【回答例付き】薬剤師の転職面接で評価される受け答えのコツとは?

【回答例付き】薬剤師の転職面接で評価される受け答えのコツとは?
面接試験は、あなたと志望する会社が初めて対面する大切な場。身だしなみとマナーには、細心の注意を払いましょう。ビジネスマナーがしっかりしている人は、それだけで好印象を与えることができます。

この記事では、会話の受け答えや、面接室への入退室の仕方、お辞儀の仕方、薬剤師免許証をはじめとした面接当日の持ち物など、面接を成功させるためのポイントについて解説していきます。

1.面接で好感を抱かせるコツ

面接では多くの場合、初対面の面接官と話しますが、その中で面接官に好感を持ってもらい、「一緒に仕事がしたい」と印象付けるためにはコツがあります。面接官から一目置かれるためのポイントについて見ていきましょう。

1-1.面接官も緊張していることを知ろう

面接の日、緊張しているのは面接されるあなただけではなく、面接する側も緊張しているものです。新卒時の面接なら、自分のことで精一杯になってしまってもある程度許容されますが、社会人経験を重ねている転職の場合は、相手のことを気遣う余裕も見せたいところです。そういう心持ちは面接官にしっかりと伝わることを知っておきましょう。

1-2.面接官が知りたいと思っていることを知ろう

面接官が知りたいと思っているポイントをあらかじめ想定し、面接に挑むことが成功につながります。

一方で、面接がうまくいかない理由としてよく見受けられるのが、面接官の質問の意図を取り違えて答えているケースです。このようなことが面接の間に何度もあると、コミュニケーション能力が低いと思われたり、一緒に仕事をするのが難しいと判断されたりします。

そのような事態を回避するために、主に面接官が知りたいと思っているポイントをおさえておきましょう。

  • どのような環境で調剤を行ってきたか
  • 応需した経験のある診療科目
  • これまでの勤務先の規模
  • マネジメントや店舗運営経験の有無
  • 後輩や部下を指導した経験の有無
  • 転居を伴わない異動は可能か

2.薬剤師の面接でよく聞かれる質問と解答例

面接でよく聞かれる質問にはいくつかのパターンがありますが、想定できる質問に対しては、あらかじめ答えを考えておくことで、余裕を持って面接に挑むことができます。

ここでは、薬剤師の面接でよくある質問と簡単な回答例を挙げました。

2-1.自己紹介をお願いします。

(回答例1)
この度はお時間をいただきありがとうございます。薬剤師の○○○○と申します。○○出身で、○○大学薬学部を卒業した後、○○の調剤薬局で7年間勤務しておりました。6年目からは管理薬剤師として、新店舗の立ち上げと運営を担当した経験があります。どうぞよろしくお願いいたします。

(回答例2)
初めまして。本日はこのような機会をいただきましてありがとうございます。薬剤師の○○○○と申します。現在○○歳で、大学病院の薬剤師として〇年の勤務経験があります。ドラッグストアでの勤務は初めてのチャレンジになりますがよろしくお願いいたします。

2-2.あなたの長所と短所を教えてください。

(回答例1)
私の長所は、患者さんの立場に立って行動できるところです。病気で具合が悪い患者さんやお子さん連れで大変なご様子の患者さんに対しては、椅子にお掛けになったまま服薬指導を受けていただけるように機転を利かせて対応してきました。
短所は、薬剤師としての責任を重く受け止めすぎるところがあり、以前は何でも一人で調べて解決しようとしていました。そのため今の職場では先輩や同僚、処方医と積極的に情報共有し、意見を聞いたり、分からないことは尋ねたりすることを心がけてきました。今は周囲の方とコミュニケーションを取ることで解決することもできるようになりました。

(回答例2)
私の長所は子どもの患者さんとコミュニケーションを取るのが得意なことです。小さなお子さんにも、お薬の大切さを分かってもらえるように話したり、飲みやすい工夫を一緒に考えたりしてきました。
短所は一人一人の患者さんへの対応に気が取られ、他の患者さんを待たせてしまうことがありました。この問題点に気付けたことで、薬局の繁忙時間帯を予測し、常に待ち人数を確認する習慣ができました。現在では見通しを立てて患者さんの対応をするようにしています。

2-3.なぜ転職しようと思ったのですか?

(回答例1)
さまざまなことを勉強したかったため、前職の病院へ入職しました。夜勤なども担当しておりましたが、昨年結婚をしたため家庭と仕事を両立させたいと思い、夜勤のない仕事への転職を考えるようになりました。

(回答例2)
現在の勤務先は調剤薬局の大手チェーンなのですが、自分の目標となるベテランの先輩薬剤師が少なく、私自身もすでに管理薬剤師として勤務しています。もっと経験豊富な先輩方から学びたいと思い、転職したいと思っております。

2-4.当社を志望した動機は何ですか?

(回答例1)
現在の勤務先が、比較的大きな総合病院の門前薬局なのですが、かなり多忙でした。利益追求だけではなく、地域密着型で患者さんとの関係をつくりやすい薬局で働きたいと思っていたため、御社を志望いたしました。

(回答例2)
私はこれまで企業勤務で調剤業務の経験がないため、御社の手厚い研修制度や、勉強会を開催していらっしゃることに惹かれて入社を志望しました。

2-5.これまで経験してきた業務を教えてください。

(回答例1)
病院薬剤師として3年間、その後、門前薬局4年間、そのうち2年間は管理薬剤師として勤務してきました。病院業務では、難病や希少疾患に対する最新の投薬に関する経験や、入院・術後管理など臨床経験を積むことができました。門前薬局では、一人一人の患者さんと接する時間が増えたことで、患者さんやご家族との豊かなコミュニケーションスキルを身につけることができました。また、患者さんの悩みを聞くうち、それぞれの生活スタイルや困りごとに合った服薬指導ができるようになりました。

(回答例2)
地域の調剤薬局で6年間勤務してきました。高齢者が多い地域だったため、薬局での通常業務に加え、在宅医療も積極的に担当してきました。自宅で療養されている患者さんのお宅を巡回して、服薬指導や薬剤管理などのアドバイスをした経験があります。ケアマネジャーや訪問看護師などの他職種と連携し、患者さんやそのご家族の困りごとや不安を解決していく過程は、薬剤師として貴重な経験ができました。

2-6.採用後、あなたの強みをどのように生かせると思いますか?

(回答例1)
私には、これまでに管理薬剤師として培った経験と勤務実績があります。管理薬剤師としての即戦力はもちろんのこと、若手薬剤師の教育や人材育成も得意です。御社は近年、県内にたくさんの店舗を展開されていますので、新店舗立ち上げの際は、私の経験を生かし、新店舗のマネジメントや新人教育等の場面でもお役に立てると思います。

(回答例2)
私は前職で、小児医療センターの門前薬局で勤務していたため、一般的調剤に加え、小児分野に特有の粉薬やシロップなどの調剤やお子さんのための服薬指導の経験が豊富です。御社の薬局には地域のお子さんもたくさん利用されると思いますので、私のスキルと経験を生かして薬局業務に貢献していきたいです。

2-7.当社でどのようなキャリアを積んでいきたいと考えていますか?

(回答例1)
まずは御社での仕事をしっかりと覚えたいと思います。その後、後輩の指導や管理薬剤師としてのマネジメントスキルも身につけたいと考えています。

(回答例2)
御社の研修プログラムに積極的に参加し、まずは認定薬剤師を修得したいと考えています。その後、実務経験を積み管理薬剤師へとキャリアアップし、スタッフを束ねながら、地域の患者さんから信頼される店舗づくりに貢献したいです。

2-8.今後、どのような薬剤師になっていきたいと考えていますか?

(回答例1)
かかりつけ薬剤師として地域の方々に信頼され、御社に貢献できる薬剤師になりたいと思います。

(回答例2)
通常の調剤業務に加え、若手の育成や快適な職場づくりなどのマネジメントもこなせる薬剤師になりたいと考えています。

3.逆質問や答えにくい質問の時の答え方とポイント

面接では面接官から「何か質問はありますか?」といわゆる“逆質問”が来ることがよくあり、時には簡潔に答えにくいものや、正直に話すとマイナスの印象を与えてしまうような質問もあります。

しかし一見答えにくい質問こそ、他の応募者との差をつける大きなチャンスになるため、逆質問への対策や、答えにくい質問への答え方について対策しておきましょう。

3-1.「何か質問はありますか」と聞かれた場合

面接官からの“逆質問”は、多くの場合、応募者の入社意欲や本気度を測るために行われます。入社意欲が高い応募者であれば、その企業のことをしっかりと調べ、自分なりの疑問点を明確に持っているはずだと考えているからです。

この逆質問が来た場合は、企業や職場に関して深堀した質問をできるだけ具体的に投げかけることがポイントで、例えば、「これまで〇〇科の処方箋を主に扱ってきましたが、こちらでの処方箋の特徴はありますか」「薬歴の記入にはどのようなシステムを採用されていますか」「研修制度はどのようになっていますか」など、入社後の業務を想定した質問や「薬剤師として成長したい」という前向きな姿勢を見せるような質問が効果的です。

一般的には、ここで給与や勤務時間、配属先など条件面を確認するのはNGと言われていますが、気になることがある場合や希望の条件がある場合には、ここで質問しても構いません。ただし、希望条件でなければ働く気がない、と相手に思われない配慮は必要です。「ぜひ、この会社で働きたい」という思いを伝えるとともに、面接官にも「この人と一緒に働きたい」と感じてもらえるよう質問の仕方を工夫しましょう。

3-2.転職回数について聞かれた場合

一般的な職種に比べて、薬剤師は転職の多い職種です。30歳代で3~4社経験している人も珍しくありません。

しかし、1社ごとの就業期間が短かったり、あまり頻繁に転職を繰り返している場合は、面接試験で理由を聞かれることもあります。転職の理由が、たとえ「残業時間が多かった」「給料が安かった」などネガティブなものだったとしても、伝え方に一工夫をしましょう。

これまでの転職が、育児・介護・家族の転勤などの事情によるものだった場合は、ストレートに伝えるほうが良い場合もあります。
また、薬剤師という仕事を続けるために行動したことを一緒に伝えたり、転職後の意気込みや会社に貢献できる内容も一緒に伝えるようにしましょう。

答え方のコツは「なぜ、転職を繰り返したか」という理由だけでなく、話の流れとして「これが最後の転職です!」という方向にもっていくことです。

3-3.年齢が高い・経験が浅い場合

ある程度年齢が高い転職希望者の場合、面接官が気にするのは、入社後の指導係が本人よりも年下の先輩社員になるという点。プライドが高い人の場合、年下のスタッフに教えを請うことができない、ということもあるからです。

そんな時は、「年齢が高くても、積極的に学ぶ姿勢や意気込みがある」ことをアピールしましょう。特に小規模な職場の場合、薬剤師同士の人間関係はとても重要です。「チームの和を乱さず、職場の雰囲気を大事にします」というコミュニケーション力と、「できるだけ早く学んで、戦力となれるようにがんばります」という熱心さをアピールすることで、面接官の不安を払拭することができるでしょう。

3-4.ブランクがある場合

ブランクがある場合、その理由について聞かれることが多いです。学業や結婚、出産、育児、介護、家族の転勤などの事情があって、働くことができない期間があった場合には、正直に答えるようにしましょう。自身の病気などによってブランクがあった場合も、差し支えのない範囲で理由を伝え、現在は薬剤師として働ける環境にあることをアピールしましょう。

4.面接のマナーや流れを把握しておくことが大事

面接で良い印象を与えるためには、まず面接に挑むための身だしなみや持ち物チェック、人としてのマナーをしっかりと押さえておくことが基本です。

さらに面接の流れを事前に把握したうえで、訪問から面接を終えた後のシミュレーションをしておくことで、当日になって焦ることがないようにしましょう。

4-1.身だしなみや持ち物のチェック

医療業界は清潔感のある身だしなみが求められます。きちんとした印象を与えるためには、男性・女性ともにシンプルなスーツに革靴を合わせるのが無難です。サイズの合ったものを選び、スーツやシャツにしわが入っていないか、靴はよく磨けているか、事前にチェックしましょう。

また、持ち物チェックも欠かせません。募集要項、スマートフォン、面接会場の案内、印鑑、身分証明書、薬剤師免許証、筆記用具、ハンカチ・ティッシュを必ず持っていきましょう。

そのほか、応募書類(履歴書や職歴書)のコピーを入れておくと、移動時間や待ち時間に見返すなどしてシミュレーションに役立ちます。急な雨でスーツを汚さないためにも、折り畳み傘を備えておくのもよいでしょう。

4-2.訪問・受付

面接会場には面接開始時間の10~15分前には到着し、受付を済ませるのが目安です。遅刻は厳禁ですから、公共交通機関の遅延トラブルなども考慮し、早めに自宅を出発するようにしましょう。

道に迷いやすく、不安な人は、事前に地図でルートを入念に確認する、前日までに実際に現地に行ってみるなど、時間どおりに到着できる対策を行うことが大切です。

4-3.入退室

名前を呼ばれたら、ハキハキとした声で返事をし、「失礼します」とお辞儀をしてから入室します。お辞儀は、背筋を伸ばしたまま、45度前方に上半身を傾ける最も丁寧なお辞儀が適しています。面接室にドアがある場合は、大きな音を立てずに、丁寧に開閉するようにしましょう。席に進んだら、面接官の方から「どうぞおかけください」と言われてから座ります。

面接が終わったら、退室する前に「本日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございます」などのお礼と先ほどの45度のお辞儀を添えると好印象を与えられるでしょう。面接官は通常の業務の時間を割いて、面接のための時間を作っていますので、面接の機会を設けてくださったことへの感謝の気持ちを伝えることが大切です。

退室時は、面接が終わった安堵感から、気を抜いてしまいがちですが、最後まで油断せずに、退出時のドアの開閉も丁寧に行い、良い印象を残すようにしましょう。
帰り際に顔を合わせた人や案内の人へも「失礼いたします」と挨拶を忘れないことも大切です。

4-4.面接中

面接中は、背筋を伸ばし、椅子には浅めに掛けるようにし、目線はまっすぐ面接官の方へ向けましょう。背もたれにもたれたり、足を大きく開いて座ったり、下を向いたりするのはネガティブな印象を与えてしまうためよくありません。

面接官から質問された時は、面接官の目を見ながら相槌を打ってから、ハキハキと答えるようにしましょう。質問が聴き取れなかった場合などは、「もう一度お願いできますか?」と聞き直しても構いません。会話が途切れないようにすることが大切です。面接官が複数いる場合は、全ての面接官に均等に目配りができるようにしましょう。

4-5.面接後

面接試験は「受けて終わり」ではありません。面接の様子をあらためて振り返り、次回への反省材料とすることが大切です。
面接官とのやりとりや、「もっとこうすればよかった」と思う点はメモをし、今後の転職活動に生かしましょう。

マイナビ薬剤師を通して受けた面接試験であれば、キャリアアドバイザーからのフィードバックを受けることもできます。次の面接試験へ生かすためのいいアドバイスになります。

5.まとめ

面接は、自分の魅力やスキルを相手企業に直接伝えることができる大きなチャンスです。面接官に好印象を与え、「この人と一緒に仕事がしたい」と思わせるような良い面接にするために、事前に準備をしておきましょう。

逆質問や答えにくい質問に対しても、あらかじめ想定しておくことで冷静に対処することができます。身だしなみやマナー、当日の持ち物や面接の流れをしっかりとシミュレーションして本番に挑みましょう。

この記事の著者

医学博士、医学研究者

榎本 蒼子

最終学歴は京都府立医科大学大学院医学研究科博士課程卒業。2011~2015年 京都府立医科大学にて助教を勤め、医学研究および医学教育に従事。

この記事の監修者

薬剤師専任キャリアアドバイザー

中村 貴大

薬剤師の転職サポート歴7年。
調剤薬局、病院、ドラッグストアなどの法人担当だけでなく、多くの求職者様の転職活動を成功に導いた経験と知識を活かし、転職活動を開始される皆さまを全力でサポートさせていただきます。

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