薬剤師の退職金相場を職種ごとにご紹介!金額を決める要素とは?

薬剤師の退職金相場を職種ごとにご紹介!金額を決める要素とは?

退職金制度は、将来の生活設計を考える上で押さえておきたい制度の一つです。薬剤師として働き続ける中で「将来、退職金はどのくらい受け取れるのか」「今の職場の退職金は平均と差があるのか」といった疑問を抱くこともあるでしょう。

本記事では、退職金制度の概要や種類、相場、計算方法について解説します。さらに、薬剤師がより多くの退職金を受け取るためのポイントもお伝えします。

1.退職金とは?

退職金とは、従業員が退職する際に勤務期間や役職などに応じて支給される金銭です。退職後の生活を支える役割に加え、長期的な勤務を後押しし、就業意欲を維持する役割も担っています。

退職金制度は、企業が独自に定める福利厚生の一つです。法律で支払いが義務付けられているものではなく、制度を設けるかどうか、支給額や計算方法については企業ごとの判断に委ねられています。

参考:令和5年就労条件総合調査|厚生労働省

1-1.退職金の主な種類

退職金は、制度の仕組みや受け取り方によって、いくつかの種類に分けられます。主な退職金制度には、以下のようなものがあります。

主な種類 仕組み メリット 注意点
退職一時金制度 企業が準備した資金を、退職時に一括で受け取る ● 退職と同時にまとまった金銭が手に入るため、退職後の生活資金に充てやすい
● 退職所得控除が適用されるため、税負担を軽減できる可能性がある
● 経営の悪化や倒産により、規定通りの金銭を受け取れないリスクがある
企業型確定拠出年金 企業が拠出した掛金を、従業員自身が運用する ● 運用で増えた利益は非課税となる
● 転職時も資産を持ち運んで継続できる
● 原則として60歳まで引き出せないため、教育費や住宅購入など、急な出費には使えない
確定給付企業年金 将来受け取る給付額が約束されており、企業が運用の責任を負う ● 企業が運用のリスクを負うため、従業員は安定して金銭を受け取れる
● 将来の給付額が決まっているため、老後の資金計画を立てやすい
● 運用成績が良い場合でも、給付額は増えない
退職金共済制度 外部機関に掛金を積み立て、退職時にそこから直接支払われる ● 外部機関で管理されているため、勤務先が倒産しても退職金を受け取れる
● 同じ共済制度を導入している企業へ転職する場合、加入期間を通算できることがある
● 加入期間が短いと支給されない場合がある

なお、これらの制度のうち、いずれか一つだけが導入されているとは限りません。例えば、退職一時金と企業型確定拠出年金を組み合わせるなど、複数の制度を併用して退職金を支給している企業もあります。

参考:確定給付企業年金制度|厚生労働省
参考:確定拠出年金制度|厚生労働省
参考:中小企業退職金共済制度(中退共制度)|厚生労働省
参考:一般の中小企業退職金共済制度のしくみ|厚生労働省

2.薬剤師の退職金の相場

薬剤師の退職金額は、勤務先の業態や企業規模、導入している退職金制度によって異なります。ここからは、調剤薬局や大手ドラッグストア・製薬企業、公立病院・行政機関などで働く公務員といった勤務先の違いに分けて、退職金の相場を解説します。

2-1.調剤薬局

調剤薬局における退職金の相場を把握する際には、中小企業退職金共済が案内している資料(東京都産業労働局の調査データ)が参考になります。本資料では、学歴や勤続年数、企業規模、退職理由の違いごとに退職金の相場が示されています。

例えば、従業員10〜49人規模の中小企業に勤務する大卒者が退職した場合の退職金の目安は、以下のとおりです。なお、これらの数値は中小企業全体を対象としたデータであり、薬剤師のみを対象としたものではありません。

勤続年数 年齢 退職金の目安
自己都合退職 会社都合退職
5年 27歳 449,000円 591,000円
10年 32歳 1,145,000円 1,452,000円
15年 37歳 2,156,000円 2,559,000円
20年 42歳 3,482,000円 4,037,000円
25年 47歳 5,166,000円 6,229,000円
30年 52歳 6,788,000円 7,580,000円
33年 55歳 7,818,000円 8,644,000円
定年 10,884,000円

このように、勤続年数が長くなるにつれて、退職金額が高くなる傾向があります。ただし、企業規模や退職理由によって退職金の相場が変わる点には注意が必要です。

参考:8-3-3.退職金の世間相場はどれくらいですか?|中小企業退職金共済事業本部

2-2.大手ドラッグストア・製薬企業

大手ドラッグストアや製薬企業に勤務する薬剤師に限定した退職金データは公表されていないため、ここでは参考として、資本金5億円以上かつ労働者数1,000人以上の大企業を対象とした「令和5年賃金事情等総合調査」の結果を見ていきます。

調査のうち、大学卒で事務・技術労働者、総合職相当の職種に該当し、会社都合で退職した場合の退職金額の目安は、以下のとおりです。

勤続年数 年齢 退職金の目安
自己都合退職 会社都合退職
3年 25歳 341,000円 696,000円
5年 27歳 631,000円 1,213,000円
10年 32歳 1,828,000円 3,057,000円
15年 37歳 4,027,000円 5,851,000円
20年 42歳 7,619,000円 10,216,000円
25年 47歳 11,863,000円 14,875,000円
30年 52歳 17,718,000円 20,545,000円
35年 57歳 23,039,000円 25,395,000円
38年 60歳 23,808,000円 26,509,000円
定年 28,584,000円

結果から、大企業では中小企業と比べて、退職金の水準が高い傾向が見られます。その背景には、企業規模による資金力の違いに加え、退職一時金や確定給付企業年金などの年金制度を併用している実態があるようです。なお、各退職金データは参照元の資料が異なるため、あくまで傾向を把握するための参考情報として捉えましょう。

参考:令和5年賃金事情等総合調査|e-Stat

2-3.公立病院・行政機関などで働く公務員

公立病院や行政機関などで働く公務員の退職金については、内閣官房内閣人事局が公表している「退職手当の支給状況」が参考になります。以下に、令和5年度に退職した常勤職員を対象とする退職手当の平均支給額を、勤続年数別にまとめました

勤続年数 常勤職員の退職手当平均支給額
定年 応募認定
(早期退職)
自己都合退職 その他
21,473,000円 24,927,000円 3,039,000円 2,246,000円
5年未満 2,466,000円 1,360,000円 267,000円 1,072,000円
5年〜9年 4,926,000円 6,330,000円 896,000円 2,372,000円
10年〜14年 8,549,000円 10,629,000円 2,812,000円 5,322,000円
15年〜19年 11,847,000円 10,083,000円 5,253,000円 7,448,000円
20年〜24年 12,575,000円 16,463,000円 9,225,000円 12,650,000円
25年〜29年 15,993,000円 21,255,000円 13,720,000円 15,817,000円
30年〜34年 20,017,000円 25,268,000円 16,773,000円 21,561,000円
35年〜39年 23,893,000円 27,162,000円 19,729,000円 38,989,000円
40年以上 23,116,000円 24,245,000円 21,405,000円 37,697,000円

なお、これらのデータは公務員全体を対象としたものであり、薬剤師に限定した数値ではありません。

参考:退職手当の支給状況|内閣官房内閣人事局
参考:第3章 定年後の収入と支出|人事院

3. 薬剤師の退職金の計算方法

退職金の計算方法は、企業や退職金制度によってさまざまです。例えば、退職一時金の場合、基本給をベースに算出する方法や、ポイント制、別テーブル方式、定額方式などが挙げられます。

人事院の調査資料「民間の退職金及び企業年金の実態調査の結果並びに国家公務員の退職給付に係る本院の見解について」によると、多くの企業で採用されているのは、退職時の基本給を基準に算出する方法です。約42.6%の企業が採用しており、「退職時の基本給(全額または一部)×勤続年数別支給率」といった計算式で算出します。

なお、薬剤師の場合、基本給に薬剤師手当などの諸手当を加算して支給しているケースも少なくありません。そのため、月々の給与を基準に退職金をイメージすると、想定より少なくなる可能性があります。

次に多いのがポイント制と呼ばれる方式で、約27.3%の企業が導入しています。勤続年数や資格などに応じて毎年ポイントが累積され、退職時に「ポイント×単価」で金額が決まる仕組みです。

この他、退職金を算出するために作成されたテーブル(表)をベースにする「別テーブル方式」や勤続年数で金額が一律に決まっている「定額方式」などもあります。

参考:民間の退職金及び企業年金の実態調査の結果並びに国家公務員の退職給付に係る本院の見解について|人事院

4. 薬剤師の退職金なしの職場はどのくらいある?

正社員であっても、退職金制度が必ず設けられているとは限りません。厚生労働省の調査によると、医療・福祉業界において、退職給付(一時金・年金)制度を設けている企業の割合は75.5%となっています。

この調査は、常用労働者を30人以上雇用する民営企業(医療法人や社会福祉法人などを含む)を対象に行われたものです。結果から、一定の規模を有する企業でも、約25%、およそ4社に1社は退職金制度を設けていないことが分かります。

参考:令和5年就労条件総合調査の概況|厚生労働省

5. 薬剤師がより多くの退職金を受け取るには?

薬剤師がより多くの退職金を受け取る代表的な方法は、以下のとおりです。

  • キャリアアップして昇給を目指す
  • 勤続年数を積む
  • 退職金制度が充実した職場に転職する

それぞれの方法について見ていきましょう。

5-1. キャリアアップして昇給を目指す

薬剤師がより多くの退職金を受け取る方法の一つが、管理薬剤師やエリアマネジャーなど、より責任の大きい役職に就いて社内でキャリアアップし、昇給を目指すことです。

先述したとおり、多くの企業の退職金制度では、退職時の基本給が計算のベースとなっています。そのため、昇進によって基本給が上がれば、それに連動して退職金の支給額が増える可能性があります。

また、ポイント制を採用している企業では、役職や等級が高くなるほど、1年ごとに付与されるポイントが多く設定されていることがあります。一般社員のままで勤め続けるよりも、早い段階で役職に就いた方が、退職時までに積み上がるポイントの総量は大きくなりやすいといえます。

5-2. 勤続年数を積む

同じ職場で長く働き、勤続年数を重ねることも、退職金を増やす方法の一つです。退職一時金の計算では、勤続年数が長くなるほど、計算に用いられる支給率が高く設定されているのが一般的です。

この場合、勤続年数を重ねるにつれて、1年あたりに積み上がる退職金額が大きくなる仕組みになっています。一方で、勤続年数が短い段階で退職すると、退職金を受け取れないこともあるため注意が必要です。

5-3. 退職金制度が充実した職場に転職する

退職金制度の内容は企業ごとに異なるため、現在の職場の退職金制度に物足りなさを感じている場合は、制度が充実している職場へ転職することも選択肢の一つです。

転職活動の際には、求人票の福利厚生欄を確認し「退職金制度あり」「企業年金」「確定拠出年金(企業型DC)」「中小企業退職金共済」「iDeCoプラス」など、退職金制度の内容が具体的に示されているかをチェックするとよいでしょう。

また、採用面接の場で、退職金制度の有無や概要について確認することも、制度の実態を把握する方法として有効です。

6. 薬剤師の退職金事情を押さえ、今後のキャリアを考えよう

退職金とは、退職する際に勤務期間や役職などに応じて支給される金銭です。退職金制度は企業が独自に定める福利厚生の一つで、法律で支払いが義務付けられているものではなく、制度を設けるかどうか、支給額や計算方法については企業ごとの判断に委ねられています。

退職金の種類には、退職一時金制度、企業型確定拠出年金、確定給付企業年金、退職金共済制度などがあり、複数の制度を併用して退職金を支給している企業もあります。薬剤師の退職金額は、勤務先の業態や企業規模、退職金制度によって異なり、勤続年数が長くなるにつれて、退職金額が高くなる傾向があります。将来受け取れる退職金の目安を知り、これからのキャリアを考えてみましょう。

この記事の著者

薬剤師

篠原 奨規

2児の父。調剤併設型ドラッグストアで勤務する現役薬剤師。薬剤師歴8年目。面薬局での勤務が長く、幅広い診療科の経験を積む。新入社員のOJT、若手社員への研修、社内薬剤師向けの勉強会にも携わる。音楽鑑賞が趣味で、月1でライブハウスに足を運ぶ。

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