大手薬局と中小薬局の違いとは?それぞれのメリットとデメリットをご紹介

大手薬局と中小薬局の違いとは?それぞれのメリットとデメリットをご紹介

薬局は、規模に応じて「大手薬局」と「中小薬局」に分けられます。

「今後のことを考えると、転居を伴う異動が厳しい」「安定した大手薬局に転職したい。」など、会社の規模でなんとなく転職先を決めようとしている方もいるかもしれません。

「大手薬局」と「中小薬局」は、どのような違いがあるかをご存知でしょうか。今回は、大手薬局と中小薬局の違いや、メリット・デメリットなどについて詳しく解説します。

1.大手薬局と中小薬局の違いとは

ご存知のとおり薬局は、「医療機関」であり「会社組織」です。一般企業と同じように、会社の規模によって、働き方やキャリアプランが異なります。

「大手薬局」と「中小薬局」には、どのような違いがあるのでしょうか。

1-1.大手薬局とは

「大手薬局」についての明確な定義はありませんが、中小企業よりも規模が大きい企業、いわゆる「大企業」のことを指します。全国規模でチェーン展開している場合が多く、知名度が高いことも特徴です。

大手薬局ならではの安定した経営のもと、さまざまな店舗を経験しながらキャリアアップを目指すことができます。

1-2.中小薬局とは

中小企業法によると、薬局が該当する小売業は、下記のいずれかに該当する場合に「中小企業」であると定められています。

  • 常時使用する従業員の数が50人以下
  • 資本金の額、または出資の総額が5000万円以下

中小薬局は全国展開するケースは少なく、「関東圏」や「関西圏」のように地域を限定して、数店から20〜30店程度の店舗を展開する小規模な薬局チェーンを指すことが多いです。

中小薬局は全体の店舗数が少ないため、経営者の方針が薬局の運営に色濃く反映されやすいのが特徴です。

「在宅」や「学会発表」など、自分の興味のある分野に力を入れている会社を選ぶことができれば、その道のスペシャリストとしてのキャリアアップを目指すことができます。

参照元:e-Stat/日本標準産業分類 調剤薬局

1-3.大手薬局と中小薬局の比較

大手薬局と中小薬局の違いを表で比較してみると、以下の通りです。

大手薬局 中小薬局
給与 平均的 高い傾向にある
残業代 支給される場合が多い 支給されないケースもある
休日 会社・企業によって差がある 会社・企業によって差がある
転勤 多い 少ない
教育制度 整っている OJTが中心
福利厚生 平均的 会社によって差がある

2.大手薬局のメリット・デメリットとは

ここからは大手薬局について、メリットとデメリットの観点から詳しく解説していきます。

2-1.大手薬局のメリット

まずは、会社の規模が大きい大手薬局ならではのメリットをご紹介します。

2-1-1.教育体制の充実

大手薬局は、ある程度まとまった人数を採用するため集合研修なども実施しやすく、転職して入社した方向けの「中途採用研修」が整備されている会社も多くあります。

家事や育児で忙しく、スキルアップの時間が取りにくい方でも、会社の教育システムに乗ることで最低限のスキルアップが可能です。

また、組織の中に教育部門が独立して存在する場合も多く、人に教えるのが好きな方は教育担当としてキャリアアップする道なども開かれています。

2-1-2.福利厚生が手厚い

大手薬局の福利厚生は、「住宅手当」や「社宅制度」、「財形貯蓄制度」などの経済的な支援や、「産前・産後休暇」や「育児休暇」、「リフレッシュ休暇」などの休暇制度が充実しており、社員が長く働きやすい環境が整っていることが多いようです。

さらに社員の要望に応じて「社員割引」や「各種提携施設の利用」などが充実していることもあります。

2-1-3.企業の安定性が高い

大手薬局は会社の規模が大きく、全国・広域チェーン展開によりリスク分散されているため、自分の所属する店舗の売り上げが低い場合でも、安定した雇用がほぼ保障されています。

そのため同じ会社で長く働きたいという安定志向の方には、大手薬局が向いているかもしれません。

2-1-4.設備が充実している

大手薬局では、全国に点在する多数の薬局を、会社の方針に沿って、一定以上の「質」を保ちながら、全国どこでも同じように運営することが求められます。

そのため、設備投資が積極的におこなわれる場合も多く、「調剤監査システム」「電子薬歴」「クリーンベンチ」といったさまざまな設備が充実している会社が多くあります。

最新の設備が整った薬局で働きたい方は、大手薬局を目指すと良いかもしれません。もちろん、会社ごとに設備内容に差はあるので、事前に確認しておきましょう。

2-1-5.キャリアアップしやすい

薬局薬剤師のキャリアップの一般的なイメージは、認定薬剤師を取得後、管理薬剤師へステップアップすることがほとんどですが、薬局をまとめる立場になった後、さらに上の役職へとキャリアアップしやすいのは、さまざまな役職が存在している大手薬局だといえるでしょう。

地域をまとめるエリアマネージャーや、さらにその上の課長、部長などとキャリアアップしていきたい方は、大手薬局がおすすめです。

2-2.大手薬局のデメリット

大手薬局には、会社の規模が大きいことによるデメリットも存在します。

2-2-1.転勤がある

全国に薬局を展開しているため、欠員状況によっては遠くの知らない土地に転勤になることもあります。

もちろん、ある程度は本人の希望も考慮されますが、転勤を拒否する明確な理由がない場合は、なかなか断りづらいのが現状です。

環境の変化を新鮮に感じられるという方は問題ありませんが、今いる場所で働き続けたい方や、新しい環境で一からという状況が苦手な方には要注意です。

2-2-2.調剤以外の業務もある

大手薬局では、調剤薬剤師だからといって調剤業務だけをしていれば良いわけではありません。

併設のドラッグストアがある場合は、品出しやレジといった仕事、ある程度の経験を積んだ薬剤師は、後輩の教育担当を任せられる場合もあります。

調剤だけに専念したいという方は、担当する可能性のある業務内容について、あらかじめ確認しておきましょう。

2-2-3.規則が多い

大手薬局では、大勢の人が働いています。一定レベル以上のサービスを全国均一に提供するために、さまざまな規則を定めることが多いです。

そのため、経験のある薬剤師にとっては、自分のスタイルにあった仕事の進め方が認められていなかったり、許可や申請が必要だったりすることもあるようです。

また、大手薬局としてのイメージを重視するために、「髪の色はこの明るさまで」「肩についた髪は結ぶ」「靴は黒か茶色」「男性は必ずネクタイ」といった、身なりに関する規則が厳しい会社もあるようです。

自分の仕事のスタイルや身なりにこだわりのある方などは、事前に就業規則なども確認しておきましょう。

2-2-4.ノルマがある

大手薬局でよく話題に上るのが「ノルマ」です。しっかりと利益を出すために、薬局同士を競わせたり、個人のノルマ達成度を評価基準としたりといった取り組みを実施している会社も存在します。

ノルマの内容としては、「かかりつけ薬剤師の契約件数」や「物販商品の販売数」といったものが挙げられます。営業に苦手意識のある方は、自分の向き・不向きをしっかりと把握しておくことが大切です。

3.中小薬局のメリット・デメリットとは

続いては、中小薬局のメリットとデメリットを確認しておきましょう。

会社の規模が小さいため、ある程度は個人の裁量に任せて運営されるのが中小薬局です。自分のやり方で自由に働きたい方にとっては魅力的な環境ですが、大手薬局と比較するとサポートに関して差があります。

3-1.中小薬局のメリット

まずは、会社の規模が小さい中小薬局ならではのメリットをご紹介します。

3-1-1.転勤が少ない

薬局を展開している地域が限定される中小薬局では、引っ越しをともなう転勤は少ないです。実家の近くで働きたい方や、同じ場所で長く働き続けたい方というは、中小薬局がおすすめです。

3-1-2.給与が高い傾向にある

会社全体の人数が少ない中小薬局は、人事異動で欠員をまかなうことにも限界があるため、給与が高めに設定されているケースがあります。

特に薬剤師が集まりにくい地方では、高い年収が提示されることが多くなっています。

年収にこだわって働きたい方は、条件の良い中小薬局を探してみましょう。

3-1-3.裁量が大きい

マニュアルや細かなルールが存在せず、仕事の進め方については個人の裁量に概ね任せられているのが、中小薬局の特徴です。

また、個人の裁量が大きいことに喜びを感じる方にとっては、経営層との距離も近いので、店舗運営などに自分の意見が反映されたり、参画できたりする可能性があるのもメリットといえるでしょう。

3-1-4.自由度が高い

お客さま一人ひとりに対応する中で、現場で最適だと考えたことを、即実行することが許される自由な労働環境はメリットといえるでしょう。

また、身だしなみについても細かい規定はない会社が多く、自由にのびのびと働きたい方には中小薬局が向いているかもしれません。

3-2.中小薬局のデメリット

続いては、中小薬局ならではのデメリットをご紹介します。

3-2-1.教育制度が不十分

中小薬局では人数が少ないため、集合研修の場を設けられることが少ない傾向にあります。そのため、基本的には現場で働きながら学ぶ「OJT形式」の教育が中心になります。

自学自習で知識を深めていける方であれば問題ありませんが、調剤未経験だったり、ブランクがあったりする方には少し厳しい環境かもしれません。

3-2-2.業務内容が多い

中小薬局では、店舗スタッフの人数が少ないため、一人に対する仕事量が多くなることがあります。

例えば、大手薬局では医薬品の在庫管理や発注業務は本部でも管理され、ある程度自動化されている場合が多いです。

しかし、中小薬局ではその日に使った薬を翌日までに手動発注するアナログな管理体制を取らざるを得ない場合も多く、何かと時間を取られることがあります。

また、地域とのつながりが太いのも中小薬局の特徴で、薬剤師会などの各種会合や地域連携会議などの業務が閉局後に設定される場合もあるようです。

3-2-3.企業によって福利厚生に差がある

就職活動と転職活動の際、給与と業務内容の次に「福利厚生」を重視する方も多いのではないでしょうか。

「健康保険料」や「厚生年金保険料」などといった法律で定められた福利厚生もあれば、「住宅補助」や「通勤手当」など、日常生活に直結するものもあります。

中には、スポーツクラブやリゾートホテルなどといった施設をお得に利用できる種類もあります。

企業によって福利厚生の種類が異なるので、最低限の手当だけでも充分という方もいれば、福利厚生でプライベートを充実させたいという方もいるでしょう。

充実した福利厚生を活用しながら働きたい方は、福利厚生の内容について、あらかじめ確認しておきましょう。

4.大手薬局と中小薬局の選び方

ここまで、大手薬局と中小薬局の特徴や、メリット・デメリットについて解説しました。

大手薬局と中小薬局それぞれに一長一短があるため、自分の将来を見据えて選択することが重要です。

自分が今後キャリアアップしていく上で、特に重要視したい条件は何か、また、それを満たせる企業はどこかという観点で、比較しましょう。

5.まとめ

大手薬局と中小薬局それぞれのメリット、デメリットを踏まえて、自分に合った薬局が大手薬局なのか、中小薬局なのかを冷静に考えてみましょう。

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この記事の著者

薬剤師ライター

大西 真理

私大薬学部を卒業後、ドラッグストアを経て、商社にて管理薬剤師として勤務。 化学物質管理を始め法務、貿易関係の仕事に携わっている。執筆・監修業務では、管理薬剤師としての専門知識と実体験を活かして、「医療・健康に関する記事執筆」「薬剤師の仕事に関するコラム執筆」「薬機法などの法令チェックを含めた記事監修」などを得意とする。

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