【例文付き】製薬会社に薬剤師が転職する際の自己PRの書き方
製薬会社への転職は、求人数も少なく、狭き門といえます。
これまでのキャリアを深く掘り下げて自分のスキルや価値観を言語化し、志望する会社に向けてアピールすることが、書類選考や面接の突破には欠かせません。
しかし、薬剤師免許をもち、仕事を精力的に頑張ってきた方でも、いざ「自己PR」としてまとめようとすると上手く言葉にできないことが少なくありません。
そこで本記事では、採用担当者の目にとまる自己PRの作成方法を紹介します。
目次
1. 製薬会社における職種と求められる人物像
製薬会社では、さまざまなスペシャリストが働いています。
薬剤師が活躍する職種には、研究職、生産技術職、臨床開発職(CRAなど)、営業職(MR)などがありますが、職種により求められる人物像は異なります。
研究職や生産技術職などは中途採用の求人が少なく、同業種・同職種からの転職でなければ、転職の難易度は相当高いです。
きわめて専門性が高いため、志望する会社の求めている専門知識・業務経験にマッチするかどうかが最も重視されます。
CRAなどの臨床開発職は、製薬会社では新卒採用のみという会社も少なくありませんが、CROなどまで含めれば中途採用も見つかりやすくなります。
MRは、以前に比べると人員削減が進んでいますが、それでも比較的人数が多いため、他業種からの転職でも条件次第では転職先を見つけやすいでしょう。
CRAやMRへの転職を志望する場合、医療従事者とのコミュニケーションが重要になるため、専門知識・業務経験に加え、コミュニケーション能力などのビジネススキルも考慮される比重が高くなります。
詳細は以下のページをご覧ください。
2. 製薬会社への転職で自己PRしたいポイント
製薬会社に転職する際の自己PRでは、以下の点を押さえることで「この人となら一緒に仕事ができそうだ」と思ってもらえる可能性が高くなります。
2-1. 専門知識や業務経験
まず、募集要項や企業概要などを改めて読み返し、志望する会社・職種ではどのような専門知識・業務経験が求められるのかを漏れなく書き出しましょう。
製薬会社のキャリア採用の場合、具体的に「○○の業務経験〇年以上」「○○の疾患領域の専門知識があること」「○○の資格を有すること」などの要件が書かれていることが多いです。
その中から、自分が持つ専門知識・業務経験とマッチしているものをリストアップします。
重要な項目、自信のある項目から順に、自己PRに織り込みましょう。
特に研究職や生産技術職などでは、こうした要件がマッチしていることが最も重要になります。
2-2. 学習意欲の高さ
製薬会社で活躍しつづけていくためには、日々進んでいく業界の動向を学びつづけることがかかせません。
そのため「従来はこのように学んできた、スキルアップしてきた」という実績を伝え、入社後も変わらず学習しつづけたいという姿勢を示すことが大切です。
2-3. 職務遂行に役立つビジネススキル
製薬会社のキャリア採用では、高度な専門知識や業務経験が重要になりますが、同時にビジネスパーソンとしての全人的な職務遂行能力(ソフトスキル)も欠かせません。
たとえば「アイデアを生み出す力」「プロジェクトを管理する力」「タスクを迅速・正確に処理する力」「人としての誠実さ」などです。こうしたソフトスキルも自己PRに盛り込みましょう。
ただし、重視されるビジネススキルの種類・程度は、職種により若干異なります。
研究職であれば、研究を進めるための問題探索力や問題解決力、自発性・自律性などが重視されますし、生産技術職であれば、生産体制を維持・改善するための問題解決力や協働性、コミュニケーション能力があったほうがよいでしょう。
一方、MRでは、医療従事者とやりとりして実績をあげていくためのコミュニケーション能力やプレゼン能力が極めて重要であり、こうしたスキルの高さを上手くアピールできれば、業務経験などが若干不足していてもカバーできる可能性があります。
3. 自己PRを書く際に入れるべき内容
前項では、製薬会社のキャリア採用で自己PRしたいポイントを紹介しましたが、具体的には以下のような手順で内容をまとめると書きやすくなります。
3-1. 製薬業界で活かせる業務経験やビジネススキルを交える
前述で説明した通り、製薬会社のキャリア採用では、専門知識・業務経験と、ビジネススキルのアピールが重要です。
募集要項のなかから、自分の専門知識・業務経験、ビジネススキルとマッチしている項目を書き出しましょう。
その際は、たとえば業務として関わってきた疾患領域や医薬品の種類、プロジェクトへの貢献内容または営業成績などについて、(現職の守秘義務に反しない範囲で)数字などを交えて端的に記載するようにします。
なお、これらの点は面接でも深堀りして聞かれる可能性が高いため、それぞれの項目について具体的なエピソードを用意しておくとよいでしょう。
3-2. 製薬業界を志望する理由を交える
調剤薬局やドラッグストアなど他業界からの転職の場合は、製薬業界に転向する理由を説明し、「製薬業界出身者にはない強み」をアピールする必要があります。
製薬会社の採用担当者にとっては、同業他社からの転職者のほうが即戦力に見えがちです。
そのため、あえて他業界で働くあなたを採用する理由を示さなければならないのです。
今までの業務経験の中から、製薬業界での活躍につなげられそうなものを探しましょう。
たとえば、製薬業界の人にとっては患者さんと直接触れ合う経験は少ないため、服薬指導などの経験から得た気づきや想いは貴重に見えることが多いです。
3-3. その企業を志望する理由を交える
3-1.で書き出したあなたの業務経験やスキルを踏まえ、「○○の理由から私は貴社に貢献できるため、貴社を志望します」という形で熱意をアピールしましょう。
このとき、志望する会社の強みは何なのか、そしてそこに自分の強みを加えたら何ができるのか、と順を追って考えることが大切です。
そうすることで、志望理由のNG例としてよくみられる「貴社は○○がすごいから志望しました」という表面的な賛辞や、「入社したら自分が成長できそうだと思いました」という自分本位な動機とは一線を画すことができます。
なお、履歴書のフォーマットで「志望理由」「志望動機」が「自己PR」とは別枠で設けられている場合は、この部分は短めにサラリと流してOKです。
3-4. 自身のキャリア・キャリアプランを交える
3-1.の業務経験・ビジネススキルは「あなたの過去」であり、3.2.~3.の志望理由は「あなたの未来」です。この2つを、人生観・仕事観も交えつつ接続してまとめましょう。
そうすれば、あなた独自の「キャリアプラン」となり、血肉の通った自己PRにすることができます。
自分自身のことをよく分かっているという印象を持たせることができ、採用担当者にも「入社後も主体的に業務に取り組んでくれそうだな」と思ってもらいやすくなるでしょう。
4. 製薬会社へ転職する際の自己PR例
製薬会社のキャリア採用では、先達の薬剤師はどのような自己PRをしているのでしょうか。ここでは職種ごとに、自己PRの例文を紹介します。
4-1. 研究職の場合
貴社が重視している○○領域を大学院で専攻した後、原薬の合成法の開発に〇年間従事してきました。海外協力企業との協働経験もあります。そのため大規模な製造ラインを備え、世界各国に医薬品を提供している貴社において、チームスタッフの一員として貢献したいと考えています。原薬の仕事は地道なものだと思いますが、コツコツと粘り強く実験を繰り返すことが得意です!そのため、制約の多い製造環境の中で効率のよい合成法を追究することに醍醐味を感じています。
4-2. MR職の場合
現職では〇〇領域のMRとして、〇県〇〇市、〇〇市を〇年間担当しました。〇〇件の医療施設に訪問して院内情報を収集し、勉強会を開催するなどして医師や薬剤師との信頼構築に努めました。他社の薬剤情報やデメリットなどを含む詳細な情報を勉強して情報共有したことで、「よく勉強している」と医師からも声をかけてもらうことができ、〇年間連続で売り上げ目標を達成しています。〇〇領域で多くのモダリティを持つ貴社で、さらなる治療選択肢を患者さまに届けたいと考えています。
4-3. 生産技術職の場合
現職では○○領域などの医薬品の製造ライン実務に〇年携わっています。責任をもって患者さまに最高の品質で届けたいと考え、社内外のGMP研修講座を受けて勉強しているほか、チェック項目の改善を提案して採用されるなど、日々の作業を大切にしつつ働いています。貴社では他社からの委託製造を含め、多様な製品を扱っているにもかかわらず、徹底した管理のもとで製造されていると知り感銘を受けました。私も貴社で一層の経験を積み、医薬品の安定供給に貢献したいと考えています。
5. 自己PRの作成にも転職エージェントの活用が有効
転職活動では、これまでの自分のキャリアに沿って自己PRを書く必要があります。
新卒の就活と違い、ネットからコピペした例文をアレンジしよう…というわけにもいかないのがつらいところです。
「作文は苦手」「自分の業務経験からPRすべきことが思いつかない」「この会社に何をPRすべきなのか分からない」といった悩みも出てきます。
自己PRをブラッシュアップするには、第三者からのアドバイスを受けるのが有効です。
でも、同僚に相談するのはハードルが高いですよね。かといって、製薬業界のことを知らない家族や知人に聞いたのでは、的を外したコメントが返ってくるかもしれません。
そこで活用したいのが転職エージェントです。たとえば「マイナビ薬剤師」であれば、製薬業界への造詣が深いエージェントに相談できます。
あなたのこれまでのキャリアと、志望する製薬会社の特徴を踏まえた、具体的かつ効果的な自己PRを作成するサポートをしてもらえるでしょう。
マイナビ薬剤師は、サイトから登録するだけで無料で利用できます。
応募書類をエージェントに見てもらえば、たとえば「このスキルは貴重だと言われたから、もっと強調してみよう」などといった気づきを得られるかもしれません。
まずは登録してみることをおすすめします。
もし、はじめての転職で迷っている方はこちらのコンテンツもおすすめです。
>はじめて転職する薬剤師が知っておくべき転職活動の流れとポイント
上記でご説明した「自己PRのアドバイス」の他にも、どんなサポートが受けられるかご紹介しております。
なお、志望動機もまだ曖昧で…という場合は、こちらの記事も参考にしてください。
6. まとめ
製薬会社のキャリア採用で、採用担当者に「ぜひ当社で働いてほしい」「チームメンバーになってほしい」と思ってもらうための自己PRの書き方を説明しました。
この記事の方法で自己PRを書くと、あなたの持つハードスキル(専門知識や実務経験)とソフトスキル(ビジネススキル)を棚卸し、志望する会社でどのように活かせるのかを深堀りしていくことになります。
このとき、具体的に入社後のイメージを思い浮かべることができるなら、その会社との相性はよいといえるでしょう。
逆にピンと来ない場合は、企業研究が足りないか、何らかのミスマッチが潜んでいる可能性があります。
自己PRの作成を通して、あなたと志望する会社の相性を見極め、転職を成功させる第一歩を踏み出しましょう。
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