MPラーニングとは?取得方法やメリット・デメリットについて解説
薬剤師の業務が対物から対人へ移行するに従い、薬剤師の専門的知識や技術が要求される場面は増えてきています。地域包括システムにおいては、薬の専門家としての薬剤師の存在意義は大きくなり、かかりつけ薬剤師の需要も増しています。
そうしたニーズの高いかかりつけ薬剤師の要件には、研修認定薬剤師の取得が必須となっています。研修認定薬剤師は薬剤師の日々の自己研鑽の成果を客観的に認定されるものですが、さまざまな研修を受けて、単位を取得することが必要です。
今回は、研修認定薬剤師を取得することができるMPラーニングについて詳しく解説します。
目次
1.MPラーニングとは
MPラーニングとは、研修認定薬剤師の資格を取得するためのe-ラーニング(Web研修システム)です。受講対象者はインターネットに接続できる端末があれば、受講することが可能です。MPラーニングは、「MPラーニング運営委員会」が運営しており、薬剤師の生涯学習に適したカリキュラムやコンテンツの企画・制作をおこなっています。
薬剤師が自己研鑽のためにインターネット上でWeb講義を受講するe-ラーニングは、数多くの業者が参入していますが、MPラーニングは、日本薬剤師研修センターが実施している「研修認定薬剤師制度」の対象講座として登録・認可されているため、MPラーニングを受講し、一定期間内に決められた単位数を取得することで、研修認定薬剤師の新規取得や更新をすることができます。
参照元:MPラーニング運営委員会/MPラーニング運営委員会について
公益財団法人 日本薬剤師研修センター/e-ラーニング研修(登録された実施機関によるもの)
2.MPラーニングで取得できる「研修認定薬剤師」
「研修認定薬剤師」とは、公益財団法人日本薬剤師研修センターの「研修認定薬剤師制度」という、薬剤師の生涯にわたる自己研鑽の実績を客観的に認定する制度のもと、「研修認定薬剤師制度実施要領」に従って研修を受け、一定期間内に所定の単位を取得したことを申請し、認定される薬剤師資格です。
研修認定薬剤師を取得し更新を続けることで、薬剤師としての資質を維持し、薬学的知識を深めることができます。
また、他の医療従事者や患者さんからも、一定の水準を担保している薬剤師として信頼を得ることができます。
研修認定薬剤師について詳しくは、以下をご覧ください。
参照元:公益財団法人 日本薬剤師研修センター/研修認定薬剤師制度とは
3.MPラーニングの概要
MPラーニングについて、受講コース、受講方法、研修認定薬剤師の取得までの流れについて説明していきます。
参照元:MPラーニング運営委員会
公益財団法人 日本薬剤師研修センター/研修認定薬剤師制度とは
3-1.MPラーニングの受講コース
MPラーニングには、新規取得コースと更新コースの2コースが用意されています。どちらのコースも、すべてのコンテンツを受講することができ、受講数や取得単位数に制限はありません。
3-1-1.新規取得コースの対象と金額
新規取得コースは、研修認定薬剤師を新規に取得する方および、認定薬剤師の取得後に認定期間を過ぎて失効した方を対象とするコースです。
また、認定の取得に関わらずコンテンツを受講したい方も、新規取得コースを選びます。
いつからでも始めることができ、費用は開始月を含めた13ヵ月を1年間とし、16,500円(税込)です(2022年9月現在)。
3-1-2.更新コースの対象と金額
更新コースは、既に、研修認定薬剤師の認定を受けている方で、現在認定期間中の方を対象とするコースです。
研修認定薬剤師は、薬剤師認定制度認証機構の認証を受けたプロバイダーから認定されていることが条件です。
いつからでも始めることができ、受講期間は開始月から2023年10月31日となっており、費用は年間8,800円(税込)です(2022年9月現在)。
3-2.MPラーニングの申し込み・受講方法
MPラーニングの受講を開始するまでの流れは以下の通りです。パソコン、タブレット、スマートフォンなどインターネットに接続できる端末で申し込み(ユーザー登録)や受講をすることができます。
- 申し込み(ユーザー情報の登録)
MPラーニングの受講を開始するには、まずユーザー情報の登録が必要です。受講コースを選び、氏名、連絡先、メールアドレス、薬剤師名簿登録番号など必要な情報を登録します。 - 受講料の支払い
クレジットカードと郵便振り込みが利用できます。 - 受講開始
受講したいコンテンツを選び、視聴を開始すると受講時間が自動的に記録されます。1コンテンツ30分(テストを除く)ですが、分割して受講することや、繰り返して受講することもできます。マイページから、受講期間や受講履歴、単位取得履歴などが確認できます。
3-3.研修認定薬剤師取得までの流れ
- PECS(薬剤師研修・認定電子システム)への登録
MPラーニングを受講するにあたり、PECS(薬剤師研修・認定電子システム)への登録が必須です。研修受講単位は、以前はシールで交付されていましたが、PECSに登録することで自動的に受講状況が記録され、受講した翌々月の末日に交付されます。
PECSの登録をおこなっていないと研修受講単位は交付されず申請もできません。日本薬剤師研修センター公式ホームページ内の薬剤師研修支援システムから登録しましょう。 - 申請に必要な単位数
「研修認定薬剤師制度実施要領」により、60分以上の講義と30分以内のテストで合計90分の講座を受講すると1単位となります。MPラーニングの場合は約30分(テストを除く)のコンテンツを3つ受けると1単位となります。申請に必要な単位取得期間と単位数は以下の通りです。
単位取得期間 申請に必要な単位数 新規申請 新規認定申請日より遡って4年以内 40単位以上 更新申請 認定期間の3年以内 合計30単位以上
(各年5単位以上) - 申請方法
2022年1月から、研修認定薬剤師の申請はすべてPECSから申請します。2022年3月まで交付されていた研修シールによる単位取得数をPECSに入力し、シールを日本薬剤師研修センターに送付することで、合わせて申請することもできます。審査料11,000円(2022年10月現在)を支払い、研修認定薬剤師として登録後、研修認定薬剤師証が交付されます。
参照元:公益財団法人 日本薬剤師研修センター/薬剤師研修・認定電子システム(PECS)の本稼働後の状況を踏まえた留意事項について
参照元:公益財団法人 日本薬剤師研修センター/研修認定薬剤師制度実施要領
公益財団法人 日本薬剤師研修センター/研修認定薬剤師制度に関するQ&A
MPラーニング運営委員会/研修認定薬剤師になるには
4.MPラーニングのメリット
薬剤師にとって自己研鑽は生涯続ける必要がありますが、MPラーニングは、新規取得コースも更新コースもそれぞれ定額制で、受講数や取得単位数に限りがないため、継続しやすいといえます。
ここでは、MPラーニングのメリットをさらに紹介していきます。
4-1.講座の数が豊富
研修認定薬剤師単位対象のコンテンツは、700コンテンツ以上あり、258単位分が公開されています(2022年10月現在)。
疾患や治療、処方解説、服薬指導、臨床検査、薬物動態などの医薬品の基礎情報、薬事関連法規、コミュニケーションスキルや感染対策などの実務マネージメントなど、薬剤師に必要なあらゆる領域を網羅しているといえます。
また、『MPラーニング研修認定薬剤師カリキュラム運営委員会』が定期的に実施されており、 新しいコンテンツが随時追加されています。
4-2.スマートフォンからでも閲覧が可能
MPラーニングは、パソコンだけでなくスマートフォンやタブレットでも受講できます。受講状況は一元管理されているため、受講する場所や時間により、使用しやすい端末を用いて受講することができます。
4-3.コンテンツごとに確認テストが受けられる
約30分の各コンテンツの最後に、確認テストを受けることができるため、すぐに受講内容を振り返ることができるのがメリットです。
テストの問題は、選択肢の中から選ぶ形式で、コンテンツを視聴していれば答えられる問題です。
回答提出後、採点結果とともに、正解と問題の解説として学習した部分のスライドも提示されるため、わからなかったり不正解であったりしても、すぐに解決することができます。
採点結果は受講の終了や単位の取得には関係ありません。確認テストは何度でも受けられるため、学習の定着に非常に役立てることができます。
参照元:MPラーニング運営委員会/MPラーニングご利用マニュアル P34学習の進め方
5.MPラーニングのデメリット
では、MPラーニングには、どんなデメリットがあるのでしょうか。
5-1.確認テストの回数が多く感じる場合もある
MPラーニングでは、約30分のコンテンツの終わりに、確認テストが設けられているため、多く感じる場合もあるでしょう。
確認テストは、15問(10点の配点が10問および20点の配点が5問)あり、選択肢が表示され回答を選ぶ形式ですが、問題や選択肢が長文で、毎回受講した内容を思い出しながらテストを受けるのが大変だと思う方にとっては、デメリットになるかもしれません。
参照元:MPラーニング運営委員会/MPラーニングご利用マニュアル P39テスト画面
5-2.数分ごとに「次へ」ボタンが表示される
MPラーニングでは、約30分のコンテンツが、10~15の項目に細かく分かれているため、1項目が終わるたびに「次へ」のボタンが表示されます。数分ごとに「次へ」ボタンが表示されるのを、煩わしく感じる方にとってはデメリットになるでしょう。
参照元:MPラーニング運営委員会/MPラーニングご利用マニュアル P19~p22
5-3.古い内容の講義が残っている場合がある
MPラーニングでは、随時新しいコンテンツが公開されていますが、中には更新されずに古い内容の講義が残っている場合があります。
医学・薬学は進歩が早く、添付文書や診療ガイドラインなどもどんどん改訂されているため、コンテンツを選ぶ時には公開年月に注意が必要です。
6.MPラーニングで資格を取得するためのポイント
MPラーニングで研修認定薬剤師を取得するために、効果的に受講するポイントを紹介します。
- ライフスタイルに合わせてしっかり受講時間を決める
MPラーニングは、強制的ではないため、つい先延ばしになってしまうリスクがあります。そこで自分のライフスタイルの中で、無理なくできる受講時間を探して計画的に受講しましょう。家庭での長時間学習だけにこだわらずに、短いすき間時間をみつけて日常生活の中に組み込み、継続することが大切です。 - さまざまなデバイスを活用する
MPラーニングはさまざまなデバイスから受講できるため、自宅だけでなく外出先で、スマートフォンやタブレットを用いて受講するのも、継続するためのアイデアの一つです。出勤の通勤中や、気分転換にカフェなどで受講するのも良いかもしれません。 - 業務に活かせるコンテンツから受講してみる
最終的な目標は研修認定薬剤師の取得ですが、MPラーニングを受講して得られた知識を、日々の業務に活かすことで自己研鑽の成果を実感することができ、受講意欲につながります。
7.MPラーニングを実際に受けた方の感想
最後に、実際にMPラーニングを受けた方の感想を紹介します。
大学病院の門前薬局から、地域の調剤薬局への転職の際、在宅薬剤師を希望したところ、かかりつけ薬剤師の取得が必須となりました。
今まで、学会や研修会などへの参加や、他のプロバイダーでの研修の受講経験はありましたが、かかりつけ薬剤師の必須条件である研修認定薬剤師を取得するために短期間で学べるMPラーニングの受講を決めました。
コンテンツの数が多いため、興味ある分野から集中して受講することができます。パワーポイントを使った説明が分かりやすく、ノートがあるので聞き逃すことなく、メモをしながら受講するのに役立っています。
8.まとめ
MPラーニングは、日本薬剤師研修センターが実施している「研修認定薬剤師制度」の対象講座として登録されているため、MPラーニングを受講して取得した単位をもって研修認定薬剤師の申請ができます。
MPラーニングは、講座数が多く興味のあるコンテンツを選ぶことができることや、パソコンだけでなくスマートフォンやタブレットも一元管理されているため、すき間時間などを利用して継続受講しやすいのが特徴です。
また、MPラーニングは受講数や取得単位数に制限がないため、短期間で集中的に受講することも、時間をかけてじっくりと勉強に向き合うこともでき、自分のライフスタイルに合わせて、単位取得を進めることができます。
今後ますます必要性が高まる研修認定薬剤師の取得を目指すには、時間と場所に関わらず、自分のペースで単位取得ができるMPラーニングの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
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