う際に、正社員やパートタイムといった雇用形態以外に、「業務委託」という働き方を目にしたことがあるでしょうか。あまりなじみがないという方も多いと思いますが、業務委託は正社員などにくらべて自由な働き方を実現できる雇用形態だといえます。ここでは、薬剤師が業務委託で働くメリットやデメリット、気をつけるポイントなどをご紹介します。

1. 薬剤師の業務委託とは

薬剤師の雇用形態は正社員や契約社員、パートタイム、アルバイト、派遣社員、業務委託などに分けられます。

正社員、契約社員、パートタイム、アルバイトは会社と直接雇用契約を結び、派遣社員は派遣会社と派遣先会社が雇用契約を結ぶのに対し、業務委託は会社と雇用契約を結びません。業務委託は、雇用関係のない企業と業務委託契約を結び、個人事業主として仕事を委託され、業務の対価として報酬が支払われる働き方となります。

業務委託の薬剤師は、一般的な薬局薬剤師業務を担当したり、店舗の管理全般を任されたりと働き方はさまざまのようです。

2. 薬剤師が業務委託で働く方法

薬剤師が業務委託で働く場合、個人事業主として扱われることになり、業務委託契約を結ぶ必要があります。個人事業主は独立して仕事を請け負う人のことで、税務署に開業届けを提出すると認可を受けることができます。また、個人事業主は基本的に自分自身で確定申告をして納税することになります。

業務委託には、成果物の納品が求められる「請負契約」と、成果物は存在せず事務作業などのサービスを提供する「委任契約」の2種類がありますが、薬剤師は調剤をはじめとするサービスを提供するのが一般的なので、「委任契約」が適応される場合が多いです。

なお、業務委託契約を結ぶ際には、契約期間や業務委託料の金額、支払い方法、契約の目的などの契約内容にしっかり目を通し、不明点や納得のいかない点があれば質問・交渉するようにしましょう。

3. 業務委託のメリット

個人事業主として働く業務委託は、正社員や派遣社員などにはないメリットが存在します。ただし、仕事の責任は全て自分自身で負うことになるため、自分を律する姿勢が求められます。それでは、薬剤師が業務委託で働くメリットを見ていきましょう。

3-1. 正社員と比べ自由度が高い

正社員やパートタイムなどのような雇用関係にない業務委託は、比較的自由度の高い働き方を実現できます。基本的には業務委託契約書の内容に沿った業務に従事することになるため、自分が活かしたいスキルを発揮して活躍することが可能です。また、副業に取り組んだり、薬局の運営や経営コンサルティングなど薬剤師の知識を活かした幅広いサービスを提供する形で働くことも夢ではありません。

3-2. 保険料の天引きがない

個人事業主は自分自身で確定申告を行い納税するので、報酬が振り込まれる際には雇用保険や社会保険といった保険料が天引きされません。そのため、一時的に手元に残る金額は正社員よりも多いといえます。また、さまざまな控除を活用することで節税することも可能です。ただし、保険料などは後々規定の金額を納めなければならないので、その点も考慮したお金の管理が求められます。

4. 業務委託のデメリット

自由な働き方を実現できる業務委託ですが、一方でデメリットも存在します。業務委託として働く場合は、デメリットやリスクも十分に理解した上で、対策をとる必要があります。

4-1. リスクを考える必要がある

業務委託は雇用関係にはないため、労災や有給休暇がありません。また、業務上のトラブルを補償できる薬剤師賠償保険や所得保障保険、就業不能保険といった保険に自分自身で加入し、リスクに対応する必要があります。

業務委託の報酬は比較的高額に設定されているケースが多いですが、そもそも契約が取れなければ仕事がなく、収入を得ることができなくなってしまいます。仕事を獲得するための営業活動や告知活動も自分自身で行わなければならないので、薬剤師業務以外にも力を割く必要があります。

4-2.業務請負の場合のノルマがある

業務請負として契約した場合、ノルマを課せられる可能性があります。ノルマを達成できなければ契約不履行となり、報酬が支払われなかったり契約が打ち切られたりするリスクがあります。契約を結ぶ際はノルマに関する記載も十分に確認し、現実的な内容であるか、自分の実力で達成できるかなどを考えておきましょう。

また、業務上のトラブルは自分自身で対応しなければならないことも留意しておく必要があります。

5. 薬剤師の業務委託の働き先

業務委託の薬剤師として働く場合、どういった勤務先の候補が挙げられるのでしょうか。ここでは代表的な働き先を紹介します。

5-1. 薬局

薬局は、正社員や契約社員と同様に、業務委託の薬剤師にとっても一般的な働き先となります。雇用する側にとっても、業務委託は正社員や契約社員とは違ったメリットを持っているので、仮に正社員を募集している薬局であっても一度、業務委託が可能か相談してみることで、話が発展する可能性もあるでしょう。

5.2 介護老人保健施設

介護老人保健施設には、入居者数を300で割った数以上の薬剤師が勤務していなければならないという法令があります。そのため、介護老人保健施設の薬剤師ニーズは高く、働き先の候補にしやすいでしょう。さらに、例えば入居者数が100人の場合であれば必要な薬剤師数は0.3人となり、常勤である必要がありません。そのため、常勤薬剤師を雇うよりも柔軟な雇用形態を取れる業務委託の薬剤師のニーズがますます高くなるのです。

5-3. 在宅訪問

薬剤師が在宅訪問し、調剤や服薬指導を行うサービスが近年増加傾向にあります。よりフレキシブルな働き方が求められる環境であるため、業務委託の薬剤師のニーズは高いといえるでしょう。

そうしたサービスを行っている薬局や病院、企業や団体を探してアプローチすることで契約を取ることができる可能性があります。

6. 業務委託で気をつけるポイント

業務委託の薬剤師として働く場合には、雇用契約の関係にある社員などとは異なる部分で、気をつけなければならないポイントがあります。

ここでは代表的な注意点を紹介します。

6-1. 損害賠償の可能性

業務上のトラブルやミスなどに対し、損害賠償の支払いを求められる場合があります。どういった条件が賠償の対象となるのか、またその金額がいくらになるのかについては、契約を結ぶ相手によって異なりますので、まずはしっかりと契約書を確認し、内容を理解しておくようにしてください。

6-2. 報酬について

報酬の額については、ほとんどの人が注意深く確認すると思いますが、例えば支払いのタイミングや方法、別途経費が発生した場合のルールなどの確認が漏れてしまう人は少なくありません。報酬に関する項目は特に漏らさずチェックするようにしましょう。

7. 自由な働き方を目指すには有効な手段である

業務委託は正社員などに比べて自由な働き方を目指すことができます。副業に取り組むなど、働き方次第では通常よりも高い収入を得られる可能性があります。

しかし、仕事の獲得や納税、賠償などの責任は基本的に全て自分で負わなければなりません。これらのリスクを踏まえる必要はありますが、自由な働き方や自分のスキルを活かす働き方を目指す方にとって、業務委託は有効な手段となるはずです。

この記事の著者

ライター

山岡 宗祐

大学卒業後、東証一部上場の就職情報会社にて、クリエイティブディレクターとして勤務。
医療系・健康系を中心とした、幅広い企業における広告制作のライティングやディレクションに従事し、年間の原稿執筆本数は300本以上。

現在はフリーライターとして、“誰が見てもわかりやすい文章”をモットーに、取材や原稿執筆業務に携わる。

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