保険薬剤師とは?調剤薬剤師との違いや登録方法について

保険薬剤師とは?調剤薬剤師との違いや登録方法について

世間一般的に薬剤師と呼ばれる職業には、じつは大きく分けて「保険薬剤師」と「調剤薬剤師」の2種類が存在しています。

どちらも、医師からの処方箋をもとに調剤をおこなうことがメインとなるため、仕事における違いはあまりありません。

しかし、働くことができる場所などに違いがあるため、その違いをしっかりと把握しておき、自分のキャリアの希望に合わせて、適切に選択する必要があります。

ここでは、保険薬剤師の概要と調剤薬剤師との違い、必要となる登録の手続きや就職先などについて、詳しく解説します。

1. 保険薬剤師とは?

保険薬剤師とは、保険調剤薬局で働く薬剤師のことです。

薬剤師の国家試験に受かっていれば、地方厚生局に登録の申請をすることで、誰でも保険薬剤師になることができます。

保険調剤薬局とは、厚生労働省から保険指定を受けた薬局のこと。保険診療をおこなう病院の保険医が交付する処方箋に基づいて、保険調剤業務をおこなうのが主な業務となっています。

つまり保険薬剤師とは、「保険が適用される薬を調剤する薬剤師である。」と認識しておけば問題ないでしょう。

保険薬局では、公的な健康保険の調剤報酬規程にしたがって報酬請求が行われるので「患者○割負担」となります。

しかし保険薬局以外の薬局に調剤を依頼すると健康保険が適用されないため、患者さんは調剤報酬を全額負担することになります。

ちなみに、日本の薬局のほとんどが保険調剤薬局ですが、中には保険を扱っていない薬局も存在しています。ここで働く薬剤師は保険薬剤師である必要がありません。

1-1. 調剤薬剤師との違い

保険薬剤師と調剤薬剤師の主な業務は、処方箋に基づいて調剤をおこなうことです。仕事内容にはそれほど大きな違いはありません。

しかし前述したように、保険薬剤師は保険調剤業務をおこない、公的な健康保険の調剤報酬規程にしたがって報酬請求ができるのに対し(患者さん〇割負担)、調剤薬剤師は健康保険が適応されない調剤業務(患者さん全額負担)しかできません。

また保険薬剤師は、保険を扱うため、保険点数の算定を求められることや、健康保険だけではなくその他の保険の知識を用いて、患者さんからの相談や質問に答える必要があるなど、求められる役割に違いがあります。

保険薬剤師と調剤薬剤師をそれぞれ別の職種として区別するよりも、調剤薬剤師という大きなカテゴリーの中に「保険を扱える保険薬剤師がいる」というイメージを持つとわかりやすいでしょう。

2. 保険薬剤師の登録前に準備するもの

保険薬剤師の登録前に準備するもの

保険薬剤師に登録するには、まず、大学に6年通い、薬学部の正規過程を修めて卒業する必要があります。その後、薬剤師国家試験を受験し、「薬剤師」としての資格を得ることが必要です。

「薬剤師」の資格を得たら、居住地や勤務先を管轄している地方厚生局が用意している「保険医・保険薬剤師登録申請書」と「薬剤師免許証の写し」を準備します。
「保険医・保険薬剤師登録申請書」に関しては、各地方厚生局のHPなどからダウンロードすることも可能です。

3. 保険薬剤師の新規登録方法

保険薬剤師を新規で登録する場合、以下の4つのステップで進めていきます。
実際に登録する場合は、厚生労働省の保険医・保険薬剤師の登録等に関する申請・届出を参考に確認して下さい。

3-1. 新規登録の申請

自身の居住地、もしくは勤務先を管轄している厚生局事務局に対し、持参または郵送にて、「保険医・保険薬剤師登録申請書」を提出します。

3-2. 登録票の交付

申請書に不備が無ければ、自分宛てに登録票が送付されます。

3-3. 指導監督のための必要書類を提出

登録票と一緒に送られてくる指導監督のための必要書類を記入し、再度提出します。

3-4. 新規指定時指導を受講

新規で保険薬剤師の登録をした場合、新規指定時指導の受講が必須となっていますので、忘れず受講するようにしましょう。

以上の4つのステップで保険薬剤師としての登録が完了となります。

申請して即日保険薬剤師になれるわけではありませんので、手続きは早めに行うようにしてください。

4.その他、新規登録以外での申請

保険薬剤師の登録に関しては、新規登録以外にも手続きが必要な場合があります。それぞれどのような手続きが必要となるのか、以下に解説していきます。

4-1.再交付の場合

登録票を紛失・棄損してしまった場合、「保険医・保険薬剤師の登録票再交付申請書」を地方厚生局に提出しなければなりません。必要事項を記入し、速やかに提出するようにしましょう。ちなみに、手数料は掛かりません。

4-2.異動があった場合

異動によって当初登録をした地方厚生局の管轄を外れる場合、「保険医・保険薬剤師管轄地方厚生(支)局長変更届」を提出しなければなりません。この際、転入先の地方厚生局ではなく、転出前の地方厚生局に申請書を提出しなければなりませんので注意してください。こちらも、手数料は掛かりません。

4-3.氏名が変更になった場合

結婚などによって氏名が変更になった場合、「保険医・保険薬剤師氏名変更届」を地方厚生局に提出します。

5.保険薬剤師の就職先

保険薬剤師は、保険薬局だけでなく、調剤薬局で働くことも可能です。

保険薬剤師の代表的な就職先は保険薬局になりますが、薬局やドラッグストアなども選択できます。

ただし、保険に基づく調剤をおこなわない施設に就職した場合、薬剤師としての仕事がメインとなり、保険薬剤師としての仕事はできなくなるため、注意しましょう。

保険薬剤師として活躍していきたい場合は、保険薬局を選びつつ、その上で給与や福利厚生などの各種条件を見るのがおすすめです。

6.まとめ

保険薬剤師に関して、その概要や調剤薬剤師の違い、登録の手続きなどを解説してきました。

薬局をはじめ、日本の医療機関のほとんどが保険を取り扱っていることを考えれば、保険薬剤師の認定を受けておく方が、選択肢を広く持つことができるのは間違いないでしょう。

申請もそこまで手間の掛かるものではありませんので、薬剤師資格の獲得と同時に保険薬剤師の認定も済ませてしまうのをおすすめします。

この記事の著者

ライター

山岡 宗祐

大学卒業後、東証一部上場の就職情報会社にて、クリエイティブディレクターとして勤務。
医療系・健康系を中心とした、幅広い企業における広告制作のライティングやディレクションに従事し、年間の原稿執筆本数は300本以上。

現在はフリーライターとして、“誰が見てもわかりやすい文章”をモットーに、取材や原稿執筆業務に携わる。

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